権限委譲には、三つの狙いが含まれています。そしてその行為は三角形の三辺のような相互関係があります。 @職務の割当 A権限の授与 B義務の発生 これら三つの行為は、権限移譲の際、部下に伝える伝え方によって、権限委譲は、どの程度の効果が上がるかが決まります。 職務の分担や割り当てに良くみられる例は、期待される活動、をいちいち細かく定めて命令していることです。たとえ、伝達の手段として、文書とか、口頭で伝えるにしても、「活動行為」のリストを部下に渡しているケースを良く見聞きします。
「××××地域の○○○○店を対象にした販売活動を命じるが、それは次のような活動を行う。 これらの「活動」は、毎日の部下の行動や労働生活をいちいち定めております。けれども、部下の持っている人間性である創造力や、常識を発揮させる機会をことごとく抑制しています。つまり、アナログ的な指示になり、価値を共通化するための思考の方法に共有情報がないときには、大きい隔たりが生まれるからです。
職務の移譲は、成果主義に基づいて行うと、効果が上がり、かつ、信頼性が高まります。
例えば、前述の例では、職務割当の結果、委譲は次のように評価のしやすいデジタル様式になります。 このような職務割当には、指定された「活動行為」のような、人間性を差別するモードはありません。これから見込まれる成果が記されているだけです。ですから、これをどのように達成するかは、委譲された者の人間性が持つ創造力や向上力などの腕次第になります。 さらに、日常的なルーチンワークなど、反復作業以外のことを、部下の管理者にやらせるときには、必要に応じて、適切な措置や処理が行える職務権限を、与えなければなりません。例えば、資金の支出、社内ないしは社外からの資源の収集、原材料または機械設備の購入、他の社員に対する業務命令等になります。
効果的委譲で決定的な役割を果たすのは、権限(職務権限)です。
そのため、管理職は、それぞれ超えることが出来ない、権限の媒介変数を持っています。 しかも、労働組合との契約があれば、従業員に対する管理者の権限は、更に制限されます。管理者に、雇用や解雇する権限も、与えることはできますが、現実には、人事部が定めた慣例に従って、人を雇わなければならないことになっていたり、会社や労働組合の方針と、合致しなければ雇用者の首切りもできません。
このように、社会制度上これらの制約があるために、権限の委譲を行う際には、権限に付随する色々な権利と、権力を、はっきりさせることが重要になってくるのです。
しかし、この要因には、失敗の責任を問われる者を決めたり、成功の功労者を決めること以上ののものが含まれております。
一般的に、部下は職務の割当を引き受けますと、それだけで、その部下は割当を果たすものと理解され、成果を期待されるようでなければなりません。 また、効果的権限移譲に、絶対に必要なことは、権限委譲を受ける者が割当を処理できるという確信があることです。この場合、権限委譲を行うにあたっては、管理者を慎重に選び、訓練を行うことが実際に行われています。
経営者仲間で良く引用される金言に「権限の無い責任は地獄である」と言う俚諺があります。
しかし、義務を実際に委譲する事はできません。仕事を部下に委譲することはできません。仕事を部下に委譲する上役は、所期の目的を達成する義務は免れないのです。
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