作品名 | 「バキチの仕事」 |
作成年 | 大正12年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆☆,その他:− |
作品内容 | 二人の男が、バキチについて話している。バキチは小学校を卒業後、土方,大工,兵隊と職を転々とするが、どの仕事でもうまくいかない。バキチが兵隊をやめて巡査になったとき、上司の命令で耕牧舎に牛の調査に出かけた。病死した牛の肉を売っているのではないかという疑いがあったためである。バキチは暴れた牛に驚いて警察へ逃げ帰るが、それが町中に知れ、首になる。居場所をなくしたバキチは馬小屋に入り込み馬の餌を食べようとするが見つかってしまう。未完の作品。 |
作品名 | 「化物丁場」 |
作成年 | 大正11〜12年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆☆☆,その他:生 |
作品内容 | 軽便鉄道で鉱山へ向かう「私」は、列車の中で他の乗客達が昨日までの大雨と洪水の話をしているのを聞く。「私」は線路工夫から、雨が降るといつも崩れる「化物丁場」の話を耳にする。化物丁場は少しの雨ですぐ崩れるため、線路の復旧が大変だという。 |
作品名 | 「畑のへり(初期形)」 |
作成年 | 大正11年以前 |
関連作品 | 「畑のへり」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆☆,幻想性:☆☆,その他:擬 |
作品内容 | 蛙は畑のとうもろこし達をカマジン国から来た兵隊だと思うが、それを聞いた熊蟻は笑い、蛙をとうもろこし達に紹介する。そこに人間の子供が現れ、とうもろこしを収穫してしまうが、とうもろこしの出す酒を飲み、人間を見ることができた蛙は満足して帰路につく。 |
作品名 | 「畑のへり」 |
作成年 | 大正11年 |
関連作品 | 「畑のへり(初期形)」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆☆,幻想性:☆☆,その他:擬 |
作品内容 | 蛙は畑のとうもろこし達をカマジン国から来た兵隊だと言うが、別の蛙はマントを着けた娘だと言う。2匹が見ていると人間の子供が現れ、とうもろこしを収穫する。蛙は人間に歌を聞かせようとするが、収穫を終えた人間は行ってしまう。初期形と異なり、とうもろこしや人間を見た蛙2匹の会話が大きな部分を占めている。(蟻の代わりにもう一匹の蛙が登場し、またとうもろこしとの会話がなくなっている。 |
作品名 | 「林の底」 |
作成年 | 大正12年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆☆,その他:擬 |
作品内容 | 日が沈んだ後、「私」は松の木にとまった梟から話しかけられた。梟によると、鳥は昔皆白かったが、見分けが付かず不便なため、鳶が染物屋を始めたという。しかし、増長した鳶はしだいに無精になり、烏を真っ黒にしてしまう。それを知った鳥達は一気に鳶のもとを訪れ、鳶を墨壺につけてしまったという。 |
作品名 | 「茨海小学校」 |
作成年 | 大正12年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆,その他:鉱擬 |
作品内容 | 浜茄と火山弾を探して茨海の野原に入った「私」は、無邪気な子供達の声を耳にする。そちらへ行った「私」は、狐の小学校を見つけ、狐の子供達や先生と出会う。授業参観をすることになった「私」は、その授業の内容を楽しみ、拾った火山弾を寄付して学校をあとにする。 |
作品名 | 「ひかりの素足」 |
作成年 | ? |
関連作品 | 「水仙月の四日」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆,その他:宗犠 |
作品内容 | 一郎は弟の楢夫と共に吹雪にまかれ、気を失ってしまう。死後の世界で鬼達に痛めつけられるが、菩薩の助けで一人現世に帰り、息絶えた弟と共に雪の中で発見される。 |
作品名 | 「ビヂテリアン大祭」 |
作成年 | 大正12年 |
関連作品 | 「一九三一年度極東ビヂテリアン大祭見聞録」 |
作品特徴 | 難解度:☆,幻想性:☆☆☆☆,その他:菜 |
作品内容 | ニュウファウンドランド島で行われるビヂテリアン大祭に日本代表として参加した「私」は、反対派のまくビラを目にする。やがて大祭が始まり、ビラをまいた反対派達との議論が交わされる。その内容は、生物学的なもの、栄養学的なもの、宗教的なものと多岐に渡るものであった。反対派(異教派)のひどい論理に頭がふらついた「私」は反射的に論壇に立って演説する。議論が終わり、反対派達はみな悔い改め、菜食主義者となる。 |
作品名 | 「ひのきとひなげし(初期形)」 |
作成年 | 大正10年 |
関連作品 | 「ひのきとひなげし」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆,その他:宗擬 |
作品内容 | ひなげし達は外観の美しさに憧れるあまり、「変容術」で美しくなれると言う悪魔に騙されそうになる。それを見かねたひのきは悪魔を追い払い、真の美しさとは何かをひなげしたちに教える。完成形と比較して宗教色が強い。 |
作品名 | 「ひのきとひなげし」 |
作成年 | 昭和6〜8年 |
関連作品 | 「ひのきとひなげし(初期形)」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆,その他:宗擬 |
作品内容 | ひなげし達は外観の美しさに憧れるあまり、自分達にできる阿片と引き換えに悪魔に騙されそうになる。それを見かねたひのきは悪魔を追い払い、自分のいるべき場所で輝くことが美しいとひなげしたちに教える。 |
作品名 | 「氷河鼠の毛皮」 |
作成年 | 大正12年 |
関連作品 | − |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆☆,その他:擬 |
作品内容 | イーハトヴ発ベーリング海行の長距離列車に乗り込んだ乗客達。乗客の一人、タイチは氷河鼠の毛皮で作った自分のコートを自慢し、これからまた狩りに出かけるのだという。暫くして列車は急停止し、タイチを狙って武装した白熊達が乗り込んでくる。タイチは列車の外に連れ去られそうになるが、同乗していた青年の説得により熊達はタイチを諦めて列車から去る。 |
作品名 | 「葡萄水(初期形)」 |
作成年 | 大正10〜11年 |
関連作品 | 「かしはばやしの夜」「葡萄水」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆☆,その他:生 |
作品内容 | 清作は畑仕事の合間に集めた野葡萄で葡萄酒を密造しようとする。しかし、砂糖のかわりに黒砂糖を使ったせいか、数日後に40本の瓶は次々と「ボッ」と音を立てて破裂してしまう。 |
作品名 | 「葡萄水」 |
作成年 | 大正12年 |
関連作品 | 「葡萄水(初期型)」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆☆,その他:生 |
作品内容 | 耕平は畑仕事の合間に集めた野葡萄で葡萄酒を密造しようとする。しかし、砂糖のかわりに黒砂糖を使ったせいか、数日後に40本の瓶は次々と「ボッ」と音を立てて破裂してしまう。 |
作品名 | 「双子の星」 |
作成年 | 大正10年頃 |
関連作品 | 「銀河鉄道の夜(初期形3)」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆,その他:星擬犠 |
作品内容 | 天に住むチュンセとポウセは、晴れた夜に笛を吹くのが役目の双子の星。泉で喧嘩により共倒れとなった烏星と蠍星を助けるために仕事に遅れそうになるが、天の王様に助けられる。このことが元で烏と蠍は改心する。また別の日。曇った夜に彗星に旅に誘われ、騙されて海に落とされる。海底ではヒトデや鯨にいじめられるが、二人の善行を知る海蛇の王の計らいで天に帰る。賢治が生前に匿名で配布した短編の印刷物(手紙)の中に、チュンセとポウセの名がある。この短編では、チュンセは賢治を、ポウセは妹のトシをモデルとしているようである。(ただし本編には無関係と思われる。) |
作品名 | 「二人の役人」 |
作成年 | 大正12年 |
関連作品 | 「鳥をとるやなぎ」「谷」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆☆☆,その他:生 |
作品内容 | 九月の日曜日、友人の慶次郎と野原へ遊びに出た「私」は、野原の入口で「東北長官一行の出遊につき立入禁止」の立札を見る。東北長官を見たくなった二人は構わず野原に入り、初茸取りを始める。やがて二人の役人が野原に現れ、木の下に栗の実をまき始める。どうやら役人達は長官と家族が遊びに来る前に栗をまいておくつもりらしい。役人に見つかってしまった「私」達は、その手伝いをさせられることになる。 |
作品名 | 「フランドン農学校の豚(初期形)」 |
作成年 | 大正11〜12年 |
関連作品 | 「フランドン農学校の豚」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆☆☆,その他:菜擬 |
作品内容 | フランドン農学校の豚は幸せな毎日を送っていたが、あるとき餌のゴミの中に混ざっていた豚毛の歯ブラシを見て嫌な気分になる。また、生徒達が「やる日」や「承諾書」について会話しているのを聞き、自分と何の関係があるのか思い悩む。実はこの国では家畜を殺す際に家畜側の承諾が必要であり、生徒達はその事を話していたのである。悩んだ豚は食欲を失い痩せてしまうが、校長に承諾印を押させられた後、無理矢理口の中に管を通され、食物を送り込まれる。最後の日、日光の下に連れ出された豚は頭への衝撃と共に意識を失う。やがてバラバラにされた豚の体は雪の上に積み上げられる。残酷だが、菜食主義の賢治らしい作品とも言える。完成形と細部(豚が撲殺される場面など)が異なる。 |
作品名 | 「フランドン農学校の豚」 |
作成年 | 大正11〜12年 |
関連作品 | 「フランドン農学校の豚(初期形)」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆☆☆,その他:菜擬 |
作品内容 | フランドン農学校の豚は幸せな毎日を送っていたが、あるとき餌のゴミの中に混ざっていた豚毛の歯ブラシを見て嫌な気分になる。また、生徒達が「やる日」や「承諾書」について会話しているのを聞き、自分と何の関係があるのか思い悩む。実はこの国では家畜を殺す際に家畜側の承諾が必要であり、生徒達はその事を話していたのである。悩んだ豚は食欲を失い痩せてしまうが、校長に承諾印を押させられた後、無理矢理口の中に管を通され、食物を送り込まれる。最後の日、日光の下に連れ出された豚は頭への衝撃と共に意識を失う。やがてバラバラにされた豚の体は雪の上に積み上げられる。残酷だが、菜食主義の賢治らしい作品とも言える。 |
作品名 | 「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」 |
作成年 | 大正10〜11年 |
関連作品 | 「グスコーブドリの伝記」 「グスコンブドリの伝記」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆,その他:− |
作品内容 | 化物の世界で生まれたネネムは幼くして親を失い、妹と生き別れるが、努力の末に化物界の裁判長となる。妹との再会を果たしたネネムだったが、油断したために「人間界に現れる」という大罪を犯してしまう。「グスコーブドリの伝記」の原点とも言えるが、異界が舞台の異色作。 |
作品名 | 「北守将軍と三人兄弟の医者(初期形)」 |
作成年 | 昭和6年以前 |
関連作品 | 「北守将軍と三人兄弟の医者」 「三人兄弟の医者と北守将軍(韻文形)」 「三人兄弟の医者と北守将軍(散文形)」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆,その他:− |
作品内容 | ラユーの町に住む三人兄弟の医者、リンパー,リンプー,リンポー。ある日、30年に渡って戦いに出ていた将軍の軍隊が町に戻る。将軍は三人の治療を受けた後、辞職して郷里に帰り、姿を消す。町や人物の名前に統一性がないなど、未完成。「三人兄弟〜(韻文形)」を再び散文形に改作。医者と動植物の会話が削除され、「三人兄弟〜(散文形)」にあった冒頭と最後の医者兄弟のくだりを再度編入、最後に将軍の辞職とその後の消息を追加。 |
作品名 | 「北守将軍と三人兄弟の医者」 |
作成年 | 昭和6年頃 |
関連作品 | 「北守将軍と三人兄弟の医者(初期形)」 「三人兄弟の医者と北守将軍(韻文形)」 「三人兄弟の医者と北守将軍(散文形)」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆,その他:− |
作品内容 | ラユーの町に住む三人兄弟の医者、リンパー,リンプー,リンポー。ある日、30年に渡って戦いに出ていたソンバーユー将軍の軍隊が町に戻る。将軍は三人の治療を受けた後で王に3人を推薦し、自分は辞職して郷里に帰る。将軍はだんだん物を食べなくなり、やがて人々の前から姿を消す。仙人になったという噂が流れるが、リンパー医師はそれを否定する。初期形固有名を統一し、将軍が医者兄弟を王に推薦した旨を追加。 |
作品名 | 「洞熊学校を卒業した三人」 |
作成年 | 大正13年頃 |
関連作品 | 「蜘蛛となめくぢと狸」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆☆☆,幻想性:☆☆☆,その他:擬 |
作品内容 | 「寓話 洞熊学校を卒業した三人」参照。 |
作品名 | 「ポラーノの広場」 |
作成年 | 昭和2年以降 |
関連作品 | 「ポランの広場」「毒蛾」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆☆☆,その他:労 |
作品内容 | ある晩、レオーノキューストとファゼーロは昔話の「ポラ−ノの広場」を探して野原に出るが、そこにあったのは実業家デステゥパーゴが選挙のために人々に酒を飲ませる宴の場だった。ファゼーロはそこで酔ったデステゥパーゴと決闘することになってしまい、負けたデステゥパーゴはその場を去る。その晩以来、デステゥパーゴとファゼーロは消息を絶つ。数ヶ月後、キューストは出張先でデステゥパーゴと再会するが、彼は事業に失敗したので逃げたと言う。出張から戻ったキューストはまたファゼーロと再会し、ファゼーロはデステゥパーゴの残した工場で事業を興し本当のポラーノの広場を作りたい、と言う。数年後、他の町で働くキューストの元に、ファゼーロから手紙が届く。(賢治の目指した羅須地人協会の姿がここにある。) |
作品名 | 「ポランの広場」 |
作成年 | 大正13年 |
関連作品 | 「ポラーノの広場」 「ポランの広場(同名の劇あり)」 |
作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆,その他:− |
作品内容 | 夜、第17等官のキュステはファゼロという子供とともに野に出る。二人はツメクサの花に書いてある数字を追って伝説の「ポランの広場」にたどり着き宴に加わるが、酒を飲まないことを山猫博士と呼ばれる人物にからかわれる。ファゼロは逆に山猫博士のことを歌にするが、怒った山猫博士はファゼロに決闘を申し入れる。負けた山猫博士は広場から去り、宴は盛り上がる。夏になり、キュステとファゼロは再びポランの広場を探して出かけるが見つけられない。「ポラーノの広場」の前駆的作品であり、より幻想的な内容となっている。原稿に抜けがあり、未完。 |