ワンシート企画書とは、「企画塾の高橋憲行氏の提唱する企画書の一種です。コンセプトマップをビジュアル的なフォームに変え、企画構成を容易に理解しやすく関連づけ、企画構成のルールを知ることで、要約された短い文章から、企画内容を素早く理解を深めようとするものです。」
そこで、最近の情報の量は、情報のネットワーク化がすすむのに比例して、情報洪水と表現されるほど増えてきています。その中から、価値化、最適化、適正判断など、信頼性の高い情報を短時間内に求めることは、困難になりました。
その大きい理由は、製造業、流通業、ともに、ビジネス環境のバラダイム(社会的合意)が大きく変化していることがあげられます。
従来は、プロダクトアウト型の生産・流通形態ビジネスでしたから、作られたものを基準にして、販売する様式でした。しかし、現在、この様式では、顧客のニーズに合わず、在庫が増えものが売れません。そこで、顧客のニーズ動向を調べて欲しいものを作る形態に変化がすすんでいます。つまり、生産や流通の様式がマーケットイン型の時代に移ったのです。
そのため、従来のものの流れの、源に限られた上流からの一方的な情報では、経営の判断はできなくなりました。大海のような大衆の個人情報が非常に大事になります。けれども、膨大な個人情報では時間的に制約があります。最大公約数になるヒット商品に繋がる大衆のニーズを見抜かなければなりません。
そして、製造販売など、ビジネスに関わる全ての専門分野の方々が、理解することで、それぞれの専門知識が顧客の欲求を満たすために、十分生かされるスピードビジネスに通用する情報を必要とします。
ワンシート企画書は、このような形態の膨大な情報量の中から、価値化、最適化、適正判断など、システム的な考慮を必要な場合、短時間に多くの情報の中から適正なものを選択するときに、有利な書き方と言えます。
ワンシート企画書の色々
ワンシート企画書の書き方は、事業企画の段階によって、それぞれつぎのように書き分けられます。
- コンセプトマップ……事業構想図(基本構想)
- 事業イメージ図……事業構想図(透視図)
- 事業軸……事業構想図(基本方針)
- 基本システム……事業企画書(基本設計図)
- サブシステム……業務企画書(部位別設計図、詳細設計図)
- フォーメーション……行動企画書(工程企画書)
- ツール……製作企画書(施工図)
- 予算、スケジュール……業務計画書
などがあります。
しかし、全て企画書で企画を進めるわけには参りません。作業の手順や手法などは、JISなどのような規格に定められているもの、あるいは、製品仕様など標準化された自律的な機能を持つ工法は、それに準じた指定をする文書をつくることになります。
- ワンシート企画書き方
ワンシート企画書の特徴をあげると、
- 単純明快……複雑でなく、ワンシートに表現する。
- 構造が簡単一目でわかる……単純明快。(図式化)
- 細部も明快……部分の詳細も明快、アイコンなどの利用。(図形化)
- 瞬間明快……統一感があり、美意識も含まれている。
- 経験明快……経験判断が素早くできるルールがある。
など、ビジュアル傾向が強くなることに重点をおいて作成します。
- 右図にコンセプトマップの書式を示します。
タイトルは、事業主体の主題を表します。サブタイトルとして、企画のコンセプトを示すキャッチフレーズをつけるなど、事業イメージを具体化するタイトルが最適でしょう。
- サブシステムは、事業を支えるサブシステムです。コンセプトマップでは、簡単な箇条書きを心がけます。
具体化しやすいときには、行動計画などを一歩進めて書くこともあります。
- 事業収支、組織、イメージ欄には、ラフな段階では、簡単な記入方法を選びます。しかし、詳細は、当然具体化段階で細かく述べることになります。
- 事業ビジョン欄は、事業目的や目標を書きます。つまり、企画の前提や確認事項を記入します。これらは、ビジョンとして絶対的に扱うものではありません。事業概要欄としてよく用いられます。
- 基本システム欄、ここには、事業の基本システムを描きます。事業の概要を図式として、あるいは、事業の流れなどのフロー図を記載します。この欄の図解力は、社内などで統一されたものなど、一般化された平易なものが望ましいと思います。
基本システムの説明は、事業ビジョン欄で概要を説明し、サブシステムで構成システム要約を関連づけて説明することで、ワーンシートの機能を表します。
- ビジネス環境欄、ビジネス兆候欄、ビジネストレンド欄、は、それぞれ、社会全体の動き背景などから、ビジネスにおける兆候とか、一般的なトレンド事例など説得材料、調査結果の仮説を提示します。
そして、事業の成立する裏付けとなる情報を簡潔に記載欄を充足させます。以上の書き方は、要点要素別に集約され、企画の共通語として理解のレベルの高まるキーワードを含まれるような構文になります。
- その他の注意点は、年月日や仕様書番号など企画管理に必要な管理コードなどを加えることも肝要です。