2003年3月18日、鹿児島空港の出発ロビーで缶ビールを呑みながら黒豚コロッケ(おつまみ用2個\300-)を頬張る男がいた。
男の名は、ゆう。常に生き遅れの人生を歩む男は、鹿児島空港での飛行機の乗り継ぎにも乗り遅れていたのだ。
10:45発の073便の次は、13:00発の075便。2時間強の暇を持て余し、酒をあおり、小説を読むしかなす術が無いのである。
これは、しょんぼり人生を突き進む一人の男の旅行記である。えーっくす。(笑)
10:45発屋久島空港行き に乗り遅れました。 (鹿児島空港にて) |
ちびりとやりましょうかね。 (鹿児島空港にて) |
バスに揺られて YS-11の待つ滑走路に来ました。 (鹿児島空港にて) |
・・・と、おバカな前置きはこのくらいにして、今回の屋久島旅行にはいくつかの目的があり、最初の目的が、YS-11ちゃんです。
1957年 財団法人 輸送機設計研究協会により基礎設計が行われ、その後、1959年に設立された日本航空機製造株式会社により
抜本的な設計の見直しを図り、1960年、試作1、2号機が完成。更に試作機で発覚した方向舵の効きが悪く、更に飛行中の安定性が無い
という致命的欠陥を知恵と努力で克服し、1964年、運輸省(現・国土交通省)の認可を得て、大空に羽ばたいた純国産の旅客機です。
設計値の6倍の時間(マージン)を費やして、耐久性の実証試験を行った事が功を奏して40年を経た現代も現役で空を飛び続けています
が、押し寄せる世代交代の波には勝てず、2006年までに引退が決まっている為、今のうちに乗っておきたいという私の野望を
誰が止める事ができましょう。否、出来ますまい。(苦笑)
おっと、握りこぶしと共に熱弁を振るっていたら、搭乗時間を迎えました。
空港専用バスに乗りYS-11ちゃんの待つ滑走路の奥に向かいましょう。
ロールスロイス社製のダート10です。 | 左右各2列のレイアウトです。 | さて座りますか。 |
強い風と熱気が織りなす蜃気楼の中、バスを降り滑走路に立つと・・・います。YS-11ちゃんが。機体番号を見るとJA8763。
かつて、えらぶ号と命名された機体は1970年の製造当時YS-11A-200型でしたが後にYS-11A-500型に改造。
左右の翼に搭載されたエンジンも、ロールスロイス社製ダートMk542-10JからMk542-10K(2,305HP×2基)に換装されています。
ジェット機全盛の時代にひっそりとローカル路線で健気に頑張る姿を一目見て、涙腺が緩むの私だけでしょうか。
さあ、そろそろ離陸時間が迫ってきたのでタラップを上り、搭乗致しますか。
機内は左右2列ずつの座席配置で幅が狭く、前後の間隔も狭く、更に老朽化が進んでいる為、決して快適とは言えませんが
長い年月、多くの旅行者を各地で運んだ歴史が染み込んでおり、重厚な風格が醸し出されています。
翼の付け根に位置する席に座り、暫くするとプロペラがキュンキュンと回りはじめました。
まるで壊れかけの洗濯機の脱水状態の様なプロペラ音もオクターブを上げ、少しずつ滑走路を滑り始めます。
機内にはビデオやテレビモニターが無い為、スチュワーデスさんが自ら救命具を使い、乗客に安全対策を実演している間に
車輪が地上を離れ、離陸成功。高度を上げていきます。
眼下に錦江湾を臨みます。 | 短い空の旅もおしまいです。 (屋久島空港にて) |
また会おうね。 |
ジェット機の速度にすっかり慣れた筆者にはターボプロップ機がハエが止まる程の歩みに感じ、更に気流に翻弄される度に
機体がミシミシと軋む音を間近で聴き不安を感じますが、YS-11ちゃん必死の頑張りで錦江湾を越え
東シナ海と太平洋に挟まれた海上を渡る事、約40分、透き通る様な青い水に囲まれた屋久島空港の滑走路が見えてきました。
潮風が強く、若干ふらつきながらも、なんとか着陸に成功。純国産のプロペラ機での小さな旅はおしまいです。
ひょっとしたら最初で最後のYS-11の旅かと思うとタラップを降りても、名残惜しくてシャッターを押す手にも力が入ります。
・・・とカッコよくキメて、屋久島空港を去ろうと思ったら、宮之浦行きのバスが発車してしまっていたのは、ちょっとだけナイショです。
バスの運行本数が余りに少なく、タクシーを使って民宿に向かい、予想外の出費がかさみましたとさ。とほほ。
料金 | 鹿児島空港〜屋久島空港間 大人\11,370-(片道)/\20,460-(往復) |
問い合わせ先 | 日本エアコミューター |
ホームページ | http://www.jac.co.jp/ |
島内の数少ない移動手段なのですが、運行本数も数少なくて、正直とても不便です。
限られた時間を有効に、自由気ままに移動したい。
そう思い、3/19の夕方、宿のある宮之浦周辺のレンタカー会社の中で、軽自動車があるマツダレンタリースさんにゴー。
とのご厚意を得て、借用させて頂きました。
余談ですが、今回借りたレンタカーに「ヤックル号」と勝手に命名したのは、ちょっとだけナイショです。(笑)
往路が空の旅なら、復路は海の旅にしたい。旅人なら誰しも思うところではないでしょうか?(笑)
というワケで屋久島を離れる際に選んだ交通手段は、超高速水中翼船トッピーちゃんです。
鹿児島港〜種子島港/屋久島港を最高時速 約80km/h、2時間35分(種子島経由時)で結ぶ高速船です。(定員265名)
船内放送で船長が「飛びます!飛びます!」と言うかな?と期待したのですが残念ながら、それはありませんでした。^^;;)
睡眠を取る事で若干、疲れを癒した筆者は、残されたわずかな時間を鹿児島市内で過ごす事に決めていました。
ツアーパック等の貸切の観光バスは頻繁に運行されていますが、通常の路線バスでの縄文杉(=荒川登山道)行きは、なんと1日1往復。
しかも往路である宮之浦→荒川登山道方面は、早朝05:02出発という、ねぼすけさんには辛い運行ダイヤです。^^;;)
運賃も宮之浦→荒川登山道・大人片道\1,360-(往復\2,720-)と決して安くなく、翌日(3/20)にはストライキも控えていたので
3/20以降はレンタカーを使わざるをえませんでした。
縄文杉行きの路線バスは
1日1往復のみです。
(明け方の荒川登山口にて)
翌日(3/20)、早朝からレンタカーを12時間利用したい旨を告げると
元々、夜は呑み歩く事を想定し、日中の12時間しか自動車の運転が出来ない(しない)筆者にとっては嬉しいサービスです。^^*)
(職員の人手不足の為、他の営業所で行っている利用当日の宿までの送迎サービスの代替で、こうしたサービスを行っているとの事。)
最近の軽自動車って、結構車内が広いですね。
(ヤクスギランドにて)
名称 マツダレンタリース宮之浦港営業所 住所 〒891-4205
鹿児島県熊毛郡上屋久町宮之浦1200-1営業時間 08:00〜19:00 料金 軽自動車(SSクラス) \4,500-(12時間利用)
※別途、免責補償料(\1,000-)が必要です。(任意加入)
※ガソリン代は自己負担です。(\1,200-くらい)電話 09974-2-2401 ホームページ http://www.coo.ne.jp/rentacar/mazda/okinawa/miyanoura.html
ちなみに ”トッピー”とは、鹿児島弁で”飛び魚”を意味します。^^)
前日、民宿で相部屋となった少年と共に宮之浦港からトッピーちゃんに乗船します。
期待を裏切れ、打ちひしがれた筆者は、疲れも溜まっていた為か乗船時間をほとんどを睡眠に費やしたのは、ちょっとだけナイショです。
鹿児島港で下船と共に少年と別れを告げ、天文館、西鹿児島駅を散策しますが、それはまた別の機会にお話しする事に致しましょう。
往路が空なら、復路は海ですよね。(笑)
2F建ての船内です。
鹿児島港に向かう途中
1号ちゃんとすれ違いました。
料金 鹿児島港〜屋久島港間
大人\7,000-(片道)問い合わせ先 いわさきコーポレーション株式会社 電話 予約センター(個人用) 099-255-7888
鹿児島営業所 099-223-4251
宮之浦営業所 09974-2-0034
安房営業所 09974-6-3399