このコーナーは、お寄せいただいたご意見などの中のBCJやバッハの音楽についてのご質問に、それぞれの内容に詳しい方にお答えしていただこうというコーナーです。
Q20 | カンタータCD第7巻、愛聴させていただいております。 さて、この巻の最後を飾るBWV172ですが、昨年のコンサートの時とずいぶん違う形で演奏されていますね。 まずピッチですが、昨年は1731年の再演に範をとってカマートーン(ハ長調)で演奏されていたのですが、今回はコーアトーン(ハ長調)で収録されているものと思います。ヴァイマール・カンタータ・シリーズのしめくくりとなるこの第7巻ですから、この扱いはとても的を得たものですし、第5曲のオブリガートも、コンサートの時にはオルガンで演奏されていた(1731年以降の形)ものがオーボエとチェロになっていたことからも、ヴァイマールでの演奏を想定されているのだと考えました。 しかし、それではなぜ最後に冒頭合唱の繰り返しがないのでしょうか。冒頭合唱の繰り返しが省略されたのはライプチッヒでの1731年の再演の時からとのことですので、ヴァイマールでの演奏では1714年の初演でも1717年以降の再演でも冒頭合唱の繰り返しはあったのでは、と思うのですが・・・。(ちなみに昨年のコンサートでは、1731年にならってはいたものの冒頭の合唱は繰り返されていましたね・・・。) 確かに今回のCDは77分を越える長時間収録で余裕はなかったと思いますが、CDはトラックの操作で簡単に繰り返し演奏ができますから、「本来は冒頭合唱を繰り返すのですが、収録時間の関係で入れることができませんでした。よろしければお聴きになる際にトラック20(BWV172の冒頭合唱)を最後にもう一度くりかえして再生して下さい。」といった一文を曲の解説か制作ノートに記載することも可能なのでは、と思うのですがいかがでしょうか。(英文のリーフレットを私のつたない語学力でながめてみた限りでは、そういった記載はなっかったように思います。) せっかく色々な部分に“こだわって”収録されている(そこもBCJの大きな魅力のひとつだと思います!)ので、この件に関する鈴木雅明さんのお考えを是非お聞かせ下さい。 (矢口) (98/05/05) |
A20 | 鈴木雅明さんからお返事をいただきました! お忙しい中、ありがとうございました。 BWV172についての質問。これはまったくご指摘のとおりで、ワイマール版を演奏するからには、本来は第1曲目を繰り返すのが正しいと思います。バッハがなぜこの曲にこのような例外的な措置を取ったかはわかりませんが、バッハが規則的にカンタータ演奏を始める1714年以前に作曲されたものでは単純な4声体コラールで終わっているカンタータは、4番と18番くらいなものですから、そのスタイルはまだ確立していなかったのでしょう。4声体コラールでの終結は、まさにワイマールのこの時期から徐々に一つの型として定着し始めるのだと思います。BWV172の一ヶ月前に演奏されたBWV12、1715年以降のBWV80a、31、165、185など後続のカンタータを見ればこの傾向は顕著です。 BWV172の場合、1714年の初演時は最初の曲を最後に繰り返すよう指示があり、ライプツィヒでの2回目の再演のときにその指示が外されました。我々の録音では、ワイマール版を採ったので、当然この繰り返しまで録音はしたのです。しかしワイマールのカンタータを第7巻で完結するために(CD上の)時間的な理由から残念ながらどうしてもこの繰り返しをあきらめざるを得ませんでした。(続く第8巻、第9巻などにもこの曲を収める空間がないのです。) しかし、同じく冒頭の曲を繰り返すBWV30のような場合と違って、この曲は正に定着しつつあったコラールで一旦終結しており、バッハ自身が後に繰り返しを止めたわけですから、必ずしも作品の形を歪めたとは考えておりません。 ちなみに、矢口さんのご指摘の「冒頭の曲をもう一度聞くように」という指示は、如何にCDといえどもありえないことではないでしょうか。同じ録音を何度でも聞けるCDでも、曲の一部として繰り返しを演奏することとは、別の次元の話だと思います。 (鈴木雅明さん) (98/08/15) |
Q19 | 《質問したいのですが・・・》 10日の公演に行きました。素晴らしかったです。やはり春は受難曲ですね! 身体中の血が一新された様な感じです。 とりわけ通奏低音の表現力と、曲運びの感動的な絶妙さ、とても楽しめました。そして、凄い存在感のチェンバロ(2台というのも壮観でした)と共に、オルガンの使い方も、興味深かったです。 コンティヌオの鍵盤楽器は、合唱、コラール、そしてイエスはチェンバロ(Cem)+オルガン(Org)、福音書記者は基本的にCemでしたが、聖書の言葉を喋る時はOrgを重ね、ずっとCem+Orgだったアリアも、イエスが亡くなってからは全部Orgのみとなりましたね(ですよね?)。 とても効果的だったと思います。 この辺の楽器の役割などの御意向、見解などを伺えると嬉しいのですが・・・。 それから、例えば30番のアリアのvivaceのところ、器楽は何を表現しているのでしょうか? 何通りか想像はしているのですが。 以上、素朴な疑問で恐縮ですが、宜しく御願いします。 (明の星様) (98/04/14) 明の星さん、ご質問をお寄せいただきありがとうございました。 4月10日終演後、私もチェロの鈴木秀美さんに「レチタティーボのコンティヌオで短く切るところと長めに弾くところはどのように決めていらっしゃるのですか」とお聞きしたところ、「ただ書いてあることをやっているだけですよ」とのお答えでした。しかし続けて「たとえばイエスのところや旧約(聖書)の内容の時などは長くしたね」と教えて下さったのをうかがって、「書いてあること」ということは、音符のことだけではなく、そのテキストをも含めたものなのだ、ということに気づかされました。何か、“言葉が立ち上ってくるBCJの演奏の秘密”の一端に触れたような気がいたしました。 しかし、雅明さんはどのようにお考えなのでしょうか。是非お伺いしたいものです!(5月3日のFM放送で、具体的にどこがどうなっていたのかを確かめられるのも本当に楽しみです!) (矢口) (98/04/18) |
A19 | 鈴木雅明さんからお答えをいただきました! お忙しい中、ありがとうございました。 コンティヌオの楽器に何を使うか,そしてその意味はどこにあるのか,というご趣旨の質問だと思います。 ヨハネ受難曲の最後の演奏(1749年)に際しては,コンティヌオと題したパート譜が2種類(そのうちひとつはコントラファゴットのために,と大書されています。)とチェンバロのパート譜が2種類残されています。そうすると確かに楽器の名前が記されているのは,チェンバロとコントラファゴットのみですから,後はどんな楽器が使われたか,想像するしかありません。当時の習慣から考えて,チェロとファゴット,そして16フィートとしてヴィオローネは当然含まれていたと思いますが,問題はオルガンです。コンティヌオに最も頻繁に使われたオルガンは,全音高いピッチであったため,通常2度低く移調したパート譜が用意されるのが普通ですが,ヨハネ受難曲にはそのようなパート譜が残っていません。しかし,オルガンが全く使われなかったかと言うと,恐らく1728年(または30年)に演奏された第3版では,第19曲のオブリガート楽器としてオルガンが指定され,そのための2度下げのパート譜も残されているので,いつものとおりオルガンがコンティヌオパートの中で使われていたことは想像に難くありません。 さて,そうすると第4版の場合,チェンバロをオルガンの代わりに指定したのか,オルガンと共にチェンバロも使われたのか,もはや証明の手だてはありませんが,いつも引用するL.ドレファスのコンティヌオについての論文に従えば,オルガンとチェンバロ両方を使うことがかなりの頻度で行われていたと思われるし,事実非常に効果的であるので,両方使うことにしたわけです。 ただ,問題はいつもコンティヌオのパート譜が全曲にわたって書かれていたとしても,一部分だけ演奏した,ということはありうるので,第4版のチェンバロパート譜が全曲を含んでいるからといって,常にチェンバロが鳴っていたとは限らないと思います。コンティヌオの様々な楽器は,正にオルガンのレジストレーションに相当するもので,オルガンの大家バッハのことであれば,最初から最後まで同じレジストレーションで弾き続けたとは考えられません。そこで,今回のレシタティーヴォに関しては,エヴァンゲリストの大半とペテロは,チェンバロのみ,イエスの言葉と旧約聖書からの引用,そしてイエスの本質を言い表す重要なせりふはチェンバロ+オルガン,そしてイエスが息を引きとるその瞬間のみオルガンで,と変化させることにいたしました。アリアについては,基本的にはチェンバロで演奏しましたが,32番と35番については,その曲想からオルガンの方がより適切と判断をしました。それはチェンバロのほうがより華やかな印象を与え,劇的な効果がある反面,持続的な性格は乏しいので,32番と35番のしっと りとした緊張感の高い作品には,オルガンがふさわしいと思ったのです。 第30番アルトのアリアの中間部は,イエスの「成し遂げられた」業が,正に死に打ち勝つことであったことを物語っているのです。「ユダの戦士が勝利を収め,戦いを終わらせた」,とは,「罪」とその結果としての「死」がイエスの十字架によって滅ぼされ,イエスを信じる者が勝利に,即ち永遠の命に導かれることを語っています。「命」と「死」の闘いが弦楽器の激しい動きに象徴されているのです。 (鈴木雅明さん) (98/04/20) |
Q18 | 《マタイについて》 はじめまして亀山@愛知県豊明市ともうします。 いつも楽しく拝見させていただいております。 一つ質問させてください。 演奏会情報の所で教会カンタータシリーズの記載のあとにしばらく前までは「いよいよ受難節にはマタイか?」と書いてあったのが、今日見たら、「マタイです!」と変ったような気がするのですが。(もしかしたら以前からだったかもしれませんね) ところで、詳しい情報はいつ頃発表されるのでしょうか? もうすぐヨハネ公演です、私は愛知県芸術劇場コンサートホールに聞きに行きます。とても楽しみにしています。 (亀山様) (98/03/25) |
A18 | ・・・細かいところまでよくご覧下さいました! そうなのです、その部分は最近変えたばかりです。変えた理由は、このページのQ16に対するマネージャーの武田さんのお答え(米良さん’98BCJには不参加の告知)の中にあります。 よくご覧下さい、’98年度の出演予定のカウンターテナーの紹介に続いて、「マタイは未定」と書かれていますよね。 これをもとに、例の個所を変更いたしました。それ以外には何も発表されていませんが、そこはBCJ、時期はきっと受難節のころでしょう。詳細がわかり次第、必ずご報告いたします。 (矢口) (98/03/26) |
Q17 | 《BCJ神戸公演のチケット入手について》 はじめまして.BCJのホームページいつも楽しく拝見させていただいています. 一度,というか,これからずっとなのですが,関西方面(具体的には神戸)であるBCJのコンサートを聴きにいきたいのですが,チケットはどのようにすれば,入手するのでしょうか?通常のチケットピアなどで入手できるのでしょうか?あまりにもトリビアルな質問で恐縮ですが,ご存知ならお教えください. では,BCJの演奏活動と本ホームページのいっそうの発展をお祈りしております. (中川 満 様) (98/03/23) |
A17 | 中川さん、お便りありがとうございます。 ご質問の件についてですが、BCJの神戸公演@松蔭女子学院大学チャペルは、私のうかがったところでは、「神戸松蔭チャペルコンサート」と銘打ったシリーズの一環として開催されていると思うので、その主催元である「松蔭女子学院大学宗教センター(078-882-6124)」に一度お問い合わせいただくのがよいのではないかと思われます。 ただ、私はまだ一度も松蔭にうかがったことがないので、この件について詳しい方がいらっしゃいましたら、是非ご一報をお願いいたします。(私もいつかきっと松蔭でBCJを聴くぞ!と意気込んでいる矢口でした。) (98/03/24) |
矢口さん はじめまして。 わたくしVox Humanaのメンバーの小伏和宏と申します。 Viva BCJのQ&AのQ17(中川満様)のご質問についてですが、神戸公演のチケット入手についてはお答えの通り神戸女子学院大学宗教センターに連絡されるのがベストです。ちなみに宗教センターの担当は「緋田吉也」さんです。そう、ソプラノの芳江ちゃんのご主人です。彼もまたVox Humanaのメンバーです。 ついでながらVox Humanaの演奏会のチケットも宗教センターの方でお求めになれます。こちらもよろしく。 (小伏和宏様) (98/03/25) 小伏和宏さん、ありがとうございました。ますます早く松蔭に行ってみたくなりました!(矢口) (98/03/26) | |
矢口さん,小伏和宏さん,こんにちは. さっそく,質問にお答えくださってありがとうございました.6月のコンサートぜひ聴きにいきたいものです.寺神戸さん,若松さんのダブルコンチェルトも魅力的ですね.(中川満様) (98/04/01) |
Q16 | 《98年度カンタータ出演者についての質問》 2月21日の松陰チャペルでの〜ゼロビート・シリーズ〜「主の受難を覚えて」に友人が行ってきて、プログラムを送ってくれましたが、その中に別刷りでチャペルコンサートの予定が入っていました。教会カンタータでは、カウンターテナーの出演者の予定が6月27日はロビン・ブレイズ、9月5日はカイ・ヴェッセル、2月20日もロビン・ブレイズとなっていました。 米良さんはどうしたのでしょうか。留学している桜田 亮さんも出演予定なのに。米良さんが出演予定にないのはどうしてか、ぜひ教えて下さい。 (北九州市 大庭美登里様) (98/02/27) |
A16 | お問い合わせのソリストの件で、米良氏の出演についてですが、音楽上の指向性、経済的条件ほか諸条件が合わないためBCJとしては「ヨハネ」以降の出演をお断りしました。HP上で大いに盛り上げていただいてきたので、米良ファンの方々には申し訳ございませんが、米良氏のBCJへの出演の予定はございません。 なお、米良氏の代わりのカウンターテナーは以下の通りです。 6/7月 ロビン・ブレイズ Robin Blaze(英) 9月 カイ・ヴェッセル Kai Wessel(独) 11月 太刀川昭 12月メサイア東京公演 ジェラール・レーヌ Gerard Lesne(仏) 2月 ロビン・ブレイズ マタイは未定 1999年からはアンドレアス・ショルも出演予定です。 今後とも皆様のご支援をお願い申し上げます。 (武田浩之[BCJマネージャー]) (98/02/28) |
一昨日、大庭さんのご質問のメールをいただいて、すぐにBCJのマネージャーの武田さんに問い合わせをしたところ、上記のような回答をいただきました。 大変驚きました。しかし、この決定がBCJならびに米良さんのもっとも輝く姿のためになされたものと信じます。 このホームページ上でも、米良さんを通じてBCJやバッハのカンタータに親しむようになったという声もたくさんうかがいましたし、米良さんがますます活躍の場を広げて行かれることは間違いありません。 そして、米良さんがこれまでに私たちに聴かせて下さった数々の“米良節”の名唱は決して消え去ることはありません。BCJのディスコグラフィでも、米良さんの名は輝き続けるでしょう。 ただ、ライブのBCJでの米良さんの歌声は、4月の「ヨハネ」でひとまず聴き納めのようです。 「成し遂げられた」のアリアとともにBCJでの活動に一区切りをつける米良さんに、感謝と励ましの拍手を捧げようではありませんか。 (矢口) (98/02/28) |
Q15 | BCJのヨハネ受難曲のCDで、アルトソロ2曲のうち米良さんが歌っているのはどちらの曲なんでしょう? (るりね様) (98/02/01) |
A15 | 僭越ながら、私、矢口が答えさせていただきます。 BCJのCDデビュー盤である「ヨハネ受難曲」は「第18回定期受難節コンサート“J.S.バッハ/ヨハネ受難曲”('95/4/13,14:カザルスホール)」でのライブ収録です。ご質問のアルトのアリアは、第1部の曲が米良さん、第2部の曲が太刀川さんのソロです。ちなみにこの時の演奏ではソプラノのアリアも、第1部が栗栖さん、第2部が鈴木美登里さんというようにキャスティングされていました。 これについて以前マネージャーの方に質問したことがあって、曲のキャラクターによりあっている歌い手を起用した結果ですとのお答えでした。期せずして、ソプラノ、アルトのアリアともイエスの死の前後で歌い手が変わる結果になっていて、私はその絶妙なコンビネーションにとても感銘を受けたものです。 今年の「ヨハネ」ではアルトのソリストとしては米良さんしかインフォメーションされていないので、いよいよ米良さんの“成し遂げられた”のアリア(第2部のアルトアリア)が聴けるのも大きな楽しみですね。 (矢口) (98/02/01) |
Q14 | 1/10のクリスマスオラトリオについて質問があります。 1.47番は、何故通奏低音にチェロを使わず、オルガン2台で演奏していたのでしょうか? 2.アンコールの曲は何というのでしょうか? 合唱のコラールだけではなく、ペーター・コーイが歌っていたメロディーについても教えてください。 よろしくお願いいたします。 (明の星様) (98/01/11) |
A14 | 鈴木雅明さんからお答えをいただきました! お忙しい中、ありがとうございました。
(1)まず47番のバスアリアの件。 クリスマスオラトリオにはオリジナル資料として,バッハが作曲した時の自筆スコアと実際に演奏した時のオリジナルパート譜が両方とも存在しており(自筆スコアはFacsimileの形で出版されています。),この47番のアリアが含まれる第5部には,低音用パート譜として,ふたつの“コンティヌオ”パート譜と“オルガン”パート譜が残されています。このうち,ひとつのコンティヌオパート譜には第47番が一旦書き込まれたものの,恐らくバッハ自身の筆跡と思われる字で,一番上にAria tacet(アリアは休み!)という書き込みがあるのです。そしてこのパート譜から筆写されたもうひとつのパート譜には,もはやこの曲の音符の書き込みはなく,Aria tacetだけが写されています。従って明らかにこの曲はオルガンのみで低音パートが演奏されたと思われるので,私達もオルガンのみで演奏することに致しました。 ただ,バッハが使ったはずのオルガンでは,恐らく開管のプリンツィパルが使えたでしょうが,現在私達が使っているポジティフオルガンは運搬可能な構造を持たなければならない関係で,8フィートは必ず閉管のみなので,低音のラインがどうしても非常に弱くなってしまうのです。そこで,2台のオルガンを用いて,私が通常のコンティヌオ(つまり左手で低音を,右手で和音を)弾き,今井さんには低音の旋律のみを重ねて弾いてもらったのです。そうすることで低音の旋律を少しははっきりと示すことが出来たと思います。(録音の時も同じ方法を取りました。) (2)1月10日のアンコール曲は, Peter Cornelius作曲の“Die Koenige”(「王たち」)と言う独唱曲ですが,これは実際には,1599年のPhilipp Nicolaiの“Wie schoen leuchtet der Morgenstern”(「いと美しきかな,暁の明星は」)のコラールにつけたオブリガート旋律であり,ピアノで元のコラールを演奏するように和声付けがしてあります。その伴奏部分をDavid Willcocksが合唱で歌えるように多少手を加えたものを演奏したのです。(ドイツ語のオリジナルテキストを日本キリスト教団出版局『メトロポリタン美術館版クリスマスキャロル』編集・編曲デイヴィド・ウィルコックス日本語版監修原恵・北村宗次によって演奏しました。) 当日の掲示には,ひとめで内容がわかるような書き方をしておきました。 (鈴木雅明さん) (98/01/16) |
Q13 | カンタータ第6巻(21番が入っている)の発売日を、今首を長くして待っています。確か1月頃と伺っていたのですが、具体的にはそろそろでしょうか? (金原秀行様) (98/01/11) |
A13 | 金原さんと同じく、私も今か今かと待ちこがれていますが、先日「クリスマス・オラトリオ」の録音におじゃました時(1/5)に、雅明さんのところにその「第6巻」のリーフレットの校正用の原稿が届いていました。出演者の名前の確認などをなさっていらっしゃいましたので、これから本格的に製造に入るとすると、われわれの手元に届くのにはもう少し時間がかかってしまいそうです。というわけで、“来月には発売”といったところでしょう。もうしばらくの辛抱です! (矢口) (98/01/11) |
Q12 | カンタータ第198番「候妃よ さらに一条の光を」は世俗カンタータの分類に入っていますが、BCJではやはり教会カンタータとしては演奏録音はされないのでしょうか。個人的には教会カンタータに入れてもらいたい曲です。(宮崎市 湯舟清隆様) (97/11/16) |
A12 | 鈴木雅明さんから「何がなんでもやりますのでご安心下さい。こんなに美しい曲をどうして演奏せずにいられましょうか。」というお返事をいただきました。楽しみですね。(ただ、はたしていつごろになるのでしょう・・・!)(矢口)(97/11/25) |
Q11 | これはつまらない質問か、隠された秘密がある質問なのか、わかりませんが、とりあえず気になることがありますので、よかったらお答えください。 BCJのマークについてです。 BACHのHの文字、横棒の部分がはしごのようになっています。CDが最初に出始めた頃は、単なる模様かと思っていましたが、なんで Hの横棒に模様があるのか、わかりませんでした。しかし、矢口さんのHPについて、イメージファイルを呼び出してみると、どうも模様ではなくて、あれは何ていうんでしたっけ。ローマ文字ですか? XIIIIのように読みとれます。なにか意味がある数字なのでしょうか。(宮崎市 湯舟清隆様) (97/10/25) |
A11 | 私もきちんとうかがってみたわけでは無いのですが、たぶん「バッハ」を表す14だと思います。といいますのは、バッハ自身が色々な作品の中でこの14という数字を自分の署名のように使っていると言われているからです。 なぜ14がバッハかと言うことは、アルファベットの数字化によります。すなわち、B=2、A=1、C=3、H=8、この4つの数字を合計たものが「14」なのです。 バッハは他の数字も色々な象徴としてその音楽に織り込んでいるようです。そのあたりについては、講談社現代新書の「J.S.バッハ」(礒山雅著)の第6章“数と象徴”がまず手軽な入門書になると思います。よろしければご一読下さい。 (矢口) (97/10/25) |
《BCJのロゴについて鈴木雅明さんからコメントをいただきました!》
BCJのロゴは,BCJを創立した時(1990年),芸大デザイン科の石橋忍さんと言う方が作って下さったものです。私が活動内容と趣旨を説明し,どこかにBACHを表す14という数字を隠しておいてください,とお願いしたので,その結果がHの中の格子模様のようなローマ数字XIIIIなのです(わざとXIVとは書いていません)。2種類のロゴができましたが,今使っているものがとてもシンプルでわかりやすく,しかも数字もこっそり入っているので,知る人ぞ知る秘密としてとても気に入っています(ちなみに''BCJ''も,''I''と''J''を同じに数えるラテン語式の数え方で,2+3+9合計14なのです)。 (鈴木雅明さん) (97/10/27) |
Q10 | BCJのCDはどこで手に入るのですか? 私は、BCJの熱烈なファンで、知人にBCJのCDをプレゼントしようと思って、東京の大型CDショップを見て回ったのですが、第4巻を除いて店頭には全く見当たりません。店員さんにたずねても「注文しても入荷してこない」とつれない返事。これでは折角BCJに興味を持った人がCDを買おうと思っても、なかなか手に入らないですね。1〜3巻の日本盤が売っている店を知っていたらぜひ教えてください。よろしくお願いします。(匿名希望) (97/10/13) |
A10 | お答えになっているかどうかわかりませんが、本日、東京・町田で調査(!?)いたしましたところ、「ジョルナ」内のCDショップ「Tahara」に国内盤の第1,3,4巻、輸入盤の第1,3巻があり、「大丸ビーミー」内のCDショップ「タワーレコード町田店」には輸入盤の1〜5巻すべてがそろっていました。町田はBCJCDの売れ行きが悪いのでしょうか・・・。しかし「タワー」にあった第5巻はすでに初回入荷の1690円のものではありませんでしたから、そんなことはないのかもしれません。町田のお近くにお住まいの方は今がチャンスです(?!) 昨日の東京定期の会場でキングの販売責任者の方にお会いできましたので、事情をお話ししておきました。このような“うれしい悲鳴”はなんとも言えないものですね。(矢口) (97/10/18) |
Q9 | 最新のカンタータ第5巻、毎日楽しく聴かせていただいております。この巻に収録されているカンタータ第18番について質問があります。第3曲に使われているルターの「連祷唱」とは、どのようなものなのでしょうか。ルター派の礼拝の中ではどのように使われ、またどのような感じで歌われていたのでしょうか。グレゴリオ聖歌のような響きなのでしょうか。それともコラール「神は堅きやぐら」みたいな力強い調子なのでしょうか。 それにしても、この「連祷唱」の歌詞は非常に激しいですね。それにあわせてバッハがつけた器楽パート(特に通奏低音)も、かなり激しいものになっているような気がします(鈴木秀美さんの演奏を聴いた限りでは)。またソプラノが歌っている旋律も同じ高さの音がずーっと続いているため、なにかモンテヴェルディを聴いているみたいで、ものすごく緊張感があります。16〜18世紀の会衆はあんなに激しい歌詞をみんなで歌っていたのでしょうか。現代の教会から見るとちょっと信じられません。また、バッハがルカ書の種まきのたとえを説明するのに、どうして「トルコ」だの「 ローマ教皇」だのとの戦いのことを歌ったこの連祷唱を用いたのでしょうか。関係がいまいち良くわかりません。 いずれにせよ、私にとってはちょっと不思議といおうか不可解な曲です。ぜひわかりやすく教えてください。よろしくお願いいたします。 (AH) (97/10/09) |
A9 | 私もこの歌詞の激しさには驚きを感じていた一人ですが、最近出版された小学館の「バッハ全集」第3巻“教会カンタータ3”に掲載されている徳善義和さんによる『ルター派正統主義のバッハ〜「律法と福音」をめぐって〜』という論文の中にこの歌詞に言及した部分があり、大変理解を深めることができましたので簡単にご報告したいと思います。 「この歌詞には当時のバッハ自身、また彼のカンタータに詩を提供していた詩人たちが位置していた神学的な背景が18世紀前半のルター派正統主義であることが深く関わっている。すなわち、世界のルター派教会とローマ・カトリック教会が「義認」について公式に共同宣言を発しようとするような現代の状況とは全く違って、当時のルター派正統主義は、ローマ・カトリック教会と教皇に対する厳しい姿勢をルターから引き継ぎ、これを固定化させていた。だから、当時の構造の中では厳しい言葉が重なるのも何ら問題がないどころか当時の人々は本気で歌っていたと言ってよいのではないか。・・・」と説明されています。いかがでしょうか。 なお、BWV126の第1曲のコラール合唱にもこのBWV18と同じルターの原詩が用いられていることが同論文に付記されていました。カンタータの歌詞の世界の奥深さに改めて気づかされ、大変興味深い論文でした。是非ご一読をおすすめいたします。 また、同じく「バッハ全集」第3巻の中の、音楽学者の笠原潔さんによる『バッハ、1725年夏〜《マタイ受難曲》作曲前夜〜』という論文における、“歌詞の内容と音楽との間にあえて齟齬(そご)を作り出すことによって歌詞を越えた次元の表現に踏み込もうとした技法”についての指摘も、これまた大変興味深いものでした。《マタイ》の、そしてバッハの芸術の奥深さに今更ながらに感じ入った次第です。同巻責任編集の労をとって下さった礒山先生にも心からのお礼を述べさせていただきたいと思います。 (矢口) (97/10/10) *「連祷唱」について詳しくご存じの方がいらっしゃいましたら、是非お教え下さい。よろしくお願いいたします。 *BCJカンタータ第5巻の感想も是非お寄せ下さい! |
Q8 | BCJへお尋ね・・・今までにBCJのライブ(メサイア)やCD(カンタータ)をNHKFMで聴くことができましたが、テレビに関しては、たしかヘンデルのカンタータ(栗栖由美子さんのソロカンタータ・BS放送)のみではないかと思います。バッハのカンタータがテレビ放送(地上またはBS)される予定はありませんか。また12月にはクリスマス・オラトリオを各地で公演されますが、これについてもテレビ収録及び放送の予定はありませんか。 ライブ演奏に来られない方にも是非映像と共に素晴らしい演奏を楽しんでいただきたいと思います。(湯舟清隆様) (97/10/02) |
A8 | 「ヘンデル・コンサート」は1995年6月の東京定期の初日をNHKが収録して放送したものですが、その後はBCJの演奏のTV放送はありませんね(ニュース番組の中の特集で取り上げられたこと[1996/7/11,BS1「プライムタイム・ニュース」]はありますが)。武田マネージャーにうかがったところ、「「クリスマス・オラトリオ」は長時間の番組がなかなか無いので厳しいかもしれないが、4月の「ヨハネ」なら交渉できるかもしれない。」とのことでした。しかし、いずれにせよ“視聴者の方の要望”がもっとも重視されますから、BCJの演奏をTVなどでも放送してもらえるように、NHKなどにリクエストの手紙、はがき、FAX、電子メールをどんどん送りましょう!BCJの「ヨハネ」や「カンタータ」があなたの力で放映されるかもしれません!! (矢口) (97/10/18) |
Q7 | BCJのカンタータ第5集、輸入盤はもう出ているのでしょうか。地方のこちらではまず買えません。通信販売で売ってくださるお店ご存じだったらお教えください。 それから、BCJへ質問です。先日紀尾井と松蔭のとは別プログラムで、横浜と三鷹で演奏されましたが(私は残念ながら両方とも聴けませんでした)なぜ別プログラムになったのですか。147番も松蔭で(公演なしで)録音のみをされたのですか。 (宮崎の湯舟清隆様) (97/10/01) |
A7 | (1)BCJカンタータ第5集については、CD情報誌「イン・チューン」にBISの9月新譜として紹介されていますが、10月1日現在、私もまだ入手しておりません。ほとんど毎日のように「タワー・レコード」の各店をのぞいているのですが、入荷が少々遅れているようです。なお「タワー・レコード」では輸入盤新譜の初回入荷分を1690円というお買得価格で提供してくれるので、いつも利用させていただいています。(「タワー・レコード」は九州にも小倉[093-531-6371]、福岡[092-722-4611]、熊本[096-323-1166]の3店舗があるので、通信販売についても相談されてみてはいかがでしょうか。) なお、「BCJCD情報」のコーナーにUPしたカンタータ第5集の発売予定日(11/21)はキングの国内盤の発売日です。 (2)今回の横浜、三鷹公演については、それぞれの場所でのシリーズの一環として曲目が選定されたのだと思います。前回の三鷹でのカンタータ公演ではBWV140が入っておりましたし、やはり多くの方になじまれている曲が加えられているようです。また、BWV147のレコーディングについては、横浜公演の時に武田マネージャーにうかがったところ、今回収録はしなかったとのことです。しかし1723年のカンタータとして位置づけられる曲ですから、遠からぬうちにさらに磨き上げた形でディスクにしてくれることを楽しみに待ちましょう。ちなみに今回の、特に三鷹でのBWV147の演奏は、いままで何回かこの曲をBCJの演奏で聴かせていただいた中でもBESTのものでした。その成果の一端は紀尾井定期のアンコールでも披露され、「フォーラム」のご意見・ご感想のNo,10で玉村さんがご報告下さったように素晴らしいものでした。 (矢口) (97/10/02) |
(1)BCJカンタータ第5集をついにGET! 本日(10/2)、尾高/読響のショスタコーヴィッチ5番を池袋の東京芸術劇場に聴きに行く途中、新宿の「タワー・レコード」で発見!即座にGETしました。久々のカンタータの新譜に思わず興奮してしまいました。これから先は、ほぼ2ケ月に1枚の割合でカンタータのCDが3枚ほど続けて発売されるはずです。楽しみですね。詳しい情報が入り次第、UPします。 (矢口) (97/10/03) |
Q6 | 私は去年の暮れから、バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏を聞きに行っている者です。最近の状況しかよく分かっていないです。CDの最初の頃のソリストの方々(水野さんや片野さんたち)は今どうなっているのでしょうか。 (金原秀行様) (97/09/22) |
A6 | つい最近、現在ドイツにお住まいの片野耕喜さんからメールをいただきましたのでご紹介いたします。 「BCJでテノールを歌っている片野ともうします。はじめまして。現在ドイツに住んでおり、新聞記事や音楽雑誌を訳して日本へ送るアルバイトをしているのですが、今日情報を仕入れにwwwを見ていたら偶然このページを見つけました。 まだ立ち上げて日も浅いのに、ずいぶんと内容が充実していて驚きました。私は10月のモテットにのる予定です。 (中略) 今日20日は、BCJの演奏会だったんですね。カンタータもここまでかなりのピッチでやってきましたが、先はまだまだ長いようです。わたしは www.ccsj.com/indexj.html のドイツ語圏の音楽記事を書いています。 (中略) これからもBCJをよろしくお願いいたします。以前雅明さんにわれわれのサイトの開設を打診したとき、毎日メンテナンスしてくれる人が誰かいたらなあ、といっていました。笑い事ではなく、雅明さんが「あと何番録音してなかったっけ?」なんて、矢口さんのページをこっそり(べつにバレはしないでしょうが・・・)見ることがあるかも知れませんね!? 私はハンブルク在住です。10月号の「レッスンの友」にハンブルクの生んだブラームス特集を書きました。勝手に宣伝して恐縮ですが、もしブラームスにも興味があったら、読んで感想を聞かせて下さい。ではまた。片野耕喜」 久しぶりにご出演の10月定期が楽しみです。 バスの水野賢司さんは、近年は、やはりバッハのカンタータの全曲演奏に取り組んでいるアマチュアグループ「ヨハン・セバスチャン・カンマーコーア・ヨコハマ」(http://park.org/Japan/128KTTH/tky115/Classical/Group/JSKCY)の演奏会などでご活躍されています。 (矢口) (97/09/23) |
Q5 | BWV75と147をうかがって気づいたのですが、トランペットの楽器について、コラールの時にはスライド・トランペットを使って、アリアのオブリガードの時には普通の(?)バロック・トランペットでした。どうして使い分けていらっしゃるのでしょうか。 (矢口) (97/09/20) |
A5 | それは、それぞれの曲で求められている音の違いからくるものです。具体的には、必要な自然倍音が異なる,ということがありまして、例えば,75番の第8曲めのシンフォニアには通常のG管では出せない音があるため,スライドトランペットを使用せざるを得ないということになったわけです。トランペットについて詳しいことはまた別の機会に書きたいと思います。 (鈴木雅明さん) (97/09/23) |
Q4 | 1997年9月15日、神戸でBCJのコンサートを聴きました! すばらしい演奏に感激しました。 BWV23では、通奏低音にチェンバロを加えていましたが、その理由をお教え願います。また、バッハのカンタータにおけるチェンバロの使用について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。 できましたら、鈴木雅明様のお考えを伺いたく存じます。 (久保昭彦様) (97/09/16) |
鈴木雅明さんは現在(9/16)まだ神戸にいらっしゃって、レコーディングに取り組まれているはずです。神戸でこのページをご覧いただいていればありがたいのですが・・・。お返事を頂戴できましたらすぐにUPいたします。 ところで、BWV23は、1995年の3月、あの神戸・淡路大震災のあとの初めてのBCJ定期(第17回:東京のみ?)のメインプログラムでした。今、当時のプログラムを眺めてみると、BCJのふるさと“神戸”の復興に向けての熱い思いの込められた記事に目がいきます。その“神戸”でこのBWV23が鳴り響いたのだな、と思うと感慨を禁じ得ません。「キリストよ、神の子羊よ、世の罪を担ってくださったあなたよ、私たちに平安を与えてください。」という終曲のコラール(ヨハネ受難曲第2稿に用いられたもの!)はどのように響いたことでしょうか。24日にその響きを東京でもうかがえることを楽しみに待ちたいと思います。(ちなみに17回定期の通奏低音のメンバーの欄にはオルガンの記載のみで、チェンバロは使われていなかったようです。) (矢口) (97/09/16) | |
A4 | 鈴木雅明さんから詳細なお答えをいただくことができましたので、是非こちらをご覧下さい。 (97/09/23) |
矢口様、鈴木雅明さんのご回答を掲載いただきまして、ありがとうございます。 ご多忙にもかかわらず、詳細なご回答をお寄せいただいた鈴木雅明さんにも感謝いたします。 楽譜に明白にチェンバロが指定されているカンタータが3曲だけであること等、たいへん参考になりました。また、23番の終曲だけのために、コルネットとトロンボーンを用意されたことにも感服しました。合唱を補強した、まろやかな潤いのある響きが、神秘的にさえも感じられました。 矢口様、HPがますます充実していることに驚いています。わくわくしながら、HPを読んでいます。(中略) 私も、BCJのマタイを大いに期待しています。(ヨハネは、大阪の、いずみホールで聴きました。) 私もスライド・トランペットのことが気になっていました。(編者注:Q5参照) HPの運営のご苦労には恐縮いたしますが、これからも、よろしくお願いいたします。 (久保昭彦様) (97/09/24) |
Q3 | BCJによるマタイ受難曲の演奏会の予定はありますでしょうか。決まっていたら教えて下さい。 (Yosuke Kusano様) (97/09/11) |
A3 | 日程、会場など詳しいことは未定ですが、CD情報雑誌「イン・チューン」の記事などによると、’99年の受難節に予定されているようです。情報が入り次第またUPしますが、いずれにしろもうしばらく辛抱(?)が必要なようです。 (矢口) (97/09/13) |
Q2 | BCJとほぼ同時にスタートした、エラートのコープマンによる『カンタータ大全集』に、BWV4やBWV21のライプツィヒ稿の楽曲が付録として別に収録されていますが、BCJでは同じ曲の異なる形での再演稿についてはどのように取り組まれていく予定ですか。教えて下さい。 (矢口) (97/08/15) |
A2 | ライプツィヒで再演された初期カンタータについては、できれば「ライプツィヒ時代のカンタータ」として、再演稿でも1曲全部(コープマンのように付録=アペンディクスとしてではなく)を演奏・録音したいと考えています。ますますシリーズの完結が遅くなると思われるでしょうが、初期の素晴らしい作品群を15年間演奏会で聴く(演奏する)ことができないというのは、いかにも残念ではないでしょうか! (武田BCJマネージャー) (97/08/16) |
Q1 | バッハの受難曲やカンタータのCDを聴いていると、語り(レチタティーボ)の部分の伴奏(通奏低音)を長くのばしてひいているものを耳にすることもあるのですが、BCJでは、たいがいの場合短く切って演奏していらっしゃるように思います(「ヨハネ受難曲」のCDもそうでした)。どのような理由で違いがでるのでしょうか。 (畑恵美子様:BCJ定期会員) (97/08/10) |
A1 | たいへん鋭いご質問です。実はバッハの活躍していた当時の音楽理論書をひもとくと、「セッコ・レチタティーボ(普通、低音弦とオルガンのみに伴奏されるもの)における通奏低音は短く切って演奏せよ」といったような記述に多くぶつかるのです。しかし実際にバッハ自身がどのように演奏していたのか詳しいことはわかっておらず、音楽学上も、また演奏実践上も難しい問題となっています。往年のカール・リヒターの録音などはこの問題に深入りせず、低音を長くひいてその上でオルガンの右手を雄弁に語らせるという、それはそれで説得力のある演奏方法をとっていました。しかしオリジナル楽器を用い、当時の演奏習慣に従って演奏しようとする動きが高まるにつれ、長い低音は独唱者の自由を奪い、耳にも快く響かないという認識が大勢を占めるようになりました。BCJをはじめとする現在の最先端を行く演奏はこうした音響効果の点を重視し、そのほとんどが「短く切った」演奏となっているのです。 (野中裕BCJプログラム編集委員)
(97/08/16) |
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