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□ガール=ドーニック(Gaal Dornick)
数 学者。惑星シンナックス出身。博士論文は隕石の漂流作用における力学に関するものだったらしい。若いころにハリ=セルダンにその才能を認められて「セルダ ン計画」に参加した。その交流はわずか二年ほどであったが、セルダンの伝記としてはもっとも権威を認められている「ハリ=セルダン伝」を著した。「心理歴史学者」「ファウンデーションの誕生」で登場。

□科学産業博物館(Museum of Sience and Industry)
20世紀末のニューヨークにある施設で、一般向けに科学技術を親しみやすく紹介している。「ロビイ」中に登場し、子ども向けの科学技術解説プログラムや「しゃべるロボット」の展示が行われていた。ここに高校生のスーザン=キャルヴィンは通い詰め、最初のロボット論文を書き上げている。
□カルナー(Kallner)
陸軍少将。「迷子のロボット」の舞台となるハイパー基地での恒星間航行プロジェクトの責任者となっている。
□漢字(pictograph of old China)
原文では「古い中国の象形文字」で恐らく従来の繁体字。もはや時代遅れとなった、とあることから21世紀半ばにはすでに使用されなくなったものらしい。「災厄のとき」で東方地区副統監ソウ=チンリンのオフィスの壁に掲げられた淅江省にある彼の父祖の土地の地図にこの文字が書かれている。

□ガンマ・アンドロメダ(Gamma Andromeda)
地 球のある太陽系から42光年にある恒星(アンドロメダ座y星。「アルマク」とも)。そこの第5惑星が居住惑星だったが、銀河紀元12117年(ファウン デーション紀元49年)に原子力発電所が大爆発を起こし、数百万人の死者を出して惑星の半分が廃墟と化してしまった。その数年前の事故の際のずさんな修理 が原因とみられる。

□起源問題(Origin Question)
  銀河系全体に広がった人類の発祥地はどこかという問題。銀河帝国時代には人類が単一の惑星から発生したということ自体も「仮説」であり、なおかつどこがそ の発祥地なのかも忘れ去られていた。このため「起源問題」を探索する考古学者がしばしば現れていたようである。銀河帝国時代の「起源問題」研究者としてグ リーン、ラメットといった名が知られている。
 人類発生地の候補としてはシリウス、アルファ・ケンタウリ、ソル、白鳥座61番といった恒星系が挙げられており、全てシリウス星区に含まれていることが注目されていた。その一方でラメットはアークトゥルス星区の「第三惑星」の遺跡に注目していたという。
 ファウンデーション時代にはこの「起源問題」に関心を持つ学者は少なかったようだが、ファウンデーション紀元5世紀に現れたペロラットは銀河系の人類が共通して使う時間感覚、伝説にある巨大な衛星から人類発生地「地球」を割り出そうとしていた。
□キャルヴィン(Calvin)
スーザン=キャルヴィンの項を見よ。
□キューティ(Cutie)
エネルギー 中継ステーション管理用に開発されたロボット「QT1号」の愛称。高性能ではあるが、それが災いして自らの存在理由を自問する結果となり、ステーション内 を唯一の世界と考え、そのエネルギー転換器を「主」と崇めて暴走してしまった。しかし決して「三原則」に反しているわけではない。「われ思う、ゆえに・・・」の主人公。

□Qビーム(Q-beam)
詳細不明だが、レーザー兵器?「市長」に登場する巨大巡洋艦「ウェニス号」はこのQビームを放射線を発生させずに防御してしまうとされている。
□キリル文字(Cyrillic charactors)
ロシアなど東欧諸国で使用されていたアルファベットだが、「災厄のとき」で東方地区統監ソウ=チンリンのオフィスにある東方地区の領域を示す地図にこの文字が記されている。共産中国においてキリル文字が主流となっていたのかも(日本語版訳文は「シリル文字」)。
□銀河議会(Galactic Council)
トランター銀河帝国における議会。その詳細は不明だが、「心理歴史学者」によればその開会式の模様は立体ニュースで帝国全体に放送されていたらしい。

□銀河紀元(Galactic Era,G.E.)
銀河帝国で使用されていた暦。トランター銀河帝国成立を元年とし、12000年以上続いた。ファウンデーションが設立されハリ=セルダンが没した銀河紀元12069年がファウンデーション紀元元年となる(ただし「ファウンデーションの勝利」原書巻末年表ではセルダン裁判の年をファウンデーション設立年とみて「元年」としており、2年の齟齬が生じている)

□銀河帝国(Galactic Empire)
銀 河系全域を版図とする帝国。アシモフ世界ではトランターを中心とする「トランター銀河帝国(第一銀河帝国)」と、その滅亡1000年後にファウンデーショ ンを中心に成立した「第二銀河帝国」とがある。なお「帝国」といった場合、実際に「皇帝」が存在するとは限らず、単に広大・強大な国家を指す場合もあるの で注意のこと。「第一」「第二」の帝国についてはそれぞれの項目を参照のこと。

□銀河百科事典(Encyclopedia Galactica)
 人 類の英知を全て収録した大百科事典。銀河帝国の衰亡を予知したハリ=セルダンは帝国滅亡後の混乱期を短期で終わらせるために大百科事典の編纂が必要と訴 え、編纂にたずさわる学者たちを辺境の惑星ターミナスに集めて「第一ファウンデーション」を設立した。
  ファウンデーション設立55年後に百科事典の第一巻 が刊行されたが、このときセルダンのファウンデーション設立の真の目的が百科事典編纂にはなかったことが明らかになった(セルダン自身「一巻も出なくてもかまわない」と発言した)。だがその後も編纂は進められてお り、十年一巻のペースで発行は続いた。ファウンデーション紀元1020年に銀河百科事典刊行社から第116版が刊行されている。

□銀河霊(Galactic Spirit)
銀 河系を支配する霊的存在。「第一ファウンデーション」が科学技術に宗教の衣を着せて周辺諸国を「布教」した際にその宗教における最上位の絶対者とされ、 ファウンデーションで作られたあらゆる製品もその祝福のもとでしか機能しないとされた。また銀河霊を冒涜する行為を行うとその魂は永遠に宇宙の氷地獄に堕 ちるという。その信仰が廃れたのちも「銀河霊」というフレーズは人々によりしばしば使われている。

□キンボール・チューブ(Kimball tube)
詳細は不明だが、「迷子のロボット」に登場するハイパー基地の研究施設の機械の一部。キンボールは人名か?研究員のジェラルド=ブラックはこれを壊してしまったために5日分の仕事がふいになったという。

□クォミル(Kwomill)
銀河帝国時代の考古学者。「百科事典編纂者」で言及がある。

□グリーン(Gleen)
銀河帝国時代の考古学者。「百科事典編纂者」で言及がある。銀河紀元11200年ごろの人か。銀河系に広がる人類の発祥地を探す「起源問題」に取り組んでおり、彼の仕事を基礎にしてラメットが研究を進めている。
□グレース=ウェストン(Grace.Weston)
「ロビイ」の主人公・グローリアの母親。流行と物珍しさから子守ロボット「ロビイ」を購入し、初めは手間が省けたことを喜んでいたが、2年もするうちに、娘がロボットに示す異常な愛着と、周囲に広がる反ロボット感情に不安を感じ始め、「ロビイ」を手放すよう夫に働きかける。

□クレオン1世(Cleon I)
トランター銀河帝国末期の皇帝。帝国の末期にして絶頂期の皇帝である。この時期帝位を継承していたエンタン家の最後の皇帝ともなった。ハリ=セルダンを宰相に起用し、ほころびも見え始めた帝国の立て直しにも乗り出したが、不慮の死を遂げた。「心理歴史学者」中に引用された銀河百科事典に言及があるほか、「ファウンデーションへの序曲」「ファウンデーションの誕生」で登場している。

□クレオン2世(Cleon II)
ト ランター銀河帝国末期の皇帝。「最後の強力な皇帝」と呼ばれ、滅亡寸前のトランター帝国を一時的にせよ復興させた。その治世には将軍ベル=リオーズによる 第一ファウンデーションの侵攻も行われたが、結局リオーズ粛清に動いたためファウンデーションでは「リオーズの皇帝」の異名で知られる。「心理歴史学者」および「将軍」で登場。

□グレゴリイ=パウエル(Gregory.Powell)
USロボット社の社員で、同僚のマイケル=ドノバンとともに、2010年代、2020年代の最初期のロボット問題の多くに関わった。「逃避」の物語によれば人類で初めて銀河系の外に出た人間ということになる。引退後はニューヨークに在住。

□クレジット(credit)
 トランター銀河帝国、および第一ファウンデーションにおける貨幣単位。小銭は金属硬貨になっていると思しい。
 「心理歴史学者」でガール=ドーニックがトランターに初めて来たときに使ったタクシー代が1.12クレジット、そのチップが10分の1クレジットだった。「百科事典編纂者」ではサルヴァー=ハーディンが「2クレジット硬貨(鉄製)」をいじっている。

□「紅の情熱」("Purple Passion")
「うそつき」でスーザン=キャルヴィンがロボット「ハービィ」に読ませた本。タイトルからして恋愛小説と思われる。
□グローリア=ウェストン(Gloria.Weston)
「ロビイ」に登場するロボットに愛情を抱く少女。1998年の時点で8歳と書かれているので 1990年の生まれであると思われる。6歳のときに子守ロボットを与えられ、「ロビイ」と名付けて遊び相手とする。「シンデレラ」の話をするのを得意とし (?)、宇宙での冒険を夢想するなど、想像力豊かな少女である。
□計算尺(slide-rule)
電子計算機の普及以前もっぱら使われていた計算道具。「われ思う、ゆえに・・・」で言及があるが、21世紀初頭でも使用されているのか?

□計算パッド(calculator pad)
小型計算機(コンピュータ)。「心理歴史学者」の描写からするとタッチパネル式?心理歴史学を体系化したハリ=セルダンは目覚めた時にすぐ計算できるように枕の下に置いていたと伝わる。

□原子銃(atomblast)
原子力エネルギーを使った小型武器。

□原子力(atomic power)
 核分裂・核融合により放出されるエネルギー。「百科事典編纂者」でのサルヴァー=ハーディンのセリフによると「五万年前」から実用されている技術という。
  しかし銀河帝国の末期、その周縁部で帝国から独立した封建諸国では原子力技術が忘れ去られていた。同時期には銀河帝国領域内でもガンマ・アンドロメダ第5 惑星で深刻な原子力事故が発生するなど技術の低下が起こっていたらしい。小型原子力エンジンを使った高度な技術をもつ「第一ファウンデーション」はその原 子力に宗教の彩りをかぶせて原子力技術をもたない周辺諸国を精神的に支配していった。

□公安委員会(Commission of Pubric Safety)
ト ランター帝国末期、クレオン1世の死後に有力貴族が台頭し、帝権がゆらいで社会が不安定化した時期に社会秩序維持のために作られた組織。しかし実態として はチェン家やダイヴァート家といった有力貴族の家系で独占され、彼らの権力維持・反対派弾圧の道具となっており、盗聴・盗撮など違法な捜査も平然と行っ た。「心理歴史学者」の中でハリ=セルダンも「セルダン計画」が皇帝に対する不敬、帝国の秩序をおびやかす流言の流布の容疑で公安委員会に拘束され、その裁判を受けている。

□光線銃(blaster)
銀河帝国、ファウンデーションで使われる小型武器。「百科事典編纂者」では相手に自分の光線銃を渡すことで友好と善意を示す儀礼が描かれている。

□行動党(Actionists)
第 一ファウンデーションの初期の政党。サルヴァー=ハーディンがターミナス市長をつとめた時代に対外強硬派のセフ=サーマックら若い政治家たちをを中心に結 成され、ターミナス周辺四王国に対する強硬論を主張した。ファウンデーション紀元80年の「セルダン危機」において政権奪取を企てたがハーディン市長の作 戦成功により自己批判を余儀なくされた。しかしその後サーマックは政権を取っており、そのときに「行動党」も政権与党となった可能性が高い。
□合同ロボット社(Condated Robots)
ロボット・思考機械の開発会社でUSロボット社のライバル。ロボット開発だけでなく恒星間航行法の研究でもUSロボット社と競っていた。「逃避」の物語で恒星間航行法を自社のスーパー思考マシンに解かせて破壊させてしまい、ライバルの足を引っ張るべくUSロボット社に同じ問題を懸賞金つきで解かせようとする。ここのロボットは陽電子頭脳では無い模様。

□コノム(Konom)
「百科事典編纂者」で言及される星区。ターミナスの近くの銀河系周縁部にあるらしく、アナクレオンやスミルノ同様に早期に帝国から離脱して王国を形成した。
□コンソリデーテッド・シナバー社(Consolidated Cinnabar)
「災厄のとき」に登場する北方地区系の企業。本社はニコラーイエフにある水銀鉱山を支配下に置き、 経営役員の中の一人は「人類同盟」の一員であることが確認されている。
□根本主義者(Fundamentalists)
「原理主義者」と訳した方が適当かも。「証拠」中 に登場する表現で、昔ながらの簡素な生活を好む、いわゆる保守派。ロボットを憎悪し、これが地球上での反ロボット運動の原動力となった。スティーブン=バ イアリィが市長選に立候補した際に起きた「ロボット疑惑」でもUSロボット社などへ猛烈な抗議運動を起こしている。ここから分派したさらに過激な「人間同 盟」という組織もある。