作品名 | 「さいかち淵」 |
作成年 | 大正12年以降 |
関連作品 | 「風の又三郎」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆☆☆,その他:生 |
作品内容 | 子供達は毎日のようにさいかち淵で遊んでいる。8月13日、淵で遊んでいた舜一達は、大人達が川で発破を使って魚を捕るのに出会う。子供達は下流で流れてきた雑魚を拾い、石で囲んだいけすに入れるが、鼻の尖った男がいけすをかき回してしまう。舜一達は声を合わせて「川を濁すなよ」と言い、男を追い払う。翌日、舜一は毒もみに使う丹ばんを川に投げ入れるが魚は全く浮いてこず、飽きた子供達は鬼ごっこを始める。やがて風を伴った大雨が降りだし、子供達は遊ぶのをやめる。子供達は雨風の中で不思議な声を聞いたような気がする。 |
作品名 | 「サガレンと八月」 |
作成年 | 大正12年夏以降 |
関連作品 | 「タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆,その他:擬 |
作品内容 | 標本を集めに海岸へ出た「私」が聞いた、風の運ぶきれぎれの物語である。タネリは孔石を拾いに海岸へ出て、くらげを拾う。くらげを透かして見るな、と出がけに母親に注意されていたタネリだが、その美しさについ見てしまう。すると青空が暗く変わり、水平線の彼方から犬神が現れる。犬神はタネリを海底にさらい、蟹に変えて病気のチョウザメのもとに連れてゆく。未完。 |
作品名 | 「ざしき童子のはなし」 |
作成年 | 大正15年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆,その他:生 |
作品内容 | 賢治の生まれ育った岩手に伝わる、座敷童子(ざしきぼっこ)の登場する幾つかの短い話をまとめたもの。子供の姿をした妖怪で、座敷童子の住む家は栄えるという。 |
作品名 | 「さるのこしかけ」 |
作成年 | 大正10年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆,その他:擬 |
作品内容 | 夕方、裏の大きな栗の木に生えたさるのこしかけを見ていた楢夫は、突然現れた3匹の小猿に連れられて栗の木の中を通り真昼の種山ヶ原に行く。そこで楢夫は猿の軍隊に縛られて放り投げられるが、山男に助けられる。気がつくとそこは元の栗の木の下だった。日常から非日常へと入り込み、日常へ帰ったところで気づく、という賢治の作品によく見られるパターンである。 |
作品名 | 「三人兄弟の医者と北守将軍(韻文形)」 |
作成年 | 昭和6年以前 |
関連作品 | 「三人兄弟の医者と北守将軍(散文形)」 「北守将軍と三人兄弟の医者(初期形)」 「北守将軍と三人兄弟の医者」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆,その他:− |
作品内容 | 戦が終わりグレッシャムの町に帰ったプランペラポラン将軍とその兵達は、長年馬に乗っていたために体と馬が一体化してしまい、馬から下りられずに大臣に謀反と誤解される。将軍と兵達は3人兄弟の医者、ホトランカン,サラバアユウ,ペンクラアネイの元を訪れて治療を受け、人々の間を凱旋する。地名、人名等はほぼ「三人兄弟の〜(散文形)」と同じであるが、韻文形である。また冒頭の医者3兄弟の紹介がないなど北守将軍中心の物語となっている。治療後の医者3兄弟や将軍の消息については語られず、将軍の凱旋場面で終わる点が他と異なる。 |
作品名 | 「三人兄弟の医者と北守将軍(散文形)」 |
作成年 | 昭和6年以前 |
関連作品 | 「三人兄弟の医者と北守将軍(韻文形)」 「北守将軍と三人兄弟の医者(初期形)」 「北守将軍と三人兄弟の医者」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆,その他:擬 |
作品内容 | グリッシャムの町に住む3人兄弟、ホトランカン,サラバアユウ,ペンクラアネイはそれぞれ人間,動物,植物の医者。ある日3人の元に、戦から帰ったプランペラポラン将軍が現れる。将軍とその兵達を治療した3人は、その実績から王様お抱えの医者になる。「北守将軍と〜」との大きな相違点は、人名,医者と患者(動物や植物)との会話場面があること、そして結末である。「北守将軍と〜」では将軍は辞職して消息を絶つが、本作品ではそこまで書かれていない。 |
作品名 | 「シグナルとシグナレス」 |
作成年 | 大正12年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆,その他:擬 |
作品内容 | 幹線鉄道信号のシグナルと軽便鉄道信号のシグナレスは互いに相手を気にかけながらも本心を明かせないでいた。やがて誤解も解け相思相愛の仲になるが、周囲は二人の仲を認めようとはしなかった。二人の理解者である倉庫は夜に魔法をかけ、二人を星空へ送り出す。 |
作品名 | 「紫紺染について」 |
作成年 | 大正13〜14年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆☆☆,その他:生 |
作品内容 | 東京の博覧会で二等賞になった盛岡の紫紺染。しかしその裏にはいろいろな苦労があった。紫紺染は昔は名高いものだったが、明治になってから西洋の安い色素が入ってきたために廃れてしまい、製法の分かる人がいなくなってしまった。工芸学校の先生が古い記録を調べたところ、山男が掘り出した紫紺を酒と交換して得ていたとの記述があった。先生は西洋料理店の会食に山男を招き、製法を聞き出すことにした。料理店で酒を飲んだ山男はやっと製法を思い出し、「湿った土を使うこと」と先生達に教え、山へ帰っていった。こうして紫紺染の製法がわかり、博覧会で賞をとるまでになったという。 |
作品名 | 「鹿踊りのはじまり」 |
作成年 | 大正10年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆☆,幻想性:☆☆,その他:擬 |
作品内容 | 足の治療の為に山奥の温泉へ出かけた嘉十は、食べ残した団子を鹿のために草むらに残していく。その後、置き忘れた手拭いを取りに戻った嘉十は、団子を食べて喜び踊り出す鹿を見て、仲間に入ろうと飛び出してしまう。 |
作品名 | 「十月の末」 |
作成年 | 大正10〜11年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆☆☆,その他:生 |
作品内容 | 十月末のある日、農家の子供の「嘉ッコ」の周りに起きる出来事を淡々と書き綴った季節感溢れる短編。 |
作品名 | 「十力の金剛石」 |
作成年 | 大正10〜11年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆,幻想性:,その他:鉱宗 |
作品内容 | ある国の王子と大臣の息子が、虹の下にある宝石を探して山に登る。そこではあらゆる物が宝石で出来ていた。そして草木達はあらゆる物に姿を変える「十力の金剛石」が現れるのを待ち望んでいると話す。やがて十力の金剛石がやって来て全てが光り輝く。二人は山を下り、探しに来た家来達と会う。(「十力の金剛石」はあらゆる物を光り輝かせる物であり、生命の源である水(露)のことか?) |
作品名 | 「水仙月の四日」 |
作成年 | 大正11年 |
関連作品 | 「ひかりの素足」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆,その他:擬 |
作品内容 | 雪を降らし風を吹かすことが役目の雪童子は、雪道を歩く子供にやどりぎを投げてからかう。やがて日が暮れ、山々に雪を降らせてまわっていた雪童子は雪原を迷い歩く先ほどの子供を見つけ、子供が凍えないように助けてやる。 |
作品名 | 「税務署長の冒険」 |
作成年 | 大正12年頃 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆☆,その他:− |
作品内容 | 酒の密造を摘発するためユグチュユモト村へ講演会に行った税務署長。講演の中で署長は村人達を観察するがなかなか尻尾を出さない。町へ帰った署長は部下のデンドウイとシラトリを村に送るが二人とも証拠をつかめずに帰ってくる。そしてついに署長直々に変装し村へ潜り込む。ついに山の中に村ぐるみの密造施設を見つけた署長。留守中に施設に潜り込むが、発見され逆に捕まってしまう。名誉村長は捕らえた署長に密造を内密にして欲しいというが署長はそれを断る。その場にシラトリが警官を引き連れて現れ、村長達は一網打尽にされる。 |
作品名 | 「セロ弾きのゴーシュ」 |
作成年 | 昭和6〜8年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆,その他:擬生 |
作品内容 | 金星音楽団でセロを担当するゴーシュは楽団の中で一番下手で、楽長にいつも注意を受けていた。ゴーシュは家で練習することにするが、毎晩動物達が訪ねてくる。動物達と練習することで何かを掴んだゴーシュは見違えるように上達し、演奏会でアンコールを受ける。(なお、賢治もセロ(チェロ)を持っていたが、あまり上手くはなかったという。) |