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一桁>経営組織論?>『権限の委譲』
 

「分権化の方法 2-2」

「分権化の方法 2-2」
 会社経営において、利益追求を特に重視すると、多くの会社で問題になっている利益分散化の裏側が表面化してきます。
分権化された経営単位と、その管理者の評価は、あくまでも、その事業部の利益を、元にして行われますから、利益還元の大きい要素である報償の給付のの多くは、財務諸表を元にして行われます。しかも、評価にたいする功罪は、労務に対しては金銭的な反対給付によって還元されます。

 しかし、他方では経営者によって、事業部の管理者は巧みに、あるいは公然と、長期的利益を犠牲にして、短期的利益を求めるように圧力をかけられるだけでなく、第一線の労務サイドからも同様に短期に、高い報償を期待されます。

 そのため、次期事業開発のための、研究開発計画が、相当以上の、四半期利益あるいは、年間相当に値する利益を期待されながら、延期になったり全面中止になることは、少なくありません。
もし、その計画が実施されていれば、将来大きな利益が上げられたかも知れない。という予想が可能であるにも関わらず、管理者の今年度の業績は、今のところ芳しくないと言うことになります。

 このような、分権化にみられる、もう一つの利益分散の否定的な要因は、部門間に過度の競争を、頻繁に起こすことです。その結果、利益競争の果てに、部門同士で成長を妨げ合うようなことになりますと、企業全体の利益を増やすどころか、逆に利益を減らしてしまいます。しかも、内紛騒ぎが高ずると、損失計上から経営破綻まで変化するところも少なくはありません。

 過去の例では、多くの会社が分権化を導入する理由に、多種多様な組織単位から、的確な情報を、素早く手に入れニーズに対応する応答性の早い柔軟な組織を、狙いにした、分権化を選択しています。
 そのとき、コンピュータの発達は、情報の収集という面で、統制を非常にやりやすくしました。しかも、現在では、客観的データの伝達、分析再伝達が迅速に行える情報革新が、もの凄い速さで進んでいます。

 そのため、このIT情報革新技術は、組織の再集権化よりは、分権化の改善に貢献するかも知れません。
 分権化された組織単位は、中央の設備を利用し、より完全なデータにに基づいて、意志決定を行うことにより、効果的に職務を遂行できますが、同じことは、集権組織においても、同じ手段を用いて、その統制力を強化する事が出来るます。

ですから、利益の分散化は、必ず、組織を管理しやすい単位規模に、縮小することになります。従って、単位構成員が少なくなれば、それだけ意志伝達が効果的に行われるようになります。
 また、命令系統が、沢山あるある為に発生する、事実の歪曲がなくなります。分権化された単位は「一つまみ」に例えられるような大きさに縮小できますから、それだけ、管理者も組織の管理や業務の指導がしやすくなります。

 しかし、こうした利点にも問題があります。どんな会社でも、自立自営の可能な、一つまみの単位に、きちんと分割できるとは限らないからです。大組織を、幾つかの小組織に、細分化する事が、技術的な面から不可能な場合があるためです。

 それは、利益分散化の大きい制約に、組織の運営を細分独立させ、自立自営による自己充足を、満足させる管理規模の単位に、分けなければならないことです。
 しかし、その論理が可能の場合、小さな独立した単位は、集権的な大組織の一部となっている場合よりも、分権組織のほうが行き届いた管理が受けやすくなります。また、日常のルーチンワークにおいても、調整や統制が容易に行えます。さらに、責任の所在を、常にはっきりとさせやすくなります。

 ですけれども、利益分散化の制約条件として、親会社は、事業部のために、補助的なサービス活動を、しなければなならないがこと挙げられます。ですから、もし、事業部の数が多い場合、親会社のサービス部門が一つでは、各事業部の要求に応じられないことが多くなります。

 しかも、実例としては、そのようなサービスは、外部組織から買ったほうが、親会社のサービスを受けるよりも、事業部に取って安くつく状態がつづいています。外部からサービスを購入したなら、分権化された単位には経費の節減となり、利益の増加につながるかもしれませんが、それでは、会社全体の利益にどの様に影響するでしょうか。

 利益分散化の効果を高めようとする場合には、次のようなことが指標となります。

1. 量的問題だけでなく、不確定要素も明らかにします。
 つまり、企業イメージの改善、従業員の士気の高揚、組織内の人材開発などの不確定要素を含む長期目標と年間目標を設定します。

2. 分権化された組織単位が従う広範な政策を立てます。
 これは、管理者達が一致して行う、意志決定の基礎となる位、包括的なものです。しかも、彼らの指導力を利用して、局部的な状況に対応できる柔軟なものにします。

3. 各単位組織の主要経営責任者には、最適な人材を配置するようにします。
これは、社外から人材を募集して選考する際、本社が協力したり、全社的な経営者養成計画と、経営責任者選抜制度を、設けることによって可能になります。

4. 事業の拡張が出来るよう、子会社への融資が出来るようにします。
 実施に当たっては事前に親会社の承認を受けておきます。

5. 単位組織の経営損失を未然に防止するようにします。
事業部単位など運営に影響を及ぼすような取引を審査する機関を設けます。そして、必要なときには適切な措置を勧告し、過大な損失を未然に防ぐようにします。

6. 各単位組織に対し、必要な技術サービスと経営相談をします。
各単位組織に対し、経営に不可欠な技術や経営の相談などを、妥当な費用で行う機関を設けます。

7. 全社的に統一を図るために業務手続の標準化を計ります。
全社的に、会計、人事、仕入れなどの事務処理などの手続きを標準化することです。
 この項、終わり