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戦略経営組織論
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一桁>経営組織論?>『人材活用』

<訓練と能力開発>

幹部養成訓練
 幹部養成訓練‥‥見習い管理者(通常は、大学卒の中堅社員)の訓練計画で、「幹部養成訓練」とか「経営者(または管理者)訓練計画」と呼ばれているものです。
 この職場訓練方法を用いている企業組織では、常に企業経営に関して、座学など教室での学習、それに、企業組織内の各部を回って行う仕事、現場での専門的な訓練から仕組まれる、正規の訓練計画に新受講生を参加させています。

 これらの計画は数カ月で終了するものから、一年以上続くものまであります。
 しかし、計画の立て方一つで非常に効果がある場合もある一方で、全く徒労に終わることもあります。訓練計画は、受講生が組織内各部の間を、いったりきたりする計画より、実際の仕事で経験を積ませる計画の方が成功します。また、人がやっている仕事をただ漫然と見させるよりも、意義ある仕事を、実際に担当させて、その業務遂行に参加させた方が、はるかに効果的です。

 例えば、製法、新製品の市場、事務処理過程などの評価をやらせると良い結果がでます。
 これらの仕事に、セミナーや実習で行ったことに対しての評価会議を、組み合わせることによって、消極的な計画訓練よりさらに良い訓練が出来るようになります。

 幹部養成訓練のもう一つの優れた方法は、できるだけ早い時期に、つまり、職位階層の、低い地位にいるときから、意思決定を下す機会を、与えることです。そして、それぞれの職務において、損益に関する責任を負い、それぞれの所属単位にかかわる意思決定をくだす権限を与えられます。
 誤りを犯すかも知れませんが、職位が低いうちであれば、問題の処理を学ぶ過程で、誤りを犯す場合も比較的小さいし、受講生が会社と共に成長するために、必要な経験と自信を植えつけることが出来ます。

「管理訓練」
新しい受講生には、訓練の必要な一般従業員がなるとは限りません。
 管理職についた人や、管理者になる準備をしている人も、部下を扱う技術や、心理学を学ばなければなりません。それに、多くの会社では、人間関係や、監督技術の面で、必要レベルの進歩上達に遅れないようにするために、現役の管理者を対象にした上級管理者の訓練計画も実施しています。
 これらの計画は、職務内容から人事部が実施するのに適していますが、指導力訓練を専門に行っている外部のコンサルタント業者に依頼しても良い結果が生まれます。「この問題に関しては、利用できるビテオ、テープ、パンフレット、書籍がたくさん刊行されていますからそちらを参照して下さい」

野球などの俚諺に「名選手名監督になれず」があるように、優秀な機械工だから優秀な職長になれるとは言えません。優秀なセールスマンだから簡単にセールス・マネージャーになれると言うわけではないのです。
 非管理者が非管理者として成功する条件は、管理者として成功する条件とは同じではないのです。それで、だからといって、何も天才的な指導者である必要はありません。
また、管理者として優秀な素質を持っていなければならない、と、言うわけではありません。リーダーシップ技術は、あとから学ぶことが出来る性質のものです。
 経営者には、リーダーシップ技術が身につくようにするツール(技能)を管理者に与える責任があります。

 多くの会社が実施している社内訓練計画の他に、「リーダーシップと管理」に関するセミナーが、大学、同業組合、職業団体、人事コンサルタントなどの手で頻繁に開かれております。これらの利用を配慮することで職位のレベル向上が容易になります。

「技能訓練」
 技術革新がつづいている今日では、多くの仕事が高度化して複雑さを増しております。
 工場にも事務所にも、新しい機械や、装置が導入されているため、仕事を行ったり、機械を使用したりするために、必要な人材の訓練につながる訓練計画を、実施しなければならない必要性に迫られております。

 大多数の機械メーカーは、機械を買ってくれるユーザーのために、技能訓練をやっております。また、会社自身も、古くなった技術や機械を更新するときには、新入社員の訓練や古参社員の再教育を行う訓練計画を実施するケースが増加しております。

 また近年、政府は外国労働者や難民その他不遇な人達に企業が技能訓練を施すように奨励しています。
 そのため、多くの企業が、政府の資金援助を受けて、それら等の人達に各企業が必要とする技能を習得させる訓練計画を立て実施してています。

「経営者の養成」
 経営者を養成することぐらい複雑で微妙な訓練は例にありません。
この経営者の養成に利用できる計画は色々あります。企業が企業内で行う昇進を前提にした訓練もあれば、大学や、同業組合、コンサルタントなどが行う外部のセミナーもあります。
 経営者の養成は、計画化から統制にいたるまで、課題が広範囲にわたる点で、監督者訓練とは異なります。ですから訓練の参加者は、第一線監督者よりはさらに上の人達で、トップ・マネジメントにまで及ぶことがあります。

 経営管理者養成の目的は、有望な管理者を訓練して、これから経営者になろうとする人達を助けるだけではありません。現役経営者の経営手腕に磨きをかけるとか、仕事でより一層の経営手腕を、発揮できるようにすることです。

 経営者養成計画で用いられる「テクニック」には、経営現場の色々な面についての講義と討論、実際の問題を取り上げるケース・スタディ、解決策の案出と検討、実習、各種視聴覚教育などで主たるものです。
 その上に、一部の企業が用いているように、さらに高度なテクニックには、提出された事実に基づいて、一連の意志決定を行い、その結果を、事前にプログラミングしたコンピュータの意志決定と比較することによって評価するシュミレーション・ゲームがあります。

 また、上役による個人指導も、経営者養成に、きわめて重要な方法になります。ですから、どの経営責任者も、自分の所轄部内のものを訓練して、成功させることを自分の責任の一端と考えるべきだとおもいます。
 トップ・マネジメントは、この手法を奨励するだけでなく、要求しなければならない問題です。それは、昇進する能力がありながら、良く訓練された部下を持っていないと、企業組織内に大きな問題を引き起こす恐れが出てくるからです。

 経営者の養成は、決して無視してはならない領域です。企業が生き残るための決め手の一つであり、人を生かす経営の本質的な部分を形成しているものだからです。
                             つづく