向上訓練の研究
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『創造性開発・問題解決』

【 Z K 法 】

◆概要
 ZK法は、システム工学者である片方善治氏の考案による問題解決や創造性開発のための技法です。
 この手法は、各種の企画・発明考案、研究開発、問題解決プロジェクト等、実際経験からの積み重ねを理論化のうえ技法として完成させたものです。この技法の創出過程では、実地経験において、アイデアを出し、それを実践可能にするために、@発想の心理過程、A実践手続き、の二つの部分を統合しなければならない条件づけに頻繁に遭遇しております。そこで、「実践なき創造は創造にあらず」という考えの基で、この二つの具体化のために、@アイデア誘発のパート、A実践手続きのパート、二つを統合するシステム思考技法を考案するにいたっております。
 ZK法は、日常、習慣的に問題解決を図っていく手順、例えば、何か問題があり、それを解決するための方法として、思い浮かぶことを、書きとめておき、後でそれをまとめる方法とよく似ております。ZK法は、日常的な思考を外在化、順序立て、系統化して、時間的に効率的な手順を与えるものですから、広く問題解決や、創造性開発に活用が出来ます。
 ZK法には表1のように三つの種類があります。三つの基本ステップは同じですが、問題解決に要する時間と、各ステップの進め方に差異があります。
  Z K 法 の 種 類  
種 類所要時間活用区分
ZK法
(オーソドックスZK法)
約四時間 問題が大きく、その内容に幅や深さがあるもの、(ex.販売戦略や商品開発など、組織的な展開をようする問題)
簡略ZK法約二時間 職場の日常的に処理するような問題(ex. 仕事の効率化、日常業務の問題解決)
ミニZK法約三十分 日常的、個人的な問題の解決や、個人としての思考を習慣化する手段
 

◆ZK法の特徴
 ZK法の特徴をあげると、
1) アイデア発想の心理過程とそのアイデアを実現する手続きを統
 合した手法であること。
2) プロセス展開が起承転結(四つのプロセス)であること。
3) 個人による創造的思考が重視しされること
4) 瞑想(集中的思考)+(プラス)ノートへの書き込み(拡散的思考)
 による思考のリズムでアイデアを誘発させること。
5) それぞれのステップの取り組み手順が明示されること。
 等で、問題解決や、創造性開発がなされるように、工夫されていることです。「下図ZK法の展開と種類を参照」

 

ZK法の展開と種類
内容構成展開のステップ手順発想の方法
(思考)
 時  間 
ZK法(オーソドックス)簡略ZK法ミニZK法
アイデア誘
発のための
パート
T(起)発想の視座(ラウンド・テーブル方式)
@問題の提起
A問題の背景把握
B問題の分析
C問題の明確化
帰納的発想(耕)約30分0分〜10分0分
U(承)瞑想と思索(個人思考)
@瞑想と拡散的思考(ノートへの書き込み)
A収束的思考と拡散的思考(ノートへの書き込み)
Bまとめと累加(図表化)
C自己評価
自由発想
(種をまく)
→(約3分+約4分)
×8回=約56分
約一時間
(2分+3分)×8回 =40分
25分
(1分+2分)×4回 =12分
15分
実践手続きのためのパートV(転)相互作用(集団思考)
@図表の集合と提示
A図表の凝視
B相互作用(図表への書き込み)
Cまとめと累加
演繹的発想 (成長)約一時間40分10分
W(結)実践への衝動(ラウンド・テーブル方式)
@最適案の選択(相互評価による順位づけ)
A全体の見直し
B創造の実施
行動的発想
(果実)
約30分0分
20分
(実施計画ワーク
シートを使う場合)
0分

 

◆ZK法の効果
 ZK法の効果は直接的なものから二義的なものまで多岐にわたりますが、ここではその代表的な効果と副次的なものいくつかをあげてみます。

  1. 拡散的思考と収束的思考の統合を促します。
     ブレイン・ストーミングでは、集団の中に個人のアイデアを埋没させる。あるいは、発言の自由が職制や個人のエゴ等で阻害される。などの欠点があります。
     ZK法では、積極的に個人のアイデアや考えを引き出すように考えられた手法ですから、個人の能力重視によって、個人にチャンスを与えます。一方で挑戦目標(着眼点)は、みんなで考える拡散的思考と収束的思考(個人思考)の統合を目的にしています。
  2. 反復瞑想により思考の生産性と創造性が向上します。
     ZK法では、「あわい」という考え方を大事にします。「あわい」とは、中間状態という意味を持ちます。問題解決や、創造性開発のアイデアやヒントは、緊張をリラックスする「あわい」において生まれます。
     ZK法の「あわい」は、瞑想による思考の状態と、目を開けてノートにメモするサイクルを8回反復を繰り返すことによって、思考と創造の「あわい」状態を得るようにしています。
  3. 集団の場で個々の思考をぶつけ合う相互作用成果の質と量を高めています。
 ZK法における相互作用は、参加者の参画意識を盛り上げ、集団思考の成果を利用して発想の展開を促しております。この結果、チームの考えを実戦に向けるとか、あるいは、個人の創造性が生かされ、集団の創造性が開発される、という副次的な効果が大になります。

参考文献;ZK法の使い方、片方善治・田島伸浩著、日経連刊。
     教育研修技法ハンドブック、高橋誠著、日本ビジネスレポート刊

注:「下図、NEXTで次ページへ続く」


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