楽寿園  植物、昆虫、野鳥など 
井上氏、 小山氏から写真の提供がある。 感謝!  


1. はじめに

 楽寿園は富士山の溶岩、湧水、森林、野鳥など豊かな自然が残る公園である。
昭和29年、湧水と自然林に恵まれた楽寿園は国の特別記念物及び名勝に指定された。
 園内には郷土資料館があり、三島の歴史、民俗、自然など、さまざまな資料が展示されている。
 筆者は、久しぶりに、2019年2月から4月にかけて、楽寿園を訪れ、溶岩地形などの再観察が必要と感じ、ホームページの三島溶岩について、更新することにした。

 
三島溶岩上部層の上に建つ楽寿館と湧水の小浜池 (水位160cm) 2011年11月5日

特集
楽寿園の溶岩地形

ボーリングコアから調べた「三島溶岩の気孔」

楽寿園のホームページ
郷土資料館のホームページ


2. .楽寿園の地質断面図

楽寿園は三島溶岩上部層の上にある。楽寿園内のボーリング調査資料から、作成した推定地質断面図である。
「4.富士山麓の湧水」、参照


三島溶岩の厚さ 上部層 約31m、中部層 約15m、下部層 約29m

3. 楽寿園の自然

 
@ 三島溶岩と溶岩地形


小浜池の三島溶岩流    2010年4月13日
 約1万年前、富士山の南東麓大野原では、大量の溶岩を流出する噴火があった。この溶岩を大野原溶岩流(三島溶岩流)と呼んでいる。津屋(1968)
この三島溶岩流は、温度が1000℃以上あるやわらかい溶岩で、富士山、箱根山、愛鷹山などの谷間を冷え固まらずに、三島まで流れてきた。
 三島溶岩は火山岩の分類では、ゲンブガン(玄武岩)という黒っぽい岩石である。

三島溶岩の気孔  2010年4月14日   
三島溶岩には直径が数mmから15cmの穴が沢山ある。この穴は
溶岩に含まれる揮発性成分が気体になった穴で、気孔(気泡)とよんでいる。
三島溶岩をルーペで観察するとカンランセキ、キセキ、シャチョウセキなどの
鉱物を見ることができる。

なわ状模様の溶岩(なわ状溶岩) 2010年7月27日 
やわらかいゲンブガン質溶岩が流れたとき、表面に縄のような模様が
できることがある。これをなわ状溶岩と呼んでいる。ハワイではパホイ
ホイラバ(pahoehoe lava)と呼んでいる。
なわ状溶岩は楽寿園内の各所で見つけることができる。

溶岩小洞穴 (小浜の森) 2010年5月26日 
 溶岩たまりの高温の溶岩によって、地下水が熱せられて蒸発した水蒸気が溶岩を押し上げて吹き抜けた穴である。成因はサギの森の溶岩小洞穴も同じである。両洞穴とも天井は強力な水蒸気の圧力で吹き飛んで無くなっている。
 
A 楽寿園の湧水


湧水の「中の瀬」  2010年8月22日     
源兵衛川の源流となる「中の瀬」である。中の瀬の湧水箇所は中央付近と、
ボーリング調査跡などである。楽寿園内で最も土地が低いので、早く湧水が
はじまる。
カーソルを画像へ 「せりの瀬」の湧水が「中の瀬」へ勢いよく流れている。
 
B 楽寿園の植物


万葉の森  2010年7月27日

万葉の森  2010年7月2日  
  
C 楽寿園の昆虫


ネキトンボ  2010年8月22日  小浜池   
小浜池の水位計にとまるネキトンボ。 水位は123cmあった。

オオシオカラトンボ  2010年8月7日  万葉の森  井上氏写真

産卵するオニヤンマ  2010年8月7日  万葉の森  井上氏写真

D 楽寿園の野鳥
2019年3月、楽寿園の野鳥観察では、野鳥が大変少なくなった。残念である。


アオゲラ   2011年4月19日   さぎの森    
頭とひげが赤色で、体はうす黄緑色の中形のキツツキ
(約29cm)。林の中にすみ、アリをよくたべる。

ルリビタキ(雄)  2010年2月4日   常盤の森付近  井上氏
スズメくらいの大きさ、山地の針葉樹林で繁殖し、
冬は越冬のため、山麓や公園へ下りてくる。(留鳥、漂鳥)
さえずりはヒッチョロチョロチョロリ。

ルリビタキ(雌) 2012年12月21日  小浜の森 
雌の上面はオリーブ色。雌雄ともに脇がオレンジ色。

トラツグミ   2009年2月10日  万葉の森    
白地に黒と黄色の虎のようなまだら模様がある。(全長約29cm)。
低い山地の広葉樹林にすむ留鳥。冬、積雪が多い地方では、暖地に
移動して越冬する。
夜るヒョ−ヒョーと寂しげな鳴き声をする。平家物語などにでてくる、気味
の悪い声で夜に鳴く、鵺(ぬえ)という、不吉な怪物の正体はトラツグミの
ようである。

シロハラ    2010年2月24日   深池付近    
ツグミの仲間、全長約24cm、冬鳥として渡来し、
暗い林内で昆虫やミミズなどを食べる。

アカハラ  2009年1月7日  天神の森  古山氏 
ツグミの仲間、全長約24cm、山地の林内に生息し、冬は暖地へ移動し、
林内で木の実、昆虫、ミミズなどを食べる。
地鳴きがキョキョ、さえずりはキョロンキョロンチー。

シメ   2009年2月10日  ふれあい広場付近   
全長約18cm、ずんぐり太った体に、大きい嘴が特徴。
北海道で繁殖し、冬は暖地へ移動する。冬鳥として渡来するものもある。
エノキやカエデの実を食べる。

カワセミ 2009年2月10日   小浜池   
上が雌(下嘴が赤い)、下が雄。三島市の鳥である。

イカル  2009年10月8日   さくら広場付近     井上氏
全長約23cm、黄色く太い嘴が目立つ.山地の落葉広葉樹林で繁殖する。
冬は山麓や公園へ移動する。地鳴きはキョッ キョッ、さえずりはキーコキーコキー。

ツグミ   2009年1月6日     小浜の森   井上氏
全長約24cm、冬鳥として全国に渡来し、冬は公園や庭で
昆虫、ミミズ、木の実などを食べる。
クイッ クイッと鳴く程度であまり鳴かない。口をつむぐが名前の由来らしい。

ジョウビタキ (雄) 2009年1月15日  小浜の森   
スズメくらいの大きさ、翼に白斑があり、紋付鳥とも呼ばれる。
冬鳥として全国に渡来する。なわばりを持ち、木の実、ミミズなど食べる。

ジョウビタキ (雌) 1009年3月1日   万葉の森    
体の色は雄と異なりますが、翼の白斑は同じようにある。

シジュウカラ  2009年2月22日   小浜池 中ノ島付近  
スズメくらいの大きさ、留鳥で全国に生息し、冬はエナガ、メジロ、
コゲラなどと群で移動する。さえずりはツツピー ツツピー。
楽寿園内の巣箱での繁殖がみられる。

コゲラ  2008年12月26日   小浜の森   
スズメ大、小型のキツツキ、山麓の林に留鳥として生息する。
鳴き声はギイーギイー。
雄の頭の赤斑が見えるのはめずらしい。 

ヤマガラ  (2008年9月10日)    小浜の森  井上氏i
シジュウカラと同大、全国に分布する留鳥、茶褐色が目立つ。
鳴き声はツーツーピー、木の実や昆虫を食べる。アブラゼミを
食べるのを見たことがある。

ソウシチョウ 2009年1月6日  中の瀬  井上氏提供i
籠抜のソウシチョウが多いのが気になる。同じような場所に住む、ウグイスやアオジ
と競争することになり心配である。生態系を乱すに違いない。
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