職場での対人関係を考えてみますと、他者とのつき合い方が、目標義務、権限、規則などによって、あらかじめ会社の方針によって定められている特長があります。つまり、これは、公式的集団と言われる会社の組織図のことです。 ところが、毎日起こっている非公式作用は、組織図の何処を探しても、目に見えないどころか、推測さえ出来ません。 職場では、1日の3分の1あるいは、それ以上の時間を、上司や同僚部下、そして得意先の客や取引相手など、沢山の他者と、幾重にも重なった、公式の組織集団の中に、身体をおいて仕事をします。しかも、それは、公的な集団のために、嫌いで苦手な人であっても、一緒する仕事に、少なくない時間を、費やさなければなりません。 しかし、その一方では、「せめて昼休みぐらいは、気の合う者同士で」と、3〜4人が仕事を超えて、まとまりをつくる光景をよく見かけます。自分たちが毎日の暮らしの中で他人にいだく、友情や尊敬、あるいは嫌悪やねたみなどの感情を伴った評価は、対人魅力(interpersonal attraction)と呼ばれますが、気の合う同士とは、対人魅力によって結ばれた非公式な組織になります。
ですから、私達は、職場という公式的な集団に身を置く一方で、仲間同士のつながりのような非公式組織にも属していることになります。 行動科学者達の意見によれば、非公式集団の、そのメンバーに対する影響を、余すところなく評価するには、組織内で放任されていたり、従業員の間に育っている非公式社会集団内で、慣例とされるルールや、労働習慣に、注目しなければならないということです。
「非公式集団」
人間は社会性をもった動物ですから、安全を確保するために、集団に所属することを求めます。しかも、仕事の上での「味方」を持つことで、楽しく働けるような、精神環境になります。
例えば、上役が不合理な圧力をかけてきた場合に、圧力をかけられた集団を支援する集団もあります。 しかし、仕事を優先する挑戦的な職位においても、小さな非公式集団の影響力は、そのメンバーの行動に、大きな比重を占めています。
集団は多くの共通分母を中心に形成されております。 専門家の団体の会員であったり、同じ経営哲学を持っているときもあります。例えば、権威主義的経営に反対して、傘下の経営を支持するなどと、いうように、職務や職業を中心に形成される集団もあります。 社会的集団には、顕在的に、集団の基準なり理想なりに従うことをメンバーに強制する傾向がみられます。この基準は、経営者の希望にそう場合もありますし、経営者の意に反する場合もあります。 非公式集団と経営者の間にみられれる最も多い紛争の原因は、生産割当の設定のようなケースです。それが労働者集団による一日の生産個数であるように、非公式集団は独自の「幽霊基準」を持っています。 メンバーの一人がこの基準を超えたりしますと、そのメンバーに対して「生産抑制」をするよう非公式組織が圧力をかけるのです。これに従いませんと、いろいろな手を尽くして集団から圧力が加えられ、しまいには集団からつまはじきされてしまいます。 非公式集団がそのメンバーに加えるもう一つの大きな影響力は、態度と価値の共有になります。集団に新たに加わったものは、仲間の態度を機械的に身をつけなければなりません。仲間が上司は不公平だと思えば、新しいメンバーは、自分ではその反対だと思っても、仲間の言うことを信じざるを得ません。 集団が、一つの社会的背景を持った人達を中心に形成されている場合は、その集団に属している人達の扱い方に付いて、 会社側としてもはっきりした考えを打ち出すことになります。 また、この種の集団のメンバーは、一部の明白な例外を除いて、集団の信じるものを信じることになります。メンバーが「我々田舎者は、会社側に偏見を持たれているから、力を併せて頑張らなければならない」と言えば、新入りのメンバーは、例え新専務が田舎者であることが解っていても、それを受け入れることになります。 集団にはまた、活動を180度転換させるような変化に、抵抗する傾向がみられます。変化が集団の利益になる可能性があっても、それに反発するのです。変化を計画するときは、管理者は、この種の抵抗に合うことを覚悟しなければなりません。
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