●小利別(ふるさと銀河線)
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峠越えの途中の小さなな駅、小利別を降りる。下車したのは私ひとり、駅は集会所のような立派なものだが、周りは原生林に囲まれた峠の中、人の気配すらない。遠ざかる列車を眺めて、旅情に浸っていると、いかにも旅人風の男女が歩いてきた。民宿に泊まっている人が、私を迎えに来てくれたのだ。学生時代の旅が思い起こされた。
民宿は、駅近くの廃校を利用したもの。付近に人の生活の気配は無く、この集落が無人化して久しい事がわかる。一番近い店まで16q。ここを訪れたのは、悪天候の為、離島訪問をやめてローカル鉄道の旅に切り替えたのが理由である。しかし、単調な感じのする銀河線をただ乗りとおしてもつまらない。ならば、ハイライトの峠越えの途中にある、無人駅に隣接する民宿に泊まろうと思った。
「ねぇ、鉄ちゃん(鉄道マニア)なの?」という宿泊者である女の子の問いに、違うと答え、あくまでも偶然、ここを訪れたフリを続けた。そのため、廃止された北海道のローカル線の話題になっても、参加できないという寂しさもあった。ただし、こっそりと最終列車を見に行ったのだが・・・。最終列車は乗客ゼロ。闇に消えてゆくディーゼルカーを眺めて、廃村同然の駅周辺を眺めて、銀河線の厳しい現実を痛感した。
民宿での酒盛りや、居心地の良さに、もう一泊しようかという想いもあったが、翌日は出発する。私が乗る列車が近づいてくる。嬉しいことに、宿の主人や宿泊者が見送ってくれる。近づいてくる列車。「写真、撮らなくていいの?」と、言われると、意地になって「撮らない」と答える。実は早起きしてして別の列車を撮っていたりもする(この列車も乗客ゼロだった)。勿論、こっそり・・・である。
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雨の夕方小利別で降りる | |
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小奇麗な駅だった | |
見送って貰って感激(まるで民宿のプライベート駅) |