- できる限り具体的に
講義の内容を具体的なものにするためには、実例や比喩、例話などを活用します。「例話」とは、ある言葉(概念)を説明するときに、“たとえば”という言葉を枕にして、例をあげて解説するやり方です。
一例をあげるなら、学習法の分類の仕方の一つに「集中法」と「分散法」があります。集中法とは、ある学習内容を一気につめて学習するやり方であり、分散法とは、一回の学習の分量を少なくして、回数を多くするやり方です。たとえば、車の運転免許を取るための練習をするときに、二週間くらいの合宿で集中的にやるのが集中法であり、1日に2時間くらいずつを数週間にわたって反復し、継続するやり方が分散法です。
- 視覚に訴える
口頭で話して、耳で聞かせるだけでなく、黒板やボードに図解などを板書すると、視覚にも訴えられるので、受講者はさらに理解しやすくなります。折れ線グラフや棒グラフ、フロー・チャートなども、できる限り多くに活用するとよいでしょう。
たとえば、ビールの1年間の消費量を表すときに、「去年よりもとても多かった」というよりは、「霞ヶ関ビル(または、東京ドーム)をマスにして○○杯分」という言い方をすれば、かなり実感がわいてきます。さらに、これらの様子をグラフやチャートやイラストなどで図解して、目で見てわかりやすい形にすれば、訴える力はいっそう強いものになってきます。
- 質問技法を活用する
講師の側からの講義が一方通行にならないようにするためには、受講者との間で、質疑応答のやりとりを多くするとよいでしょう。
質問を技法として使うやり方には、基本的に「質問の投げ方」と「質問の受け方」とがあります。
<質問の投げ方>
質問の投げ方には、さらに、「全体質問」と「指名質問」とがあります。全体質問とは、受講者の全員を対象にして、「みなさん、これについて、どう思いますか」といって、全員に対して質問を投げかけることです。この問いかけに対して、受講者の中から誰かが答えてくれれば、それをキッカケにして、受講者同士の話し合いを促進していきます。全体質問で答えがでてこないときは、しばらく間をおいてから、「○○さん、どう思いますか」と、特定の誰かを指名して質問します。そして、その回答をキッカケにして、全員での話し合いを展開していきます。
<質問の受け方>
質問を受けたときの留意点は、“即答することが正しい”とは限らないということです。
ブーメラン法:「あなたは、どう思いますか」といって、「投げ返し」をすることです。あるいは、「Aさんがこう尋ねていますが、Bさん、あなたならどうしますか」といって、ほかの受講者に「中継ぎ(リレー)」をして、その人に話のバトン・タッチをすることをいいます。このようなやり方をするねらいは、講師の講話が一方的なものにならないようにして、受講者同士で話し合うようにし向けて、それによって、受講者同士の相互作用や相互啓発を促進するためです。
- レッスン・プランを用意する
15分か20分くらいのレクチャレットやミニ・レクチャーの場合ではなく、1時間以上にわたるような本格的なレクチャー(講義)をする場合には、あらかじめ「レッスン・プラン(教案)」を用意しておいたほうがよいでしょう。
講義する予定の事柄を頭の中だけにしまっておかないで、紙の上に書いておくことが重要です。できる限り見やすく、使いやすいように工夫します。
レッスン・プランの作成では、次のような点に留意が必要です。
@目的やねらいをはっきりさせておく。
A 起・承・転・結(序論、各論、結論)を順序立てて考える。
B導入部に工夫を凝らす。
C易しいことから、難しいことへ。
D実例・例話・比喩などを用意する。
E図解をひんぱんに活用する。
F板書や質問の箇所を決めておく。
G最後にヤマ場を設定しておく。
H配布シートなどの教材類を確認しておく。
I時間配分を見積もっておく。
注:「下図、NEXTで次ページへ続く」