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向上訓練の研究

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『創造性開発・問題解決』

【ケプナー・トリゴー技法】

◆概要
 ケプナー(Kepner)、トリゴー(Tregoe)によって開発された技法で、KT技法とも呼称されます。『問題分析』と『意思決定』の二つのフェーズにより、管理者の合理的判断の開発を目的にした技法です。
 KT法の狙いとするところは、業務遂行の途上に発生する問題解決や意思決定において、可能な限り事実情報を集めた上で、論理的な思考手順にしたがい、適切な解決や決定を行うことにあります。
 企業の管理訓練の中で論理的思考力強化訓練として導入された技法ではKT法が最初といわれます。昭和48年頃より、論理的思考の共通言語が重視されついで、企業の進める業務効率化、体質改善、新規事業展開などの運動のツールとして使われ現在に至っております。

 教育技法として研修を行う場合は、概ね次の手順で訓練が進められます。

  1. 日常の業務を行うとき、論理的思考法の必要なことを認識します。
  2. KT法的な論理思考法のWhat-Why-Howを学習します。
  3. 実践活動レベルで技法を身につけるだけではなく、実際問題の分析を通して、解決の手がかりを得るようにします。
 基礎となる意思決定の構成要素には四つのポイントとなるプロセスがあります。
@ 何のために、何を決めるのか。
A 目標と制約条件は何であるか 。
B 複数の方法(手段、案)を考慮したか。
C 決めた案には、何かまずいことはないか。
 研修訓練を行う場合には、これらをプロセス別に事例を示しながら、抽象的な思考プロセスをより具体的に理解して貰うようにします。学習法は、自分の従来の学習法を確かめるための、ケーススタディ→KT思考。プロセスの説明→該当思考。プロセスの理解度確認のための事例訓練とフィードバックの順で行われます。

◆活用事例
 管理者の仕事は、突然降って湧くような決定をする事ではありません。
 業務遂行上発生する問題や課題の明確な結論を出すことになります。日常業務の中で取り扱う問題は複雑で多岐にわたりますが、問題の形態としては、概ね次の四つに分けられます。
1) 課題を設定する。
2) 原因を調べる。
3) 対応策の決定
4) 計画遂行上のリスク対策
 従って、管理者は問題を分析し結論を得ようとするとき、いじょうの四項目のいずれから着手すべきか、その関係をハッキリさせる必要が出てきます。
『KT法』においては、四項目にたいしてそれぞれの論理思考プロセスがあります。つまり、1)にたいしては、状況のプロセスが対応いたします。大きなテーマや概要がハッキリしない状況の中から、具体的な取り組み課題を設定するための論理思考になります。
また、2)に対応する問題分析プロセスは、当然のあるべき姿から逸脱したトラブルの原因を探るための思考プロセスになります。次の決定分析プロセスは、決定目的からスタートして、計画案など評価のための論理ステップをたどり最終決定に持ち込む思考過程になります。最終は、よい意思決定も実行に伴うリスク対策が確実でなければ、目標の達成途中で困難に遭いかねません。そこで、リスク対策においては、潜在的な問題の分析プロセスを経ることになります。つまり、意図したゴールに到達するためのリスク分析とリスクの対策を行うことになります。

◆効果
 多くの管理者は、業務上の問題解決や意思決定を、常に論理的に行いたいと思っています。また、経験の積み重ねによって非常に論理的に行っている管理者がいることも事実です。けれども、判断のための思考過程を明確に意識したり、それをイメージ化したりしている人は決して多くはありません。
 マネジメントの効率化は、行き着くところとして思考業務の効率化になります。そのためには、論理的に構築された思考プロセスを、意識して、自分のものにする必要があります。KT法は、そのような思考法の訓練を与えることが出来ますが、管理者自身の元々からある思考過程の整理や再構築、それに、実線へのモチベーションの役割を果たしているものと思われます。

 KT法研修者による感想は、ビジネスマンの一般的な議論の方法は、まず結論からスタートします。その結果、各人各様の思考プロセスや使用情報を無視して、結論のみのぶつけ合えば、議論はたちまち、平行線をたどったり、堂々巡りに終始しする。あるいは、あらぬ方向に話が飛ぶなど、明らかに、混乱状態に陥りがちです。そして、分かったような分からないような気分で結論が出てしまい、意見をまとめ上げるという観点からは非生産的な方法ということになりかねません。

 この従来のやり方に対して、KT法は、目的・目標を明確にして、論点を整理して議論を進めますから、議論の進め方も、参加者が考えを同一にして結論を求めていくので非常に有効な方法です。と、言い切っております。
 そして、KT法は情報の集め方、思考の手順、議論の進め方のモデルです。多少の複雑さがあるので、使いこなすには、少しの繰り返しの実践訓練が必要であると思われます。としております。

参考文献;教育訓練技法、教育技法研究会編、経営書院刊行;教育研修ハンドブック、監修・著者 高橋 誠日本ビジネスレポート(株)刊行。

注:「下図、NEXTで次ページへ続く」



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