当院の治療方針(その3)いわゆる顎関節症について
世の中には顎関節症と呼ばれる病気があります。
定義としては、「非炎症性の顎関節の痛みや運動障害」と言うことですが、ひらたく言うと、「ご飯を食べる時に痛いかどうか」です。
「ジャリ」とか、「ゴリッ」と音がしても、それは顎関節症のなりかけ、前駆症状だと考えております。可逆的な状況です。うまく指導すれば、治ります。
本物の顎関節症は、関節頭の変形が起こったり、関節円板の損傷が起こった状態です。不可逆(元に戻らない状態)です。
顎関節症の原因には、ストレス(肉体的、精神的)、先天的な形態異常、外傷(交通事故)、不適切な外科矯正治療、不良習癖(アンブシェアが悪いというのも含みます)などが考えられます。
原因が明らかなもの、たとえば受験勉強によるストレスが原因であるなら、一過性のものですから、放っておいても治る可能性があります。治らない場合は、顎関節症をよく分かっている歯科医師を受診されて下さい。(すべての歯科医が、顎関節症を理解しているわけではありません。)
※歯科矯正の看板を出しているからと言って、すべての歯科医が歯科矯正治療ができるわけでもないのと同じです。
「歯科矯正治療で顎関節症が治るか?」と、聞かれたら、正直「わかりません」です。咬合、かみ合わせが関与する部分も数%はあるかもしれませんが、歯科矯正治療で顎関節症が治る保証はありません。
まとめ
顎関節症には、可逆的な状態(元に戻るもの)と不可逆的な状態(元に戻らないもの)の二つがあります。不可逆的な物は関節の形が変形したり、関節円板が損傷した物ですから、外科的に治すほかありません。それ以外なら、元に戻る可能性があります。
総じて、若い人は治りやすいし、年齢が行くほど器質的な変化が出てきますので、治りにくくなります。その場合は、かみ合わせをチェックして顎の関節に負担がかからないようにしてゆきます。
※歯を削ってかみ合わせを変えるのは危険です。そういう所には基本的に行かないことです。