環六高速道路に反対する会ニュ−ス
No.12
1992年6月26日
第4回口頭弁論の報告
4月23日午前11時,東京地方裁判所606号法廷で第4回の口頭弁論が開かれました。原告側は代理人のG・W・W弁護士と原告ら20名が出席しました。
▲私たち原告側から「準備書面(三)」を提出しました。
この中で,被告建設大臣が前回の「準備書面二」で述べている「道路拡幅予定地の地権者・居住者でない大多数の原告については裁判を起こす資格がない」との主張に対して詳細な反論を展開しています。「都市計画法が都市環境に配慮し,地域住民の生命身体を保護することを目的としているのだから,地域住民は当然原告として認められるべきである」という主張です。
▲被告建設大臣から,前回私たちが提出した「準備書面(二)」に対する反論として「準備書面(三)」が提出されました。この中で被告側は,道路建設を認可した被告・建設大臣が東京都条例違反をしても都市計画法違反にはならないこと,および,環六拡幅の環境影響評価を行なわなくても環境影響評価条例違反にはならないこと,を再度主張してきました。
前者は,たとえ都知事が都の条例に違反して都市計画手続きを進めていたとしても,国の法律に基づく建設大臣の認可・承認処分が違反だとはいえない,というものです。建設大臣は書類の形式だけを見て署名するようです。
後者は,東京都環境影響評価条例の経過措置の解釈の問題です。条例の附則には,この条例の施行の際,すでに着手をしていた都市計画事業は環境影響評価を行なわなくてよい,とされています。従来,都や公団は,環六は当時すでに22m道路として使われていたから「くわ入れ(着手のこと)」があったのは明らかで環境影響評価は不要,との立場をとっていました。しかし,22mになったのは50年も昔のことです。それを拡幅するのが今回の事業ですから,着手していたはずはありません。被告はこれまでの主張に加え,環六全体を見ればすでに40m道路として完成・供用されていた部分があり(豊島区要町以北など),さらに今回の事業地内でも渋谷区で長さ11m(!)にわたって拡幅済だから(甲州街道との交差点南側ですが,ご存知でしたか?),工事に着工していたことは明らかである,という主張を展開してきました。前回の公判で裁判長から,「くわ入れ」がいつあったのか,という質問がありましたが,今回の法廷で,当時の資料は廃棄されていていつだか分からない,との答弁があり,失笑を買っていました。
前回同様,裁判の前後に裁判の中身について弁護士から解説が行なわれ,今後の展望などについて話し合いました。
第5回口頭弁論は7月2日(木)
前回と同様,東京地方裁判所6階の606法廷で11時から開かれます。
今回は,例の環境影響評価書,特に大気汚染予測について徹底的に批判します。「環境への影響は少ないと考えます」という結論がどのように導き出されたのか,その詐欺師的なデータ捏造の手口をえぐり出します。
なお,当日は午前9時30分に西武新宿線中井駅に集合しますが,直接法廷に行かれてもかまいません(地下鉄丸の内線霞ケ関駅下車,歩2分)。弁護士らによる事前の説明が10時30分から行なわれますので,その時間までにお集り下さい。
第7回公害審査会
新年度にはいり,委員長の任期満了退任のため,新しいS委員長(前委員長と同様,弁護士)のもとで,5月14日第7回の審査会が開催されました。
新委員長も調停をなんとかまとめたい考えはもっているようです。しかしそのために鑑定を行なうのは無理で,簡単な調査くらいしかできないだろう,といっています。一方で裁判により建設差し止めを要求している私たちからすると,隔たりが大きすぎます。結局,調停委員会がいっていることは,道路への植樹を多少増やす程度のことで,地域住民は我慢してほしいということです。
調停の中で,相手にさまざまな資料を提出するよう要求していたのに対し,公団は窓口を作ったからそちらに来てほしいといっていました。過日,公団に出向いたところ,応対こそ大変丁寧でしたが,結局,何一つ資料を提出しませんでした。
次回の審査会は7月16日(木)
時間は10時30分から,場所は都庁です。いつものように西武新宿線中井駅改札口9時30分に集合します。直接でかけられる方は事前におたずね下さい。私たちの期待を裏切り続ける審査会に対して,できるだけ多くの人が,直接意見をいわれるよう,ご参加をお待ちしております。
お手伝いのお願い
この裁判に関する膨大な仕事の一部を私たち会員としてお手伝いしています。週1回2時間程度のコピーや資料整理など比較的単純な作業を弁護士事務所で行ないます。曜日や時間も固定する必要はなく自由(といってもその場合は毎回調整が必要ですが)です。活気あふれる弁護士事務所の仕事の一端を見るだけでも有意義なことだと思います。不定期でもかまいませんのでご協力いただける方はぜひご連絡下さい。
本会の活動も多忙を極めており,ニュースの発行もままならない状況です。どの様な形でもお手伝いいただける方を求めています。よろしくお願いいたします。
新聞切り抜きをお願いします
新聞や雑誌などの記事は様々な形で活用できます。各新聞(朝日,毎日,読売,日経,東京,産経など)ごとに大気汚染,地下開発,交通問題など,関係のありそうな記事を切り抜いていただけないでしょうか。作業としては新聞に目を通して切り抜いておき,集ったところで随時お送りいただくだけで,整理は事務局で行ないます。そのほか雑誌などの記事で関係のありそうなものがございましたらどなたでも結構ですからぜひご一報下さい。一般向けのものでも専門的なものでもかまいません。よろしくお願いいたします。
1992年分の年会費をご納入下さい
会費未納の方には振替用紙を同封してあります。至急納入して下さいますようお願いいたします。年会費は,1世帯(または事業所,学校など)あたり2000円です。
カンパありがとうございました
裁判が本格化するにしたがって,調査研究などますます費用がかさむことが予想されます。印紙代に消えた400万円に対する返還申し立ては,現在高等裁判所の決定待ちの状態で,みなさまのカンパが大変貴重です。ニュース7号(91年9月12日)でご紹介して以降も多くの方々からカンパをいただきました。ここに記して感謝の意を表します。(略)
定例会を毎月第3土曜日午後に開きます
毎月第3土曜日午後2時より定例会が開かれます。場所は本会代表宅です。10畳ほどの部屋でやや狭いものの,かえって肩の張らない気楽な議論ができますので,皆様お気軽にご参加下さい。
次回は7月18日の予定です。
1周年記念集会を行ないました
5月30日 (土)午後2時から5時まで,新宿区中落合の美友館で提訴1周年を記念して住民集会を開きました。あいにくの雨の中,30名の方々が集りました。
当日はまず,私たちが裁判の中で検証するよう申立てている「NHKスペシャル 車社会への警告」のビデオを見ました。このビデオは車社会のかかえる問題点をさまざまな角度から取り上げたもので,環六や中央環状新宿線の場合にもぴったり符合します。
W弁護士による裁判の進行状態の説明などの他,当日参加された東京都環境保全局大気保全部自動車公害対策室のF氏からは,さきごろ新たに制定された窒素酸化物対策法によって,東京都としてはかえって自由な対策が取れなくなり,大気汚染の将来見通しは極めて厳しい状況である,とのお話が紹介されました。今後ともF氏には,専門の立場からのご支援をお願いしたいと思っています。