GOLDル・ポンドシエル 

住所:大阪市中央区北浜東4-33 大阪大林ビル  電話06-6947-0888
営業時間:11:30〜14:30 17:30〜22:00(ラストオーダー21:00)年中無休
京阪天満橋 地下鉄谷町線天満橋 14号階段上る。 大林ビル30階。

2004年2月18日
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一年前にはじめて経験したギィ・マルタン。食べ終わった瞬間から今回の食事が待ちどうしかった。こういう時、2回目は期待が高すぎて失望に終わることが多いものだが結果はいかに?


食べたもの
前菜1◎牡蠣とカレー風味のかぼちゃのスープ キャビアを添えて
Huitre dans un bouillon de potiron au curry et raifort au caviar

前菜2◎鴨のフォアグラのテリーヌとトリュフの香りの人参
Foie gras de canard en terrine, confit de carotte et truffes

魚料理◎ブルターニュ産オマール海老 胡麻の風味と塩漬けのレモン
Hommard de Bretagne dans un jus de sesame et citron au sel

肉料理◎クロワゼ鴨 ねずの実の香り焼き 酸味の効いたビーツとパイナップルを添えて
Canard croise parfume aux baies du genevrier, cuit sur son coffre, betterave et ananas acidule

デザート1◎スパイスとチョコレートを香らせた洋梨 洋梨のシャーベットとはしばみの実
Des poires infusees aux epices douces et chocolat malte, sorbet poire enrobe a la noisette

デザート2◎バナナのローストとココナッツのビスケット 落花生と赤ピーマンのアイスクリーム
Banane rotie, churros a la noix de coco, glace cacahuete et piment d'Espelette

小菓子◎いろいろ

飲んだもの
Nicolas Feuillatte Brut/Reserve Particuliere/Champagne
Gevrey-Chambertin 2000/Vieilles vignes-Aux corvees/Guillard


メモ
  • パリの三つ星レストラン『グラン・ヴェフール』のシェフ、ギィ・マルタンの料理フェア。
    会場は同レストランと技術提携している「ル・ポンドシエル」
     
  • メニューはコース料理が2つ(アラカルトはなし)。

    デジュネ(オマール海老 大根のラヴィオリ仕立て きく芋のコンソメと共に、帆立貝柱を栗とカレーの風味で、鱈のさやえんどうとシブレット菜添え シナモンと丁子の香り、魅力いっぱいのパイナップルのデザート)8000円。
    もう一つは今回食べた「ムニュ・ガラ」18000円。
     

  • 場所は大阪天神橋近くのビルの最上階。窓から広がる景色がレストランの内装の一部となっている。雰囲気は一昔前のホテルレストランという感じで少々やぼったい。厚手の絨毯が一面に敷かれ、そこそこに間隔をあけてあるテーブルには背もたれの低い椅子が窓の方を向いてセッティングされている。デートやプライヴェイト用というより、大阪のビジネス接待客に照準をあわせているのかもしれない。

    着席してすぐに不愉快なことがおこった。椅子が小さく、女性のバッグ置き場に困った。周りをみると他のテーブルのお客さんには席につくとすぐに女性のバッグ置場への配慮があったが、私たちのところでは席につくとそのまま放っておかれた。床に置くのも何なのでバッグをどこかに置きたい旨を告げてもなかなか対応がなされなかった。これは担当者の技量によるから運不運の問題だとして諦めがつく。このレベルのレストランで「諦めること」をしなければならないのはレストランにとって残念なことだけど。

    また、このレストランは客に応じてサーヴィスを差別する。これは前回にも目撃したからお店の体質の問題だろう。特別客にはレストラン幹部が複数で挨拶に出向き、長々と話をする。これは不愉快ではあるが、われわれ一見客は我慢しなければならないのかもしれない。ただギィ・マルタンはそうした差別をしたくないのでパリの店では客席に出向かないとのことだから、このレストランは彼が嫌う対応をしていることになる。

    さらに問題だったのは、前のテーブルのお客さんは私たちより後から来たのに、着席と同時に複数のメートルが素早く対応し、グラスにはワインや水がすぐに注がれていた。一方、わたしたちの卓にはメニューを配りにくることも、バッグ置き場に対する対応もない。正直、帰りたくなった。

    ただ、こうした不満は料理が運ばれるまでのこと。食べ始めるとおいしさで他のことはどうでもよくなった。サーヴィス人はフォーマルを基本としながら、カジュアルな面をももちあわせ、楽しんで食事ができるよう努力していることがうかがえた。
     

  • 料理は去年と同じくはじめの1品を除き驚きの連続。
     
  • 前菜1はほんのりとカレーが香る滑らかだが普通のかぼちゃスープ。牡蠣はもちろん肉厚で上質。ただキャヴィアは蛇足。緑色はわさび大根のエミュルション。アミューズの位置づけだろうに、運ばれてくるのにずいぶん時間がかかった。
     
  • 前菜2はいままで食べたあらゆる料理の中でも一番おいしいもののうちのひとつ。フォアグラのテリーヌはまるで上質のお菓子。あぶらみはこれ以上でもこれ以下でもないベストの量。その日の気温にまであわせてあるかのように、ぴったりしっくりと口の中でとろける。
    たてに書かれたソースはトリュフの細切をちりばめたヴィネグレットトリュフ。といっても酸味はみじんもなくてトリュフの土の温かみが感じられ、量は少ないが存在感があり、左の鴨のゼリーへのよい橋渡しになっている。
    円錐状の鴨のゼリーには胸肉、砂肝がはいっている。それだけ独立して食べると地味かもしれないが、この皿全体でみるとトリュフソースを含め3つが同じ根から出ながらも成長の仕方が全くちがい、転調した3つの小品となって、しかもハーモニーとして一つの世界としてまとまっているところが素晴らしい。料理に感動という言葉があれば、この1品こそ、それにふさわしい。
     
  • 魚料理はオマールの二つの部位を楽しむもの。白いソースが挑戦的。見た目は淡白そうだが、ゴマとレモンのエミュルションで、オマールそのものの味がかすむくらいゴマ味が濃厚。斜めの白いソースは山羊のブルース(ヨーグルト)。コッテージチーズの味。左側のつけあわせはういきょうの根とレーズン。
     
  • 肉料理がまた絶品。左の胸肉はマリネしてからローストしたもので、ヴォトカ、丁子、ねずのみ、オールスパイスがかかっている。ソースは二重で、黄色い方はメロンとパイナップル。もうひとつはビーツと鴨の汁。
    右の腿肉は網脂をかぶせ焼いてあり、表面はなめらかだが、けっこう野生的な味。
     
  • デザートは洋梨がテーマとなっているはじめの1品が脳天直撃。特に中に洋梨のシャーベットのはいったヘーゼルナッツ入りホワイトチョコレートはいつまでも記憶に残る。ナッツのぶつぶつ・つぶつぶ感、梨の甘酸っぱさ、冷たさが三位一体となり、量は少なくともこれだけで満足するインパクト。その下にはコーヒーの寒天と洋梨のコンポート。
     
  • 会計は合計で49665円。内訳は36000円(コース二人分)+5000円(ハーフボトルのシャンパーニュ)+2000円(グラスワイン)+4300円(サーヴィス料)+2365円(税)。

    量はちょうどよく、入店時の対応とレストランのポリシーを除いてサーヴィスに不満はなかったので、世界最高レヴェルの料理をこの値段で、しかも大阪で食べられるのはとても嬉しい。
     

  • ワインリストはフランスものを中心に、各国のものがまんべんなく揃えられている。12000円を越えるものが中心だが、7000-8000円にも魅力あるワインがいくつかある。グランヴァンは別リストで、たとえばラフィット86が10万円。
     
  • 今回のメニューは、フォアグラのテリーヌ、白いソースのオマール料理など、去年と同じような感じでかわりばえがなくつまらなさそうという一抹の不安があったが、杞憂であった。マルタンの料理には無限の可能性があることを逆に確認することになった。
    来年のフェアが今から楽しみ。この料理を食べるためだけに岡山から片道2時間半かけて大阪に行く価値が十二分にある。
     
  • 料理の写真は こちら


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