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Yesterday
ひとつひとつ消えて行く
冷たさも音も意識も
沈む様に落ちて行く
ためらう時間は既に過ぎ
目を閉じる
自己実現なんて意気がって
ノートに書き散らす泡屑
無数の雨に穿たれて
ぼやけて行く輪郭線
溶けて行く
このまま息を止めて隠れてしまったとしても
物理的には消えはしない
捨てられ忘れ去られ蔑まされ続けて
それでも何かにすがるしかないのです
みっともなさを受け入れるか
それを拒んで悲観するか
自分自身を許せずに
答えらしいものも見付けられずに
逃げ出した
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蝉時雨を聴き蛍の乱舞を観ながら
あれからどれだけの夜が過ぎ
同じだけの朝を迎えてきた
何も変わらぬ意味もない繰り返し
視界はいつも後ろ向きだけ
一度めはただ戸惑うだけ
二度めは気が付けば終わった後で
三度四度と飽きもせず留まり続け
嫌悪感にまみれるだけ
霧がかる瞳に刻み込む
スローモーションの残像
祈ることだけ自らに許している
貧しい言い訳を呟く
逃げているだけではずるいのと変わらない
ずるいだけでは抜け出すことはできない
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Intermission
突然の雨に
迷い込んだ secondhand store
道を失った僕と
時間を失った店
重い視界
flashback する断片
呼吸すらも止まりかけて
dead end に立っていた
雨音は white noise
意識の signal も沈む
途絶から呼び起こすもの
携帯電話のベルが鳴る
the connection recovered
零れる滴はもう要らない
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若葉
包み込む風に促され
初夏の季節を浴びて
日常の中に忘れた
息吹を呼び覚ます
2時間の距離を埋める
ハンドルを握り締め
流れゆく緑に同化しながら
眩しさに眩む
それは喜びなのか
それは主張なのか
それは力強さなのか
それは運命なのか
いずれ散ることを恐れずに
現在のこのときのために
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ぎやまんの隔壁
距離を測るもの
見失うのは自分
晴天は影を生み
もどかしく背反
緊張途切れなく
自己相似に収束
消滅は罪となり
自が科した重荷
循環近づき離れ
耐えるだけ拒絶
三度めは通過し
のしかかる呵責
見つめていたい
許されない時間
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Blank
青空
高く遠く澄み渡る
コートの
襟を立ててそれを見つめる
かじかんだ手と
雲さえ受け付けない透明さに
越え難い距離を
眩暈するほど叩きつける
風よもっと強く
この身を飛ばすほどに
光で包むよりも
痛く痛く突き刺せ
抑鬱 虚 強制 不安
現在以外を欠落させる
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氷の朝
靄とも曇りともつかない
覚醒とも埋没ともつかない
終止符
「彼」の出現
不安の闇は消滅し
灰色は白銀へと変化する
モノクロームの世界に
「彼」は問いかける
音を拒む
張りつめる緊張感
乱を拒む
平滑をも超越した平原
光り輝く針が身を刺す
ひとすじ
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