電話:01-44-95-15-01 住所:15 rue Lamennais, 75008 Paris, France パリ第8区
ファックス:01-42-25-95-18 E-mail: mail@taillevent.com
営業時間:12:30〜14:00 19:00〜21:30
土日祭日と7月末〜8月末の1ヵ月間休み
地下鉄ジョルジュ・サンク下車。凱旋門を前にみてシャンゼリゼの右側の通りへ。コンコルド方面へ戻り一つ目の小道(ワシントン通り)を左折。300メートルくらい進みラムネ通りへ左折。50メートルくらい行った左手。
2005年9月30日
前回の記録はこちら
「サーヴィスのタイユヴァン」に気鋭のシェフ、アラン・ソリヴェレスがやってきたので鬼に金棒。
これぞ三つ星。夢のレストラン。※
食べたもの
アミューズ1◎グージェール
アミューズ2◎シェーヴル入りのラヴィオリとジャガイモスープ
前菜1◎鴨のフォアグラのクレームブリュレ、ソラマメ風味
Creme brulee de foie gras de canard, aux feves de Tonka
前菜2◎セップとジロールのラヴィオリ、軽く仕上げた栗のスープ
Ravioli de cepes et girolles, cappuccino de chataignes
魚料理◎ヒメジのポワレ、アイオリ、メルルーサのブランダード添え
Rouget barbet poele en aioli, brandade de merlu
肉料理◎プランシエ産仔羊鞍下肉のロースト、エスペレット唐辛子のジュ
Selle d'Agneau Princier roti, jus au piment d'Espelette
チーズ料理◎シェーヴルチーズ、タプナードと南欧風サラダ
Chevre frais, tapenade et mesclun
デザート1◎ウフ・ネージュ、イチジクのジュレ添え
OEufs neige aux figues noires
デザート2◎ほんのり苦いチョコレートのマカロンとシャーベット
Macaronade au chocolat amer
ミニャルディーズ◎小菓子
飲んだもの
Taillevent Grande Selection/Champagne
La Chapelle de la Mission Haut Brion 2000/Pessac Leognan
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アラカルトは前菜34〜48ユーロ(8種類)、魚料理は62〜86ユーロ(6種類)、肉料理は46〜95ユーロ(8種類)、デザートは24〜30ユーロ(11種類)。
前菜、メイン、デザートを1品ずつとるとして約14560円〜24220円。
ランチのコースは70ユーロ(約9720円)。
ワインリストには309種類。最安は28ユーロ(シャトー・ベレールCh.Bel Air2001などボルドーの白、赤、ロワールと南東の白の計4種類)。最高額はオーブリオン34で2000ユーロ。100ユーロまでのワインが1/3くらいを占め、120〜200ユーロ出せばかなりの選択肢がある。古酒はリストに載っていないのか、意外にも98年以降の若いワインがほとんど。
一級ワインはさすがに高く、89年のラトゥール、ムートン、オーブリオンがそろって680ユーロ。アンリ・ジャイエのクロ・パラントゥは88がリストにあり、620ユーロ。ブルゴーニュ赤ではカミュゼのリシュブール88(680ユーロ)が最も高い。
他にはゴビーのコート・デュ・ルーション99が86ユーロ、ラヤスのシャトーヌフ99が190ユーロ。ミネルヴォワのラ・トゥール・ボアゼ99は54ユーロ。
アミューズ2と前菜2はスープのラヴィオリと同系統ながらシェーヴルと茸と全く違う趣。後者はカプチーノ仕立ての泡が特に素晴らしかった。
間にはさまるクレームブリュレの表面はかりかりで、デザートっぽい見かけなのに、中身はまぎれもなくフォアグラのそれ。そら豆の香りが隠し味になっている。
魚料理はひめじをメインにしつつ、メルルーサのすり身がつけあわせのような副菜。ソースの色は鮮やか。
肉料理も同じく羊の鞍下肉を十分味わったあと、残りのかけらを食べてみると内蔵でドキっと。唐辛子ソースの意味がそこでわかる仕組み。
チーズはワゴンではなく、ちゃんとした一品料理の逸品。タプナードとサラダがアクセントになっていて、ここまでいくと文字どおり「ソリヴェレスの世界」という気がする。
デザート2品も高水準。どんなチョコレート専門店のものよりも、このクラスのレストランのショコラの方がおいしいのはなぜだろう?手作りはもちろんのこと、高品質の材料を使った新鮮なものであるということだけではなく、それまで食べた料理との相性も関係しているのかな、と思ってしまう。
ブリナ氏に「五年前に来たときとは料理のレヴェルが段違い。」といったら「まさにその通り。ソリヴェレスはすごいでしょ?」と答えてくれた。確かにそうだけど、そこまでいっていいのかな。
前回と同じく、階段の間を右にはいったメインダイニングに案内された。隣はでかいダイヤをしたアメリカ人で、雰囲気がいいので自然に話しをするようになった。40歳の誕生日とのことでデザートに一品特別料理がついていたので「いいですね」というと「実は誕生日ぴったりではないのよ」なんて言ってたのは御愛嬌。
スタッフ
ミシュラン2007年版で二つ星に降格しました。ミシュランの現編集長は「評価の基準は料理のみである」と公言しているので、スタンスを変えたのだと思います。
ここ数年のうちにオーナーが変わるそうですが、現時点ではジャン=クロード・ヴリナ氏が続けているのですから、それが降格の理由にはなりません。
料理だけについていえば、確かにタイユヴァンは「最高の最高」ではないけれど、十分に満足できるものです。2000年に訪問した時には「これが三ツ星の料理?」と思いましたが、ソリヴェレスになり料理の水準は上がりました。クラシックであるところがミシュランに嫌われたのでしょう。
レストランに求めるものが、料理と寛ぎであるとすれば、タイユヴァンは最高のレストランの一つです。サーヴィスは明らかに頂点ですし、すばらしい客層を集めています。
ただ、20世紀言語学が明らかにしたところでは、言葉は現実を表すものではなく、言葉が現実を作っていくのです。その意味でタイユヴァンは「ミシュラン二つ星レストラン」になりました。
長年にわたって三ツ星を取り続けてきたトゥールダルジャンは96年に二つ星になり賛否両論が繰り広げられましたが、2006年には一つ星になってしまいました。私が訪問した2005年には尚もかなりよいレストランでありましたが、三ツ星レヴェルではありませんでした。
タイユヴァンはこれから「ミシュラン二つ星レストラン」がこんなに凄いのだということを表象していくのか、あるいはこの降格劇によってミシュランの信用性が揺らぐのか、これからが楽しみです。