『ア・ルア・イーの魔道書』
《宮廷の書》

否、我ら影とて、今は命ある身。
なんで、神の玩具となろうや。

――影の国の王女オラヴィー

 紫の宝玉なり。黒剣の座

 紫の宝玉なり。翼人の座

 紫の宝玉なり。指輪の座

 紫の宝玉なり。戦車の座

 紫の宝玉なり。通火の座

紫の宝玉なり。野槌の座

紫の宝玉なり。青龍の座

紫の宝玉なり。原蛇の座

紫の宝玉なり。海王の座

紫の宝玉なり。牧人の座

紫の宝玉なり。古鏡の座

紫の宝玉なり。風虎の座

紫の宝玉なり。八弦琴の座

紫の宝玉なり。知られざる諸侯



銀の仕切り線なり。

「諸侯のさらなる詳細が知りたくば、よい名鑑を作ったものがおる。“混沌宮殿の魔王”ENTを名乗る魔王だ」
「ま、魔王‥‥!?」
 シャミアナはびくりとした。影の都に集いし諸侯三百余騎といえ、魔王と称されるのはただ一騎‥‥犬頭の魔王のみ。

「案ずるな、吐息の大公タンキンとはまた異なる類の魔王よ」
 アイゼルは微笑んだ。
「魔王を名乗ってはおるがそう悪しきものという訳でもない。儂も前に混沌宮殿を訪れたことがあったが、非常に丁重なもてなしを受けた。
 魔王殿は魔道の道にも詳しく、彼の宮殿には様々な書物が蓄えられておる。帝国爵位序列に関する概説や、世界の知られざる理や秘密の類も豊富にな。深淵世界を旅する者には、必ずや役に立つはずじゃ」

 そこで老魔道師は、古鏡の魔法陣の中央に立つ銀の鏡を指し示した。
「鏡面転移と魔法の小道を組み合わせし秘呪が封ぜられておる。「魔族帝国諸侯名鑑」の収められし混沌宮殿の「深淵の間」へは、あの鏡を用いてすぐに辿り着けるはずじゃ」
「はい、お師匠様」

黄金の仕切り線なり。 .........『ア・ルア・イーの魔道書』《宮廷の書》.........

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