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#235 一桁>経営組織論?>『部下の問題処理』

<個人的問題の処理>

 管理者の主要な責任の一つは、自分の部内に生じた問題を処理することです。
 人事問題が生じたとき、管理者は、取引上の問題に対する配慮と同様な配慮を払う ことが大事になります。この問題については、組織的分析技術を用いて対処するほど の重要性があります。
 この問題解決のプロセスは大きく三つの段階に分けることが出来ます。
1、「問題を認識する」
「問題は本当に存在しているのか」
 もし、問題があるとすれば、その本当の姿はどうなっているのか。どういう形で現れているか等、問題の解決は、問題を明確に認識することからスターとします。
部内に発生している一切の物事の中から、見たり聞いたり感じたりすることで、『士気は低くないか』『規律違反による処分は多くないか』『生産は基準以下に落ちていないか』『何か不都合なことが起こっている』といった漠然とした感じの中から、問題は厳密に見極めなければなりません。

2、「状況を明確に把握する」
 『関係しているのは誰か』実情はどうか』『問題は何時どこで起きたか』原因を明確にします。
 しかも、『問題は何故、どのように生じたか』実情を調べ、事実を確かめます。その上で、あらゆる可能な解決策を考えるようにします。さらに、選択の対象となる解決の複数案はあるか等など、常に種々の選択が出来るように配慮しておきます。

3、「複数案を評価する」
 解決案の評価に当たっては、まず、各案の長所短所を比較の上、対処に最善の解決案を選びます。それから、自分の意思決定を実行するのに必要な方法を考えます。
 この方式を職場内の状況に照らして、詳細に検討してみます。
 規則違反が起きたり、社員が仕事の行動のある面について修正を必要とするようなことをした場合には、管理者は何らかの措置を取らなければならないでしょう。何もしないということは、規則違反を大目にみたり、部の管理が出たら目であることと同じになります。

 次のガイドラインは、規律問題の処理で管理者の役に立つものだ。

T 「やらなければならない事」
1) 部内の規律を正しく守る事が管理者の仕事の一部である事を忘れてはなりません。

2) 措置を講ずる前に、何が問題であるかという事ばかりでなく、何故そういう問題が起きたかという事も、大事な問題で論理的に考える必要があります。

3) 規律違反を起こした社員は、違反を起こすきっかけとなったものは何かを、知っていると思わなければなりません。
 そのためには、彼または彼女に、自分の行為を釈明する機会を与える必要があります。釈明が行われたなら、釈明の事柄を調べて、言っている事が全て事実かどうかを確かめます。

4) 規律違反者には、処分を受ける前に償いをする機会を与え、汚名の挽回をする必要があります。

5) 処分とは迅速に行われなければならない性質のものです。違反事件の調査と意思決定が遅れると、処分の効果が薄れ、場合によっては逆効果になってしまいます。

6) 処分とは、その正当性が証拠によって認められ、処分理由を関係当事者全員が知るようにしなければ、その措置を誤ることになります。

U 「やってはならない事」
1) 規律上の問題はこれを無視したり、あるいは積極的な措置を講じたりしなくても解決できると思うのは間違いです。

2) 管理者にしても規律違反者にしても、激しい感情に支配されているときは、行動することを控えます。

3) 矯正できない部下を、変えようとする無理は禁物です。たとえ、管理者がカウンセリングで、ある程度解決できる感情的問題があると思ったとしても、信頼関係を保持するために、これは人事部へ回します。

4) 配置転換が本人に取っても、会社に取っても、最善の手段とならない限り、仕事が出来ない社員や、人格に問題がある社員の配置転換を、軽々しく行わないようにします。

5) 一時的な気分の流れに乗り、人前での部下を叱責してはなりません。人前での叱責は相手の心を傷つけ、反感を抱かせ、希には、状況まで変えて仕舞う危険があります。どのような叱責も、必要とあれば、プライベートにで行うべきす。

(註)監督者は「部下の問題」を一時の感情に左右される事のないように努めることが肝要です。問題は、論理的に、しかも、問題の構造を組織的な方法で、状況に迫る事によって解決する事を、心に深く止めて置けば、部の士気も高まり、人事移動は削減され、生産性の向上に方向づけられることになります。