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□サブエーテル波(subether stuff)
詳細は不明だが、アシモフ未来史における宇宙での通信で頻繁に使われている。「逃避」によれば「近ごろできた」とあるので2020年代の末には完成していたのであろう。
□サミア(Samia)
惑星アナクレオンにある荒野。ニャック鳥狩りがここで行われた。
□サリバン(Sullivan)
イギリスの作曲家(1842〜1900)。台本作家のギルバートと提携して「ミカド」など多数のオペレッタを作った。1885年に「サー」に
叙せられている。「堂々めぐり」に登場するロボット「スピーディ」は混乱状態に陥ると、なぜかサリバンのオペレッタの台詞をしゃべりだす。
□サルヴァー=ハーディン(Salvor Hardin)
「第一ファウンデーション」初期のターミナス初代市長、政治家。「第一ファウンデーション」の飛躍の基礎を最初に築いたことから「偉大な系譜の筆頭者」と呼ばれる。ファウンデーション紀元18年生まれと推測。「百科事典編纂者」「市長」に登場、ファウンデーションの歴史を通してしばしば言及される。
もともとは「心理歴史学」を学んでその技官を志したといい、アルーリンから「心理歴史学」を学んだという。だが理論に飽きてしまって修了せずに投げ出してしまい、実際に世の中を動かす政治学への道を歩んだ。
ターミナスの人口が100万を超え、百科事典編纂とは無関係な住民も増えてくると学者以外による自治行政府設置の必要が生じ、その初代市長としてハーディ
ンが選出された。彼はターミナス自治運動の中心指導者であり、「ターミナス・シティ新聞」の事実上のオーナーとして市民世論の扇動も行っている。
初期のターミナスは皇帝の代理人たる「百科事典委員会理事会」が権力を握っており、自治体の市政府と権力をめぐる対立を起こしていた。ファウンデーション
紀元50年にハーディンは世論を背景に理事会のメンバーに加わり、さらにクーデターという実力行為によって権力を手中に収めた。権力を奪取したのち周辺四
王国とのバランスを巧みに保ち、ターミナスのもつ高度な原子力技術に「宗教」の彩りを添えて周辺国への影響力を増大させていった。
ファウンデーション紀元80年のアナクレオン王国との戦争では自ら敵地に乗り込んで事態を解決、ファウンデーションが周辺諸国を支配下におき発展していく基礎を築いた。
第一ファウンデーションではセルダンに続く建国の英雄とされる。またハーディン自身が多くの警句を好んで口にし、「暴力は無能力者の最後の避難所」等のハーディンの警句は後々まで人々の口にのぼった。
□サンタンニ(Santanni)
ターミナスの近隣にある惑星の一つ。ファウンデーション紀元1世紀の半ば、銀河帝国の衰退と共に独立王国を築き、ターミナスを取り囲む「四王国」の一つとなった。
□サンルーム(Sun Room)
惑星トランターで居住地やホテルに置かれている設備で、金属に覆われた地下で暮らす住人たちが人工的な「日光浴」をするためのもの。休日にはかなり混雑するらしい。
□ジェイム=オーシイ(Jaim Orsy)
サーマックの「行動党」の政治家。「市長」に登場。
□ジェットカー(jet car)
1998年段階の自家用車。名前から察するにジェットエンジンを内蔵した乗り物かと思われる。「ロビイ」のウェストン家で使用されており、いたって一般的なものであるらしい。
□ジェラルド=ブラック(Gerald Black)
「迷子のロボット」に登場する若手のエーテル物理学者。ハイパー研究所で働いていたが、彼がロボット「ネスター10号」に腹を立てて思わず怒鳴りつけた言葉から大事件に発展してしまった。続編「危険」でも中心人物として登場する。
□ジェリル(Jerril)
惑星トランターの公安委員会のエージェント。「心理歴史学者」でガール=ドーニックを尾行した。
□時間霊廟(The Time Vault)
惑
星ターミナスにあるハリ=セルダンの霊廟。初めは単に「セルダン霊廟」と呼ばれていた。「第一ファウンデーション」に「セルダン危機」が訪れてそれが解決
されるたびにセルダンが生前に撮影しておいた
立体映像が出現し、ファウンデーションの置かれた現在の状況と、今後の展望を説明する。時間はラジウム時計により精密に測られ、事前に決定されていた時期
のファウンデーション創立記念日3月14日に扉が開き、セルダンの生前映像を映し出す。サルヴァー=ハーディンは無理に開けると自爆する仕掛けだろうと予
想している。
□死刑
「証拠」中の会話から2030年代の段階でも死刑が存在していることが分かる。その会話に「原
子に還元する」とあることから執行方法も推測出来る。しかし地方検事をつとめていたスティーブン=バイアリィは死刑廃止をとなえ、犯罪者の精神を矯正する
ことを提案していた。彼がその後世界統監になったことを考えると、まもなく死刑そのものが廃止になった可能性もある。
□事典広場(Cyclopedia Square)
ターミナス市中心部にある広場。その名前はもちろん「銀河百科事典」にもとづく。
□ジャイロ(gyro)
ヘリコプター状の小型飛行機と思われる。「ロビイ」のウェストン家に自家用のものがある。「タクシー・ジャイロ」なるものも営業されている。
□しゃべるロボット(Talking Robot)
初期に開発されたロボットは言葉を話さなかったが、20世紀の末には次第に会話能力をもつロボットが製作されるようになった。1998年の科学産業博物館
には「しゃべるロボット」が展示され、実演を見せていた。しかしこのロボットは原始的なもので25平方ヤードもある巨体で人間的なデザインもまるでなく、
計算やインプットされた知識を質問に応じて話す程度のものに過ぎなかった。そして少女グローリアのやや抽象的な質問を受けたとたん過負荷状態に陥り、コイ
ルが焼き切れてしまった。この事件はスーザン=キャルヴィンの最初の論文となる「ロボット工学の実用的側面」に関する物理1のレポートの資料となった。
のち2002年には可動かつ言語を話すロボットが実用化している。
□ジャン=スマイト(Jan Smite)
「市長」の中でポリー=ヴェリゾフが用いた偽名。
□ジャンプ(The Jump)
「ハ
イパー・スペース」を通過することで一瞬で遥か彼方の別地点に移動する技術。まだ人類が地球とその周辺のみで活動していた時期に研究が進められ、頭脳ロボットの助け
により意外に簡単に初歩技術が確立した。そのいきさつは「逃避」の物語に詳しく、半ば偶然確立した技術ということもあり、ハイパースペース航法については原理的によく分からない部分を残しながらも発達が
進められたと見られる。どこでも任意に移動できるようにも見えるが、ある程度情報の分かっている行き先でないと「ジャンプ」できないらしい描写もある。
「ジャンプ」の瞬間にはほとんど自覚しないほどの
一瞬の体内の違和感を覚えるようである。
□ジョージ=ウェストン(Gorge.Weston)
「ロビイ」の主人公・グローリアの父親。何かは不明だが仕事が忙しいようで、日曜ぐらいしか
昼間に家にいない。1988年に妻のグレースと結婚。場所は不明だがアメリカの田舎の村に住んでいる。流行に乗って「年収の半分もする」高価な子守ロボッ
トを購入した。もっともUSロボット社と何らかの関係があるようにもうかがえるので(反ロボットの風潮も憂えている)、割安で買った可能性もある。日曜の
夕食後は完全に一人でくつろぐ習慣を持つ。妻には少々弱いが、娘には優しい父親である。
□ジョーダン(Jawdun)
銀河帝国時代の考古学者。「百科事典編纂者」で言及される。
□ジョード=ファラ(Jord Fara)
「百科事典編纂者」に登場する百科事典委員会理事。自然科学者。「市長」では彼が使っていた葉巻入れをサルヴァー=ハーディンが使っている。
□象限(quadrant)
銀河系を大きく四つに区切った行政単位(恐らく銀河系の円盤を「真上」から見てほぼ真円状になった状態で四つに分ける)。下位単位に「星区(Sector)」がある
□ジョン(John)
「証拠」に登場する、政治家スティーブン=バイアリィの家に同居する車椅子の人物。過去に大けがをしたことがあるようで顔にも傷を負っている。
□シリウス(Sirius)
地球のある太陽系から約8.5光年の距離にある恒星。銀河帝国時代にはここを中心に「シリウス星区」がもうけられていた。
□シリウス星区(Sirius sector)
トランター銀河帝国の行政区。シリウス、アルファ・ケンタウリ、ソル、白鳥座61番などを含む。
□新政派(new schools)
2030年代の政治勢力。党派名は「この種の表現の例に漏れず無意味な表現」と記されており、ごく当たり前の政治勢力のようである。
□シンナックス(Synnax)
銀河系の「青い吹き溜まり(ブルー・ドリフト)」の縁の一恒星にある惑星。衛星が一つある。ファウンデーション設立期に活躍した数学者ガール=ドーニックの出身地として知られる。
□心理歴史学(Psychohistory)
膨大な数の人間集団を対象にし、その動向を予知する数学。ガール=ドーニックの非数学的定義によると「社会的・経済的刺激に対する人間集団の反応を扱う数学の一分野」。
銀
河帝国末期の数学者ハリ=セルダンによって体系化されたものとされるが、銀河帝国成立よりはるか昔、ロボット研究者のファストルフ博士によりその発想の萌
芽が見られたとも言う。セルダンはこの心理歴史学の分析に基づいて銀河帝国の崩壊を予測し、「ファウンデーション」を設立した。
心理歴史学による予知を有効にするためには、まず扱われる人間集団が有効な統計処理を受けるのに十分な大きさをもっていなければならない。その規模は「セルダンの第一定理」によって決定されるが、具体的なことは不明。
さ
らにその予測を確かなものにするためには、当然その対象となる人間集団が「心理歴史学」について十分な知識を持っていないことが必要となる。このため「第
一ファウンデーション」にはその設立期は心理歴史学の専門家はボ=アルーリン一人しか置かれず、基礎以上のことは教えられることなく、後世に心理歴史学の手がかりを残さないようにされている。逆に
「第二ファウンデーション」の側には心理歴史学の専門家が結集され、その分析能力、歴史への介入能力を発達させていった。
□スーザン=キャルビン(Susan Calvin)
US
ロボット社専属の女性ロボット心理学者。1982年生まれ。少女時代からロボットに興味を抱き、2003年にコロンビア大学卒業後、大学院でサイバネ
ティックスのコースをとる。2007年に博士号を取得、USロボット社の専属ロボット心理学者となり、ロボット開発初期の数々の難事件の解決ににあたっ
た。その回想は「われはロボット」に収められたインタビューに詳しい。
徹底してロボットを理解し愛情を注ぎ、人間に対してはかなり冷たく感じられる言動の
ために彼女自身もロボットではないかと陰口を叩かれることもあった。引退後も請われて事件解決に当たっている。2064年に82才で亡くなったが、以後も
ロボット工学上神話的人物として伝えられる。
□スーパー思考マシン(Super-Thinker)
合同ロボット社が開発・使用していた思考マシン。「逃避」の
物語によると恒星間航行法開発の問題を与えられてジレンマに陥り自己破壊してしまった。スーザン=キャルビン博士によればこの社の思考マシンは機能主義に
徹していて個性が与えられていないためであるという。もっとも個性を与える感情回路のパテントがUSロボット社に握られていたという事情もあったようだ。
□水星(Mercury)
太陽系第一
惑星。地球人類によるこの星の最初の探険はマクドゥガルらにより2005年に行われている。このときは無線使用の困難、ロボットの技術不足などのために失
敗し撤退を余儀なくされた。十年後の2015年、太陽系鉱業とUSロボット社が半分づつ出資した第二次探険が行われた(「堂々めぐり」参照)。この探険の成果により水星の鉱山開発が軌道に乗り、21世紀後半には数十億ドルの大事業になっている。
□スティーブン=バイアリィ(Stephen Byerley)
2030
年代に突如出現した大物政治家。出生証明書によれば1992年生まれ。一介の地方検事から市長選に立候補して当選。5年後の2037年に地区統監、さらに
2044年の地球連邦政府設立に際して初代の世界統監となる。世界統監を二期つとめたのち、「キャルヴィン・インタビュー」の前年(2056年?)、自ら
の体を原子に帰してこの世を去った。一部に「バイアリィ=ロボット説」がささやかれているが、明確な証拠は残されていない。「証拠」「災厄のとき」に登場。
□スティルヘッド絶縁基盤(Stillhead Dielectrode Plate)
実態はまったく不明。「堂々めぐり」で光電池バンクの修理に使われているようだが。
□ステーション4号(Station No.4)
「われ思う、ゆえに・・・」にチラッと言及される宇宙ステーション。物語の舞台となったステーションと同様、太陽エネルギーをビームに変換して各惑星に送信している。ドノバンが望遠鏡でこのステーションのビームが火星に届いたのを確認している。
□ストラザーズ(Struthers)
「ロビイ」に登場するUSロボット社の営業部長。やや説明過多で調子に乗ってしゃべりすぎる傾向がある。
□スパイ・ビーム(spy beam)
技術的なことは不明だが、盗聴・盗撮を行う機械と見られる。「心理歴史学者」で公安委員会が使用している。
□スピーディー(Speedy)
USロボット社開発の水星探険用ロボット「SPD13号」の愛称。愛称のとおり俊足である。パウエルとドノバンがセレンの採取を命じたところ、第二条と第三条の狭間で葛藤し、「堂々めぐり」をする事態となってしまった。陽電子頭脳が混乱するとなぜかギルバートとサリバンのオペレッタの台詞をしゃべる。
□スペクトロリフレクター(spectroreflector)
おそらくスペクトル分析機。2005年の第一次水星探険隊が使用し、わずか五分のうちにセレン層を三つ発見した。
□スペース・ワープ・エンジン(space-warp engine)
いわゆる恒星間航行エンジン。他に超原子力エンジンといった表現も使われている。「逃避」中
にこの表現があり、この言い方が一般的なのかもしれない。21世紀前半、ロボット頭脳を利用することによりUSロボット社と合同ロボット社がこの開発の
トップを走っていた。結果的にUSロボット社の思考機械「ブレーン」が最初の開発に成功した。だがその技術は間もなく政府に接収され、国家の所有とされ
た。これがのちのハイパースペース航法、「ジャンプ」といった宇宙航行技術につながっていったらしい。
□スミルノ(Smyrno)
「第
一ファウンデーション」の置かれたターミナス周辺の「四つの王国」の一つ。「百科事典編纂者」によるとその首都までターミナスから50パーセクも離れていないとい
う。
もともとアナクレオン太守管区の一部だったが、ファウンデーション紀元1世紀の中ごろに銀河帝国から独立して王国を形成し、同様に建国した隣国アナクレオ
ンと交戦状態にもなった。「第一ファウンデーション」のサルヴァー=ハーディンの巧みな均衡外交によりアナクレオンと休戦、共存したが、「赤い回廊」と呼
ばれる宙域をめぐり紛争はあった。アナクレオン同様にファウンデーションの原子力技術の「宗教」を受け入れ、そのために征服された。
□星区(sector)
トランター銀河帝国の行政単位。厚木淳訳では「星域」と訳されている。下位単位に「太守管区(province)」があり、上位単位に「象限(quadrant)」がある。
□聖なる食物(Holy Food)
「市長」の中で言及されるガン治療薬。実際には放射性合成物だが、ターミナス市長サルヴァー=ハーディンの意向で科学に全て宗教の衣をまとわせたため、「聖なる食物」とされている。
□ゼオン(Zeon)
詳細は不明だがアナクレオン太守管区内の地名と思われる。銀河帝国がまだ強力であった銀河紀元11959ごろににアナクレオン太守管区で独立戦争を起こした地域らしい。「市長」でウェニスが約二世紀前の「ゼオン人の反乱」を歴史の節目と考えているらしいことから、アナクレオン人にとっては重大な記憶らしい。
□世界統監(Co-ordinator)
2044年に結成された地球連邦制府の最高指導者。初代統監はアメリカ地区統監を務めていたスティーブン=バイア
リィ。いちおう連邦制府の最高地位には違いないが、実際の政策は各地区のコンピュータ、「マシン」によって立案・実行されているので単なるマシンの管理者
に過ぎないという見方もできる。
□世界連邦(Warld Co-ordinator)
「迷子のロボット」の邦訳では「宇宙連邦」となっている。「災厄のとき」以後に出てくる地球連邦のことか?それでも時期的にはまだ成立していないはずなのだが…?
□セジェコフスカ(Szegeczowska)
「災厄のとき」に登場するヨーロッパ地区副統監をつとめる女性で、「マダム」と記されているだけでファーストネームは不明。名前からすると東欧系らしいがフランス語を話す。自らの治める地区がかつての栄光の影もなく北方地区に経済的に従属していることにやや自嘲的。
□セッサレキア寺院(Thessalekian Temple)
惑
星アナクレオンにあった宗教寺院。第一ファウンデーションが科学技術を「宗教」として輸出するなかでアナクレオンに作られた大寺院の一つで、ファウンデー
ション紀元80年に素人が原子力発電所をいじったことで大爆発を起こし、5つの都市が壊滅する結果を招いた。これをファウンデーションの「宗教」では「神
の復讐」と宣伝した。
□セフ=サーマック(Sef Sermak)
「市長」
のエピソードに登場するファウンデーション紀元1世紀後半のターミナスの市会議員。ファウンデーション紀元80年の時点でハーディンが市長になった年齢よ
り二歳年下。周辺王国に対する強硬論を唱えて新政党「行動党」を結成し、大衆を扇動して市長ハーディンを追い落とそうと試みた。しかしハーディンの対アナ
クレオン作戦の大成功により挫折を余儀なくされた。
ハーディンの引退後か死後にターミナス市長となり、アナクレオンやスミルノの貴族制度を解体、土地の再分配を行っていることが「豪商」からうかがえる。
□セルダン関数(Seldon Functions)
心理歴史学で使用される関数。心理歴史学の基礎とされる。
□セルダン・プラン(Seldon Plan)
トランター銀河帝国末期に「心理歴史学」を大成した数学者ハリ=セルダンによる長期的な人類史の計画。
セルダンは心理歴史学により銀河帝国の衰亡とそれに続く三万年の混乱時代を予測した。この混乱時代を1000年に短縮するため、銀河系の端に二つの「ファ
ウンデーション」を設置、心理歴史学により予測されたコースに従ってファウンデーションを発展させ、やがて第二銀河帝国を建設させることにした。物質的科
学技術を結集した「第一ファウンデーション」に対し、「第二ファウンデーション」は心理歴史学をさらに発展させ精神感応力と歴史への介入力を持たせて「プ
ラン」の逸脱を防ぐことにしていた。このため「第二ファウンデーション」の位置は極秘とされている。
心理歴史学は膨大な人間集団の行動を予測するものであって、一個人の行動までは予測できない。このため人の精神を操る能力を持つミュータント「ミュール」の出現により「プラン」が崩れたこともある。
□セルダン・プロジェクト(Seldon Project)
心
理歴史学により銀河帝国の衰亡を予測したセルダンによって作られた第二銀河帝国建設に向けての計画。長期的な計画は「セルダン・プラン」の項に譲り、ここでは「心理歴史学者」のエピソードで出てくる計画を説明する。
当初その真意は伏せられて、表向きは50名程度の数学者を中心に人類の英知を集め
た「銀河百科事典」を編纂する事業とされた。それに協力する三万人のスタッフとその家族など合計でも9万8572人が参加する程度の規模だった。
こ
の活動が銀河帝国の公安委員会により帝国に対する不敬・反逆行為であるとの疑いをかけられ摘発されたが、結果的にその摘発のおかげで(正確にはその摘発す
らも計算のうちだった)銀河系の二つの端に「第一」と「第二」の「ファウンデーション」を設置し、1000年後の第二銀河帝国建設のいしずえを作ることに
なった。
□セレン(selenium)
セレニウムとも言う(原文ではセレニウム)。元素の一つで元素番号34。光電池の素材として利用される。「堂々めぐり」では水星上にセレンの層が存在し、そこから基地の光電池用に採取している。
□ソーラーステーションB1195(Solor Station B.1195)
「われ思う、ゆえに・・・」の
舞台となった中継ステーション。太陽から受けたエネルギーを転換し、ビームにして地球など各惑星へ送っている。当初人間のみで管理されていたが、太陽輻射
や電子嵐のため維持が困難となりロボットによる助力が行われるようになった。さらにロボット独力で管理を行うため「QTモデル」が開発された。
□属領(Prefect)
ト
ランター銀河帝国の行政単位。厚木淳訳では「星区」と訳されている。「prefect」はローマ帝国では「長官」「隊長」と訳されるもので、銀河帝国では
複数の星系を含むほどの広さを持つ。アナクレオン、スミルノなど銀河帝国衰退初期に独立した王国はいずれもこの「属領」クラスである。上位の行政単位に
「太守管区」(Province)がある。
□ソル(Sol)
トランター銀河帝国時代の「シリウス星区」に属する恒星。「起源問題」で人類発祥地の候補とされた。ちなみに「ソル」とは英語で「太陽」を指す。