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器量と能力の開発『魅力的な人』

 ビジネスマンの人間的魅力
     今日の社会では、どのような仕事についても、人の先に立つためには、つぎのような条件が必要 です。
     つまり、
    ◆ 人と折り合いよくやって行くこと、
    ◆ 影響力を持つこと、
    ◆ 説得力があること、
    ◆ 効果的な話し合いができること、
    ◆ 人を味方に付けること、
    ◆ 強い印象を与えること、などです。

    「経営者として成功するための最大の要素は人間性である」

     これは、カリフォルニア大学でアメリカ国内の指導的立場にある企業を研究調査したときの 結果です。
     また、多くのビジネス団体は企業の経営者になるため、つぎの三つの条件を必要としていま す。
     まず、
    ● 柔軟性に富んでいること、つぎに、
    ● 経験か教育があること、そして、
    ● 人を引きつける魅力を備えていることです。

     人にインスピレーションをあたえ、影響力のある、個性的な人間のまわりには、周囲の人々 が全部集まってきます。

     どのように人に影響をあたえるかによって自分の人間性は決まります。
     仏教を開いた釈迦は、身分や貧富の差に関係なく、人間を五種類に分けています。

    1. その人間がいなくては困る
    2. その人間がいた方がよい。
    3. その人間がいてもいなくてもよい。
    4. その人間がいてくれない方がよい。
    5. その人間が死んでしまえばよい

     さて、みなさんは、この中でどれにはいるでしょうか。
     魅力的な人間とは、その人のもっている人間性に対する他人の反応です。
    ちょうど家が土台の上に立てられるように、全人間性のもっとも内部にひそむ考え方・思想・心構 え・感情、そして行動という土台の上に成立しています。

    ところが、人間性の土台は日々の環境によって、変化します。長い間数々の習慣や訓練そし て、エゴや癖がかさなって自分流の土台をつくります。
     人間の考え方や行動の習慣は、繰り返しによって、あまりにも深く根を下ろしすぎていま す。そのため、本の少しの刺激を受けても、思いがけない抵抗を示すます。人間には、習慣に よってつくられた性格があって、それは本性のようになっています。

     しかし、そうした性格に抵抗する習慣もまた、必ずつくることができます。
     つまり、熱意は、まず小さな変化をつくりだします。その変化を持ち続けることによって、 やがて習慣となり、大きな力を持つようになります。それが、大きい風を起こし、新しい変化 が積み重ねられて習慣となり、新しい人間性をつくりだすことになります。

  1. 魅力的な人の条件
    1. 内面
      a.戦略をもっている、希望に燃え、生き生きとして、目が輝いている。
      b.心の余裕があり、行動に自信を持っている。
      c.誠意のある人
      d.魅力的な会話のできる人

    2. 動作・表情
      a.きびきびとした動作
      b.背筋を伸ばし姿勢がよい。
      c.つねにリラックスしているが、同時に集中力もある。

    3. 外面
      a.清潔である
      b.部分的でなく、全体にバランスのとれた美しさがある
      c.真似から自己表現へ
      d.時と場所・場合を心得た服装と態度

  2. 敵を作るな、ライバルを作れ
     一廉の人物は、人を見るとき、「この人は、あの仕事ができない」という見方をしないで、 「この人は、この仕事ができる」というように、いつでも相手ができること、わかることを 知っているなど、のいい点をつかんでその人物を判断しています。

     欠点だけ見て、その人物を使わなかったり、遠ざけているようでは、相手の反発心を買 うだけになります。よく古老に人と接するに「五年後の影響を考えて接しろ」などといわ れます。

     これは相手を、単に仕事上の「経過点としての存在」にするな、という意味です。他人 は、自分にとって、大きい影響力をもっていますから、敵に回すと仕事の障害を引き起こ しても、円滑に事を運ぶ協力はしません。ですから、他人に接するには、いつでもその人 の長所を活用できるように考えます。

     相手に長所を感じたり、認めたりするということは、その長所が自分に備わっていない か、または、自分のもっている能力は、相手より劣っているということになります。
    このような考え方をもつと、相手は自分にとって追いつき追い越さなければならないライ バルに変化してきます。
    「何とか相手に追いつきたい。できれば追い越してみたい」
    このように意識して相手に接することによって、より一層相手の長所だけを見るように なってきます。その結果、どんな相手でもだんだんと尊敬できるようになります。

    「いま、この仕事はあの人にやって貰う方がうまくいく。自分でやりたいと思うけど、あ の人に頼む方が、会社のためになる」
     ビジネスマンとして成功するには、相手の欠点をたたいて相手を敵に回すことではな く、長所だけを見て、相手をたてる必要があります。相手に何とかして追いつきたいと思 う反面、相手をどの局面で活用できるか、自分の欠点を補ってくれるか、を、考えるので す。相手をライバルと見ることによって、そのライバルに打ち勝つという目標が生まれて きます。

     そうなれば、相手はなお一層自分の長所を伸ばそうとするでしょうし、その人が養成す る能力は、ビジネスマンにとって、五年後十年後に大きな力をあたえてくれることになり ます。
     相手がプラスに働くか、あるいはマイナスに働くかは、大きな問題です。相手が少しで もプラスに働いてくれるように、相手を敵にすることのないように、そして、相手をライ バルとすることができる努力を積み重ねていく必要があります。相手をつねに肯定的にあ つかい、相手の欠点についてはそれを共有するだけの、度量を示すべきです。相手との関 係は、欠点をみとめる度量によってより深い信頼関係が生まれてくることになります。

  3. つねに注目に値する人間になれ
    人間が人間に対して魅力を感じる最大の関心事といえば、それぞれの個性に基づく人間味とい えます。厳しい経営環境下にあって、日々努力と研鑽を積んで、人間味により磨きをかけま す。その労苦によって、より高いレベルに自分を押し上げていく必要があります。

     ビジネスで成功するには、トップの補佐として、あるいは将来の企業を背負って立たな ければならない立場から、この人間味を磨いて、つねに、注目に値する人間になること で、企業運営のリーダーシップを発揮しなければならないと思います。

     そのためには、つぎのような人間味を磨いていくことになります。

    1. 人から信頼され、尊敬されるだけのひんかく・ひんせいがあるかどうか
    2. 人に愛情を抱けるかどうか
    3. どんな仕事にも厳しく対処しているかどうか
    4. 明るさを身につけているかどうか
    5. 未来への組織のビジョンを持っているかどうか
    6. 広い常識と先見力があるかどうか
    7. 自分の役割を自覚し、成長への努力をしているかどうか
    8. 健康を保っているかどうか
    9. 自己の人生観をもっているかどうか
    10. 仕事を楽しみにしているかどうか
    11. 前例を乗り越えようとしているかどうか

     これらの諸点について人間味を磨くと共に、物事をすべてプラスの方向に捉えることが大切 といえます。自分自身が注目に対するかどうかは、相手がどのように見るかの問題であり、自 分がいかに注目に値すると思っても、どうしょうもないことです。
    あくまでも、相手あっての自分を意識して、相手にとってどうすることがいいのか、相手に とってなにがいいことなのかを積極的に考え、積極的に実行することです。

     相手にとって注目に値する人間になるということは、自分が一体相手にとってどう見え ているのか、どう実力を判断されているのかを知ることです。つまり、自分自身の実力 を、きちんと掴んでいなければならない、ということになります。
    「敵を知り己を知れば百戦危うからず」と、孫子の兵法にありますが、自分の実力がわか らなければ、相手にどう対処すればいいのかなど、わかるものではありません。

     ビジネスで成功しようとするには、自分のことも、まして、相手のことも知らずに、た だ闇雲にあたって砕けろというのでは、とうてい注目に値する人間などになれるはずはあ りません。じっくり時間をかけ、自分を知り、その後相手を知ることにつとめます。それ にはかなりの時間が必要になります。途中で投げ出さない覚悟をしてとり組むことです。