礼拝で朗読された聖句 『聖書 新共同訳』より


 ルター派教会の礼拝式における説教音楽であるバッハの教会カンタータは、教会暦の特定の祝祭日に演奏されることを前提として作曲されたものです。それゆえに、当日読誦される聖書の使徒書簡や福音書章句とカンタータの歌詞との間には密接な関連があり、それらの聖句を念頭に置いて初めてカンタータを理解することが可能であるといっても過言ではないでしょう。
 そこでこのコーナーでは、バッハの教会カンタータなどのより深い理解のために、『聖書 新共同訳』(発行:日本聖書協会)から次のBCJ定期公演で演奏されるカンタータの、該当する使徒書簡と福音書の聖句を掲げてみました
 それぞれの祝日について作曲されたカンタータ等のBWV番号の一覧表もあわせて掲げてましたので、鑑賞の参考にしていただければ幸いです。 

(05/02/22更新) 

《教会暦順 カンタータ等一覧表》

教会暦の祝祭日(日付)
書簡章句
福音書章句
カンタータ等のBWV番号
(初演順)
待降節第1日曜日 ローマ 13,11-14 マタイ 21,1-9 6162,36
待降節第4日曜日 フィリピ 4,4-7   ヨハネ 1,19-28 132
降誕節第1日 テトス 2,11-14、
イザヤ 9,1-6
ルカ 2,1-14 6391,110,248,191
降誕節第2日
(殉教者ステパノの記念日)
テトス 3,4-7、
使徒言行録 6,8-15
使徒言行録 7,55-60
ルカ 2,15-20、
マタイ 23,34-39
40121,57,248
降誕節第3日 ヘブライ 1,1-14 ヨハネ 1,1-14、
ヨハネ 21,20-24
64133,151,248
降誕節後第1日曜日 ガラテヤ 4,1-7 ルカ 2,33-40 152122,28
新年(1月1日) ガラテヤ 3,23-29 ルカ 2,21 (143)190,41,16,171,248
新年後第1日曜日 第1ペテロ 4,12-19 マタイ 2,13-23 153,58,248
顕現節 イザヤ 60,1-6 マタイ 2,1-12 65123248
顕現節後第1日曜日 ローマ 12,1-6 ルカ 2,41-52 154124,32
顕現節後第2日曜日 ローマ 12,6-12 ヨハネ 2,1-11 155,3,13
顕現節後第3日曜日 ローマ 12,17-21 マタイ 8,1-13 73111,72,156
顕現節後第4日曜日 ローマ 13,8-10 マタイ 8,23-27 81,14
マリア潔めの祝日
 (2月2日)
マラキ 3,1-4 ルカ 2,22-32 83125,82,158,(200
復活節前第9日曜日 第1コリント 9,24-10,5 マタイ 20,1-16 144,92,84
復活節前第8日曜日 第2コリント 11,19-12,9 ルカ 8,4-15 18181,126
復活節前第7日曜日 第1コリント 13,1-13 ルカ 18,31-43 2223,127,159
復活節前第3日曜日 エフェソ 5,1-9 ルカ 11,14-28 54
棕櫚の日曜日 フィリピ 2,5-11
第1コリント 11,23-32 
マタイ 21,1-9 182
受胎告知の祝日 イザヤ 7,10-16 ルカ 1,26-38
復活節第1日 第1コリント 5,6-8 マルコ 16,1-8 31,249
復活節第2日 使徒言行録 10,34-43 ルカ 24,13-35 66,6
復活節第3日 使徒言行録 13,26-33  ルカ 24,36-47 134,145,158
復活節後第1日曜日 第1ヨハネ 5,4-10 ヨハネ 20,19-31 67,42
復活節後第2日曜日 第1ペテロ 2,21-25 ヨハネ 10,12-16 104,85,112
復活節後第3日曜日 第1ペテロ 2,11-20 ヨハネ 16,16-23 12,103,146
復活節後第4日曜日 ヤコブ 1,17-21 ヨハネ 16,5-15 166,108
復活節後第5日曜日 ヤコブ 1,22-27 ヨハネ 16,23-30 86,87
復活節後第6日曜日 第1ペテロ 4,8-11 ヨハネ15,26-16,4 44,183
昇天節 使徒言行録 1,1-11 マルコ 16,14-20 37,128,43,11
聖霊降臨節第1日 使徒言行録 2,1-13 ヨハネ 14,23-31 17259,74,34
聖霊降臨節第2日 使徒言行録 10,42-48 ヨハネ 3,16-21 173,68,174
聖霊降臨節第3日 使徒言行録 8,14-17  ヨハネ 10,1-11 184,175
三位一体節 ローマ 11,33-36  ヨハネ 3,1-15 165,176,194,(129)
三位一体節後第1日曜日 第1ヨハネ 4,16-21 ルカ 16,19-31 7520,39
三位一体節後第2日曜日 第1ヨハネ 3,13-18 ルカ 14,16-24 76,2
洗礼者ヨハネの祝日
 (6月24日)
イザヤ 40,1-5 ルカ 1,57-80 167,30
三位一体節後第3日曜日 第1ペテロ 5,6-11 ルカ 15,1-10 21,135
三位一体節後第4日曜日 ローマ 8,18-23 ルカ 6,36-42 18524,177
マリアのエリザベト訪問の祝日
 (7月2日)
イザヤ 11,2-5 ルカ 1,39-56 14710
三位一体節後第5日曜日 第1ペテロ 3,8-15 ルカ 5,1-11 93,88
三位一体節後第6日曜日 ローマ 6,3-11 マタイ 5,20-26 170,9
三位一体節後第7日曜日 ローマ 6,19-23 マルコ 8,1-9 186107,187
三位一体節後第8日曜日 ローマ 8,12-17 マタイ 7,15-23 136178,45
三位一体節後第9日曜日 第1コリント 10,6-13 ルカ 16,1-9 10594,168
三位一体節後第10日曜日 第1コリント 12,1-11 ルカ 19,41-48 46101,102
三位一体節後第11日曜日 第1コリント 15,1-10 ルカ 18,9-14 199179113
三位一体節後第12日曜日 第2コリント 3,4-11 マルコ 7,31-37 69a,137,35
三位一体節後第13日曜日 ガラテヤ 3,15-22 ルカ 10,23-37 7733,164
三位一体節後第14日曜日 ガラテヤ 5,16-24 ルカ 17,11-19 2578,17
三位一体節後第15日曜日 ガラテヤ 5,25-6,10 マタイ 6,24-34 13899,51
三位一体節後第16日曜日 エフェソ 3,13-21 ルカ 7,11-17 16195,27
大天使ミカエルの祝日
 (9月20日)
黙示録 12,7-12 マタイ 18,1-11 50,130,19,149
三位一体節後第17日曜日 エフェソ 4,1-6 ルカ 14,1-11 148114,47
三位一体節後第18日曜日 第1コリント 1,4-9 マタイ 22,34-46 96,169
三位一体節後第19日曜日 エフェソ 4,22-28 マタイ 9,1-8 48,56
三位一体節後第20日曜日 エフェソ 5,15-21 マタイ 22,1-14 162180,49
三位一体節後第21日曜日 エフェソ 6,10-17 ヨハネ 4,47-54 109,38,98,188
宗教改革記念日
 (10月31日)
第2テサロニケ 2,3-8 黙示録 14,6-8  80,79,129
三位一体節後第22日曜日 フィリピ 1,3-11 マタイ 18,23-35 89115,55
三位一体節後第23日曜日 フィリピ 3,17-21 マタイ 22,15-22 163139,52
三位一体節後第24日曜日 コロサイ 1,9-14 マタイ 9,18-26 6026
三位一体節後第25日曜日 第1テサロニケ 4,13-18 マタイ 24,15-28 90116
三位一体節後第26日曜日 第2ペテロ 3,3-13 マタイ 25,31-46 70
三位一体節後第27日曜日 第1テサロニケ 5,1-11 マタイ 25,1-13 140
教会暦以外の祝日(機会)
書簡章句
福音書章句
カンタータ等のBWV番号
(初演順)
悔い改めの礼拝(?) −−− −−− 131
アウグスブルク信仰告白200年祭 −−− −−− 120b
市参事会員交代式 −−− −−− 71119,193,120,29,69
結婚式 −−− −−− 196,195,120a,197
葬儀・追悼? −−− −−− 10621,157
献堂式 −−− −−− 194
不明 −−− −−− 150,117,192,97,100


*参考文献・・・『バッハ事典』(礒山雅/小林義武/鳴海史生編:東京書籍刊:1996)
          『バッハ全集』第1巻〜5巻(『バッハ全集』編集部:小学館刊:1995〜99)
*カンタータ等のBWV番号で斜字体のものは、BCJですでにCDになっているものです。
  また、太文字のものは今年度のBCJ定期公演等で演奏されるものです。
  アンダーラインのあるものは「カンタータ・データ」へのリンクになっているものです。


以下は、『聖書 新共同訳』(c)共同訳聖書実行委員会(Executive Committee of The Common Bible Translation)
                  (c)日本聖書協会(Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988)からの引用です。 


顕現節(1月6日) (BWV65123248

  【書簡:イザヤ 60,1-6】
起きよ、光を放て。あなたを照らす光は昇り
主の栄光はあなたの上に輝く。
見よ、闇は地を覆い
暗黒が国々を包んでいる。
しかし、あなたの上には主が輝き出で
主の栄光があなたの上に現れる。
国々はあなたを照らす光に向かい
王たちは射し出でるその輝きに向かって歩む。
目を上げて、見渡すがよい。みな集い、あなたのもとに来る。
息子たちは遠くから
娘たちは抱かれて、進んで来る。
そのとき、あなたは畏れつつも喜びに輝き
おののきつつも心は晴れやかになる。
海からの宝があなたに送られ
国々の富はあなたのもとに集まる。
らくだの大群
ミディアンとエファの若いらくだが
あなたのもとに押し寄せる。
シェバの人々は皆、黄金と乳香を携えて来る。
こうして、主の栄誉が宣べ伝えられる。
 【福音書:マタイ 2,1-12】
イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」
これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった。
王は民の祭司長たちや律法学者たちを皆集めて、メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただした。
彼らは言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者がこう書いています。 『ユダの地、ベツレヘムよ、/お前はユダの指導者たちの中で/決していちばん小さいものではない。お前から指導者が現れ、/わたしの民イスラエルの牧者となるからである。』」
そこで、ヘロデは占星術の学者たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。
そして、「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」と言ってベツレヘムへ送り出した。
彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。
学者たちはその星を見て喜びにあふれた。
家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。ところが、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。

顕現節後第1日曜日 (BWV15412432

 【書簡:ローマ 12.1-6】
こういうわけで、兄弟たち、神の憐れみによってあなたがたに勧めます。自分の体を神に喜ばれる聖なる生けるいけにえとして献げなさい。これこそ、あなたがたのなすべき礼拝です。あなたがたはこの世に倣ってはなりません。むしろ、心を新たにして自分を変えていただき、何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようになりなさい。わたしに与えられた恵みによって、あなたがた一人一人に言います。自分を過大に評価してはなりません。むしろ、神が各自に分け与えてくださった信仰の度合いに応じて慎み深く評価すべきです。というのは、わたしたちの一つの体は多くの部分から成り立っていても、すべての部分が同じ働きをしていないように、わたしたちも数は多いが、キリストに結ばれて一つの体を形づくっており、各自は互いに部分なのです。わたしたちは、与えられた恵みによって、それぞれ異なった賜物を持っていますから、預言の賜物を受けていれば、信仰に応じて預言し、(12.7:奉仕の賜物を受けていれば、奉仕に専念しなさい。)
 【福音書:ルカ 2.41-52】
さて、両親は過越祭には毎年エルサレムへ旅をした。
イエスが十二歳になったときも、両親は祭りの慣習に従って都に上った。
祭りの期間が終わって帰路についたとき、少年イエスはエルサレムに残っておられたが、両親はそれに気づかなかった。
イエスが道連れの中にいるものと思い、一日分の道のりを行ってしまい、それから、親類や知人の間を捜し回ったが、見つからなかったので、捜しながらエルサレムに引き返した。
三日の後、イエスが神殿の境内で学者たちの真ん中に座り、話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。
聞いている人は皆、イエスの賢い受け答えに驚いていた。
両親はイエスを見て驚き、母が言った。「なぜこんなことをしてくれたのです。御覧なさい。お父さんもわたしも心配して捜していたのです。」すると、イエスは言われた。「どうしてわたしを捜したのですか。わたしが自分の父の家にいるのは当たり前だということを、知らなかったのですか。」
しかし、両親にはイエスの言葉の意味が分からなかった。
それから、イエスは一緒に下って行き、ナザレに帰り、両親に仕えてお暮らしになった。母はこれらのことをすべて心に納めていた。イエスは知恵が増し、背丈も伸び、神と人とに愛された。

顕現節後第3日曜日 (BWV73111,72,156

 【書簡:ローマ 12,17-21】
だれに対しても悪に悪を返さず、すべての人の前で善を行うように心がけなさい。
できれば、せめてあなたがたは、すべての人と平和に暮らしなさい。
愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。「『復讐はわたしのすること、わたしが報復する』と主は言われる」と書いてあります。
「あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ。そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる。」
悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい。
 【福音書:マタイ 8,1-13】
イエスが山を下りられると、大勢の群衆が従った。
すると、一人のらい病を患っている人がイエスに近寄り、ひれ伏して、「主よ、御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」と言った。イエスが手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われると、たちまち、らい病は清くなった。イエスはその人に言われた。「だれにも話さないように気をつけなさい。ただ、行って祭司に体を見せ、モーセが定めた供え物を献げて、人々に証明しなさい。」
さて、イエスがカファルナウムに入られると、一人の百人隊長が近づいて来て懇願し、「主よ、わたしの僕が中風で家に寝込んで、ひどく苦しんでいます」と言った。そこでイエスは、「わたしが行って、いやしてあげよう」と言われた。
すると、百人隊長は答えた。「主よ、わたしはあなたを自分の屋根の下にお迎えできるような者ではありません。ただ、ひと言おっしゃってください。そうすれば、わたしの僕はいやされます。わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下には兵隊がおり、一人に『行け』と言えば行きますし、他の一人に『来い』と言えば来ます。また、部下に『これをしろ』と言えば、そのとおりにします。」 イエスはこれを聞いて感心し、従っていた人々に言われた。「はっきり言っておく。イスラエルの中でさえ、わたしはこれほどの信仰を見たことがない。言っておくが、いつか、東や西から大勢の人が来て、天の国でアブラハム、イサク、ヤコブと共に宴会の席に着く。だが、御国の子らは、外の暗闇に追い出される。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。」 そして、百人隊長に言われた。「帰りなさい。あなたが信じたとおりになるように。」ちょうどそのとき、僕の病気はいやされた。

マリア潔めの祝日(2月2日) (8312582,158,(200)

 【書簡 :マラキ 3,1-4】
見よ、わたしは使者を送る。彼はわが前に道を備える。あなたたちが待望している主は/突如、その聖所に来られる。あなたたちが喜びとしている契約の使者/見よ、彼が来る、と万軍の主は言われる。
だが、彼の来る日に誰が身を支えうるか。彼の現れるとき、誰が耐えうるか。彼は精錬する者の火、洗う者の灰汁のようだ。
彼は精錬する者、銀を清める者として座し/レビの子らを清め/金や銀のように彼らの汚れを除く。彼らが主に献げ物を/正しくささげる者となるためである。
そのとき、ユダとエルサレムの献げ物は/遠い昔の日々に/過ぎ去った年月にそうであったように/主にとって好ましいものとなる。
 【福音書:ルカ 2,22-32】
さて、モーセの律法に定められた彼らの清めの期間が過ぎたとき、両親はその子を主に献げるため、エルサレムに連れて行った。それは主の律法に、「初めて生まれる男子は皆、主のために聖別される」と書いてあるからである。
また、主の律法に言われているとおりに、山鳩一つがいか、家鳩の雛二羽をいけにえとして献げるためであった。
そのとき、エルサレムにシメオンという人がいた。この人は正しい人で信仰があつく、イスラエルの慰められるのを待ち望み、聖霊が彼にとどまっていた。
そして、主が遣わすメシアに会うまでは決して死なない、とのお告げを聖霊から受けていた。
シメオンが“霊”に導かれて神殿の境内に入って来たとき、両親は、幼子のために律法の規定どおりにいけにえを献げようとして、イエスを連れて来た。
シメオンは幼子を腕に抱き、神をたたえて言った。
「主よ、今こそあなたは、お言葉どおり/この僕を安らかに去らせてくださいます。
わたしはこの目であなたの救いを見たからです。
これは万民のために整えてくださった救いで、
異邦人を照らす啓示の光、/あなたの民イスラエルの誉れです。」


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