いまどきのビジネスマンなら、新幹線やレストランなど洗面所で、三方鏡に気がつかない人はいないと思います。
普段、気がつかない自分の顔や姿を、三方鏡で見たなら、視角の異なる姿形に、いつもとは違った感じで、自分の姿を見つめた人は多い筈です。
ところが、ビジネス社会では、他人の目に映る自分の姿を見ない人は大勢います。
例をあげて見ると、
@ 朝早くから机に向かい、退社後も一番後まで残っている男性がいます。
a) 本人は、長い間勤勉で我慢強く仕事をしてきた積もりでいるのです。しかも、それ相応の地位保障は、当たり前だと考え、誠実に勤労者の見本を示したつもりでいるのかもしれません。
b) こうしたときには、上役や同僚からみれば、時間内に出来る仕事を、自分が人一倍働いているかのように、見せかけるために引き延ばしている、つまらない人間に見えます。
またときには、
A 人気稼業の女優のように派手な演技や仕草で、場にそぐはない服装で、職場をクネクネ歩き回る女性は、
a) 自分は、ドラマでも演じているような気分かもしれません。周囲に励ましや、元気つけしながら、職場に刺激をもたらします。異性からは、賞賛や憧れの目でみられ、仲間には、羨望の気持ちを起こさせていると、考えるかもしれません。
ところが、
b) 男というものは、裸のむき出した足は好きですが、彼女の場合には、あまり強烈過ぎて、近寄り難くなります。
もし、何かの用事で、一緒にいられるとこを見られでもしたら、ゴシップの種になりかねません。女性は、決して羨望だけの眼差しでは見ないのです。ときには、軽蔑の眼差しで見るときがあるからです。
女性達が休憩室で話す陰口や、噂話は「見方を変えて」聞いてみることです。
そして、
B アタッシュ・ケースに仕事を一杯詰め込んでいるところを見せて、家でやるのだと思わせたがる管理者達がいます。
a) この管理者は、自分が重大な責任を背負っていると信じています。
家に仕事を持ち帰ってまでもする事で、おおいに、会社に寄与した積もりでいますから、相応の評価を当然と思っています。
自分では、熱心に仕事をした積もり、する積もりで、「職場ではいろいろ邪魔が入って仕事が出来ないから」夜、落ち着いてから処理をするという想いを抱いているのです。
b) 部下からみれば、この種の管理者は、「自慢屋」の一種にしか見えません。
家族からも、大部分の部下からも、意思が強過ぎて手に負えないと思われています。
夜も、週末まで仕事ですし、仕事のないときは、夕食もそこそこに寝て仕舞います。周囲の空気を気にしないので、社内・家庭ともに、環境から次第に孤立していく可能性が大です。
ところで、自分のことを真剣に考える人も、いなくはありませんが、他人の目で、自分を見ようとすると、自分の都合の良いように、合理化してみる強い傾向があります。
つまり、これだけははっきりしています。「自分の考えで自分を見ている人は自分だけである」というこになります。
それで、自分を観察しようとすれば、必ず感情に流されて仕舞うのが当然です。
いま自分に還って後ろを振り返ります。すると、知らず知らずのうちに年を経た、その上、頑固になった習慣や、人生の途上で出会った人達の影響や経験などから、中途半端な性格になって、と、誰もがやっているようなことをします
そのとき、他人の意見は、私達が何をするか、どう見えるか、どのように自己表現しているかに基づいています。
ですから、危険で不安を感じているときでも、他人から見れば頼もしく見えるかも知れません。
また、いつもと違う何かの優越感を感じているときには、他人の目では、気取り屋で、大げさな行動を取る浅はかな、思慮も魅力もない人間に見えるかも知れません。
その様なわけで、スター気取りさえせずに、ゆったりした気分でさえいれば、美人や男前でないからと、がっかりすることもありません。
他人から見れば、気取らずに一緒にいて、愉快で、すっかりお眼鏡にかなう珍しい人間に思われるかも知れない。
そのためには、ときどきは、自分の後ろ姿を眺めることが大切です。しかも、仕事に応用できれば、こんな感動するほど優れたことはありません。 つづく
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