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『ブレーンストーミング』

◆概要
 ブレーン・ストーミングとは、集団でアイデアを出すための会議方式の一つです。十人から十二人程度の人が集まって、出来るだけ焦点を絞った問題についてのアイデアを出し合うものです。
 ブレーン・ストーミング(Brain Stormimg Method)は、一九四一年BBOO広告代理店のアレックス・F・オズボーン(A.F.Asborn)によって考え出されました。この方法の根底には、多くの意見、アイデアを出せば、その中に有効な解決策が含まれており、それを分析結合させることによって、解決能力を高めることが出来るという考え方でした。

 この技法は、集団によって、参加者の創造性を開発しようとするものです。この技法を繰り返し実施することによって、メンバーの創造性を徐々に育て、職場に創造的な雰囲気をつくることを目的にしています。
 参加者が気楽な雰囲気の中、固定観念にとらわれずに、自由に思いつきやアイデアを出し合い、そこから想像と連想を働かせて、さらに多くのアイデアを生み出す技法ですから、次の四つの基本的なルールを設けて実施するのが普通です。

  1. 発言発案の一切に良い悪いの批判をしてはならない。
    この批判禁止の約束によって、アイデアの誕生を妨げている最も重要な要因が取り除かれます。

  2. アイデア発想は自由奔放にする。
     笑われるとか、非現実的ではなかろうか、と、言った自らの発想に枠を設けると、発想にブレーキをかけることになります。そこで、既成概念や論理の制約から解放された議論をしようというところに、その価値を認めることになります。そのため、単なる思いつきでもよい、自由に発想することを狙った考えによるルールです。

  3. 発言・アイデアの量を求める
    ブレーン・ストーミングは、文字通り「頭脳に嵐を起こさせる」ものですから、アイデアの数が少ないと発想にパワーがありません。アイデアを求める過程で既成概念にとらわれない発想力を使います。

  4. 他人のアイデアのヒントにした改善便乗を歓迎する
    ブレーンストーミングでは、アイデアがアイデアを呼ぶ相乗効果を狙います。一人では思いもかけなかった成果を、生ずるようにするため、オリジナルにはこだわりません。
◆特徴
 ブレーン・ストーミングの特徴は、つぎの三つに分けられます。まずはじめに、集団の構成メンバーの自由な発想や発言を、最大限に保証しなければなりません。このブレーン・ストーミングの思考メカニズムは、集団によるアイデアの連鎖反応です。この連想(他人のアイデアが核になって思いがけないイメージへと発展していく想像)をさまざま生み出すためには、それ以前のキッカケ発言・発想がいろいろと必要になります。4つのルールの中1.2.3を、例えていえば、4の役割を担うものです。

 次は、ブレーン・ストーミングの思考の方法です。この方法は、一つのことを深く考えるとか、論理の一貫性・妥当性を競う等、あるものごとを、討論のように、議論の上で判断するような思考ではありません。むしろ、まだなかったこと、誰も考えついていないような解決の糸口や、新しい商品開発について、文字通りアイデアを発想するための方法論です。制約のない「思考の駆けめぐり」が思考の本質です。思いつく、ひらめく、着装する、発想する、突然の名案といったもののも、多様で多角的、かつ多面的な思考の、自由さの中で生まれるものです。

  最後は、ソロ・ブレーン・ストーミングです。これは、単独での個人でも行うことが可能です。集団を積極的に使うのは、メンバーの持つ知識・経験・情報・イメージの異質性・多岐性が、より多くの異なったアイデアを発想させてくれる期待があるからです。
◆効果と応用
ブレーンストーミングには次のような効果が期待できます。

  1. 特定問題の解決策を見出す。
    ブレーンストーミングでは、このような直接的な効果を、目的として実施されるケースも多くあります。
  2. メンバーの題解決能力(創造性)が育つ。
    ブレーンストーミング独特の創造的雰囲気を、繰り返し体験することで、知らないうちに、創造的な考えや気持ちを体得できます。

  3. チームワークの強化。
    同じメンバーが、ブレーンストーミングを継続体験することで、同じ考えのものがまとまりますから、一体感や仲間意識が強くなる効果を期待出来ます。

◆活用の仕方
会議に適した問題
 この技法の実施は、計画段階と実施段階に分けられますが、効果を上げるには、計画段階が大切です。実際にやってみると、補足や分類、特に評価の段階が非常に難しいことに気がつきます。
  1. 「‥‥‥‥するには、どうしたらいいのか?」という問題に限ります。
  2. 紙に書いてみなければアイデアが出てこないような問題は不適です。
  3. 一般的な問題でなく、具体的なものになります。
  4. 二つ以上の問題が、混じらないこと。
  5. 問題が大きすぎたなら、分析して適当な大きさに細分します。
  6. 出来れば、問題は、前日あるいは、前々日に渡しておきます。  

構成メンバーと人数
 何人が適当であるという決まりはありませんが、会議形式の効果からすると、あまり人数の多いのは適当ではありません。
@リーダー 1名
Aセクレタリー(Secretary 書記) 1名
Bブレイン・ストーマー(Brain stormer; アイデアを出す人) 7名〜10名
 ブレイン・ストーマーのうち半分くらいは、レギュラー・メンバー(CTC;dreative thinking course 創造力開発研修などを受けた人)で残り半分はゲストを迎えるという形式なども効果を上げることが出来ます。

会議の準備と進め方
 会場は、アイデアを出しやすいような雰囲気にし、また、出来たアイデアを書くための白紙(模造紙など)や、マジックインクなどを準備しておきます。
 セクレタリーは、発言された意見を要領よく書いていきます。もし、アイデアの数が多くて、セクレタリーが書ききれない場合は、リーダーは発言を押さえることなく、セクレタリーの数を増やすようにすると効果的です。
 

リーダーとセクレタリー

  1. リーダーの資格
    @創造力開発の研修を受けていること(が望ましい)
    A創造力だけでなく、分析力が人並み以上にすぐれていること
    Bユーモアのある人柄であること
    C会議指導法になれていること
  2. 準備
    @ブレイン・ストーミングに適する問題を用意します。
    Aストーマーを決めます。
    B自分でアイデアを一応出しておき、問題の目的を確認しておきます。
    C会場を手落ちなく整えておきます。会議形式の図のように、リーダーを中心にして、机をコの字形に並べ、ストーマーの名前を書いた名札をおきます。出てきたアイデアを書くため壁に大きな紙を沢山貼り、マジックインキを用意します。
    Dはじめての人が出る場合、前日にブレイン・ストーミングのあらましを、話しておきます。
  3. リーダーの指導点
    1)自由で愉快な雰囲気をつくります。必要があればウォーミングアップもします。
    2)発言したい人に手をあげさせます。沢山手が上がったら端から順に指名します。
    3)手をあげなかった人には指名をして発言させます。
    4)参加者の発言を整理してセクレタリーに伝えます。その際、ストーマーとセクレタリーの両方をよく見て、セクレタリーが書き遅れたりしないよう、調節を取って進める必要があります。
    5)会議中、批判する人が出たら、それをうまく押さえるようにします。
    6)アイデアの流れを妨げぬようにします。同じアイデアが出ても平気で書かせます。
    7)他の人のアイデアからの借用や改善結合を奨励します。
    8)自分は原則として発言しませんが、アイデアがストップしたときは、誘い水の意味で2つ3つの意見を出します。
    9)必要があれば、個人技法も併用します。
    10)出たアイデアをセクレタリーと一緒に分類整理し、参加者に配ります。
  1. 開催の期間 @会議は1日の前半、あるいは昼食後すぐがいいと言われてます。
    A時間は15分〜1時間位
  2. アイデアの出し方 集団思考の場合は、時間の経過に従ってアイデアの数が多くなっていきますから、はじめにあまり出ないからといって、リーダーは諦めてしまわぬことが大切です。
  3. セクレタリーの資格
    @創造力研修を受けていること
    Aわかりやすい字で書けること
    B要領をつかむ能力があること
  4. 注意
    @出たアイデアは、壁あるいは、参考図のように黒板にはった紙にNO.をつけ、マジックインキで書き取ります。
    A字はストーマーから見える程度の大きさに書きます。
    B発言通りでなく、要約します。ストーマーの発言と違うような気がしたら確かめても構いません。
    Cセクレタリーを2名出し、奇数と偶数とに分けて書き取ってもかまいません。
    D終わってから、リーダーに協力してアイデアを分類し、プリンとして参加者に配布しす。それによってアイデアを求めます。
    E後からでたアイデアは別に集めて回ります。

 参考文献
  ;ビジネスチェックカード、アイデア創造編、小林末男、日本法令刊
  ;教育訓練技法、教育技法研究会編、経営書院刊
  ;教育研修ハンドブック、高橋誠編、日本ビジネスレポート刊

注:「下図、NEXTで次ページへ続く」



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