検索結果詳細


 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

 境は山間の旅情を解した。「料理番さん、晩の御馳走に、其の鯉を切るのかね。」
「へゝ。」と薄暗いを上げてニヤリと笑ひながら、鳥打帽を取つてお時儀をして、また被り直すと、其のまゝごそ/\と樹を潜つて廂に隠れる。
 帳場は遠し、あとは雪がやゝ繁く成つた。

 124/330 125/330 126/330


  [Index]