2000年4月29日(土)
指揮:アレクサンドル・コプィロフ
振付:マリウス・プティパ
改訂版再現:ユーリー・グリゴローヴィチ
衣装:ユベール・ジヴァンシー
はじめて見るバヤデルカ。
グラチョーヴァが出て来ただけで、舞台が盛り上がる。彼女を本当に愛しているファンがいるのだ。拍手が起こる。
グラチョーヴァは、2幕目婚約式の時、悲しみを隠せないニキヤを見事に演じる。こちらが見ていて切なくなる。柔らかな女らしい踊り。その動きの流暢さ、身体をどんな風にでも思い通りに表現に移せる、その技術に支えられて、感情がほとばしる。そしてソロルから花篭を貰った時の抑えた喜びに溢れた情緒。それを演じきっている。
束の間の喜びのあとに、ガムザッティが仕込んだ毒蛇に噛まれる。その苦しみの表わし方がまた、流石。そんなにあらわに表現するわけではないが、彼女の目がくるおしそうにソロルを見る。その表情が後に引く。
ただ、婚約式の場面のガムザッティはいただけない。ペトローヴァの足が上手く開かなくって、ジャンプもきれいではないし、指先までの注意が行き届いていない。顔が美しいだけに残念。それに回転も軸を大きく外れ、必死さが伝わって来て、見ていてこっちの肩に力が入る。一幕目の雰囲気が良かっただけに2幕目に盛り上げられなかったのが残念。
3幕目、あ〜〜〜!!一言。
美しい。本当に美しいコールド。舞台後ろの山の頂から下りてくる幻たち。
それが、舞台に降りて来た時の勢揃いした時、思わずため息が出る。
一人一人見ていると、それぞれちょっとずつずれがあるのだが、あの一体感はやっぱり音楽に乗ったその表現力によるものと感心する。
線から面への踊りの移行がなんとしても、コンピューターグラフィックスの輝きを思わせるくらい。
グラチョーヴァのジャンプ。ホォーとため息が洩れる。
その後ろでジャンプするツィスカリッゼ・・・。彼のジャンプ。そしてスピードのある回転。
二人とも最高の出来といえる。素晴らしい!!
何度もため息と拍手。ブラヴォーを叫んでしまう。
影の役のマランディナのジャンプはいけるし踊りもきれい。その後のアレクサンドロヴァの踊り。彼女はやっぱり大物。バレエの大きさが違う。観客も彼女にアンコールを盛んに送っていた。
その後のアラシュは大味。肢体が固かった。
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