<7日目>
大自然の驚異
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●1999年11月11日(木)
4:00 起床。え、何故、こんなに早いのかって? それは、もう、ここエルフードにいるということは即ち、サハラ砂漠の日の出を見に行くからに他ありません。だから、こうやって、夜明け前の真っ暗な中を起き出して行くわけです。けど、外に出てみたら、ほんまに真っ暗だったのには、ちょっとびっくり。ホテルの廊下の電気も消されているから、部屋から一歩外へ出たら、暗黒の暗闇が襲ってくる、という感じです。妻と2人、肝だめしに行くような感じで、ホテルの出口へと向かいます。

5:00 ランドローバーに乗車して、いざ、サハラを目指して出発です。満天の星空を仰ぎながら、星明りを頼りに、ランドローバーは狭い道を走っていきます。が、その狭い道もいつしか、消えてしまい、まさに道なき道を行く状態になります。暗闇の中、辺り一面にだだっ広い大地が横たわっていて、その上に、無数の星々が輝いています。他に何も光がないから、本当に、星がよく見えます。思わず、天体望遠鏡を出してきたくなるような。(^^; シリウスを右手前方に見ながら、ランドローバーは暗闇の中をひた走るのでした。

6:00 遂に、目的地、メルズーガに到着。ここでランドローバーを降りて、あとは、大砂丘まで、歩いて行くことになります。ラクダに乗って行くこともできるようですが、私達は、あえて歩くことにしました。

 そして、いざ、砂漠の中に足を踏み入れると、…思うように動けない。(>_<) 踏み入れた足が、そのまま、ずずっと砂の中に沈み込んでいくのですね。砂に足を奪われないように、注意しながら、ひたすら、案内人の後についていきます。そうやって、一歩一歩、足を踏みしめるごとに、何か、自分が今、サハラの砂の上にいるのだ、アフリカの大地の上にいるのだ、ということを、ひしひしと感じます。むっちゃ、疲れるのですけどね。最後の方は、もう、ほんまに大きな砂の山、しかも急な斜面をひたすら登るというふうで、むっちゃ、しんどい。必死に登ろうとしても、ずるずると落ちてきてしまうし、まさに1歩進んで2歩、いや、3歩も5歩も後退、って感じです。うぅ、頂上はまだか…

6:15 やっとのことで、大砂丘の頂上に到着。辺りを見渡すと、一面、砂の海。これがサハラなんだ、と思うと、身震いがするようです。そして、東の方を見ると、既に、向こうの山の上の雲や空が色付き始めています。そろそろ、太陽が顔を出す、その瞬間を今かと待ちます。

夜明け前その1夜明け前その2
夜明け前の砂漠

 そして、ついにその瞬間がやってきます。地平線の向こう、山の上からちょこっと太陽の丸い点が現われたかと思うと、辺りは、ぱぁっと明るくなり、全ての生命が目覚めてくるかのようです。感動的な、サハラの夜明けです。静けさに包まれた砂漠が、太陽の光により、ぱぁっと、その本来の色である赤褐色に輝き出し、砂漠全体が、輝き出すかのようです。その時、私の頭に浮かんだのは、トイヴォ・クーラの「日の出に」という曲。この曲の描く風景はこれとは全く違うのでしょうけど、でも、感動的な日の出であることには違いないはず。静寂の中に、さぁっと光が差し込んできて、一面を神々しいまでに輝かせる、それはそれは美しい風景であります。いやぁ、これほどのものを見ることができたということは、苦労してここまで登ってきた甲斐があったというものです。

日の出その1日の出その2
砂漠の日の出!

7:20 砂丘から再び、来た道を引き返してきて、そして、ランドローバーに乗り込みます。エルフードの街へ戻るのです。これで今日一番のイベントは終ったようなものです。明るくなった、道なき道を行くランドローバーの姿は、まるで、かつてのNHKのシルクロード取材班のよう。(^^;

9:30 朝食をぱぱっと済ませて、バスに乗り込んで出発。今日は、カスバ街道を走り、ワルザザードまで向かうのです。途中に広がる風景は、まさに南モロッコ、というものです。荒涼とした大地が広がり、オアシスが点在し、そこに土で作られた家々が建ち並ぶ、といったもの。所々には、地下水脈が流れていて、そこから水をくみ出すための井戸もあります。見ていて、飽きないこともないのですが、ま、同じような風景が続きますので、一眠りすることにしましょう。(朝も早かったことだし。)

12:00 途中、1回、トイレ休憩をして、ティネリールまでやってきました。トドラ川沿いのこの美しいオアシスを、一望できるところから、眺め渡してから、バスは、いよいよ、本日のもう1つの見所、トドラ峡谷へと向かっていきます。

ティネリールの街

ティネリールのオアシスの風景

12:30 周りを断崖絶壁が覆う、トドラ峡谷に到着。300メートルもの高さの巨大な岩壁が、これでもかと言わんばかりに、そびえ立っています。それは、見る者を圧倒し、大自然の力強さを見せつけているかのようでもあります。これだけのものを作り出す自然のパワー、人知の図り知れないものがありますね。いやぁ、素晴らしいものです。そして、この自然の驚異に果敢にも挑戦する人というのがいるもんなんですね。ロック・クライマー達が、この巨大な岩肌を登って行っているのです。見ていると、げ、あんな高い所にまで登っているんかい、とこっちが怖くなります。だって、人間があんなに小さく見えることって、そうないでしょう。まさに、岩に飲まれてしまいそうなくらい、岩の方に迫力があった、ということでしょうか。

トドラ峡谷その1トドラ峡谷その2
トドラ峡谷その3トドラ峡谷その4
トドラ峡谷のド迫力に圧倒されるばかりでした…

そして、ここにあるレストラン&ホテル「Yasmina」さんで、昼食です。相変わらず、お腹の調子を気にしながらの食事。でも、段々と、ちょっとずつ食べることができるようになってきています。あと、もう少しで、食べられるようになる、かな…

14:00 トドラ峡谷を後に、再びカスバ街道に戻ります。そして、ワルザザードを目指し、ひたすら西へ。

15:30 ブーメイン・ダデスの村を通過します。この村を一望できる所から、村全体を眺めてみると、整然と家々が並び、そこに緑が溶け合い、とっても美しいです。ここから登ったところにも、ダデス峡谷という、それは素晴らしい峡谷があるそうなのですが、残念ながら、今回のツアーではそこには行きません。ひと休みしたところで、バスはさらに西へ。

ブーメイン・ダデスの村

ブーメイン・ダデスの村の風景

16:00 エル・ケラア・ムグナの村に到着。ここでトイレ休憩です。この辺りは、バラの栽培で有名なんだそうで、寄った所でも、バラ水を販売していました。ローズの香りに、いろんなものを調合したりして、いろいろと種類もあるようです。うちも、1つ、小さい瓶の3本のセットを買いました。

夕映えのカスバ

途中に寄った、夕陽に映えるカスバ

18:00 ワルザザードに到着。夕陽に映える街並みは、どこか幻想的な雰囲気を漂わせています。今日のお宿は、「Hotel Belere」さん。この辺りも基本的には砂漠地帯だと思うのですが、そう感じさせない、なかなか豪勢なホテルですね。

19:30 夕食。今日もビュッフェ形式でしたので、食べられそうなものを、食べられる分だけ取って、いただきます。お腹にあまり重たくないものを選んで、腹8分目を目処に、これって、常識なのでしょうけど、何せ、海外初めての私のこと、今回のことは、本当にいい勉強になりました… これからは気をつけるようにしましょう…

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