知られざる諸侯

 世に在りしは幾多の伝説 隠されし秘曲 様々の異伝 詩人の歌う叙事詩 されど、物語の中に隠されし諸侯の存在は未だ歌の公女のみ知るものなり。

 以下に挙げられしは、幾多の物語の中にてその存在を記されしも、詳しき記載のなき諸侯のうちの数騎なり。

 

蛇姫オラヴィー 召喚値不明 星座:原蛇?

影の王国の王女にして魔族帝国の皇母。されど、遥かな過去の蛇姫の詳しき物語は、人の子には未だ明かされざるものなり。

 

大地の王オエン 召喚値不明 星座:原蛇?

王女オラヴィーが影の王国の廃虚に立ち戻りし時、抱きたる赤子こそ魔族皇帝オエンなり。大地の王が姿や統治一万年の詳しき物語も未だ明かされぬものなり。また、皇帝が妃についても何も伝えられぬものなり。

 

蛇の公子アーラール 召喚値不明 星座:原蛇?

蛇姫の魔力受け継ぎし蛇の公爵、魔族帝国皇太子。蛇の公子が詳しき記載、また二度目の反乱に敗れし後、帝国滅亡と公子の最期の物語もまた明かされぬものなり。

 

眠りの大公モーシュレー 召喚値不明 星座:不明

風の妖精騎士住まう《高き砦》あるは孤峰アヴァター、数々の諸侯の封印の地。
名高き龍王の筆頭、大火龍ジーラを魔棲代にアヴァター山にて封ぜしこそは眠りの大公モーシュレーなり。されど龍王の魔力は強大にて、大公自らもまた封印となり、共に山中に眠るものなり。
蝶の化身とも言われる眠りの大公が物語もまた、未だ永き眠りの中にあるものなり。

 

瞳の大公モーン 召喚値不明 星座:通火

反逆の旅人、筆頭五公が一騎。魔族帝国の宰相にして瞳の使者スポーリンが主なり。
一つ目の老人の姿とも言われる名高き瞳の大公が物語もまた、未だ明かされぬものなり。

 

夜の大公マナリー 召喚値不明 星座:原蛇?

北原はユラスの夜の守護者。黄昏の公女、夜の女神マルーヴァが夫にして黒き騎士の侯爵セジュミックが父なり。
妖精騎士によりて厳重に封ぜられ、妻が代理人として夜の到来を告げるものなり。夜の大公が姿や物語もまた、闇の中に隠されしものなり。

 

星影の公女レイシア 召喚値不明 星座:不明(通火?)

白き肌に紅い唇 黒く澄んだ瞳 通火の舞う星夜の丘に現れし美しき公女なり。
人ならぬ狂気を抱き無限の生に苦しむ諸侯の中、狂気に犯されず、自ら死を望んだ星影の公女なり。微笑みもちて魔剣に貫かれ、石となりて魔性の生を終わらせたとも言われるものなり。
若き詩人パブステマと召喚者スリムイル・スリムレイの物語“沈黙の待つ丘”にて登場せし公女なり。

 

羽虫の公女ティア 召喚値不明 星座:原蛇?

薄羽の大公キネズ・ゴーラが娘、父への呪いにて朽ち果てし公女なり。美しき羽虫の公女の姿や物語もまた明かされぬものなり。魔族帝国皇后こそかの公女とも言われるものなり。

 

白い翼のシュニキス 召喚値76 星座:翼人

背に持つは純白の翼、壮年の男の姿なり。
死体に魂を呼び戻し、策謀を巡らせるもの。 不和の侯爵に敗れしもの。
忘れられし一騎にて、異端イェロマーグ派の詩人カシャールの妄言に過ぎぬとも言われるものなり。
八弦琴の吟遊詩人”の記したる書物を参照せよ。

 

有角の公女ディーヌ 召喚値64? 星座:古鏡

西方の鎧に剣 流れるような銀髪の女性 その額には銀の角持つも、その美しさは損なわれぬものなり。
想い出を司るもの。一角獣たちの友。狂気に犯されず永久に眠るもの。かつてありし湖畔の王国の最期の一人なり。
『ア・ルア・イーの魔道書』にのみ記されし一騎にて、《演劇の書》を参照せよ。

 

鏡の狩人ケテアドール 召喚値72? 星座:古鏡

猫の如きしなやかなる肢体 携えるは爪の如き魔剣 銀の髪垂らす美青年の姿なり。
鏡面を旅するもの。イルティスの爪、忠実なる家臣の一騎なり。

魔剣:死せるものも切り裂き、魔法を反射せし魔剣『鏡の爪』なり。その刃は僅かに湾曲し、黒き鞘に走る銀は古鏡のしるし。主は王の威厳もちて太守のもとへ導かれるものなり。
今はなき魔剣なるも、その魂宿る複製は妖精代末期に現ると予言されしものなり。
教団:主イルティスを敬いし『古鏡団』の復活を願うものなり。
『ア・ルア・イーの魔道書』に記されし知られざる一騎にて、《物語の書》を参照せよ。

 

策謀の統領ブレイコ 召喚値不明 星座:不明(野槌?)

野槌座が一騎、不和の侯爵サードナの部下なり。侯爵と共に龍たちの間に不和ばらまき、レ・ドーラの野にて共に争わせしものなり。策謀の統領が姿や物語もまた明かされぬものなり。

 

闇の瞳ネグラスカ 召喚値:50 星座:黒剣

闇よりなお暗き瞳の這いずる影なり。
いかなる場にてもそを見つめる影の象徴。影の都にても闇の瞳は影のまま。影より力吸い、その瞳にて影に引き込むものなり。

魔剣:漆黒の刃に漆黒の柄、『影の長剣スラーシト』なり。
教団:影持たぬ闇の瞳の子らのみが崇めるものなり。

 

刈る者ハングマイエル 召喚値:50 星座:翼人

白き翼に白き髪、黄色の目は破滅の光 鎌携えし髑髏なり。飛行する下半身は見えざるものなり。
草原の大公に仕えし解放者、死の狩りを行うもの。未だ大公の意を組み、死の力を奮い野をさ迷うものなり。

魔剣:即座に首を飛ばす『収穫者』なり。破封の力も持つ大鎌なり。
教団:ハングマイエルは草原の大公の眷属なり。

 

裏切りの巨人ブランネル 召喚値:50 星座:指輪

赤髪に銀の肌、纏うは土くれ、かつては外交官なりし孤独なる巨人なり。
あらゆる信義を呪う指輪の女王の歪んだ影。神征記の罰にて裏切者を信ずる者はなし、触れるもの全ては土に還るものなり。ブランネルが結ぶ約定は必ず裏切られるものなり。

魔剣:約定の相手より力奪う『裏切りの指輪』なり。
教団:その子らすらも全て土に還りしものなり。

 

業火の中の罪人シャルネイロン 召喚値:50 星座:戦車

緑の炎の中に叫ぶ美しき女 その目を見た者は全て燃え上がるものなり。
かつては無念の想いと共に炎に消えしもの 影の都に仇なすものを焼き尽くす炎の宮廷の処刑者 いまや神の炎の中に囲われしものなり。

魔剣:炎まとう錫杖『浄炎』なり。
教団:シャルネイロンは炎の大公に従うものなり。

 

不確かな死ディール 召喚値:50 星座:通火

光輪の中に浮かびし女性 幾つもの定めの可能性のみ述べるものなり。
かつては剣の帝国の征服を予知せし夢占い師 今や予知を確定できぬもの あらゆる死の幻影を視せるもの ただ蝋燭の炎のみが彼女の友なり。

魔剣:燭台に類する『かげろう針』、幻影の刃にて惑わす細剣なり。
教団:ディールは瞳の大公に従う身、ただ異端ルハーブ派のみが不確かな死を伝えるものなり。

 

変わりゆく者ハルーマ 召喚値:50 星座:野槌

服着る四つ足の獣 転がるたびにその姿は変わりしなり。
変化の大公に仕えし不実なる従者。その影はきまぐれにて、寄りし人の子は種々の獣に変えられしものなり。

魔剣:魔法の玩具なり。そのがらがらの音は獣への変身を起こさせるものなり。
教団:知恵なき獣のみがハルーマの望む信者なり。

 

一翼の龍グォルセンノヴァ 召喚値:50 星座:青龍

犬頭の龍、片翼の飛べぬ身にて野を駆け、龍王の眷属を探し求むるものなり。
龍の大公に仕えし偽龍の騎士の一騎。その片翼は龍王の眷属に噛み切られしなり。

魔剣:龍の狂気を纏いし『龍槍ヌーデ』なり。所有者はイヌーヴの眷属とみなされ、偽龍たちより害は与えられぬものなり。
教団:一翼の龍の召喚法は、龍王教団の一部のみが知る秘術なり。

 

真の姿ゴルザイラス 召喚値:50 星座:原蛇

脱皮にて姿を変える三眼の魔 主に鮮やかなる蛇の姿なり。
影の都の宮廷俳優、元は拷問にて皮を剥がされた貴婦人。秘められし人の心暴き、その子らは脱皮にて幾度も姿を変えるものなり。

魔剣:その鱗飲みし者は、ゴルザイラスの脱皮の魔力を得るものなり。
教団:子ら以外に崇めるものなし。

 

地水の主ケンシェ 召喚値:50 星座:海王

青き衣に矛持つ老人なり。
その湧き水にて、大地のすべてを溺るるままにと封印より誓いしものなり。

魔剣:地に刺せば水の湧き出る『泥の矛サーハイム』なり。その水は細剣の如き勢いなり。
教団:水魔のみが地水の主に従うものなり。

 

地の槍ソルディリア 召喚値:50 星座:牧人

地の下にある本体は不確か ただ飛び出す木の根こそがソルディリアの刃なり。
根の侯爵サナドラムの近衛兵。根の槍にて全てを貫く槍使いなり。

魔剣:『根の槍ブラホーン』、持ちたる者は森の結界の中、地下を自由に歩めるものなり。
教団:地の槍を崇めるものはなし。

 

名も無き始まりの巫女 召喚値:50 星座:古鏡

その身に纏うは銀の衣、美しき太守に長く仕えし巫女なり。人の子の時を逆に巡らせ、無垢なる時、胎児にまで戻すものなり。

教団:今はなき古鏡団において合祀されしものなり。

 

凶獣ゼルジス 召喚値:50 星座:風虎

首なき銀の虎 その回りを巡る首の影は七色の七つ、現れては噛み殺し、消えしなり。
かつて黒の猟犬と風虎に復讐せし殺戮者、今は封じられし自らの七つの首を求めてさ迷うなり。射手の侯爵の配下にて、風の中に潜み、空を飛翔せし猟犬なり。

魔剣:その牙より鍛えし小矢『飛翔牙』、隠れし敵も貫き、投げ手の元に戻るなり。
教団:危険なる凶獣を崇めしはなし、されど風の呼び手の教団はその封印を探し求めしなり。

 

語り部の古老イルネィロ 召喚値:50 星座:八弦琴

太鼓携えし老人 新しき物語を探す語り部なり。
影の都のお伽衆、真実と偽りの全ての物語を知るもの。そが解放されし時、既にありし物語に未来が加わり、新たな物語がまた明かされるものなり。
古老が長きに渡る物語を語り真実が明かされる時、人の子の寿命はつい果てるものなり。

魔剣:『語り部の太鼓ヌーベ』、そを叩くたびに未だ語られぬ物語が飛び出すものなり。
教団:イルネィロを探すは、ただ異端イェロマーグ派のみなり。

  以上の十二と一騎もまた忘れられし諸侯にて、異界の神の記せし開門の儀の書『浮石の砦』とさる宮殿に秘せられし『魔族帝国諸侯名鑑 〜騎士爵』を参照せよ。

 

美しき王 召喚値様々? 星座:様々?

人の子の夢に現れし魔族の影 その姿は性別を超えた神々しき美しさをもつものなり。
名前を奪われしもの。秘宝や聖剣の探索を命じるもの。諸侯への強き信仰が形となった偽りの神王なり。人の子の教団壊滅の後に行く場所失い、かつての信仰の場に呪縛されしもの。
その魔剣取り戻せし時、美しき王は自らの名と本性を思い出すものなり。

 

白龍サリュープ 召喚値不明 星座:風虎? 青龍?

麗しき魔族の五公女が一騎、風の公女ピスケールが軍馬と伝えられるもの。
そが血脈を受け継ぐ槍の白馬サリュープは青白き角の一角獣、封印破りし力持つものなり。叙事詩“槍の白馬”に登場せし白馬なり。

 

紫の宝玉なり。

 

 かつて創世神をも倒せし魔族諸侯三百余騎、影の都ヴァランティアに集うなり。不滅の英雄にして不死の魔神ら、今の世にては狂気の中、封印の内にてあがくものなり。

 本書に記されしは百数騎、残りが明かされる時は未だ待たねばならぬ。
忘るるなかれ、魔族との交わりは人の子に破滅もたらすことを。そして諸侯もかつては人の子であったことを。人の子の想いがいかに強きものであるのかを。

――『ア・ルア・イーの魔道書』《宮廷の書》より

 

 

銀の仕切り線なり。
.........『ア・ルア・イーの魔道書』《宮廷の書》 知られざる諸侯.........

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