| 作品名 | 「青木大学士の野宿」 |
| 作成年 | 大正10〜11年 |
| 関連作品 | 「楢ノ木大学士の野宿」 |
| 作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆,その他:鉱擬 |
| 作品内容 | 地質学者の青木大学士は商人の依頼で蛋白石を探して旅に出るが、毎晩夢うつつの中で鉱物達の会話を耳にする。やがて大学士は夢の中で旅の目的さえ忘れ、現実と幻想の間で恐竜達に出会う。「楢ノ木大学士の野宿」の前身と思われるが、さらに深く「夢=異世界」に入り込んでいる。(未完の作品) |
| 作品名 | 「朝に就ての童話的構図」 |
| 作成年 | 昭和8年 |
| 関連作品 | − |
| 作品特徴 | 難解度:☆☆☆☆,幻想性:☆☆,その他:擬 |
| 作品内容 | 初期の題「蟻ときのこ」。朝、晴れ始めた霧の間から現れた不思議な白い物体。それを見つけた蟻の子供たちは、近くにいた蟻の歩哨に報告する。子供たちは歩哨の使いでアルキル中佐に報告に行き、白い物体の正体を知る。 |
| 作品名 | 「或る農学生の日誌」 |
| 作成年 | 昭和2年 |
| 関連作品 | − |
| 作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆☆☆,その他:生 |
| 作品内容 | 農学校三年生の学生「私」の日記抜粋という形を取る。三年生になった「私」の新学期の様子から始まり、「私」が修学旅行に参加するかどうか学校と家の間で苦悩する様子、そして旱魃で家の稲が倒れた事などが語られる。 |
| 作品名 | 「イーハトーボ農学校の春」 |
| 作成年 | 大正11〜12年 |
| 関連作品 | − |
| 作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆,その他:労生 |
| 作品内容 | 素晴らしい天気の春の日、煉瓦の肥溜に集まった農学校の学生達。太陽は輝き、太陽マヂックの歌が聞こえる。また冬を乗り越えた植物の中では樹液や澱粉が活動している。学生達は泡立った肥溜から肥をすくって二人一組で下の麦畑まで運んでいく。畑に撒かれた肥はたちまち砂地にしみこみ、麦の養分となっていく。肥を撒き終えた学生達は近道をして学校へ戻る。 |
| 作品名 | 「イギリス海岸」 |
| 作成年 | 大正11年頃 |
| 関連作品 | − |
| 作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆☆☆,その他:生 |
| 作品内容 | 題になっているイギリス海岸とは、現花巻市に実在する北上川河原の泥岩地帯。教師の「私」(賢治)は生徒達と共にしばしばその河原を訪れていた。そこは大昔は実際に海岸であり、牡蠣や木の実の化石が出土していた。夏休み前のある日、「私」は生徒達とともに河原を訪れ、見張りの男と会う。「私」はその男を愚かな男だと思うが、次の日再び河原を訪れた際に男と会話をし、そう思ったことを反省する。生徒が古代の動物の足跡を見つけ、翌日「私」と生徒達はその足跡を標本として採取する。 |
| 作品名 | 「一九三一年度極東ビヂテリアン大祭見聞録」 |
| 作成年 | 大正12年以降 |
| 関連作品 | 「ビヂテリアン大祭」 |
| 作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆☆☆,その他:菜 |
| 作品内容 | ビヂテリアンはテーゼによって同情派と予防派に、また実行方法から大乗派と絶対派と折衷派にわけられる。さて、花巻温泉を訪れた「私」は妙な外国人に会う。支配人によると、この温泉地でビヂテリアン大会がひらかれるためだと言う。浴室に行った「私」は再び先程の外国人に会い、大会に邪魔が入るらしいと聞く。また小路を歩く「私」の前を、「シカゴ畜産組合」という旗を立てた自動車がビラをまきながら走り去った。その紙には「偏狭非文明的・非学術的なビヂテリアンを排せ」と大会への反対意見が書き綴られていた。(「ビヂテリアン大祭」の一部を転用、舞台を花巻温泉に移し、部外者の目から見た「見聞録」として改作を試みたが未完成) |
| 作品名 | 「いてふの実」 |
| 作成年 | 大正10年頃 |
| 関連作品 | − |
| 作品特徴 | 難解度:☆☆☆☆,幻想性:☆☆,その他:擬 |
| 作品内容 | 晩秋、旅立ちの日を迎えた銀杏の実(子供達)の、希望に満ちた会話。やがて北風によって銀杏の実は親の木から離れて旅立って行く。 |
| 作品名 | 「インドラの網」 |
| 作成年 | 大正12年頃 |
| 関連作品 | 「みあげた」「雁の童子」 |
| 作品特徴 | 難解度:,幻想性:,その他:宗 |
| 作品内容 | 疲労のため草穂の間に倒れた「私」(青木晃)は、その夢の中でツェラ高原を歩いていた。石英の砂に囲まれた過冷却の湖で夜を迎えた「私」は、天を翔ける天人を目にし、自分が高原から天界へ入り込んだものと思う。ふと高原へ目を戻した「私」はそこに三人の天の子供を見る。その子供達を自分が発掘した壁画に描かれていた子供だと確信した「私」は、子供達に話しかける。やがて天界の日が昇り、スペクトル製の網、「インドラの網」が空を覆い、見えない蒼孔雀が鳴く。 |
| 作品名 | 「馬の頭巾」 |
| 作成年 | 大正10年頃 |
| 関連作品 | − |
| 作品特徴 | 難解度:☆☆☆☆,幻想性:☆☆☆,その他:− |
| 作品内容 | 甲太は、見かけは立派だが足が悪い馬を大切にしていた。おかみさんに縫ってもらった着物を馬に着せて荷物を運んでいたところ、見知らぬ老人から馬の足が治りかけていることを教えられる。(未完の作品) |
| 作品名 | 「狼森と笊森、盗森」 |
| 作成年 | 大正10年 |
| 関連作品 | − |
| 作品特徴 | 難解度:☆☆☆,幻想性:☆☆,その他:擬 |
| 作品内容 | 他の土地からやって来た人々が岩手山の麓に農地を作り、生活を始める。その土地の森とそこに住む山男や狼との間に起こる事件を通して、人々と森(=自然)とのコミニケーションを描く。 |
| 作品名 | 「おきなぐさ」 |
| 作成年 | 大正12年 |
| 関連作品 | − |
| 作品特徴 | 難解度:☆☆☆☆,幻想性:☆☆,その他:宗擬 |
| 作品内容 | 「うずのしゅげ」とも呼ばれるおきなぐさは、野に咲く黒い花。ある春の日、空をゆく雲に見とれていた小岩井農場の2本のおきなぐさの前に、雲雀が降り立つ。おきなぐさ達は空を飛ぶ雲雀を羨むが、それから2ヶ月後、銀色の房になったおきなぐさは風でばらばらになり、北の空に向かって飛んでいく。それを見た雲雀は空高く上り、2つの魂に別れの唄を歌う。 |
| 作品名 | 「オツベルと象」 |
| 作成年 | 大正15年 |
| 関連作品 | − |
| 作品特徴 | 難解度:☆☆,幻想性:☆,その他:宗労擬 |
| 作品内容 | 実業家のオツベルは、好奇心で作業場にやってきた白い象を騙し、鎖を付けて労働させる。始めは面白がっていた象だったが、日に日に餌は少なく、仕事は辛くなる。白象が仕事の辛い事を月に向かって打ち明けると、目の前に子供が現れる。子供は白象からの手紙を持ち、仲間の象達の住む森へ向かう。手紙を受け取った象達は怒り狂い、オツベルの屋敷になだれ込む。オツベルは死に、白象は解放される。 最後の「川へ入っちゃいけないったら」という文は、無力感から入水自殺を図ろうとした白象への言葉だろう。 |