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戦略経営組織論
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一桁>経営組織論?>権限の委譲

《続_効果的に行うには》

7) 管理者は、部下一人一人の能力を知り、職務を委譲する部下が、技術ばかりでなく、課せられた目標を、達成しようとする意欲を持っていることを、常に信じています。

 多くの意欲調査報告等によると、大多数の管理者は、通常の職務を果たす際に、潜在能力を発揮しておりません。そこで、自ら自分の隠れた能力を探し出し、部下の心を開かせることに成功すると、それまで無視されていた才能や、充分に生かされなかった才能を、生かすことができます。この方法こそが、部下を信用する最も大切な要因になります。

8) 業績基準は、達成された成果について、部下と上役の双方で、デザインした行動の評価に、役立つようにすべきです。

 部下の自立活動中心の会社では、業績基準は上級管理者によって、部下に課せられることはありませんが、このばあい、目的達成の責任を有するチームが、加わって評価基準が設定されています。

 ライン管理者には自分の計画の進行状況を測り、計画修正を行い、必要に応じて別の計画を実施する自由を余分に与えます。もちろん、結果に対する責任は負わせなければなりません。

9) 管理者は、見込まれる成果を達成するために、必要な意志決定をしたり、これを行うために、必要な資源を集める権限を、部下に与えるようにします。
 部下は、自分を支援するスタッフ部門に自由に出入りができ、かつ、自分の責任範囲内の、あるあらゆる問題について、自ら意志決定を下させるようにします。

10) 管理者は、必要とする援助は、何でも部下に与えられるようでなければなりません。
 権限委譲は「いちかばちか」の方法であってはならないのです。権限を委譲する管理者は、部下が目標を達成できるようにする明確な責任を持っています。

 有能な管理者は、以上の10項目にわたって、必要な支援・援助を、惜しみなく部下に与える、積極的な役割を演ずることになります。このことによって、当該の問題に関する会社の方針や、原則を、部下達は決して忘れないように、努力することになります。

 有能な管理者は、真に役に立ちます。時間があれば、自ら相談や討論など実際的な支援をかって出るでしょう。部下達も、そのことを知っていますが、干渉はしません。また、問題が起きることがわかっていても、有能な管理者は、それを見極めて、解決する機会を、部下に与える方法をとります。

 多くの管理者は、実際には、大して重要でもない半端な仕事を、部下にやらせておきながら、部下に権限を委譲していると信じ込んでいます。部下に権限を委譲している場合でも、数々の原則、規則、手続き、方法、警告、助言などを与え、部下は、自分の考えや、自発性を発揮することができず、息がつまりそうな状態になっています。 つづく