カンタータ・データ 2001
BCJのコンサートに登場するカンタータについてのデータ
をお届けします!
コンサートに向けての“予習”などにお役立て下さい!
 

 2001年度、BCJ定期公演はカンタータづくし!
 このHPにおいでいただいている皆様の中には、BCJの定期公演で取り上げられるカンタータについて“予習”されている方もいらっしゃることと思います。私も、毎回できるだけ個々のカンタータになじんでから演奏会に伺うようにしています。と申しますのは、何も知らずに初めて聴いてもバッハのカンタータはそれぞれの美しさがあり楽しく聴くことができるのですが、やはり「言葉と音楽の結びつき」が大きな意味を持つカンタータ演奏では、内容への理解の度合いが演奏を通して得られるものの大きさに深く関わっていると思うからです。まして、その「言葉と音楽の結びつき」にこだわって取り組んでいるBCJの演奏ですから、なおさら事前にできるだけ曲の世界に親しんでから実演に接したいものです。鈴木雅明さんから毎回のプログラムの“巻頭言”をお送りいただいている(本当にありがとうございます!)のも、この点を踏まえてのものです。
 そこで、限られた情報ではありますが、今年度のBCJ定期で取り上げられるカンタータに関する基本データを、順次このコーナーで紹介していこうと思います。これらのデータをもとに『聖書』を参照していただく(次回に取り上げられるカンタータのデータから当該聖句へのリンクを設けました!)などしてコンサートを迎え、当日入手できるプログラムと合わせ、より深いBCJ体験を持っていただけましたら幸いです。 (02/02/08) 

・以下の、演奏会ごとに示した曲目のところをクリックするとデータにジャンプします。
・次回に取り上げられるカンタータ・データ中の「礼拝での聖句」欄の書簡、福音書名をクリックすると、
 当該の聖句を読むことができます
カンタータの基礎知識についてはこちら(「カンタータの源を求めて」)をご覧下さい!

*参考文献・・・『バッハ事典』(礒山雅/小林義武/鳴海史生編:東京書籍刊:1996)
          『バッハ全集』第1巻〜5巻(『バッハ全集』編集部:小学館刊:1995〜99)
          『トン・コープマン/バッハ・カンタータ全集CD』解説(C.ヴォルフ[訳:鳴海史生]、野中裕)


【J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ Vol.28 〜ライプツィヒ1724年 II 〜】にむけて

    5月19日(土) 第145回松蔭チャペルコンサート:神戸松蔭女子学院大学チャペル 15:00
    5月26日(土) 第48回東京定期:東京オペラシティ コンサートホール 19:00


         曲目 〔1724年のカンタータ 2 〜復活節のカンタータ〜
             《栄光の日が現れた》BWV629 他 (パイプオルガン独奏 :今井奈緒子)  
              《喜べ、汝らもろ人の心よ》 BWV66
             《イエス生きたもうと知る心は》 BWV134
            《死人の中より甦りしイエス・キリストを覚えよ》 BWV67


【J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ Vol.29 〜ライプツィヒ1724年 III 〜】にむけて

    6月30日(土) 第146回松蔭チャペルコンサート:神戸松蔭女子学院大学チャペル 15:00
    7月 7日(土) 第49回東京定期:東京オペラシティ コンサートホール 19:00


         曲目 〔1724年のカンタータその3〜復活節後、昇天節用カンタータ〜〕
              《イスラエルの牧者よ、耳を傾けたまえ》 BWV104
            《汝はいずこに行くや》 BWV166
            《まことに、まことに汝らに告ぐ》 BWV86
            《信じてバプテスマを受くる者は》 BWV37


【J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ Vol.30 〜ライプツィヒ1724年 IV 〜】にむけて

    9月22日(土) 第147回松蔭チャペルコンサート:神戸松蔭女子学院大学チャペル 16:00
    9月29日(土) 第50回東京定期:東京オペラシティ コンサートホール 19:00


         曲目 〔1724年のカンタータその4〜聖霊降臨節用カンタータ〜〕
              《人々汝らを除名すべし》 BWV44
            《人もしわれを愛せば、わが言を守らん》 BWV59
            《待ち焦がれし喜びの光》 BWV184

              《高く挙げられし血肉よ》 BWV173


2002年!


【J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ Vol.31 〜ライプツィヒ1724年 V 〜】にむけて

    2月 9日(土) 第51回東京定期:東京オペラシティ コンサートホール 19:00
    2月11日(月祝) 第149回松蔭チャペルコンサート:神戸松蔭女子学院大学チャペル 15:00


         曲目 〔1724年のカンタータその5〜新年,顕現節,マリアの潔めの祝日用カンタータ〜〕
            《人々シバよりみな来たりて》 BWV65
            《イエス眠りたもう、われ何を望むべき》 BWV81
            《あたらしき契約の喜ばしき時》 BWV83

              《主に向かいて新しき歌を歌え》 BWV190



 《喜べ、汝らもろ人の心よ》 BWV66  
 
初演 1724年 4月10日、ライプチッヒ                       
用途 復活節第2日 
礼拝での
   聖句
書簡  :使徒言行録 10,34-43
福音書:ルカ 24,13-35(復活したイエスがエマオで弟子たちの前に現れる) 
歌詞 作者不詳;世俗カンタータBWV66aのパロディ  (引用:作者不明のコラール[第6曲])          
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:トランペット、オーボエ2、ファゴット、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約31分 (レオンハルト:32分、コープマン:27分) 
構成 第1曲:合唱(合唱、トランペット、オーボエ2、ファゴット、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォ(バス、弦楽、通奏低音)
第3曲:アリア(バス、オーボエ2、ファゴット、弦楽、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(アルト、テノール、通奏低音)
第5曲:二重唱(アルト、テノール、ヴァイオリン・ソロ、通奏低音)
第6曲:コラール(合唱、オーボエ2、弦楽、通奏低音)     
備考 *1718年12月10日にケーテンの領主レーオポルトの誕生日を祝って演奏された世俗カンタータ
  改作。オリジナルから3曲が削除され、終結コラールが追加され、喜ばしいフィナーレの合唱が冒頭
  に移された。
*原詩における「至福」と「風評」という寓意的な登場人物の対話は、第4曲〜5曲における「恐れ」(A)
  と「希望」(T)の対話として生かされた。この両者の対話を軸として当日の福音書聖句(ルカ 24,13
  -35)に密着した内容が繰り広げられる。


 《イエス生きたもうと知る心は》 BWV134  
 
初演 1724年 4月11日、ライプチッヒ
用途 復活節第3日
礼拝での
   聖句
書簡  :使徒言行録 13,26-33
福音書:ルカ 24,36-47(復活したイエスが、エルサレムで弟子たちの前に現れる)         
歌詞 作者不詳;BWV134aのパロディ
編成 声楽:ソロ(AT)、合唱
器楽:オーボエ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約31分 (レオンハルト:27分、コープマン:26分) 
構成 第1曲:レチタティーヴォ(アルト、テノール、通奏低音)
第2曲:アリア(テノール、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
第3曲:レチタティーヴォ(アルト、テノール、通奏低音)
第4曲:二重唱(アルト、テノール、弦楽、通奏低音)
第5曲:レチタティーヴォ(アルト、テノール、通奏低音) 
第6曲:合唱(合唱、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
備考 1719年の新年用世俗カンタータ BWV134aパロディ(転用)。原曲の「対話」の名残をとどめた
  二重唱カンタータ
*1731年の再演の際、歌詞との関連を改善するためか、3つのレチタティーヴォ(1,3,5曲)が新たに
  作られた。今日の演奏ではこの最終稿が用いられることが多いが、BCJの判断やいかに。


 《死人の中より甦りしイエス・キリストを覚えよ》 BWV67  
 
初演 1724年 4月16日、ライプチッヒ
用途 復活節後第1日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :第1ヨハネ 5,4-10
福音書:ヨハネ 20,19-31 (復活したイエスが弟子たちの前でしるしを行う) 
歌詞 作者不詳 (引用:第2テモテ 2,8[第1曲]、N.ヘルマンのコラール[第4曲]、
             ヨハネ 20,19[第6曲]、J.エーベルトのコラール[第7曲])   
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:コルノ・ダ・ティラルシ(スライドホルン)、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダ・カッチャ2、
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約14分 (レオンハルト:14分、コープマン:14分) 
構成 第1曲:合唱(合唱、スライドホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音)
第2曲:アリア(テノール、オーボエ・ダモーレ、弦楽、通奏低音)
第3曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第4曲:コラール(合唱、スライドホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダ・カッチャ2、
                                          弦楽、通奏低音)
第5曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第6曲:アリア合唱(バス、合唱、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音)
第7曲:コラール(合唱、スライドホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダ・カッチャ2、
                                                  弦楽、通奏低音)
備考 *「ヨハネ受難曲」初演後の最初の創作カンタータ。第1年次のカンタータ中の傑作と評される音楽。
  教会カンタータでフラウト・トラヴェルソが用いられた最初の作品でもある。
コルノ・ダ・ティラルシ(スライドホルン)にどのような“春の新作楽器”が登場するか楽しみ!
  Tp奏者・島田さんのHPの掲示板によれば「Bb管ホルン型スライドホルンinBです。今まで、ポスト・
  ホルンの延長上に(小型の時代的に新しいもの)考えていたのですが、今回はコルノ・ダ・カッチャ
  の延長上(同じ時代の同じベルの拡がりのもの)で考えることにしました。そして、今回、それを現実
  化しました。モダンでいえば普通のトランペットの音域です。音色は、コルネットでもなくフリューゲル・
  ホルンでもなく、やっぱりスライドするホルンとなりました。これで、バッハが1723年から4年に感じた
  音色にまた一つ、近づけたのでしょう。」とのことです。
*第1曲は壮大な合唱曲。「覚えておけ」との命令を刻印する主要主題と、「甦り」を描く活発な対位
  主題に基づいて発展する。「覚えておけ」の主題はマタイ受難曲第1曲でソプラノ・イン・リピエーノが
  歌うことでも知られる「おお、罪なき神の小羊よ」の旋律。これによって「甦りし者」がわれらの罪を
  負って十字架につけられた主・イエスであることを想起させる。


《イスラエルの牧者よ、耳を傾けたまえ》 BWV104 
 
初演 1724年 4月23日、ライプチッヒ聖ニコライ教会 
用途 復活節後第2日曜日  
礼拝での
   聖句
書簡  :第1ペテロ 2,21-25
福音書:ヨハネ 10,12-16 (私は善い羊飼いである) 
歌詞 作者不詳 (引用:詩編80,2[第1曲]、C.ベッカーのコラール[第6曲]) 
編成 声楽:ソロ(TB)、合唱
器楽:オーボエ2オーボエ・ダモーレ2、オーボエ・ダ・カッチャ
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
  
演奏時間 約18分 (アーノンクール:18分、コープマン:19分)  
構成 第1曲:合唱(合唱、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲:アリア(バス、オーボエ・ダモーレ、弦楽、通奏低音)
第6曲:コラール(合唱、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦楽、通奏低音) 
備考 「善き羊飼い」を表象する田園的な魅力に溢れたのどかなパストラーレ調の音楽。
  小さな編成の曲ではあるが、親密な音楽が繰り広げられている。                     


《汝はいずこに行くや》 BWV166
 
初演 1724年 5月 7日、ライプチッヒ                  
用途 復活節後第4日曜日 
礼拝での
   聖句
書簡  :ヤコブ 1,17-21
福音書:ヨハネ 16,5-15 (私は去って、父の御下に行く) 
歌詞 作者不詳 (引用:ヨハネ16,5[第1曲]、B.リングヴァルトのコラール[第3曲]、
           エミーリエ・ユリアーネ・シュヴァルツブルク=ルードルシュタットのコラール[第6曲])
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:オーボエ、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音    
演奏時間 約17分 (レオンハルト:18分、コープマン:15分)  
構成 第1曲:アリア(バス、オーボエ、弦楽、通奏低音)
第2曲:アリア(テノール、オーボエ、ヴァイオリンsolo、通奏低音)
第3曲:コラール(ソプラノ、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲:アリア(アルト、オーボエ、弦楽、通奏低音)
第6曲:コラール(合唱、オーボエ、弦楽、通奏低音)  
備考 *福音書聖句のイエスの言葉から出発し、それをキリスト者ひとりひとりにふり向けつつ、人が「行く
  べきところ」を説いてゆく。
第2曲オブリガート・パートは伝承されたパート譜ではオーボエのみであるが、同じ音楽のもう
  一つのオブリガートをもつオルガン編曲(BWV584)が見られることから、新全集の編者A.デュルは
  ヴァイオリンによる2つめのオブリガート・パートを復元している。レオンハルトは録音でこの復元
  譜を採用しているが、コープマンは第2オブリガートをオーボエ・ダモーレに演奏させている。
  BCJの選択やいかに!
第3曲ソプラノによるコラール唱は、レオンハルト盤はソロ、コープマン盤は合唱が歌っている。
  はたしてBCJでは? 筆者の予想は合唱です!


《まことに、まことに汝らに告ぐ》 BWV86
 
初演 1724年 5月14日、ライプチッヒ 
用途 復活節後第5日曜日 
礼拝での
   聖句
書簡  :ヤコブ 1,22-27
福音書:ヨハネ 16,23-30 (イエスの名において求めよ) 
歌詞 作者不詳 (引用:ヨハネ16,23[第1曲]、G.グリューンヴァルトのコラール[第3曲]、
                           P.スペラートゥスのコラール[第6曲]) 
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:オーボエ・ダモーレ、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音   
演奏時間 約15分 (アーノンクール:13分、コープマン:14分)  
構成 第1曲:アリオーソ(バス、オーボエ・ダモーレ2、弦楽、通奏低音)
第2曲:アリア(アルト、ヴァイオリンsolo、通奏低音)
第3曲:コラール(ソプラノ、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第5曲:アリア(テノール、弦楽、通奏低音)
第6曲:コラール(合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦楽、通奏低音)  
備考 *冒頭のイエスの恵みの約束によって、神の恵みが豊かに降り注ぐかのような喜ばしい印象でスタ
  ートし、現世の生活の苦難の中で御言葉を信じ、正しき時におけるその成就を待つべきことを説い
  ていく。
第2曲の技巧的なヴァイオリン・ソロの華麗な音型と歌声部の奇妙な屈曲が「バラを折る Rosen
  brechen」行為(手を傷つけても神の御言葉を実践することの譬え)を具象化する。


《信じてバプテスマを受くる者は》 BWV37
 
初演 1724年 5月18日、ライプチッヒ                               
用途 昇天節 
礼拝での
   聖句
書簡  :使徒言行録 1,1-11
福音書:マルコ 16,14-20 (イエスの昇天)
歌詞 作者不詳 (引用:マルコ 16,16[第1曲]、Ph.ニコライのコラール[第3曲]、
                       J.コールローゼのコラール[第6曲]) 
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:オーボエ・ダモーレ、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音           
演奏時間 約16分 (アーノンクール:16分、コープマン:15分)    
構成 第1曲:合唱(合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦楽、通奏低音)
第2曲:アリア(テノール、[ヴァイオリンsolo]、通奏低音)
第3曲:コラール(ソプラノ、アルト、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、弦楽、通奏低音)
第5曲:アリア(バス、オーボエ・ダモーレ、弦楽、通奏低音)
第6曲:コラール(合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦楽、通奏低音)  
備考 *バッハの4つの昇天節用カンタータ第1作。ここではイエスの昇天そのものは扱われず、福音書
  章句のイエスの言葉を発端に、信仰とは何か、洗礼とは何かについて考察する。
*自筆総譜は失われており、オリジナル・パート譜にも一部欠損があるため、第2曲ヴァイオリン
  ソロのパートが伝承されていない。各種の復元譜で演奏されるが、BCJがどのように演奏するか、
  注目される。   


《人々汝らを除名すべし》 BWV44
 
初演 1724年 5月21日、ライプチッヒ                              
用途 復活節後第6日曜日 
礼拝での
   聖句
書簡  :第1ペテロ 4,8-11
福音書:ヨハネ15,26-16,4 (つまずくな、あなた方を殺す者がくる) 
歌詞 作者不詳
(引用:ヨハネ16,2[第1,2曲]、M.モラーのコラール[第4曲]、P.フレーミングのコラール[第7曲])
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:オーボエ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音            
演奏時間 約17分 (アーノンクール:18分、コープマン:16分)     
構成 第1曲:二重唱(テノール、バス、オーボエ2、通奏低音)
第2曲:合唱(合唱、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
第3曲:アリア(アルト、オーボエ、通奏低音)
第4曲:コラール(テノール、通奏低音)
第5曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第6曲:アリア(ソプラノ、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
第7曲:コラール(合唱、オーボエ2、弦楽、通奏低音)   
備考 *ライプツィヒにおける周年用カンタータ集第1巻のために書かれた、最後のオリジナル作品
*カンタータはヨハネ16,2の迫害の預言を冒頭に置き、キリスト者を襲う迫害、苦難をリアルに描き  
  つつ、神を信じてこれに耐えることを勧める。


《人もしわれを愛せば、わが言を守らん》 BWV59 
 
初演 1724年 5月28日、ライプチッヒ                               
用途 聖霊降臨節第1日 
礼拝での
   聖句
書簡  :使徒言行録 2,1-13
福音書:ヨハネ 14,23-31(聖霊の降臨と別れの預言) 
歌詞 ノイマイスター(1714)
(引用:ヨハネ14,23[第1曲]、M.ルターのコラール[第3曲])   
編成 声楽:ソロ(SB)、合唱
器楽:トランペット2、ティンパニ、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音 
演奏時間 約14分 (アーノンクール:12分、コープマン:11分)  
構成 第1曲:二重唱(ソプラノ、バス、トランペット2、ティンパニ、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォ(ソプラノ、弦楽、通奏低音)
第3曲:コラール(合唱、弦楽、通奏低音) 
第4曲:アリア(バス、[ヴァイオリンsolo]、通奏低音)
*第3曲:コラール(合唱、弦楽、通奏低音)の反復(?)
備考 *このカンタータは、ノイマイスターの原詩7節のうち4節しか作曲されていないことなど、完成作とし
  ては腑に落ちない点がある。
*1724年の当該祝日には、恐らく第1,2,4,3曲の順で、説教後に演奏された。しかし、アーノンクールの
  CDでは第1〜4曲までを曲順に演奏した後、第3曲のコラールを反復して演奏している。一方、コープ
  マンのCDでは他のカンタータからのコラールを演奏している。はたしてBCJの判断やいかに!?


《高く挙げられし血肉よ》 BWV173
 
初演 1724年 5月29日、ライプチッヒ                              
用途 聖霊降臨節第2日  
礼拝での
   聖句
書簡  :使徒言行録 10,42-48
福音書:ヨハネ 3,16-21(神は、世の救いのために独り子を遣わした) 
歌詞 作者不詳(世俗カンタータBWV173aの書き換え)   
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:フラウトトラヴェルソ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音  
演奏時間 約16分 (アーノンクール:14分、コープマン:14分) 
構成 第1曲:レチタティーヴォ(テノール、弦楽、通奏低音)
第2曲:アリア(テノール、フラウトトラヴェルソ2、弦楽、通奏低音)
第3曲:アリア(アルト、弦楽、通奏低音)
第4曲:二重唱(ソプラノ、バス、フラウトトラヴェルソ2、弦楽、通奏低音)
第5曲:レチタティーヴォ(ソプラノ、テノール、通奏低音)
第6曲:合唱(合唱、フラウトトラヴェルソ2、弦楽、通奏低音)   
備考 *ケーテン時代の世俗カンタータ《いとも尊きレーオポルト殿下よ》BWV173aの改作
  原曲の第1〜5曲第8曲が取り入れられたが、第1,2曲の声部がソプラノからテノールに、第3曲の 
  声部がバスからアルトに移された。またしめくくりの二重唱が4声の合唱曲へと改められている。
*歌詞の言葉の入れ替えが最小限にとどめられているため、当日用の福音書章句の内容とはさし
  たるつながりを持たない。


《待ち焦がれし喜びの光》 BWV184
 
初演 1724年 5月30日、ライプチッヒ                               
用途 聖霊降臨節第3日 
礼拝での
   聖句
書簡  :使徒言行録 8,14-17 
福音書:ヨハネ 10,1-11(私は善い羊飼いである) 
歌詞 作者不詳(世俗カンタータBWV184aの書き換え)(引用:A.ヴィルデンフェルスのコラール[第5曲])   
編成 声楽:ソロ(SAT)、合唱
器楽:フラウトトラヴェルソ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音   
演奏時間 約24分 (レオンハルト:24分、コープマン:21分)
構成 第1曲:レチタティーヴォ(テノール、フラウトトラヴェルソ2、通奏低音)
第2曲:二重唱(ソプラノ、アルト、フラウトトラヴェルソ2、弦楽、通奏低音)
第3曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第4曲:アリア(テノール、[ヴァイオリンsolo]、通奏低音)
第5曲:コラール(合唱、フラウトトラヴェルソ2、弦楽、通奏低音))
第6曲:合唱(合唱、フラウトトラヴェルソ2、弦楽、通奏低音)   
備考 *ケーテン時代のカンタータBWV184aのパロディ。原曲は一部のパート譜が伝えられるのみで、
  おそらく1721年の新年用だったと考えられる。バッハは1723年の聖霊降臨節3日目にその転用
  による宗教稿を用意したが、初演は結局翌年に持ち越された。
*世俗カンタータが原曲であることもあって、アリアと合唱曲はほとんど、響きの豊かな舞曲風の音楽
  となっている。


《主に向かいて新しき歌を歌え》 BWV190
 
初演 1724年 1月 1日、ライプツィヒ 
用途 新年 
礼拝での
   聖句
書簡  :ガラテヤ 3,23-29
福音書:ルカ 2,21(イエスの割礼と命名) 
歌詞 作者不詳 (引用:詩編149,1、150,4[第1曲]、
            M.ルターのドイツ語テ・デウム[第1,2曲]、Js.ヘルマンのコラール[第7曲]) 
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:トランペット3、ティンパニ、オーボエ3オーボエ・ダモーレ
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
   
演奏時間 約19分 (コープマン:17分)  
構成 第1曲:合唱(合唱、トランペット3、ティンパニ、オーボエ3、弦楽、通奏低音)
第2曲:コラールレチタティーヴォ(合唱、アルト、テノール、バス、弦楽、通奏低音)
第3曲:アリア(アルト、弦楽、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲:二重唱(テノール、バス、ヴァイオリン(オーボエ・ダモーレ)、通奏低音)
第6曲:レチタティーヴォ(テノール、弦楽、通奏低音)
第7曲:コラール(合唱、トランペット3、ティンパニ、オーボエ3、弦楽、通奏低音)   
備考 *バッハがライプツィヒで初めて迎えた新年のためのカンタータ。第1〜3曲で神への讃美と過去の
  恵みへの感謝を語ったあと、第4曲で視点を内面に移しつつ、福音書章句のキーワード「御名」
  表象を導入。第5曲におけるその省察を経て、新しい年の恵みへの祈りへと達する。
伝承が不完全(第1,2曲は自筆総譜が欠けており、合唱4声部とヴァイオリン2声部のパート譜しか
  伝わっていない)なため演奏には復元が必要。W.ラインハルト(1948)とO.アラン(1971)の復元譜が
  あるが、コープマンは自ら復元スコアを作って録音した。果たして鈴木/BCJの演奏では?
*このカンタータの第1,2,3,5曲が1730年にアウグスブルク信仰告白200年記念祭のためのカンタータ
  BWV190aに転用された(テキストはピカンダーによる)が、その音楽もまた現存していない。
*今回のBCJ公演では、冒頭の合唱楽章については鈴木雅明さんの監修の下、そのご子息で
  東京芸術大学作曲科で学んでいる鈴木優人(まさと)さんが実際の復元作業を行ったとのこと。
第5曲のオブリガート楽器のパートにはオリジナルスコアに楽器の指定の記載がない。そこで
  音域の面からオーボエ・ダモーレが用いられるケースもあるが、今回は音型の特徴から判断して
  ヴァイオリンで演奏されるとのこと。 (02/02/08) 


《人々シバよりみな来たりて》 BWV65
 
初演 1724年 1月 6日、ライプツィヒ                               
用途 顕現節
礼拝での
   聖句
書簡  :イザヤ 60,1-6
福音書:マタイ 2,1-12 (東方の博士たちのベツレヘム来訪)
歌詞 作者不詳 (引用:イザヤ 60,6 [第1曲]、
           J.シュパンゲンベルクのコラール[第2曲]、P.ゲールハルトのコラール[第7曲(補足)])
編成 声楽:ソロ(TB)、合唱
器楽:ホルン2、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約17分 (アーノンクール:17分、コープマン:14分)
構成 第1曲:合唱(合唱、ホルン2、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音)
第2曲:コラール(合唱、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音)
第3曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第4曲:アリア(バス、オーボエ・ダ・カッチャ2、通奏低音)
第5曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第6曲:アリア(テノール、ホルン2、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音)
第7曲:コラール(合唱、ホルン2、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音) 
備考 *バッハがライプツィヒで迎える初めてのクリスマスの一連の作品の最後に位置し、多産なクリスマス
  期を輝かしくしめくくっている。
ホルンを伴った祝典的な冒頭合唱に始まり、旧約の預言と新約におけるその成就の対置から信仰
  ある心こそ神への最大の捧げ物であるとの論旨が導かれる。
*第7曲、コラールのテキストは自筆総譜に記載がない。ゲールハルトのコラール詞はK.F.ツェルターに
  よる補足である。


《イエス眠りたもう、われ何を望むべき》 BWV81
 
初演 1724年 1月30日、ライプツィヒ                               
用途 顕現節後第4日曜日 
礼拝での
   聖句
書簡  :ローマ 13,8-10
福音書:マタイ 8,23-27(舟の上のイエスが嵐と海を叱り、嵐を鎮める)
歌詞 作者不詳 (引用:マタイ 8,26 [第4曲]、J.フランクのコラール[第7曲]) 
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音 
演奏時間 約16分 (アーノンクール:16分、コープマン:16分) 
構成 第1曲:アリア(アルト、リコーダー2、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、弦楽、通奏低音)
第4曲:アリオーソ(バス、通奏低音)
第5曲:アリア(バス、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音)
第6曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第7曲:コラール(合唱、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音) 
備考 *福音書聖句にある海上での嵐と信仰をめぐるエピソードが絵画のように描かれたカンタータ。
  船上で眠るイエスの姿と嵐の苦難に瀕したキリスト者のおののきを対置する形で始まったカンタータ
  は、逆巻く海にイエスが呼びかける劇的な場面を経て、目覚めた主に庇護される幸福の表現へと
  たどり着く。
*「クリスマス・オラトリオ」では「静まれ」と訳された「シュヴァイク」(第5曲でイエス(バス)が逆巻く波を
  鎮めようと呼びかける言葉)がキーワード。
*最後のコラールはモテット「イエスよ、わが喜び」で知られるしみじみとした調べ。


《あたらしき契約の喜ばしき時》 BWV83
 
初演 1724年 2月 2日、ライプツィヒ                              
用途 マリア潔めの祝日 
礼拝での
   聖句
書簡  :マラキ 3,1-4
福音書:ルカ 2,22-32(幼子イエスがエルサレムの宮に入り、シメオン老人に会う)
歌詞 作者不詳 (引用:ルカ 2,29-31 [第2曲]、M.ルターのコラール[第5曲]) 
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:ホルン2、オーボエ2、ヴァイオリン・ソロ、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音 
演奏時間 約18分 (アーノンクール:20分、コープマン:17分) 
構成 第1曲:アリア(アルト、ホルン2、オーボエ2、ヴァイオリン・ソロ、弦楽、通奏低音)
第2曲:イントナツィオーネとレチタティーヴォ(バス、弦楽、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、ヴァイオリン・ソロ、弦楽、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第5曲:コラール(合唱、ホルン、オーボエ2、弦楽、通奏低音)  
備考 マリア潔めの祝日2月2日)用のカンタータ。福音書章句の語るシメオン老人の感動を背景に、
  死の瞬間を、信仰がイエスを抱く喜びの時として捉える。バスの独唱カンタータとして名高いBWV
  82と同じテーマの曲であるが、満たされた「眠り」を表現の中心したBWV82に対し、このBWV83で
  は、救い主にまみえた「喜び」が表現の中心になっている。
*第1,3曲で活躍するヴァイオリン・ソロは大変技巧的なパート。今回のコンサートミストレス、若松夏美
  さんの妙技が楽しみなところ。
*第2曲の「イントナツィオーネ」は蒼古な詩編唱定式。これによってシメオンのほめ歌が歌われる。

 


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