カンタータ・データ 2004
BCJのコンサートに登場するカンタータについてのデータ
をお届けします!
コンサートに向けての“予習”などにお役立て下さい!
 

 2004年度BCJ定期公演は、引き続きライプツィヒ第2年巻のコラールカンタータの名作の数々を味わいます!
 このHPにおいでいただいている皆様の中には、BCJの定期公演で取り上げられるカンタータについて“予習”されている方もいらっしゃることと思います。私も、毎回できるだけ個々のカンタータになじんでから演奏会に伺うようにしています。と申しますのは、何も知らずに初めて聴いてもバッハのカンタータはそれぞれの美しさがあり楽しく聴くことができるのですが、やはり「言葉と音楽の結びつき」が大きな意味を持つカンタータ演奏では、内容への理解の度合いが演奏を通して得られるものの大きさに深く関わっていると思うからです。まして、その「言葉と音楽の結びつき」にこだわって取り組んでいるBCJの演奏ですから、なおさら事前にできるだけ曲の世界に親しんでから実演に接したいものです。
 そこで、限られた情報ではありますが、今年度のBCJ定期で取り上げられるカンタータに関する基本データを、順次このコーナーで紹介していこうと思います。これらのデータをもとに『聖書』を参照していただく(次回に取り上げられるカンタータのデータから当該聖句へのリンクを設けるようにします)などしてコンサートを迎え、当日入手できるプログラムと合わせ、より深いBCJ体験を持っていただけましたら幸いです。 (05/02/21更新) 

次回に取り上げられるカンタータ・データ中の「礼拝での聖句」欄の書簡、福音書名をクリックすると、当該の聖句を読むことができます
カンタータの基礎知識についてはこちら(「カンタータの源を求めて」)をご覧下さい!

*参考文献・・・『バッハ事典』(礒山雅/小林義武/鳴海史生編:東京書籍刊:1996)
          『バッハ全集』第1巻〜5巻(『バッハ全集』編集部:小学館刊:1995〜99)
          『トン・コープマン/バッハ・カンタータ全集CD』解説(C.ヴォルフ[訳:鳴海史生]、野中裕)


 


 《ああ神よ、天より見そなわし》 BWV2  
 
初演 1724年 6月18日、ライプツィヒ                       
用途 三位一体節後第2日曜日 
礼拝での
   聖句
書簡  :第1ヨハネ 3,13-18
福音書:ルカ 14,16-24(盛大な晩餐会の譬え) 
歌詞 作者不詳
(引用:全曲にわたってM.ルターのコラール「ああ神よ、天より見そなわし」(1524)より)
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:トロンボーン4、オーボエ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約19分 (リリング:18分、ヘレヴェッヘ:16分、アーノンクール:19分、リューシンク:18分、コープマン:17分) 
構成 第1曲:コラール合唱 (合唱、トロンボーン4、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
第2曲:コラールとレチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(アルト、ヴァイオリン・ソロ、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、弦楽、通奏低音)
第5曲:アリア(テノール、オーボエ2、通奏低音)
第6曲:コラール (合唱、トロンボーン4、オーボエ2、弦楽、通奏低音)      
備考
M.ルターの同名コラールに基づくコラール・カンタータ。コラールカンタータシリーズの第2作にあたるが、前作(BWV20)とは対照的に、古風なコラール・モテットによって導入される。
コラールのもとになった詩編第12編は、神を敬う人が絶え、偽りを語る高慢な者が世にはびこることを嘆くもの。ルターはこれを今の世の現状として捉え、腐敗した聖職者たちに対する強い弾劾の気持ちを詩行にこめた。台本はこうした想念を、対話呼びかけの形で立体的に劇化している。
BWV2の「Bach Cantatas Website」のデータはこちら

 


 《ああ主よ、哀れなる罪人なるわれを》 BWV135  
 
初演 1724年 6月25日、ライプツィヒ 
用途 三位一体節後第3日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :第1ペテロ 5,6-11
福音書:ルカ 15,1-10 (いなくなった羊、なくなった銀貨の譬え)     
歌詞 作者不詳 
(引用:全曲にわたってC.シュネーガスのコラール「ああ主よ、哀れなる罪人なるわれを」(1597)より) 
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:ツィンク、トロンボーン、オーボエ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約17分
(ゲンネンヴァイン:17分、リヒター:15分、リリング:15分、レオンハルト:14分、リューシンク:15分、コープマン:15分) 
構成 第1曲:コラール合唱 (合唱、トロンボーン、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、オーボエ2、通奏低音)
第4曲:コラールとレチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第5曲:アリア(バス、弦楽、通奏低音)
第6曲:コラール(合唱、ツィンク、オーボエ2、弦楽、通奏低音)   
備考
C.シュネーガスの同名コラールに基づくコラール・カンタータ。原コラールは、詩編第6編に基づきつつ、怒れる神にすがる罪人の訴えを歌う。このコラールの旋律は《マタイ受難曲》の受難コラールとして知られる、H.L.ハスラー作曲のもの。
当カンタータの初演の日、バッハはゲーラに旅行中であり、演奏には立ち会わなかったと考えられる。
BWV135の「Bach Cantatas Website」のデータはこちら

 


 《ああ神よ、いかに多き胸の悩み》 BWV3
 
初演 1725年 1月14日(BWV) あるいは1726年 1月20日(BC)、ライプツィヒ
用途 顕現節後第2日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :ローマ 12,6-16(望みを抱き、苦難に耐え、常に祈れ)
福音書:ヨハネ 2,1-11(カナの婚礼、イエスが水をぶどう酒に変じた奇跡)
歌詞 作者不詳 
(引用:全曲にわたってM.モラーのコラール「ああ神よ、いかに多き胸の悩み」(1587)より)   
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:ホルン、トロンボーン、オーボエ・ダモーレ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約24分
(アーノンクール:24分、リリング:25分、リューシンク:25分、コープマン:20分) 
構成 第1曲:コラール合唱 (合唱、トロンボーン、オーボエ・ダモーレ2、弦楽、通奏低音)
第2曲:コラール(合唱)とレチタティーヴォ(ソプラノ、アルト、テノール、バス、通奏低音)
第3曲:アリア(バス、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第5曲:二重唱 (ソプラノ、アルト、オーボエ・ダモーレ2+ヴァイオリン、通奏低音)
第6曲:コラール (合唱、ホルン、オーボエ・ダモーレ、弦楽、通奏低音)  
備考
M.モラーの同名コラールに基づくコラール・カンタータ。内容は福音書章句よりも書簡章句(ローマ 12,6-16(望みを抱き、苦難に耐え、常に祈れ))に対応している。
オーボエ・ダモーレの序奏に集約される「胸の悩み」のしっとりした表現が、このカンタータの魅力。冒頭のコラール合唱曲では、珍しくバス定旋律を担っている。
BWV3の「Bach Cantatas Website」のデータはこちら

 


 《深き悩みの淵より、われ汝に呼ばわる》 BWV38  
 
初演 1724年 10月29日、ライプツィヒ
用途 三位一体節後第21日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :エフェソ 6,10-17
福音書:ヨハネ 4,47-54(王の役人の息子の奇跡的治癒)
歌詞 作者不詳 
(引用:全曲にわたってM.ルターのコラール「深き悩みの淵より」(1524)より)   
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:トロンボーン4、オーボエ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約19分(アーノンクール:19分、リヒター:17分、リリング:19分、リューシンク:18分、コープマン:19分) 
構成 第1曲:コラール合唱(合唱、トロンボーン4、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、オーボエ2、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第5曲:三重唱(ソプラノ、アルト、テノール、通奏低音)
第6曲:コラール(合唱、トロンボーン4、オーボエ2、弦楽、通奏低音)  
備考
M.ルターの同名コラールに基づくコラール・カンタータ。冒頭合唱にモテット様式の音楽が付され、全体に古風で厳粛な音調を持っている。
原コラールは詩編第130編を踏まえ、悔い改めを主題としたもの。これを下敷きにしたカンタータは、当日の福音書章句に描かれる役人の嘆きを信者すべての次元へと一般化しながら、罪を許すイエスの恵み、慰めとしての御言葉をクローズアップしてゆく。
BWV38の「Bach Cantatas Website」のデータはこちら


 《われらより取去りたまえ、主よ》 BWV101  
 
初演 1724年 8月13日、ライプツィヒ
用途 三位一体節後第10日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :第1コリント 12,1-11
福音書:ルカ 19,41-48(エルサレム破壊の預言と、神殿からの商人の追放)
歌詞 作者不詳 
(引用:全曲にわたってM.モラーのコラール「われらより取去りたまえ、主よ」(1584)より)   
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:ツィンク、トロンボーン3、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、
    ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約24分 (アーノンクール:24分、リリング:24分、リューシンク:26分、コープマン:28分、他) 
構成 第1曲:コラール合唱
     (合唱、ツィンク、トロンボーン3、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦楽、通奏低音)
第2曲:アリア(テノール、ヴァイオリン・ソロ or フラウト・トラヴェルソ、通奏低音)
第3曲:レチタティーヴォとコラール(ソプラノ、通奏低音)
第4曲:アリアとコラール(バス、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、通奏低音)
第5曲:レチタティーヴォとコラール(テノール、通奏低音)
第6曲:二重唱(ソプラノ、アルト、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダ・カッチャ、通奏低音)
第7曲:コラール
     (合唱、ツィンク、トロンボーン3、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦楽、通奏低音)
備考
M.モラーの同名コラールに基づくコラール・カンタータ。原コラールは、1584年、ペストがドイツを襲ったさなかに悔い改めの祈りとして作られたもので、その内容はエルサレムの滅びを扱った当日用の福音書聖句と呼応している。身の引き締まるように厳粛な趣を持ったカンタータとなっている。
BWV101の「Bach Cantatas Website」のデータはこちら

 


 《讃美を受けたまえ、汝イエス・キリストよ》 BWV91  
 
初演 1724年 12月25日、ライプツィヒ
用途 降誕節第1日(12月25日)
礼拝での
   聖句
書簡  :テトス 2,11-14、イザヤ 9,1-6
福音書:ルカ 2,1-14(キリストの降誕、羊飼いへのお告げ、天使のほめ歌)
歌詞 作者不詳 
(引用:全曲にわたってM.ルターのコラール「讃美を受けたまえ、汝イエス・キリストよ」(1524)より)   
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:ホルン2、ティンパニ、オーボエ3、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約18分
(リリング:19分、レオンハルト:18分、ヘレヴェッヘ:17分、リューシンク:17分、コープマン:16分) 
構成 第1曲:コラール合唱 (合唱、ホルン2、ティンパニ、オーボエ3、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォとコラール(ソプラノ、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、オーボエ3、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、弦楽、通奏低音)
第5曲:二重唱 (ソプラノ、アルト、ヴァイオリン2、通奏低音)
第6曲:コラール (合唱、ホルン2、ティンパニ、オーボエ3、弦楽、通奏低音)   
備考
M.ルターの同名コラールに基づくコラール・カンタータ。ライプツィヒで迎えた2度目のクリスマスのためのカンタータ群の、最初のもの。三位一体を象徴すると考えられる3種3グループの大がかりな楽器編成はクリスマスにふさわしい。しかしトランペットでなくホルンを用いるなど、音調は華美に偏することなく、降誕の神秘に対する内的感動が全曲を支配している。このカンタータをバッハは少なくとも2回再演した。
BWV91の「Bach Cantatas Website」のデータはこちらこちらには日本語の対訳と解説があります!

 


 《キリストをわれらさやけく頌め讃うべし》 BWV121  
 
初演 1724年 12月26日、ライプツィヒ
用途 降誕節第2日(12月26日)
礼拝での
   聖句
書簡  :テトス 3,4-7、使徒言行録 6,8-15、使徒言行録 7,55-60
福音書:ルカ 2,15-20(羊飼いたちが幼子を捜しあてる)
歌詞 作者不詳 
(引用:全曲にわたってM.ルターのコラール「キリストをわれらさやけく頌め讃うべし」(1524)より)   
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:ツィンク、トロンボーン3、オーボエ・ダモーレ、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約20分
(リヒター:20分、リリング:21分、アーノンクール:20分、ガーディナー:18分、コープマン:20分、リューシンク:19分、ヘレヴェッヘ:19分) 
構成 第1曲:コラール合唱 (合唱、ツィンク、トロンボーン3、オーボエ・ダモーレ、弦楽、通奏低音)
第2曲:アリア(テノール、オーボエ・ダモーレ、通奏低音)
第3曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第4曲:アリア(バス、弦楽、通奏低音)
第5曲:レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第6曲:コラール (合唱、ツィンク、トロンボーン3、オーボエ・ダモーレ、弦楽、通奏低音) 
備考
M.ルターの同名コラールに基づくコラールカンタータ。ライプツィヒで迎えた2度目のクリスマスのためのカンタータ群の、第2作。旋律ともども、5世紀におけるツェリウス・セドリウスのラテン語賛歌に由来する。ドリア調に起こりフリギア調に終止する古風なコラール旋律の持ち味を生かし、バッハは冒頭合唱を古風なコラール・モテットとして作曲した。このため、このカンタータは、思いの外重厚で内面的な印象を与えるものとなっていて、救い主降誕の意義の深い考察へと人々を誘う。
BWV121の「Bach Cantatas Website」のデータはこちらこちらには日本語の対訳と解説があります!

 


 《われは汝にありて喜び》 BWV133  
 
初演 1724年 12月27日、ライプツィヒ
用途 降誕節第3日(12月27日)
礼拝での
   聖句
書簡  :ヘブライ 1,1-14
福音書:ヨハネ 1,1-14(永遠の言葉である神の子の由来と本質)
歌詞 作者不詳 
(引用:全曲にわたってC.ツィーグラーのコラール「われは汝にありて喜び」(1697)より)   
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:ツィンク、オーボエ・ダモーレ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約23分
(リリング:20分、レオンハルト:21分、ガーディナー:19分、コープマン:19分、リューシンク:20分、ヘレヴェッヘ:20分) 
構成 第1曲:コラール合唱 (合唱、ツィンク、オーボエ・ダモーレ2、弦楽、通奏低音)
第2曲:アリア(アルト、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音)
第3曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第4曲:アリア(ソプラノ、弦楽、通奏低音)
第5曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第6曲:コラール (合唱、ツィンク、オーボエ・ダモーレ2、弦楽、通奏低音)  
備考
C.ツィーグラーの同名コラールに基づくコラール・カンタータ。ライプツィヒで迎えた2度目のクリスマスのためのカンタータ群の第3作。幼子イエスへの愛情を語る。原コラールは、当時「おお神よ、汝義なる神よ」の旋律で歌われるのが普通だったが、このカンタータで用いられている定旋律はそれと異なる。先行する2作品(BWV91,121)に比べ、楽器編成は小規模である。
BWV133の「Bach Cantatas Website」のデータはこちらこちら日本語の対訳(PDFファイル)があります!

 


 《いと尊きインマヌエル、虔しき者らを率いたもう君候》 BWV123  
 
初演 1725年 1月 6日、ライプツィヒ
用途 顕現節
礼拝での
   聖句
書簡  :イザヤ 60,1-6
福音書:マタイ 2,1-12(東方の博士たちのベツレヘム来訪)
歌詞 作者不詳 
(引用:全曲にわたってA.フリッチェのコラール「いと尊きインマヌエル、虔(ただ)しき者らを率いたもう君候(きみ)(1679)より)    
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:フラウト・トラヴェルソ2、オーボエ・ダモーレ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約21分
(リリング:20分、アーノンクール:22分、コープマン:18分、リューシンク:22分) 
構成 第1曲:コラール合唱(合唱、フラウト・トラヴェルソ2、オーボエ・ダモーレ2、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲:アリア(バス、フラウト・トラヴェルソ、通奏低音)
第6曲:コラール(合唱、フラウト・トラヴェルソ2、オーボエ・ダモーレ2、弦楽、通奏低音)
備考
A.フリッチェの同名コラールに基づくコラール・カンタータ。ライプツィヒ時代2年目のクリスマス期を締めくくる作品。シュヴァイツァーはこの作品を「神秘家バッハのもっとも素晴らしい作品のひとつ」と評した。台本は、イエスの御名に対する慕わしい感情をベースに、苦難に抗し、この世を拒絶する心を歌う。
BWV26以後、1ヶ月半ぶりに、名技的なフルートのソロが登場している。最終曲のコラールの後半部には反復が指示されており、「2度目はp」の珍しい指定がある。
BWV123の「Bach Cantatas Website」のデータはこちら

 


 《わがイエスをばわれは放さず》 BWV124  
 
初演 1725年 1月 7日、ライプツィヒ
用途 顕現節後第1日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :ローマ 12,1-6
福音書:ルカ 2,41-52(12歳のイエスがエルサレムの宮詣でする)
歌詞 作者不詳 
(引用:全曲にわたってCh.カイマンのコラール「わがイエスをばわれは放さず」(1658)より)    
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:ホルン、オーボエ・ダモーレ、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約14分
(リヒター:15分、リリング:14分、アーノンクール:14分、リューシンク:14分、コープマン:15分) 
構成 第1曲:コラール合唱(合唱、ホルン、オーボエ・ダモーレ、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、オーボエ・ダモーレ、弦楽、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲:二重唱(ソプラノ、アルト、通奏低音)
第6曲:コラール(合唱、ホルン、オーボエ・ダモーレ、弦楽、通奏低音) 
備考
Ch.カイマンの同名コラールに基づいたコラール・カンタータBWV123翌日に初演されている。原コラールは、ザクセン選帝侯ヨーハン・ゲオルク2世(?−1656)の臨終の言葉に由来するもの。これに基づく台本は、少年イエスを両親が宮で「探索」したという福音書の物語を、死に瀕した者の行う神への希求と置き換える。その結果このカンタータは、死への恐怖がイエスへの熱烈な帰依によって克服されるまでを、劇的に描くものとなっている。
BWV124の「Bach Cantatas Website」のデータはこちら


 《わが神の御心のままに、常に成らせたまえ》 BWV111  
 
初演 1725年 1月21日、ライプツィヒ
用途 顕現節後第3日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :ローマ 12,17-21
福音書:マタイ 8,1-13(信仰ある者に起こる、イエスの癒しの奇跡)
歌詞 作者不詳 
(引用:全曲にわたってブランデンブルク辺境伯アルブレヒトのコラール「わが神の御心のままに、常に成らせたまえ」(1547)より)    
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:オーボエ2、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約17分
(ラミン:20分、トーマス:22分、リヒター:22分、リリング:20分、アーノンクール:17分、ガーディナー:15分、リューシンク:19分、コープマン:16分) 
構成 第1曲:コラール合唱 (合唱、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
第2曲:アリア(バス、通奏低音)
第3曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第4曲:二重唱(アルト、テノール、弦楽、通奏低音)
第5曲:レチタティーヴォ(ソプラノ、オーボエ2、通奏低音)
第6曲:コラール (合唱、オーボエ2、弦楽、通奏低音)   
備考
ブランデンブルク辺境伯アルブレヒトの同名コラールに基づいたコラール・カンタータ。整った構成と生気溢れる冒頭合唱をもち、比較的よく演奏される。台本は、福音書の語る信仰ある者の癒し神の御心の成就ととらえ、ヨナ書やサムエル記の表象を導入しつつ、神に依り頼むべきことを説く。従う者たちの雄々しい足取りを描く二重唱が、全曲のクライマックスをなす。
BCJでは、96/03/03(佐倉公演)及び96/03/04,05 (23回定期)で演奏され、レコーディングも行われたが、この時の音源は発売されていない。(ごく一部が「BCJ創立10周年記念CD」[非売品・創立10周年記念パーティでの記念品として若干枚、くじ引きの当選者に頒布された]に収録されている。BWV111からは第1曲。)
BWV111の「Bach Cantatas Website」のデータはこちら


 《平安と歓喜もて われはいく》 BWV125  
 
初演 1725年 2月 2日、ライプツィヒ
用途 マリア潔めの祝日(2月2日)
礼拝での
   聖句
書簡  :マラキ 3,1-4
福音書:ルカ 2,22-32(幼子イエスがエルサレムの宮に入り、シメオン老人に会う)
歌詞 作者不詳 
(引用:全曲にわたってM.ルターのコラール「平安と歓喜もて われはいく」(1524)より)   
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ、オーボエ・ダモーレ、ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約24分
(リリング:24分、アーノンクール:24分、ガーディナー:23分、ヘレヴェッヘ:23分、リューシンク:22分、コープマン:25分) 
構成 第1曲:コラール合唱 (合唱、ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ、弦楽、通奏低音)
第2曲:アリア(アルト、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ、通奏低音)
第3曲:レチタティーヴォとコラール(バス、弦楽、通奏低音)
第4曲:二重唱(テノール、バス、ヴァイオリン2、通奏低音)
第5曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第6曲:コラール (合唱、ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ、弦楽、通奏低音)  
備考
M.ルターの同名コラールに基づいたコラール・カンタータ。原コラールは、当日の福音書章句中の「シメオンの頌歌」に基づく。カンタータは、心満たされて死に赴くシメオン老人の心から出発し、イエスを仰ぎ見ての安らかな死の奇跡と、それを可能にするキリストの到来を讃える。
BWV125の「Bach Cantatas Website」のデータはこちら

 


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