銀河百科事典のトップへ戻る/ アシモフのトップページに戻る

「われ思う、ゆえに…」Reason
○初出
1941年4月「アスタウンディング・サイエンス・フィクション」誌

○内容
宇宙ステーションで組み立てられたロボットQT1号は自分の存在理由に好奇心を抱き、自分が人間によって作られたことを信じようとしない。そして「われ思う、ゆえにわれ有り」と結論づけ、宇宙ステーションのエネルギー転換器を「創造主」と崇め始め、人間たちを拘束してしまう。

○解説
「自らの存在理由」を考え始めたロボットが巻き起こす珍騒動で、パウエルとドノバンが活躍する物語の第二話。ロボット・キューティが思考し到達した世界観は確かに笑えるが、ふと人間である我が身に置き換えてみるとなかなか意味深である。ロボット版デカルトによる哲学的な内容のSFと言えよう。しかし結局彼も「三原則」に従っているあたりがアシモフ流。

○時代考証
「堂々めぐり」から半年後、ということなので2015年か2016年の事件。なお本文中で地球の人口が「三十億人」と明記されていることは注目される。1980年代にあったと思われる世界大戦で人口が減ったのだろうか?
○項目解説
□アトミック・フレア(atomic flare)
□エネルギー転換器(Energy Converter)
□MCモデル(MC model)
□Lチューブ(L-tube)
□キューティ(Cutie)
□グレゴリィ=パウエル(Gregory.Powell)
□計算尺(slide-rule)
□ステーション4号(Station No.4)
□ソーラーステーションB1195(Solor Station B.1195)
□デカルト(Descartes)
□ビーム・ディレクター(Beam Director)
□フランツ=ミュラー(Franz Muller)
□マイケル=ドノバン(Mickel.Donovan)
□陽電子頭脳(positronic brain)
□「われ思う、ゆえにわれあり」(I,myself,exist,because I think)