環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.14


1992年11月16日

 

被告・建設大臣は私たちに反論できない!

 9月17日午前11時,東京地方裁判所606号法廷で第6回の口頭弁論が開かれました。原告側は代理人のG・W・W弁護士と原告ら13名が出席しました。

 前回7月2日の法廷で,私たちは次の様な多くの新しい主張を展開しました。

・環六拡幅の環境影響評価を行なっていないことが環境影響評価条例違反であることを,環八との比較や建設費用の面からも説明したこと。

・環境影響評価書の大気汚染予測で用いられた数式が根本的に間違っており,道路完成時の二酸化窒素濃度の予測値を不当に,おそらく故意に低く見積もっていること。

・すでに拡幅済みなのに拡幅事業地としている部分があり,明らかに都市計画法違反であること。

 今回の法廷では,これらの主張に対して被告・建設大臣がどのように反論してくるか注目していました。ところが,被告から準備書面が提出されなかったのです。「今回の原告の準備書面に対する回答と合せて,次回までに書面を提出するので3ヵ月ほど時間がほしい」と述べていますが,明らかな失態です。私たちの正当な主張に対する対応に相当苦慮しているものと思われます。

 

地下開発の危険性などを主張

 今回の法廷で私たちは,今回の高速道路は設計上の欠陥があり渋滞が必至であること,巨大な地下構造物の建設により地盤沈下などの被害が確実に起こり極めて危険であることを訴えました。その主張(準備書面五)の概要を以下にまとめておきます。

 

第一 本件地下道路事業は事業目的を達成できない。

 中央環状線は,慢性的に渋滞している都心環状線の混雑緩和を目指して作られる一周約46kmの自動車専用道路です。私たちが問題にしている中央環状新宿線はその一部で,現在工事中の王子線につながります。しかし,よく見ると王子線と直接結びつくのではなく,一旦放射道路である5号池袋線と合流しているのです。これらの道路は共に幹線道路ですから,立体交差にするのが当然です。ところが,そうはなっておらず中央環状線2車線と池袋線2車線が合流して3車線に減少する重複部分があるのです。車は重複部分350mを走る間に目的の方向に車線変更をしなければなりませんから,渋滞が起こるのは誰の目にも明らかです。

 この重複区間の交通量は,環境影響評価書でも予測されていません。そこで,現在の池袋線の交通量と王子線,新宿線のアセスの数値とから,この区間の交通量を予測してみました。その結果,新宿線の許容台数をはるかにこえる15万5千台にもなることが分かりました。この数は,首都高の中でも最もひどい渋滞箇所に匹敵します。事業の目的,「交通の円滑化」は絶対に達成できません。

 それにしても何で王子線と直結させないのか,”真の事業目的”を考えさせられます。

 

第二 地盤沈下の危険性

 中央環状新宿線の予定地は,青梅市付近を頂点に扇形にひろがる武蔵野台地の東端に位置します。多摩地区に降った雨は地下に滲みこみ,台地の地下を東向きに流れます。南北に走る地下高速道路はこの地下水脈を大々的に遮断してしまいます。地下水脈を遮断するとその上流側,つまり道路の西側は水位の上昇が起こり,地盤が軟弱化し陥没等地形の変形が起こります。下流側,つまり東側では水位が低下し地盤沈下が起こります。こうした現象は,地下鉄工事などで頻繁に見られます。横浜市営地下鉄3号線工事ではなんと80cmもの地盤沈下が起きましたし,最新工法で工事をしたはずの地下鉄南北線(昨年11月開通)でも被害が多発して大きな社会問題になっています(毎日新聞8月11日朝刊)。中央環状新宿線でも必ず被害が発生してします。

本件事業は巨大な地下開発にもかかわらず,実質的なアセスは行なわれていません。東京都環境影響評価技術指針には,地盤沈下や地形の変形について予測する手法が定められています。予測には既存の資料に基づく方法と,ボーリング等の現地調査による方法があり,工事の規模に応じて選ぶようになっています。しかし,この道路は前例のないほど巨大な地下開発であるにもかかわらず,実際の調査を行なわず,既存資料からの推測だけで「最新の工法で充分注意して工事を行なうから地盤への影響がない」と結論づけているのです。何にも調べずに,大丈夫だ大丈夫だ,といっているに過ぎません。はるかに小規模な地下鉄12号線や,西武新宿線地下複々線化事業のアセスでボーリング等詳細な調査を行なっているのに比べても明らかですが,中央環状新宿線では「地盤への影響を調査した」とはいえないのです。

 


次回は論点整理のため非公開です

 これまでの法廷で私たちの主張はほぼ提出しました。もちろんまだまだいいたいことは山ほどありますし,相手の反論に再反論しなければなりません。しかし,裁判長の意向もくんで,ここで一応区切りをつけることにしました。次回期日は11月27日ですが,これは双方の代理人と裁判官だけの話し合いとなり,傍聴できません。これは,双方の主張のうち,どういう点が争いになっているのかを整理し,今後の裁判の進め方を協議するものです。その後は,これまでの主張を補いながら,いよいよ証拠調べや証人尋問が行なわれることになります。

 


11月28日,裁判の報告会においで下さい

 私たちの裁判も提訴からすでに1年半が過ぎましたが,ようやく論点整理という段階までこぎつけることができました。そこで,いつも環六高速道路裁判に精力的に取り組んで下さっている弁護士をお招きして,前日11月27日の報告を含めてこれまでの裁判の進行状況についてお話しいただく会を別紙の通り,11月28日1時半より美友館(新宿区中落合3ー1ー13)にて開催いたします。会員の親睦のための茶話会も兼ねていますのでお気軽にご参加下さい。

 なお,11月21日の定例会はお休みとさせていただきます。

 


バザーにご協力ありがとうございました

10月25日(日)11時より恒例のリサイクルバザーを行ないました。明け方までの雨も上がって青空の広がる中,大勢のお客さんが集まり大盛況でした。わずかながら道路についてのアピールもできました。品物を提供して下さった方々,前日の準備や当日のお手伝いに加わって下さった方々,ご協力ありがとうございました。売上は191,107円で,過去最高でした。裁判や運動の費用として大切に使わせていただきます。

 


私たちの活動がテレビに

9月22日に放映された「東京の地下」(フジ)で,中央環状新宿線の問題点とそれに反対する私たちの活動が紹介されました。この番組では,その他にも地下鉄南北線での被害の実体など,無秩序な地下開発のさまざまな問題点を取り上げています。前記の報告会でも見ますが,ビデオをお貸しすることもできますのでお申し出下さい。

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