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□ハービィ(Harbie)
「うそつき」の物語の中心となるロボット「RB34号」の愛称。原因は不明だが、偶然にも人間の思考波に同調してその心理を読み取る能力を持ってしまった。そのため彼は周囲の人間の内面を読み取ってその人間に都合のいい「うそ」を語って相手を喜ばせるようになってしまった。

バイザースキャナー(the visor scaner)
立体テレビ用の撮影機材らしい。「証拠」で登場。

□ハイパー・ヴィデオ(Hyper-video)
超空間(ハイパー・スペース)を経由することで銀河系全域に送信される映像。生中継が可能かどうかはさだかではない。
□ハイパー基地(Hyper Base)
恒星間航行であるハイパースペース航法を研究する基地。2020年代の終わりごろの第二十七小惑星群に建設されている。ここにおける研究には2028年度の政府の科学研究補助金の80%がつぎ込まれたという。ここで働くロボットはUSロボット社からのレンタルである。

□ハイパー・スペース(hyper-space)
「超空間」と訳されることが多い。「心理歴史学者」では「空間でも時間でもなく物質でもない、想像を絶する空間」と表現される。
人類の黎明期以来知られるように光速を超えることはできないので、現実世界の裏側にあるともいえる「ハイパースペース」を経由することで数百、数千、数万光年の彼方までの旅行を可能とするのがハイパースペース航法である。その航法の発見のいきさつは「逃避」に詳しく、2029年に半ば偶然に発見された。ロボットがその発見に大きく関与しており、あるいはその核心部分の原理は人間もよく分からずに使用しているのかもしれない。
□ハイラム=マッケンジィ(Hiram Mackenzie)
「災厄のとき」に登場する北方地区副統監。マシンの政策判断に対してかなり懐疑的な意見を持っている。

□白鳥座61番(61 Cygni)
地球のある太陽系から約11光年離れた恒星。「百科事典編纂者」のなかで人類発生地候補の星系の一つに挙げられている。しかし「白鳥座」の名前は当然地球から見た星座の形に基づいているので、地球の存在すら忘れた銀河帝国時代にこの呼称がそのまま使われているのも不思議。
□ハリ=セルダン(Hari Seldon)
 ファ ウンデーション紀元前79−元年(銀河紀元11988−12069年)に生きた数学者。
トランター銀河帝国アークトゥルス星区、惑星ヘリコンの生まれ。中流家庭の出身と され、不確かな伝説では水耕農場のタバコ栽培業者の子であるという。幼少期から数学の天才的な才能を発揮し、二歳にして何らかの業績を上げてしまったらし いが、後年ファウンデーションの設立者として崇拝の対象とされたためその実際の生涯は多くの伝説に彩られており、事実かどうか怪しいものも多い。
 もっ とも大きな業績は人類の動向を予知する「心理歴史学」を完成させたことである。またその「心理歴史学」に基づいて銀河帝国が間もなく崩壊し3万年の混乱期 が続くことを予知して、混乱期を一千年に縮めて「第二銀河帝国」を建設させるために銀河系に二つの「ファウンデーション」を設立した。
 ファウンデーション設立以前に、皇帝クレオン1世により宰相に任命されて帝国の統治にあたったこともある。
 ファウンデーション紀元前2年に若き数学者のガール=ドーニックを招いてファウンデーション設立を手助けさせた。ドーニックは後年セルダンの生涯を伝記にまとめており、このドーニックの手になるものがもっとも権威ある「セルダン伝」とされる。
ファウンデーション設立のためのほとんどの死後を終えたのち、79歳で死去した。死去の直前に銀河各地を旅したとの伝説もあるが、さだかではない。
 その死後も第一ファウンデーションに重大な危機が訪れるたびに、生前に録画しておいた映像によってターミナスの「時間霊廟」に姿を現し、人々に歴史の方向を指し示した。こうしたセルダンに予知されていたファウンデーションの危機は「セルダン危機」と呼ばれる。
 第一ファウンデーションにおいては建国者であり、また未来を正確に予知する予言者でもあるため、その存在は神格化された。このためファウンデーション人は感嘆詞を「セルダン!」と叫ぶことがある。

□ハロウェイ(Harroway)
「証拠」に登場する人物。市の役人らしいが肩書は不明。陰の実力者フランシス=クインの配下で、市長選に立候補したスティーブン=バイアリィの家宅を捜索しようとし、さらにX線で撮影も行う。
□反ロボット(Anti Robot)
ロボットの存在そのものに嫌悪を示し、ロボットの抹殺を図る一連の運動。その発生の起源は古く、ロボットの開発と共に始まったといっても過言ではない。「ロビイ」に よれば、初め子守用に開発されたロボットは一時は流行となったが、次第にその存在を危険視され(別にロボットに絡む事故があったわけでもないのだが)、社 会から遠ざけられるようになったという。1998年にはニューヨークでロボットに対する夜間外出禁止条令が議会を通過している。また職場でもロボットに職 を奪われるとして労働組合などの反発が強かった。その後2004年から2007年の間に世界中のほとんどの地域で、科学的研究の目的以外のロボット使用が 禁止された。
この潮流は「鋼鉄都市」以降の時代にも見られ、宇宙人(Spacer)が当たり前のようにロボットを使用するのに対して、地球人はおおむねロボットに対す る反感を抱いていた。この地球人が宇宙に進出した結果、ロボットは次第に忘れさられ、銀河帝国期には完全に記憶から消えてしまった。
□パウエル(Powell,Gregory)
「グレゴリイ=パウエル」を見よ。
□ピーター=ボガート(Peter Bogert)
USロボット社勤務の数学者にしてロボット工学者。2021年頃50代というから、1970年ごろの生まれかと思われる。「うそつき」で初登場し、USロボット社工場所長の地位を狙っていた。その後「迷子のロボット」ではキャルビンとともにハイパー基地へ事件解決のために派遣されている。キャルビンによれば「うぬぼれが強く、おべんちゃらのうまい男」。「災厄のとき」の時点ではすでにこの世を去っている。
□ビーム・ディレクター(Beam Director)
「われ思う、ゆえに・・・」に 登場するエネルギー中継ステーションにあるエネルギー送信装置。太陽エネルギーを変換したビームを各惑星の受信ステーションに送っているのだが、目標を角 度の千分の一秒の百分の一でもずれると標的となった惑星上に甚大な被害をもたらすらしい(白熱にさらされ廃墟となると言う)。よく考えるとかなり物騒な装 置である。

□光電池バンク(phot-cell bank)
「堂々めぐり」の舞台となる水星基地に設置されており、これによって太陽熱を転換して基地内の各部所にエネルギーを供給する。セレンが素材に使われている。
□百科事典委員会(Encyclopedia Committee)
  「第一ファウンデーション」において「銀河百科事典」編纂の中心となる組織。編纂にたずさわる学者をメンバーとし、「ファウンデーション」設置の皇帝勅許 状では「第一ファウンデーション」の管理権限は同委員会の理事たちに任されていた。このためファウンデーションの設立者ハリ=セルダンの真の目的が明らか になるまでの半世紀、この百科事典委員会の理事会が「皇帝の代理人」として第一ファウンデーションおよびそれが置かれたターミナス市の最高権力を握ってい た。
 ファウンデーション紀元50年にターミナス市長サルヴァー=ハーディンはクーデターにより百科事典委員会から権力を奪取したが、「時間霊 廟」に出現したセルダンの映像が真相を告げたことで平和裏に政権移譲が行われた。その後はあくまで銀河百科事典の編纂作業のみに専念する団体となったと思 われる。

□百科事典ビル(Encyclopedia Building)
ターミナスの中心にあり、銀河百科事典編纂作業の中心となっている建物。大量の映像資料や印刷出版機能もあるらしい。
□ヒューマノイド・ロボット(humanoid robbot)
外見が人間そっくりに作られたロボット。初めての言及は「証拠」の スティーブン=バイアリィについての疑惑でみられる。USロボット社内でも試験的に製作されていたという。シリコンの骨格上に、人間の卵子とホルモンコン トロールによる人間の肉と皮膚を生育させる形で外見的に人間同様にしていたようである。「お気に召すことうけあい」のトニイもヒューマノイド・タイプのロ ボットだった。しかしその後地球上でのロボット技術は衰退したようでヒューマノイド・ロボットに関する記録は見られないが、スペーサー(宇宙人)の世界で はロボット技術が再び発達し、イライジャ=ベイリとコンビを組んだダニール=オリヴォーのようなヒューマノイド・ロボットを生み出せるようになった。その 後の歴史からロボットの存在そのものが闇に消えていくが、「あの人物は実はロボットだった」といった疑惑がささやかれる歴史上の人物も多い。

□ファウンデーション(Foundation)
  ハリ=セルダンによって設置された、銀河帝国崩壊後の混乱期を短縮して第二銀河帝国を築くための組織。「財団」「基礎」「基金」といった訳語が考えられる が、日本語でその複合的意味を伝えるのが難しいため「ファウンデーション」とそのまま書くことになっている。設立当初の銀河百科事典編纂のための「ファウ ンデーション」は「百科事典財団」と訳されることもある。
 セルダンはその晩年に銀河系の端に二つの「ファウンデーション」を設置した。二つのファウンデーションについてはそれぞれの項目を参照のこと。
→「第一ファウンデーション」「第二ファウンデーション」を見よ。

□ファウンデーション紀元(Foundational Era,F.E.)
ファ ウンデーションで使用される暦。ハリ=セルダンの没年をファウンデーション設立を元年とし、これは銀河紀元12069年にあたる(ただし「ファウンデーションの勝利」原書巻末年表ではセルダン裁判の年をファウンデーション設立年とみて「元年」としており、2年の齟齬が生じている)。ファウンデーションによる 「第二銀河帝国」成立後も使用されており、少なくともファウンデーション紀元1020年に銀河百科事典が刊行されていることが確認できる。
□フィールド=テスト(Field-Test)
ロ ボットの性能を確認する基礎的なテスト。「ロボット工学ハンドブック」にその概要が記されており、五桁の数字の掛け算、一千から一万までの間の素数の暗 誦、立方根や各種関数の積分など、数学的な問題の解決に始まり、最後にロボットにとって困難な判断と倫理の問題解決を行わせる。これを完全にパスすればそ のロボットの頭脳異常はありえないとすら言われる。「野うさぎを追って」で言及あり。

□フォース・フィールド(force-field)
攻撃エネルギーを吸収する防御壁。「市長」では人体を守るサイズのものが登場している。
□プラナー反応(Planar Reaction)
詳細は不明だが、ロボットのこれを調べることによって製造以来の心理構造上の変化・退歩を調べることができるという。「迷子のロボット」でキャルビン・ボガート両博士が実験。
□フランシス=クイン(Francis Quinn)
「証拠」に登場する”新政派”の政治家。いわゆる「陰の大物」で市長選挙を陰から操っている。立候補したスティーブン=バイアリィがロボットではないかと疑い、調査を始める。
□フランシスコ=ヴィラフランカ(Fransisco Villafranca)
「災厄のとき」に登場する熱帯地区メキシコ運河建設に携わる技術者。陥没事故を起こしたため辞職した。反ロボット団体「人間同盟」の一員で年次総会にも毎年出席していた。
□フランチアイの空間ひずみ理論(Franciacci's space-warp theory)
「逃避」で言及される空間理論。ワープ航法研究において欠かせぬものらしい。
□フランケンシュタイン・コンプレックス(Frankenstein Complex)
小 説「フランケンシュタイン」に由来する言葉で、人間が自らの創造した人工生命に攻撃されるのではないかと恐れる心理。SFでは古典的な言葉となっている が、アシモフ世界では「ロボット工学三原則」により、こうした現象はそもそも起こり得ない。しかしロボットに対するそうした恐怖は厳然として存在し、ロ ボットに対する反感の土壌となっている。
□フランシス=フラン(Francis Fran)
「ロビイ」でグローリアが見に行く町の「ヴィジボックス」のショーの主人公。月を舞台にヒョウ人間と戦ったりしている。俳優の名前と考えられなくもないが。
□フランツ=ミュラー(Franz Muller)
USロボット社の社員と思われる。ドイツ系で「プロシア人」と表現されている。「われ思う、ゆえに・・・」で登場、ロボット「キューティー」に散々悩まされたパウエルとドノバンと交代して中継ステーションの管理にやってくる。

□「ブルータス、お前もか」("Thou,too,Brutus")
カエサルが暗殺されるときに言ったとされる言葉。シェークスピアの劇で慣用句として広まっている。ファウンデーション時代でもまだ使われているようだ。

□プルトニウム(Plutonium)
 原子番号94の元素。主に原子炉の中で人工的にウランから生成される元素だが、自然界でもウラン中に微量に存在することがある。核兵器の材料ともされるが、ウランと合わせて原子力発電に使われることもある。
 「百科事典編纂者」 中でサルヴァー=ハーディンが「プルトニウムは原子力発電には使わない」という知識をもとにアナクレオンが原子力技術を持つかどうか試すくだりがあるが、 この作品の執筆時点(1941年後半)では「プルトニウム」はウランからの生成実験に成功した直後とはいえ軍事利用と絡んで極秘とされており、作者アシモ フ自身はあくまで「存在が予想される元素」として書いていることに注意(執筆前年に存在が予想され「プルトニウム」と名付けられていた)。当然原子力発電 もまだ実用化されていない段階である。
□ブレーン(The Brain)
「逃避」に登場するUSロボット社の思考機械。直径2フィートの球体で中は気体ヘリウムで満たされ振動・放射線か ら防御されている。陽電子頭脳を搭載している点は普通のロボットと変わらないが、ブレーンは機能が思考のみに特化されている。USロボット社がパテントを もつ感情回路が導入され、未熟で判断力に弾力性がある、いわば「子供」のパーソナリティを与えられている。このため合同ロボット社の思考マシンが解けずに 破壊に追い込まれてしまった恒星間航行法の問題を、人間の「死」の問題から「逃避」することによって解決に成功した。

□ヘリコン(Helicon)
アークトゥルス星区にある惑星。ハリ=セルダンの出身地として知られる。

□ボー=アルーリン(Bor Alurin)
「百 科事典編纂者」で言及される「第一ファウンデーション」初期の心理歴史学者。「第一ファウンデーション」初期のターミナスに唯一存在した心理歴史学者で あったという。しかも彼自身は注意深く弟子たちに心理歴史学の基礎以上のことは教えなかったとされる。一時期のみだが初代ターミナス市長となったサル ヴァー=ハーディンにも心理歴史学を教えている。

□妨害フィールド(static field)
スパイ・ビームを妨害し盗聴を防ぐ場をつくる。

□「暴力は無能力者の最後の避難所」("Violence is the last refuge of the imcompetent")
市長」で初登場するサルヴァー=ハーディンによる有名な警句。彼自身市長室の壁の額にこの言葉を座右の銘として飾っていたし、彼の死後も長く第一ファウンデーション人たちに口にされた。
□ホップン(Hoppen)
「証拠」の主人公・スティーブン=バイアリィの家の家政婦。
□北方地区(The Northern Region)
21世紀の地球連邦の一地区で、北米および旧ソ連地域とイギリス諸島さらにオーストラリア・ニュージーランドをも その領域におさめる地球連邦中の経済的先進地域。面積1800平方マイル、人口8億人。経済的先進性ゆえにロボットである「マシン」の政策判断には懐疑的 な人が多い。「災厄のとき」では地区副統監ハイラム=マッケンジィが登場する。

□ポリー=ヴェリゾフ(Poly Verisof)
第一ファウンデーションからアナクレオンに送り込まれた大使。同時に科学を神秘化した「宗教」の祭司長でもあり、14年間をかけてその宗教的権威でアナクレオン国王の信頼を得たほか、アナクレオン全体の司祭たちの顧問となって精神面からこの惑星を支配した。