今回で4回目となるオルガンツアー「The Splendor of the North」が 7月27日〜8月5日にかけて行われました。このページでは、その模様を、2000年、2003年に引き続き参加させていただいている管理人が現地からお伝えしようと試みたものです。少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。
なお、文中の時間の表記はすべてドイツ現地時間。サマータイム期間中のため、日本との時差は7時間です。
*オルガンの仕様は(III/P/65)のようにあらわします。この例では
手鍵盤の数が3/ペダル鍵盤有/ストップ数65を示します。
2004年 7月 ・前日、・27日(火)、・28日(水)、・29日(木)、・30日(金)、・31日(土)、
2004年 8月 ・1日(日)、・2日(月)、・3日(火)、・4日(水)、・5日(木)、・6日(金)
※日程表はこちら、訪問先地図[PDFファイル]はこちらです! (最新更新:04/08/25)
2004年 7月26日(月) 〜前日〜 |
今回のオルガネウムのツアーは、7月27日14:30に、第1回・第2回のツアーでも滞在した懐かしいハンブルク・ノルゲホテルに現地集合となっています。私はツアー開始前日の夕方に現地入りしましたので、まずその晩に、ツアーに参加する他のみなさんとハンブルクの街に出たときの様子からレポートを開始いたします!
まずは、ホテルからUバーン(地下鉄)を乗り継いで訪れた市庁舎前広場から見た聖ペトリ教会の尖塔(左)と、繁華街のいたるところに立っている「フンメル人形」(右)からご覧ください。天秤棒で水を担いでいる「フンメル」氏は実は「ベンツ」という名の無口な水汲み。しかし、近所の子どもたちがベンツ氏の家に前に住んでいた老兵士「フンメル」氏の名で彼に声をかけたことから、いつしかベンツ氏が「フンメル」氏となってしまったという昔話があるそうです。子どもたちが「フンメル[Hummel]、フンメル」と声をかけたことから「ハンザ都市・ハンブルク」を表す「H.H.」に通じ、街のシンボルの一つとなっているようです。 | 今晩の食事は、「ハンブルク・ステーキ」(左)。そして食事の前にはもちろんビール!風味豊かなヴァイツェン・ビールでツアーの前夜祭を祝いました。楽しい食事でいつしか時が経ち、ホテル・ノルゲに戻ったのは23:30過ぎ(右)。ツアーの集合時刻までの明日の過ごし方などを考えながら「おやすみなさい」。 ちなみに、ハンブルクでは道行くみなさんは、ほとんど上着を着ています。そう、大変涼しいのです。時折通り雨に降られるのですが、そんな時はもう「寒い」という感覚。食事の前に店に寄り、思わず厚手の上着を買ってしまいました・・・! |
2004年 7月27日(火) 〜第1日〜 |
*ルート概要:
ハンブルク:ホテル・ノルゲに全員集合 14:30
・歴史博物館訪問[ブクステフーデとラインケンの肖像画]
・聖ヤコビ教会:
シェーラー/フリッチェ/シュニットガー・オルガン(1693、IV/P/60)
*W.ポーター氏によるリサイタル
→《ハンブルク泊》
ツアー開始前の午前中はブラームス記念館などをまわって、午後になるとついにオルガンツアー2004のスタートです。15:00には集まったメンバーが大型バスに乗り込み、最初の見学地であるハンブルク歴史博物館に向かいました。到着後まずレクチャールームでハンブルク市の音楽面の歩みについて、学芸員の方のお話を30分ほどうかがいました。その後、館内の「音楽・楽器の部屋」に行き、展示品の歴史的なチェンバロ(写真左:鈴木雅明氏)とクラヴィコードの演奏(写真中央:H.フォーゲル氏)を楽しませていただきました!右の絵画は、音楽家が描かれているもので、画面中央の鍵盤楽器を弾いている人物がラインケンの肖像画と確認されているそうですが、手前、画面左のガンバを弾いている男性と、画面手前左下で肩肘をついている男性のどちらかがブクステフーデだとのこと。学芸員の方の推理ではガンバを弾いている方がブクステフーデではないか、とのでした。 | ホテルに戻って18:00からの夕食後、オルガンデータや楽譜をはじめとした資料満載のファイルなどを受けと取ってから聖ヤコビ教会に向かい、20:00すぎからW.ポーター氏によるオルガン・コンサートを鑑賞。音のシャワーを久々に浴び、大満足のツアー初日でした! |
2004年 7月28日(水) 〜第2日〜 |
*ルート概要:
ハンブルク:オルガンデモンストレーションとマスタークラス
・聖ヤコビ教会:シェーラー/シュニットガー・オルガン(1693、IV/P/60)
・聖カテリーナ教会訪問
シュターデ:オルガンデモンストレーションとマスタークラス
・ヴィルハーディ教会:ビールフェルト・オルガン(1737、III/P/40)
・コスメ教会:フス/シュニットガー・オルガン(1668-75、III/P/42)
→《シュターデ泊》
第2日目は聖ヤコビ教会のシュニットガー・オルガンのデモンストレーションで開始しました(左)。昨晩に引き続きポーター氏が演奏台に上がり、下でフォーゲル氏のお話をうかがいながら、この素晴らしいオルガンの音色を様々な角度から味わいました。その後楽器の裏の風箱の見える部屋に行き、交替で演奏台でもお話をうかがいました。11時過ぎ、全員で徒歩10分ほどのところにある聖カタリーナ教会(右)を訪問。内部の空間がオルガン音楽などに大変適した響きであるからこそ、戦災で失われたバッハも大変好んでいたオリジナルなオルガンを復元することが21世紀の課題であるというお話をうかがいました。その後聖ヤコビ教会に戻り、1時間程度の自由時間。再び演奏台に上がりオルガンを弾いたり、教会近くでそれぞれが昼食をとるなどして過ごしました。午後1時過ぎ、脇の壁からカンタータのテキストの作者としても名高いあのエールトマン・ノイマイスターも見守ってくれていた聖ヤコビ教会とのお別れです。次の目的地シュターデに向かってバスで出発しました。 | ハンブルクから西へ1時間ほどのドライブで、エルベ川のほとりの街、シュターデに到着です。ここにはほぼ同じ規模の重要なオルガンが2台あります。まず、ヴィルハーディ教会のビールフェルト・オルガンを訪ねました。ベームとバッハの作品をフォーゲル氏の演奏で鑑賞してから、ポーター氏の即興で各ストップの音色を味わいました。その後演奏台に上がり(左)、この楽器のもつ3度の響きを生かすためには、シンプルな調性の曲を選ばねばならないことなどをうかがいました。続いて徒歩で5分もかからないところにあるコスメ教会のフス/シュニットガー・オルガンを訪ねます。より古いこちらのオルガンは、力強い響きを持ち味とする先ほどのヴィルハーディ教会の楽器と比べて、よりエレガントな響きを持った楽器です。顔(オルガン前面の姿)からもそんな雰囲気を感じさせてくれます。フォーゲル氏によるリューベック(肖像がステンドグラスになっていました!)の作品の演奏に引き続き、ポーター氏の即興でこの楽器の特色を良く味わえるブルスト・ポジティフのストップを中心に、その優しくスマートな音色を味わいました。午後6時前、バスでシュターデ近郊のホテルへ向かい、2日目が終了です。 |
2004年 7月29日(木) 〜第3日〜 |
*ルート概要:
リューディングヴォルト:シュニットガー・オルガン(1683:III/P/35)
アルテンブルッフ:クラップマイヤー・オルガン(1728:III/P/35)
カッペル:シュニットガー・オルガン(1680:II/P/30)
*オルガン礼拝(演奏:E.ハリソンさん、今井奈緒子さん)
→《シュターデ泊》
リューディングヴォルト シュニットガー・オルガン (1683:III/P/35) |
アルテンブルッフ クラップマイヤー・オルガン (1728:III/P/35) |
カッペル シュニットガー・オルガン (1680:II/P/30) |
2004年 7月30日(金) 〜第4日〜 |
*ルート概要:
シュターデ:マスタークラス、レセプション
・ヴィルハーディ教会のビールフェルト・オルガン(1737、III/P/40)
・コスメ教会のフス/シュニットガー・オルガン(1668-75、III/P/42)
ブレーメン:
・大聖堂のザウアー・オルガン(大:1894)、
ジルバーマン・オルガン(小:1733)
・マルティーニ教会のアーレント・オルガン(1962)
シュターデ:参加者コンサート
→《シュターデ泊》
シュターデ、コスメ教会での歓迎レセプション後の集合写真。 夜には、近くのギリシャ料理のレストランでの食事後、このコスメ教会とヴィルハーディ教会で参加者コンサートが開かれました。 |
世界遺産にも指定されているブレーメン旧市街にある大聖堂(ドーム)にある2つのオルガンを訪ねました。19世紀に作られたザウアー・オルガン(左)と入口のすぐ左を降りた地下礼拝堂にあるジルバーマン・オルガン(右)です。 | 品揃えのよい楽譜店に立ち寄ってから、フォーゲル先生が学生を教える本拠地であるマルティーニ教会でアーレント・オルガンを鑑賞しました。 |
2004年 7月31日(土) 〜第5日〜 |
*ルート概要:
リューネブルク:
・ヨハニス教会:
ニーホフ&ヨハンセン/ドローパ・オルガン(1714、III/P/51)
タンゲルミュンデ:オルガンデモンストレーションとマスタークラス
・シュテファニー教会:シェーラー・オルガン(1624、III/P/32)
*鈴木雅明氏によるリサイタル
→《タンゲルミュンデ泊》
リューネブルク ヨハニス教会:ニーホフ&ヨハンセン/ドローパ・オルガン (1714:III/P/51) フォーゲル氏とポーター氏によるデモンストレーション&演奏のあと演奏台に上がりました。素晴らしいアコースティックの空間に張りのある響きが広がり、聴き応えがありました。昼食後、教会のまわりの小径を歩き、すぐ裏手にある、この教会のオルガニストを勤めていたゲオルク・ベームが1698年から1733年5月18日に亡くなるまで住んでいた家などを見て回りました。きっとこの小径を若きバッハもベーム先生のもとにレッスンに行くため通ったに違いありません! |
タンゲルミュンデ シュテファニー教会:シェーラー・オルガン (1624:III/P/32) 到着後、すぐに鈴木雅明さんによるオルガンコンサートを鑑賞。1/4コンマの完全なミーントーンの切れ味の良い響きを存分に楽しみました。コンサートの後、同行してくださっているオルガンビルダーのブランボーさんが演奏会の成功を祝って杯をあげていらっしゃいました。 短い休憩後、明日のこのオルガンでの参加者コンサートで演奏を希望する方を中心に演奏台に上がり、フォーゲル氏から楽器の特徴をうかがいました。なんとペダルまでがショート・オクターブなので注意が必要。今夜は夢の中でもイメージ練習してください、とのことでした! |
2004年 8月1日(日)[第6日]〜5日(木)[第10日]については、別ページにまとめます。こちらをご覧ください! |
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