緋田シェフの“カンタータ料理日記” |
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- 《ご挨拶》
- 今回('98.9)が第10回目となるカンタータの録音プロジェクトを記念(?!)して、録音中にメンバーがどんなものを食べているかホームページにレポートせよ、という音楽監督からの要請で、取り敢えず書いてみました。
震災後間もなく始まったこの松蔭での録音プロジェクトは、当初、翌朝の3時、4時に及ぶこともしばしばで、食べにいく店も時間もないメンバーのためにおにぎりと味噌汁のような夜食を作るというような感じで宗教センターでの料理は始まりました。・・・回を重ねて10回目の今回の様子をまずはご覧下さい。(→第1回へ)
食材および調理器具、食器のカンパは大歓迎です。是非、緋田までご連絡ください。
連絡先:神戸松蔭女子学院大学 宗教センター Tel:
078-882-6124、Fax: 078-882-6136
(緋田吉也さん:BCJバス) (98/09/14〜) (最新更新:05/06/07)
【目次】 *ご覧になりたい回をクリックしてください。 |
第8回 |
2005年 4月22日〜25日 |
《BWV130,41,92》 |
第7回 |
1999年 3月〜2000年2月 |
《マタイ、カンタータ、ヴェスプロ編》 |
番外 |
2000年 10月29日 |
《メルボルン編》 |
第6回 |
2000年 11月9日〜10日 |
《BWV194》 |
第5回 |
1999年 10月 5日〜 8日 |
《BWV69a,77,119,50》 |
特別編 |
1999年 6月 1日〜6日 |
《味見係のカンタータ録音日記》 |
第4回 |
1999年 2月15日〜19日 |
《カンタータ第10巻》 |
第3回 |
1998年11月18日〜20日 |
《チェンバロ・ソロ番外編》 |
第2回 |
1998年 9月13日〜15日 |
《コンチェルト番外編》 |
第1回 |
1998年 9月 5日〜10日 |
《カンタータ第11巻》 |
カンタータ料理日記 第1回 1998年
9月5日〜10日 |
1998年9月5日(土) 《小手調べのパスタ3種》 人数:45名分
- ・里芋とベーコンのファルファレッラ
- レシピは青山のリストランテ・ヒロのスペシャリテ。
(「山田宏巳のイタリアオープンキッチン・パスタ」大海社 参照のこと)
- ・スパゲッティ・ジェノヴェーゼ
- 材 料:バジリコ(緋田自家製)、
パルミジャーノ・レジャーノ(猪沢氏からBCJへの新婚旅行土産)、
松の実、
オリーブオイル、
にんにく、
塩、胡椒
作り方:以上の材料をフード・プロセッサにかけ、茹で上がったパスタと和える。
- ・フォアグラのレバーペーストのパスタ
- 材 料:フォアグラのレバーペースト(缶詰・桜田亮君のお土産)、
赤ワイン、塩、胡椒
作り方:フォアグラのレバーペーストを赤ワインで煮て溶かしたものを茹で上がったパスタと和え、
塩、胡椒で味を調える。
- ◇メ モ
- メンバーは演奏会後に後援会との交流会で宅配ピザを食べてからレコーディング開始。レコーディングが始まってからBCJの深畑君とお手伝いのアンサンブル・ヴォックス・フマーナの入澤真美ちゃんの車で買い出し。マイク・テストが手間取らなかったようで、予定より早く終了。里芋とベーコンのパスタは全員に食べていただけたが、後は間に合わず、辛抱強く居残ったメンバーのみの特権となった。
1998年9月6日(日) 《一足早い
秋の炊き込みご飯 2種》 人数:45名分
- ・松茸ご飯
- 材 料:松茸(中国産)、
地鶏(播州)、
だし(昆布・かつお)、
塩・醤油・酒・みりん、
米
作り方:洗った米にだしを入れ、塩・醤油・酒・みりんで味を調え、きざんだ松茸と鳥を入れて炊きあげる。
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- ・明石蛸のごはん
- 材 料:蛸(明石)、
だし(昆布・かつお)、
塩・醤油・酒・みりん、
米、
木の芽
作り方:蛸は塩揉みし、塩水で茹でる。中まで火が通らないように1分程度であげて、ざるに取って冷まし、
薄切りにする。
洗った米にだしと蛸のゆで汁を入れ、塩・醤油・酒・みりんで味を調え(ゆで汁は塩味なので、調味
料を入れすぎないように注意する)、炊きあげる。
食べる直前に、蛸ときざんだ木の芽を混ぜる。
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- ・ハモと松茸の吸い物
- 材 料:ハモ(近海物)
松茸(中国産)、
だし(昆布・かつお)、
塩・醤油・酒・みりん・片栗粉
作り方:骨切りしたハモに片栗粉をまぶし、余分な粉をはたく。
沸騰しただし(昆布・かつお)にハモのあらを入れ、エキスが出たらあらを取り出す。
塩・醤油・酒・みりんで薄味に調え、食べる直前にハモと松茸を加える。
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- ・菜っ葉の炊いたん
- 材 料:白菜、
薄あげ、
だし(昆布・かつお)、
塩・醤油・酒・みりん
作り方:白菜はざく切りにする。薄あげは熱湯で油を抜き、細切りにする。
だし、塩・醤油・酒・みりんで程よく煮る。
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- ・なすびの煮びたし
- 材 料:なすび、
サラダ油、
だし(昆布・かつお)、
醤油・酒・みりん・砂糖
作り方:なすびは輪切りにしてサラダ油でいため、だし・醤油・酒・みりん・砂糖で少し濃いめ
(甘口)に煮含ませる。
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- ◇メ モ
- 今日はトゥッティで13時から20時までびっしり録音の予定。料理にも気合いが入る。買い出しは水道筋の市場(松蔭のある灘区の台所である)に行く。比較的安くて良い中国産の松茸があったので、「松茸ご飯にしましょう」という僕の言葉に財布を握っている深畑君の顔がこわばる。その上に蛸まで買うというとさらに固くなる。(4匹で千円は安い!) だが、出来上がりを食べてニンマリの表情のギャップが面白かった。
1998年9月7日(月) 《なにがなんでもブイヤベース》 人数:45名分
- ・明石の近海魚を使ったブイヤベース
- 材 料:明石の近海魚
(今回は鯛1尾、すずき2尾、太刀魚6尾、カワハギ10尾、舌びらめ10尾を使った)、
酒、サフラン、塩、フェンネルの茎、セロリ、たまねぎ、ホールトマト、
アリオリソース:にんにく、卵黄、塩、ビネガー、オリーブオイル
フランスパン
作り方:フュメ・ド・ポアソン(魚の出汁)を作る。
(沸騰したお湯に魚をおろしたあら、みじん切りにしてオリーブオイルで炒めたフェンネル
の茎、たまねぎ、セロリ、つぶしたホールトマト、酒[白ワインがなかったので]を入れて
30分程煮込む。ざるでこして出来上がり。)
アリオリソース(にんにくマヨネーズ)を作る。
(にんにくのすりおろし、卵黄、塩、ビネガー、オリーブオイルをフードプロセッサーにかける。)
フュメ・ド・ポアソンを温め、サフランを入れ、色と香りが出たらぶつ切りにした魚を入れ、塩
で味を調える。取り分けてアリオリソースとフランスパンを添えていただく。
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- ◇メ モ
- 今回のカンタータの録音は、神戸松蔭女子学院大学の夏休み期間でもあり、僕自身は比較的時間の余裕もあるので、前から実現したいと考えていた「明石の魚の棚市場への買い出し」をついに敢行してしまったのである。
松蔭から真美ちゃんの車に乗り約45分で到着。来た甲斐がありました。上記の魚全部で6000円。トゥッティの録音は人数が多いため、予算の関係で料理の内容が落ちてしまうのを、安くてうまい明石の魚でぶっ飛ばすことができました。
量が多くて、さすがに魚をおろすのは大変でしたが、休憩中に深畑君、真美ちゃんに心もとない包丁さばきを見かねた堂阪さん、秀美さんがお手伝いくださるという一幕もありました。今日で合唱は終了。お疲れさまでした。
- 1998年9月8日(火) 《ディルク氏に捧ぐハヤシライス》 人数:約25人分
- ・ハヤシライス
- 材 料:牛薄切り肉、
たまねぎ、
ホールトマト、ドミグラスソース(缶詰)、
赤ワイン、バター、小麦粉、砂糖、塩、胡椒、固形ブイヨン、醤油
作り方:たまねぎを薄切りにして、半分量をバターでキツネ色になるまで良く炒める。
牛肉も半分量を軽く炒め、炒めたたまねぎ、ブイヨン、赤ワイン、ホールトマト、水で煮込む。
砂糖と水で焦がし気味のブラウンソースを作る。煮込んだたまねぎと牛肉がトロトロになって
きたら、ドミグラスソースを入れ、残りのたまねぎ、牛肉を軽く炒めて入れる。
ブラウンソース、カラメルソース、塩、醤油、砂糖で味を調え、一煮立ちしたら出来上がり。
硬めに炊いたライスにかける。
トマト、キュウリ、ブロッコリ、セロリ、ピーマンのサラダを添える。
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- ◇メ モ
- BISのDirk氏は魚が全くダメで、前日などもまったく食されない。みんなが「おいしい、おいしい」と言って食べているのを尻目にパンにチーズである。今日はディルク氏をはじめ、カイ・ヴェッセル、マルセルらも大喜びでした。
1998年9月9日(水)
今日は3時ごろに殆どのメンバーが録音終了し、東京に帰ってしまうため、おにぎりを握っただけなので、詳細は省略。
- 《後記》
- 上記の献立を読んだだけでは結構リッチなものを食べて、優雅じゃないかと思われたのではないかと想像するのですが、実際は違います。
宗教センターのキッチンはおおよそ40名以上の賄いをするような設備ではなく、オフィスによくあるお茶を沸かすコンロと小さい流しがあるだけのものです。BCJが少しづつ買い足した調理器具で工夫して調理し、学校給食のお下がりの食器(昔なつかしいアルマイト)で、宗教センターのオフィスには50名以上も座る椅子も場所もないので、ある者は立って、ある者は外で食べるのです。
合唱メンバーとして出演している時はもちろん料理はできませんが、神戸はおいしい魚やその他食材に恵まれていますので、できるだけ手作りで、添加物などは使わずに、心を込めて作ろうと思って調理をしています。
メンバーの方から過分に褒めていただくものですから、つい調子に乗りすぎて色々と凝ったメニューにすることが多いので、「レシピを是非ホームページに」ということになりました。(最近は料理ばかり褒められるので少々複雑な気持です。) 料理は専門ではないので変なところもたくさんあると思いますが、録音風景が少しでも伝われば、と思ってのことですので、お許しいただき、ご教示いただければ幸いです。又、食材および調理器具、食器のカンパは大歓迎です。是非、緋田までご連絡ください。
連絡先:神戸松蔭女子学院大学 宗教センター Tel:
078-882-6124、Fax: 078-882-6136
カンタータ料理日記 コンチェルト番外編 1998年
9月13日〜15日 |
1998年9月13日(日) 《かますの焼き喰い一升飯》
(瀬戸内のことわざ) 人数:約12人分
- ・焼きカマスご飯
- 材 料:カマスの干物
白胡麻、大葉
作り方:カマスは焼いて身をほぐしておく。炊きあがったご飯にカマス、胡麻を混ぜる。
最後に大葉の細切りをふりかける。
その他:ほうれんそうのおひたし、なすぴの煮物、シジミ汁を添える。
-
- ◇メ モ
- 前日はオペラシティでの演奏会。J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲全曲のCDの後半を録音すベく(前半は7月5〜7日に録音済み)演奏者は午後の新幹線で4時過ぎに新神戸着。5時頃より録音が始まる。なぜ選抜メンバ−は喰いしんぼぱかりになってしまうのか謎であるが、これに立ち向かうベく、気合を入れようとする。しかし、家内(ソプラノ)も昨日の本番に出ており、帰ってくるまで娘(4歳)の子守をしていたため、完全に子守モードである。元気を出すベく市場に買い出しに行くが、閉店時間も近く、あまり良いものがない。簡単にできるものを考えて、上記のようになった。だが、意外にも白身のカマスをご飯に混ぜると魚だとわからなかったのか、魚ぎらいのディルクがおかわりまでしたのはびっくりだった。
この日は順調に進みオーポエとヴァィオンのための協奏曲の1、2楽章が終了。マルセルは、ロ先ではなく、息の支えで完壁にコントロールするため、全く吹き疲れしないのだそうだ。
1998年9月14日(月) 《こだわりマスターのチキンカレー》
人数:約12人分
- ・チキンカレー
- 材 料:鶏の骨付ぶつぎりもも肉、
玉ねぎ、にんにく、生差
ホールトマト
カレー粉、ビール、塩、好みでチャツネやフルーツジュース
作り方:玉ねぎ、にんにく、生善はみじん切りにし、弱火でじっくり妙める。
焦がさずに、どれだけ妙めるかで味が決まるので、最低20分は妙めること。
もも肉は、塩とカレ‐粉を擦り込み、軽く焼き目が付く程度に妙め、妙めた玉ねぎ、
ホールトマト、ビール(水でも良い)を入れて煮込む。
カレー粉(最近は凝ったものもあるので、工夫してみてください)塩で味付け。
好みでチャツネ(なければ100%果汁のりんごジュースなど)を入れる。ライスにかける。
又、付け合わせで、サラダとヨーグルト(ブルーべリー入り)を添える。
-
- ◇メ モ
- 声楽の時はスパイシーなものはできないので、久々にカレーにいたしました。お家ではよく料理もされる寺神戸さんより「こだわりマスターが1日限定〜食で、出しているようなカレー」と言っていただいたので、この名前にしました。
マルセルは3時過ぎに終了。ホ長調のコンチェルトに取りかかる。今日中には全曲収録は終わらないが、明日は夕方までには終了し、ほぼ全員がその日のうちに東京に帰ってしまう。それではなんのために録音をやっているのかわからない?!ので、なにがなんでも今夜の録音終了後に打ち上げを行うことに。
メンバーより会費をいただいて買い出しに行き、カレーの終了後に調理。マルセルがシャンパンとメロンの差し入れをしてくれた。メニューはアジのたたき、サザエの刺し身と壷焼き、穴子の煮付、甲いかの湯引き、ひいかのニンニク妙めなど。この打ち上げの模様については残念ながらお伝えすることができません。尚、録音はホ長調のコンチェルト1,2楽章が終了。
1998年9月15日(火:祝)
- ◇メ モ
- 3時過ぎに全曲終了。昨日の打ち上げ用に買っていた焼き肉1キロが手つかずだったので、網焼きにし、ご飯の上にのせ、タレをかけて焼き肉井にすると、小腹のすいた人(全員)が食べて、嵐のように去って行った。7月に引き続き、人数のわりには料理ばかりに時間がとられたような…。(食ベる時間は短い)
- 《後記》
- ・・・(第1回をご覧いただいて)「今回限りではなく、連載して下さい」という声も漏れ聞こえてきましたので、厚かましくも番外編を書かせていただきました! (緋田吉也さん:BCJバス) (98/10/04)
カンタータ料理日記 チェンバロ・ソロ番外編 1998年11月18日〜20日 |
1998年11月18日(水) 人数:4名分
- 〈お献立〉
- ・はげ(カワハギの関西弁です)の魚ちり、雑炊付
1998年11月19日(木) 人数:4名分
- 〈お献立〉
- ・白菜 白湯煮 薩摩豚 帆立
・長芋 なめこ和え とんぶり
・穴子 蓮根蒸 葛あん
・いか 印籠煮
・牡蠣 昆布船土手焼き 柚子風味
・鱈 ちり蒸 ぽん酢
- 《白菜の白湯煮》
- 鶏ガラで出汁をとり、白菜を煮込む。豚肉を広げて入れ、帆立水煮を加えてさらに煮込む。薄口醤油、塩で味を整える。
- 《長芋なめこ和え》
- なめこは茹でて、出汁、醤油にひたす。長芋は短冊に切り、なめこと和えて、とんぶりを散らす。
- 《穴子の蓮根蒸》
- 蓮根の皮をむき、酢水にさらして、すりおろす。卵白少々と片栗粉を蓮根に混ぜたものを、焼き穴子をくるむように椀に入れ、蒸す。葛あんを張り、わさびをのせる。
- 《いかの印籠煮》
- するめいかのわたを抜き取り、ごはんを詰め、つまようじでとじ合わせ、醤油、酒、味醂、砂糖で煮る。
- 《牡蠣の昆布船土手焼き》
- 昆布を水で濡らし、両端に切れ目を入れて、よりあわせ、昆布の紐でくくる。麦味噌、酒、味醂、砂糖で合わせ味噌を作り、昆布船に牡蠣、しめじ、白葱、柚子の皮を入れ、合わせ味噌とともに火にかける。
- 《鱈のちり蒸》
- 昆布の上に白菜、しめじ、鱈、菊菜をのせて、蒸し上げる。ぽん酢、もみじおろしを添える。
1998年11月20日(金)
- 〈お献立〉
- ・なます 大根 富有柿 バルサミコ風味
・炊き合わせ 南京 里芋 絹さや
・鮭 白子蒸 ぽん酢
・すずき 幽庵焼き
・水菜 はりはり風
・せこ蟹 かに味噌ごはん
- 《なます》
- 大根は拍子木に切り、塩をする。柿は皮をむき、適当な大きさに切る。バルサミコ、出汁、酢、塩で加減酢を作り、食べる前にかける。とんぶりを散らす。
- 《炊き合わせ》
- 下煮した南京、里芋を薄口の出汁で炊き合わせる。絹さやを添える。
- 《鮭の白子蒸》
- 白子に酒を振りかけ、蒸す。ぽん酢、もみじおろしでいただく。
- 《すずきの幽庵焼き》
- 醤油、味醂、酒、柚子のしぼり汁、皮のつけ汁にすずきをつけ、焼く。6分通り火が通ったらつけ汁をかけて焼く。
- 《水菜はりはり風》
- 昆布、鰹の出汁に薄口醤油、味醂で味付けし、まぐろを入れ、さっと煮て、水煮した水菜を入れる。
- 《せこ蟹のかに味噌ごはん》
- せこ蟹は塩茹でし、外側の卵、中のかにみそ、身を取り出しておく。洗った米をかつお、昆布のだし、薄口醤油、酒、味醂で味付けして水加減を合わせ、かにの殻を入れて炊く。炊きあがったら、殻を取り出し、卵、かにみそ、身をまぜる。
- ◇メ モ
- 《ついに、トップシークレットだったチェンバロ・ソロのメニューが明かされる!》
とは大げさ過ぎますが、カンタータだけのメンバーが見たら、ちょっと羨ましがるのではないでしょうか。今回は小学館のバッハ全集にも収録されるJ.S.バッハの初期、未収録作品の録音も兼ねているため、バッハ全集の編集長の大原さんが来られて、食事代のスポンサーとなっていただきました。初日(11/17)は皆でファミレスに行ったのですが、2日目の夕方になっても大原さんはいらっしゃらない。こちらは焦って、大急ぎで買い物し、殆ど料理しなくていい鍋物になったのですが、大原さんは大感激。録音のことはともかく、僕の料理のことをレコード芸術誌1月号、バッハ全集の広告の中に書いてくださることになりました。(レコード芸術1月号
新譜月評・協奏曲に出ています。) (緋田吉也さん:BCJバス) (99/02/10)
カンタータ料理日記 第4回 1999年 2月15日〜19日 |
1999年2月15日(月) 《ダンちゃんに食べさせたや白子そば》 人数:約8人
- ・白子そば (加藤敏彦先生のアイディア料理を参考にしました)
- 材 料:鱈の白子
牡蠣
そば(乾麺)
だし(鰹、昆布)、三つ葉
作り方:昆布、鰹でだしを取り、薄口醤油、塩、酒、味醂、砂糖で味を付ける。
白子は少量のだしでのばしながら、すり鉢であたる。食べる直前に温めておいただしの中に入れる。
牡蠣は塩水で洗い、昆布を敷いた皿にのせ、酒を振りかけて蒸す。皿にたまった汁はだしの中に
入れる。乾麺は、茹でてから、水で洗い、お湯で温め、器にとる。白子入りのだしを注ぎ、牡蠣と
三つ葉をのせる。
- ◇メ モ
- 今回の録音はコンティヌオとソリストから始まり、珍しく少人数。市場に買い出しに行くと、5月のヘンデル・リコーダーソナタの録音の時にダン・ラウリンがあんなに食べたがっていた白子が山のように売っている。(その時は季節はずれで鯛の白子を食べさせた) さっそく買い占めて、上記の献立になりました。音楽監督は翌日の芸大の入試のためどうしても東京に帰らなければならず、新幹線最終ぎりぎりの時間だったのに「これを喰わずに帰れるか」と、猛烈サラリーマンよろしく立ち食いですすり込み、タクシーに飛び乗ったのでありました。本日は買い出しにマイカーを運転してくださったソリスト・櫻田さん、ありがとうございました。(すっかり市場にはまってしまいましたね。)
1999年2月16日(火) 《まだ飲んでもないのに鯛茶漬け》
人数:約12人
- ・鯛茶漬け
- 材 料:鯛
昆布、酒、薄口醤油、味醂
三つ葉、大葉、ぶぶあられ、刻みのり、わさび
作り方:鯛は三枚におろし、アラはさっと熱湯をかけ、残っている鱗、血合い、汚れを水洗いして落として、
沸騰した昆布のだしに入れる。アクをすくい、だしが出たら、酒、薄口醤油、少量の味醂、塩で
整える。鯛の身は薄いそぎ切りの刺し身にする。ごはんをよそい、鯛の刺し身、刻んだ三つ葉と
大葉、ぶぶあられをのせて、上記の熱いだしを注ぐ。のりをふりかけ、わさびを中央にのせる。
- ・水菜のおばんざい
- 材 料:水菜
薄あげ、だし
作り方:水菜はよく洗い、さっと茹でて(30秒ぐらい)冷水にとる。味付けをした昆布と鰹のだしに、水菜、
油抜きした薄あげを入れ、さっと煮る。
(水菜を下ゆでしないで直接入れる方法もある)
- ◇メ モ
- 今日は音楽監督が東京から帰って来てから録音となるので、開始時間が4時30分から。人数も昨日のメンバー+オーボエ2、ヴァイオリン2のみである。今日も市場に買い出しに。人数が少ないし、ついつい録音が終わってからの酒肴となるようなものに目がいってしまい、そういうものはすぐ決まってしまうのだが、肝心のメニューが決まらない。とりあえず安かった鯛をなんとかしようということになり、鯛飯かと思ったが、頭の中がすっかり飲み屋モードになっていたので、松蔭へ帰るタクシーの中で思いついた「鯛茶漬け」にすることに。順序は逆でしたが、これはこれで好評でした。録音終了後はオフを利用して倉敷への小旅行から帰ってきた櫻田夫妻も合流し、楽しい会となりました。(メニューは省略させてください。悪しからず。)
1999年2月17日(水) 《冬の名残の粕汁と春のきざしの貝ご飯》
人数:約23人
- ・貝ご飯
- 材 料:貝(今回はマテ貝、ハマグリ、アサリを使った)
昆布、酒、薄口醤油、味醂
三つ葉、刻みのり
作り方:貝は塩水でよく砂を吐かせてから洗い、昆布でとっただしを沸騰させ、その中に入れる。
貝が開いたらすぐ取り出す。洗った米に冷ました上記のだしを入れ、酒、薄口醤油、味醂で味を
見ながら、水加減も調節し、炊く。取り出した貝を刻み、炊きあがったご飯に混ぜ、刻んだ三つ葉、
刻みのりをふりかけていただく。
- ・粕汁
- 材 料:鮭(身とアラ)
金時人参、大根、子芋、椎茸、セリ
昆布、酒粕、酒、白味噌、薄口醤油
作り方:昆布だしを沸騰させ、鮭、金時人参、大根を入れ火が通ったら、下ゆでした子芋を入れ、椎茸を
入れる。最後に酒で溶いた酒粕を入れ、白味噌、薄口醤油、塩で味を整え、器に入れて、刻んだ
セリを薬味に入れる。
- ◇メ モ
- 今日から弦楽器が加わり、ようやくカンタータの録音らしくなってきた。水曜日で東半分は休みなのだが、又々市場へ買い出しに。献立を全然考えていないので、思いつくにはこの場所しかないのです。潮干狩りを思い出すマテ貝があったので、さっそくメニューにしてしまいました。NHKテレビの「甘辛しゃん」のモデルであろう「大黒政宗」(女社長で震災後は少量のおいしいお酒を限られた酒屋に卸しています)の酒粕、京都の白味噌も手に入れることができたので、粕汁もぐっと香り高いものになりました。BISのイェンス、インゴにも好評でした。(彼らは日本酒も大好きです。)
1999年2月18日(木) 《今日は寒いからシチューにしよう》
人数:約40人
- ・チキンときのこのクリームシチュー
- 材 料:骨つきもも肉(鶏肉) 5kg
人参12本、玉葱10個、ジャガイモ(小40個)、月桂樹の葉、胡椒
きのこ類(今回はマッシュルーム、エリンギ、シメジ、シイタケを使った)
牛乳1リットル、生クリーム 400cc、パルメザンチーズ(櫻田くんのお土産)
小麦粉 500g、バター 500g
作り方:フライパンに小麦粉、バターを入れ、絶対に焦がさないように混ぜ合わせ、ホワイトソースを作る。
鶏肉をひたひたになるぐらいの沸騰した湯に入れ、アクをすくいながら、煮る。月桂樹、ニンジン、
タマネギも入れる。火が通ったら、ジャガイモも入れ、牛乳を入れて煮る。ホワイトソースを溶かし、
チーズをすりおろしたものを入れ、きのこも入れてさっと火が通ったら、塩と胡椒で味を整える。
生クリームを流し入れて出来上がり。フランスパンを添えていただきました。
- ◇メ モ
- いよいよ今日から合唱も加わり全員で録音。和食が続いたので洋風に決定。天候不順で気分的にも寒いので、身も心も温まり、財布も寒くならないものを、ということで上記のメニューになりました。学校給食では定番のメニューですが、きのことパルミジャーノ・レジャーノを入れて、ぐっと本格的な味に迫りました。
1999年2月19日(金) 《恐怖のギョーザ》
人数:約45人
- ・水餃子
- 材 料:豚ミンチ 3kg、むきえび 800g、餃子の皮 550枚
キャベツ 2個、ニラ 2束半、生姜
片栗粉、醤油、オイスターソース、ごま油、塩、砂糖、ラー油、酢
作り方:キャベツはみじん切りにし、塩、砂糖を混ぜて水気を出す。豚ミンチに塩、醤油、オイスターソース、
ごま油を入れ、ねばりが出て白っぽくなるまでよく練る。冷蔵庫で30分ぐらい寝かせる。
えびはみじん切りにして半分はすり鉢ですり身にする。豚ミンチに固く絞って水気を切ったキャベツ、
生姜すりおろし、片栗粉、えび、刻んだニラを入れて十分に混ぜて、しばらくなじませる。
皮に包み、たっぷりの湯で茹でて、酢、醤油、ラー油のタレでいただく。
- ・中華風お粥
- 材 料:米(6合×2)、サラダ油、塩、
干し貝柱(なければ帆立フレークの缶詰6缶)、香草(中国パセリ)
作り方:米を洗い、ざるにとって、油をかけて混ぜる。(ここがポイント)今回は干し貝柱がなかったので、
帆立フレークの缶詰を利用した。よくほぐし、煮汁も入れて多めの水で粥を炊く。(1時間以上)
底がこげないように注意して時々かきまぜるが、やりすぎると粘る。
仕上げに塩で味付けし、刻んだ香草を薬味とする。
- ◇メ モ
- 録音は今日が最終日。明日の演奏会で全て終了。今日は中華で、ということになったが、深畑君はどうしてもギョーザがいいという。前にギョーザを作ったことはあるが、数が多くて本当に大変だったのだ。その時アシスタントをしていた綾ちゃん(現在は米良美一のマネージャー)は「もう絶対ギョーザはやめようね」と言ったものだった。大変だよ、と言っても動じない深畑君(何事にも動じないのが彼の良いところだ!?)に、僕が料理しない時のこともあるので、レシピと手順は教えるとしても僕抜きで買い出しから責任をもってやってもらうことにした。結局、時間的に間に合いそうもないので、僕だけでなく出番待ちのオーボエ2人にも皮に包むのを手伝ってもらうことになったのだが、これが間違いだった。尾崎さんは実に美しく包んでくれるのだが、もう一人のオーボエ奏者は、変なギョ−ザばかりを作り、甘納豆入り、練りカラシ入りなど数個を四百のギョーザの中へ潜ませたのであった。いざ、茹でる時にはどれがどれやらわからなくなっており、恐怖のギョーザが誰に当たるかということで戦々恐々であったが、かわいそうにカラシ入りはVnのルナさんに、甘納豆入りは、最も悪い
相手の秀美さん(甘い物を憎んでいるのだ)に当たってしまった。食事以後の録音、および松蔭会館でどのようにイビられたかは想像にお任せする。
食べ物の恨みは怖いぞ、三宮君!
ギョーザには懲りただろう、深畑君!
- 《オ・マ・ケ》
- 作りおきして、テーブルに出しておくと、いつのまにかなくなってしまう人気のサイドメニューをご披露いたしましょう。
- ・伊予柑のマーマレード
- 材 料:伊予柑(できれば無農薬や減農薬のものを。自然食品屋で売っています)
グラニュー糖(目安として伊予柑の重量の60%ぐらい)
レモン(これもできれば国産でワックスや防カビ剤などがないもの)
作り方:伊予柑は、横半分に切り、スクイーザーで果汁を搾り、取っておく。スプーンで皮の裏側を
こそげ落とす。(少し水に濡らしてからやるとやりやすい)
水洗いして、皮を包丁で細かく刻み、30分ほど水にさらしておく。
沸騰したお湯に皮を入れ、しばらく茹でて、ざるにとり、水で洗う。(茹でこぼし)
味を見て、苦みが強いようなら、もう一度茹でこぼす。
固く搾って水気を切ってから、果汁、半分量のグラニュー糖を足して、煮上げる。
伊予柑は甘いので、火を止める直前にレモン汁を入れ、味を整える。
保 存:冷蔵庫で保存し、すぐに食べきってしまうようなら容器に入れるだけで良いのですが、大量に
作って長期保存したり、プレゼントするような場合は密閉消毒するのが、よいでしょう。
ジャム用のガラス瓶(一度使ったジャムの瓶でも可)をよく洗い、大きめの鍋に水と瓶を入れて
沸騰させて、煮沸消毒をし、熱いうちに取り出して伏せておく。(やけどをしないように)出来立
ての熱いジャムを入れ、フタをし(固く閉めすぎないように)蒸し器にいれ、15〜20分蒸す。
常温で半年ぐらいは保存できる。
その他:甘夏、ネーブル、ぶんたん、ゆず、三宝柑などでもお試しください。
(緋田吉也さん:BCJバス) (99/03/01)
のり番でお忙しい緋田シェフの支えとなり活躍されている、ヴォックス・フマーナのメンバーにしてシェフの味見係(?)の宮崎恵美子さんから、カンタータ録音風景の楽しいお便りをいただきました。 皆様、じっくりご賞味ください!
ではどうぞ。 (99/06/11)
(特別編) 味見係のカンタータ録音日記 1999年
6月 1日〜6日 |
- 1999年6月1日(火)
- 今日からレコーディング開始。ソリストとコンティヌオ、それにオーボエのパトリックのみで、至って静かに進みました。今日予定されていた曲は全て録音完了。24時ごろ終了。
料理は、今日はまだ出番のない緋田さんにおまかせしました。緋田さんは昨日のオペラシティの本番を終えて朝一番の新幹線で神戸に戻り、宗教センターの仕事をしてからシェフに変身。凄い人です。メニューは、「料理日記」に場所をゆずることにしてナイショにしておきます(緋田さんよろしく)。とりあえずおいしかったとだけ書いておきます。
- 1999年6月2日(水)
- 予定どおりにいかないのが人間の体というもの。殊に遠路はるばるやって来る外国人たちには、気候の違いもつらいものかも知れません。ソリストのうち二人の調子が思わしくなく、数曲を後回しにすることになりました。しかし転んでもただでは起きないのがBCJ。早く切り上げたのをいいことに午後8時30分、割烹・緋田が開店。私は夕刻、シェフに同行して買い物に出かけましたが、魚の選び方なんかは本当に勉強になります。ねぎひとつ選ぶにも真剣勝負だったのが印象的でした。
過密なスケジュールの中、たまにはこういう日があってもいいと思います(調子が悪くて宿に帰った人たちには気の毒ですが)。一曲録音するための所要時間は、大体アリアで2時間、レチタティーヴォで30分〜1時間、コラールで1時間といったところでしょうか(もちろんばらつきはありますが)。時々私は録音中のチャペルを覗いてみるのですが、それは見ているだけで辛くなるような作業なのです。まず一度通して演奏してテスト録りをします。それをBISのスタッフ(今回デュルクとイェンスです)と演奏者が一緒に聴いてチェック。その後、いよいよ気の遠くなるようなセションが始まります。数節すすめてはストップがかかり、発音、音程などが事細かに注意されます。このスタッフとのやりとりは、雅明先生の横に置かれたスピーカーを通して行われます。私など聴いていても一体どこが悪かったのか分からないようなことが多いのですが、彼らは全く妥協することなく何度でも録り直します。それでもイライラしたりせず、極限状態のなかでもユーモアを忘れないのが、一流アーティストの所以でしょう。BISスタッフも、いきなり「あそこが悪い」とはやらずに、「Good,bu
t...」という感じで、気遣いが感じられます。こんな感じで進みますので、一曲終わるごとに歓声が上がります。
みなさん、明日もがんばってくださいね。
- 1999年6月3日(木)
- レコーディングはたいてい14時から始まります。この日は147番のソプラノのアリアよりスタート。少し見学させてもらいました。
林立するマイクのなか、野々下さんは「お立ち台」の上に立っています。といっても椅子をふたつ並べただけのものですが。これは録音位置の為の工夫だと思います。いつもソリストは靴を脱いでこの上で歌っているのです。
野々下さんの声はとても知的で魅力的です。御本人にお聞きしたところ、普段はメゾやアルトを歌うことが多いとのこと。メゾの声質を持った人の高音は、ソプラノしか歌わない歌手とはまた違った深い色があっていいですね。ゼレンカのマニフィカトのソロは最高です。
寺神戸さんは始める前に「僕こんなの弾けないよ」なんて冗談をおっしゃっていましたが、いつもの香り高い音色で奏でられる連綿とした3連符に、私はしばし時間を忘れてしまいました。みなさん、タダ聴きしてゴメンナサイ。
本日よりTuttiのメンバーが合流。18時頃から三々五々集まってきてだんだん賑やかになってきました。関西弁の聞こえてくる方に目をやると、いましたBCJのマルチタレント・テノールの彌勒さん。この人は生まれも育ちも関東なのに、なぜか関西弁と標準語のバイリンガル。大阪人の私が騙されるほど堪能です。ところで彌勒さんのしゃべりはかなり面白い。大阪人から見てもレベル高いと思います。しかしその彼から見ても関西人は強烈らしいのです。「こっちの人はすぐに話しかけてくるなぁ」と言われます。彌勒さんはいつも朝のうちにスポーツクラブでひと汗流してから松蔭に来られるのですが、今日はサウナで居合わせたコワモテのおっちゃんにいきなり声をかけられてびっくりしたそう。曰く「兄ちゃん、なんか香水つけとるんか?」 彌勒さん「ハ、ハイ...」 おっちゃん「ごっつうえぇ匂いや! どこで売ってるねん。教えてくれへんか? ごっついええわぁ」.....確かにそうかも? でもこんな人ばかりじゃないですよ。彌勒さんといえは6月19日(土)と20日(日)に「シェークスピア劇中音楽の夕べ」(19日19:00〜、
20日15:00〜、19:00〜、銀座クロイゾンホール、問い合わせ先プリスキラ・アーツTel.03ー3571ー0955)に御出演されます。BCJメンバーもたくさん参加しています。きっと楽しい舞台に違いありません。20日14時からは銀座中央通りを練り歩くのだそうです。みなさん是非見に行って下さいね。
夕食はいろんな漬物を買ってきて作ったおにぎりとアサリのすまし汁。休憩中だった三ちゃんことオーボエの三宮さんが目を輝かせながら「手伝おっか?」と言ってくださいましたが、この人に包みものをお任せするは極めて危険(料理日記参照)と判断した為、丁重にお断り申し上げました。
- 1999年6月4日(金)
- メニューは、オルガンの今井奈緒子さんのリクエストで「穴子の白煮丼」。深畑氏はコストを心配してはじめは渋い顔。穴子って関東では高いんですか? でも説得して一緒に水道筋の市場に出かけました。結局お店の穴子を全部買い占めて戻りました(ずいぶんオマケしてもらいました。おばちゃんありがとう)。
今日はだいたい二人で料理しましたが、タレの味付けだけは緋田チェック。いつも手伝わせてしまってごめんなさい(マタイのときも結局手をかりてしまったのでした)。
おいしく仕上がったところで、出番の終わったロビンに先に食べてもらいました。とてもおいしそうに食べてくれたので「この魚知ってる?」と尋ねたところ、「うん、ウナゴでしょ?」との答え。何やら混同しているようなのでちょっと説明してみましたが、下手な英語は通じたのでしょうか? でも鰻も穴子もお寿司屋さんでよく食べるみたいです。ロビンとペーターは早く終わると、よく六甲の「すし鉄」というお寿司屋さんに行くようです。前回来日したときに見つけたのだそうですが、たいへん気に入った様子で、「店のお客さんと歌ってきた」こともあるそう。一体なにを歌ってきたのかまでは聞きませんでしたが、このときすし鉄に居合わせた人たちはラッキーでしたね。
話は変わりますが、バスの浦野さんは大の手塚治虫フリーク。神戸へ来られる時は必ず宝塚にある手塚治虫記念館へ足を運ばれます。明日の朝も、何人かのメンバーを連れて行かれるそうです。私も誘っていただいたのに行けなくて残念。今度のレコーディングのときには是非ご一緒させて下さいね。
- 1999年6月5日(土)
- 私は松蔭の方はお休みして名古屋へ。寺神戸さんのベートーヴェンを聴いてきました。バロックから古典へと2丁のヴァイオリン(と弓)を抱えての東奔西走。前日午前1時ごろまで録音していたとは思えない集中力で、瑞々しいベートーヴェンを聴かせてくださいました。特に後半がテンション高くて良かったです。フォルテピアノのボヤン・ヴォデニチャロフは美音でかつスリリング。伴奏からこれだけのものを感じさせてくれる人はそうはいないと思います。足をのばした甲斐がありました。
料理は真美さんと深畑さん、緋田さんがされたようです。それに加えて調律の林さんも一品「トウガンの冷製スープ」を作ってくださいました(次の日に余りをいただきました。おいしかったです)。この林さん、表舞台には出ないので、みなさんあまりなじみがないかも知れませんが、BCJ一強烈な人はこの人かもしれません。有無を言わさぬべらんめえ口調でばっさり斬るさまに、隠れファンきわめて多し。私などは斬られっぱなしの観がなくもないのですが...。「酒が入ったほうがスムーズに調律できる」なんておっしゃっていますが本当ですか? 林さんは神戸にはこの日のみの参加。お会いできなくて残念です。
- 1999年6月6日(日)
- さて料理は苦手だけれどお菓子作りが大好きな私は、毎回何かお菓子を作ってみなさんに差し入れることにしています。今回は旬のさくらんぼを使って焼菓子にしてみました(ちなみにマタイのときは「苺のチーズムース白ワイン風味」でした)。そこで突然ですが、
《パティスリ恵美のカンタータお菓子日記》
〜さくらんぼのケーキ〜 φ24pのタルト型5台分
- 材料 ・バター 360g 仕上げ用
- ・ブランデー 適量
・三温糖 300g ・粉砂糖 適量
・アーモンドプードル 200g
・卵 12個
・薄力粉 480g
・ブランデー 大匙6
・アメリカンチェリー(生) 1s
- 作り方 ・バターをクリーム状に練り、三温糖、アーモンドプードルを加えよく練る
- ・卵を一つづつほぐしてから混ぜ、ブランデーを加える
・ふるいにかけた粉を加え、ざっくり混ぜる
・種をとったさくらんぼ(小麦粉をふっておく〜生地の底に沈まないようにするため)を加え、
バターを塗った型に流す
・170℃のオーブンで30分焼く
・熱いうちにブランデーを刷毛でしみこませる。さめたらラップをかけて一日寝かせる
・食べる直前に茶こしで粉砂糖をふりかける
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あまり甘いものを召し上がらない秀美さんまでが食べて下さったのがうれしかったです。種がちゃんと抜けていないのが当たってしまった147番コンマス様、本当にごめんなさい。でもひとりで3つも食べるからですよ、ね、寺神戸さん。
閑話休題。今日が松蔭チャペルコンサートです。15時の開演でしたが、13時頃にはすでに扉の前に列が出来ていました。一番前に並んでいたのは「佐藤兄妹(姉弟?)」と我々ヴォックス・フマーナ・メンバーがお呼びしているお二人で、この方たちは寒いときも暑いときも、チャペルコンサートがある時は、いつも必ず一番に来られています。とても寡黙な方たちですので、一度もお話したことはないのですが。
コンサートは大盛況で、用意した250席は満席。座れなかった人達にはオルガン台に上がっていただきました。私も上から聴かせてもらいました。ただ、座るとなにも見えないので立ち見となります。当然不満だった人もいるようで、私の後ろの御婦人は誰かに苦情を言っている様子。振り返ってみると、聞き役はなんと前半出番がなかったので聴きに来ていた寺神戸さん!
シャツにネクタイだったため係の人と間違われたのでしょうか? 災難でしたね。でもひとりで3つも食べるからですよ(?)。
演奏は本当に素晴らしいものでした。長くなるので感想は敢えて書きません。この数日間、私はBCJのみなさんと一緒に食事をしたり、冗談を言い合ったり、そんなところばかりを見ていましたが、黒衣に身を包んで演奏する姿こそ、本当の姿なのですね。みなさんかっこ良かったです!
さて公演が跳ねてめでたしめでたしかと言うと、そうではありません。まだ147番の超有名なコラールのレコーディングが残っていたのです。30分ほど休憩をとった後録音再開。誰もが疲れていたのに、そこに妥協はありません。1時間ほどでようやくOK。誰からともなく拍手が沸き起こりました。
慌ただしくシャンパンで乾杯した後、殆どのメンバーは明日の所沢公演のため、帰路に就きました──洗い物の山を残して。にわかに寂しくなって座り込んでしまいましたがそれも束の間、私は音楽監督夫妻、緋田夫妻、BISのスタッフ達、深畑さん、真美さんらと共に打ち上げに繰り出しました。なんだか異様に盛り上がったこの席、女性陣の間では「BCJの男性のなかで誰が一番好みのタイプか?」というきわどいテーマが展開されました。内容がここに書けなくて残念です。ちなみに環さんに水を向けたところ、「もちろん雅明さんよ」とのお答えが。愚問でしたね。ゴチソウサマデシタ。あ、私ですか? みなさん素敵だと思いますよ、本当に。 (了)
VIVA!
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