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1.1 インターネットとパソコン通信

専門用語を使わないインターネット入門

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専門用語を使わないインターネット入門

■「インターネット」とは何だろう

「インターネット」とは何でしょう.インターネット 1はよく,「ネットワークのネットワーク」といわれますが,このたとえでは,いまひとつわかりません.さらにくわしく説明されると,専門用語の羅列となり,ほとんど理解不能になってしまいます.
また,説明する人によってインターネットという言葉の指す対象が変わる場合もあります.ある人はホームページを指し,ある人は電子メールを念頭において説明している場合もあります.ここでさらに,説明を加えても難しくなるだけなので,まずは単純に説明することに します.
インターネットの「インター」とは,高速道路のインターチェンジの「インター(Inter)」と同じで,「〜の間の」,「相互の」という意味の接頭語です.そこで,インターネットは道路にたとえて考えるとわかりやすくなります.高速道路のインターチェンジがさまざまな方向へ向かう道路の交差点であるように,インターネットも世界中のネットワークが相互に接続された結果誕生した,巨大な広域ネットワークによって構成されています.実際のところ,インターネットの説明としては,これで十分でしょう.眼に見える形で説明できるものでもないので,あとは自分で体験してみるしかありません.なお,英語でインターネットと書く場合は,“Internet”と先頭を大文字で書きます.つまり,既に固有名詞なので,それ以上の説明は不要なのです.
ネットワークというと,身近にあるのがLAN(ラン,Local Area Networkの略で,日本語では構内情報通信網と訳される)です.LANは,企業や企業の各部署ごとに複数のコンピュータ同士が接続されているネットワークです.企業や研究機関などで,遠隔地にあるLANを電話回線などで接続し,広域に渡るネットワークを構築すると,それはWAN(ワン,Wide Area Networkの略で,広域情報通信網)となります.考え方によっては,インターネットもWANの一種といえますが,一世代前のパソコン通信のように,ホストコンピュータを中心とし,全国各地のアクセスポイントから接続する端末(ここの利用者のパソコンのことです)から構成される広域ネットワークとは異なります.

■すべての道はインターネットに通じる

インターネットでは,サーバーとクライアントの区別はあるものの,いったんインターネットに接続できれば,すべてのパソコンはインターネットで通じるということがわかるでしょう.LANやWANがイ ンターネットに接続されている場合,同じ通信プロトコルを使っていれば,そのLANもWANもインターネットの一部と考えることもできます.つまり,LANもWANもインターネットに接続された場合には,その一部となり情報の通り道となるのです.
個人の利用者や小規模の事業所がインターネットに接続する場合には,パソコン通信のようにモデムを使って電話をかけます.その電話をかける先はインターネット・サービス・プロバイダ(Internet Service Provider,略してISPとも呼ばれます)というインターネットへの接続サービスを行っている会社です.電話をかけるプロバイダは,すぐ近所かもしれませんが,いったんインターネットに接続してしまえば,世界中に広がるネットワークを利用することができるようになります.ですから,海外のネットワークに接続するといっても,国際電話をかけるわけではありません.
さらに,最近ではインターネットを利用して,商用オンラインサー ビスであるパソコン通信網と接続することもできます.パソコン通信そのものは,そのオンラインサービスに加入しなければ利用できませんが,異なるパソコン通信の間やインターネット経由の電子メールと相互にデータをやり取りすることができます.
▼ インターネットはネットワークのネットワーク
インターネットの「インター」とは,高速道路のインターチェンジの「インター(Inter)」と同じ意味.さまざまな方 向へ向かう道路が交差している高速道路のインターチェンジのようにネットワークが接続されている.スーパー情報 ハイウェイと呼ばれるのも道路にたとえられるのが理由.

 

■インターネットを利用するということ

インターネットの始まりは,学術研究用の複数のネットワークが接続されただけのものでしたが,その上でさまざまなサービスが整えられるにつれて,利用者が増加して今日に至っています.
ただし,インターネットに接続することは,利用者の最終的な目的ではありません.インターネットは情報が流れる経路でしかないので,そこに接続できたということは,高速道路の通行券を買っただけのようなもので,沿線のさまざまなサービスを利用するには,それなりの手続きが必要となります.場合によっては,別途有料になる場合もあります.ちょうど,有料道路を通るようなものでしょうか.
現在,インターネットに接続する大きな動機となっているのは,ホームページの閲覧です.呪文のような「http:〜」を入力すると,インターネット経由で画面に情報が表示されるのがホームページです.各ホームページでは,高速道路のサービスエリアのように,インター ネットを行き来する人たちに,文字情報や画像だけでなく,音声や動画など,さまざまな形式で情報を提供しています.これは,WWW (World Wide Web,ワールド・ワイド・ウェッブの略で,世界規模で張りめぐらされた蜘蛛の巣という意味)という,インターネットに接続されているコンピュータ同士を連携させた情報網が利用できるおかげです.また,無料のサービスが豊富に用意されていることも,現在のインターネットの魅力です.ただ,最初はサービスの目新しさに惹かれて苦労して接続しますが,毎日インターネットに接続してホーム ページを閲覧するかどうかは,ホームページで有益なサービスが提供されているかどうかが問題になります.つまり,インターネットを利用するということは,接続することではなく,これらのサービスや情報を利用することなのです.
1 インターネット
インターネットの歴史は古く,1960年代末にアメリカ国防省の関連機関であるDARPA(Defense of Advanced Research Projects Agency)が実験的に始めたARPAnetというネットワークに起源を発します.ただし,現在のようなさまざまなネットワークが相互に接続し,一般の利用者でもコンピュータの機種に依存することなく,ネットワークに接続して各種サービスを利用できるという形の基礎ができたのは,1980年代初めに,BSD UNIXなどで利用されていたTCP/IPというネットワークプロトコルがARPAnetに採用されてからです.
この結果,大学や研究機関を中心に,学術的な利用を目的としたLANが構築されるようになり,研究者の間でこれらのLANを使って情報交換ができるように相互に接続され,全米に渡る大規模なネットワークに発展していきました.

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