環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.20


1994年2月7日

 

ついに結審,4月14日に待望の判決

 1月13日,予定通り結審し,判決が4月14日午前11時に言い渡されることになりました。この日の法廷では,私たち原告,被告建設大臣の双方から,最終的な準備書面と証拠とが提出され,双方の代理人による証拠の認否など,これまでにやり残されていた手続をすべて終えました。そして,最後に裁判長から判決期日が言い渡されたわけです。

 1991年5月28日に提訴して以来3年,ようやく一つの大きな区切りをつけることになりました。多くの公害裁判が長期化する中で,このように比較的短期間の内に判決を得られるのは,会員,原告,弁護士,一体となって取り組んだ成果と思います。皆様のご協力に感謝いたします。

 残念なことに,これまで日本の裁判で,「政府が決定したことを取消せ」,というような主張が通ったことはほとんどありません。しかし,私たちの裁判の経過は,一方的に私たちが押しまくる展開で,「被告はこの道路事業の適法性を主張・立証せよ」という裁判長の再三の求めにも被告側が全く応じないままで終結した,というものです。こうした展開を考えると,かなりよい判決が下されるのではないかとの期待がふくらみます。判決公判の詳細については改めてお知らせいたしますが,4月14日には是非大勢の原告の皆様が法廷にかけつけて下さることを期待しております。

 


最終準備書面の内容

 私たちのこれまでの主張を整理した最終準備書面の骨格は,@地権者以外の周辺住民にもこの裁判で原告となる資格がある,A環六拡幅の環境影響評価をしていないのは都条例違反である,Bこれらの道路により深刻な公害が生じることから都市計画法の環境配慮義務規定に違反している,Cこれらの道路は土地の合理的利用に反し,公共性がない,D原告住民の財産権,幸福追及権,人格権が侵害され違法である,というものです。

 まず,周辺住民にも原告適格があるという点については,最高裁はその行政処分によって一般の人より強く影響を受ける人をなんらかの方法により特定できる場合には原告適格を認める,という判断をしています。私たちの裁判では,環境影響評価手続きで影響を強く受ける可能性の強い地域として定めた関係地域の住民だけが原告になっていますから,一般の人と区別できます。従って原告適格があると考えられます。

 環六拡幅の環境影響評価がないのはおかしい,という疑問はすべての人が持っていると思います。東京都や公団は,環六拡幅は旧都市計画法で計画決定され,環境影響評価条例制定時にすでに事業に着手していたから環境影響評価は不要であると主張しています。しかし,もし旧都市計画法下で事業に着手していたのならすでに事業決定がなされていたはずで,今回の事業認可は不要なのです。事業認可を受けたということ自体着手がなかった事を如実に示すものです。地下高速道路については環境影響評価が行なわれていますが,二つの事業を同時に行なうのですから,合せて環境影響評価を行なう必要があります。またとりあえず行なわれた環境影響評価の内容も技術指針に違反した違法なものです。このような環境影響評価条例違反の道路建設は差し止められるべきです。

 都市計画法は,都市の健全な発展と秩序ある整備を図る事を目標としています。公害防止も当然その中に含まれます。被告は環六拡幅,地下高速道路建設が公害対策の一環であるなどと主張していますが,環境影響評価書を批判する中で確かめられてきたようにこれらの道路は間違いなく公害を新たに生み出してしまう道路です。

 これらの道路は渋滞解消を目的としていますが,これまでの道路建設の歴史を見ればそれが幻想であることは明らかです。しかもこの道路は接続部の構造的欠陥により大渋滞必至のもので,その目的にかなうことができず,都市計画法が求める「土地の合理的利用」といえないことも明らかです。一方,先頃の原告アンケート調査の結果により多くの住民がすでに大気汚染による健康被害を受けていることがはっきりしました。これ以上の大気汚染の悪化は絶対に受入れられません。公共の利益が全くなく,公共の不利益のみをもたらすこの道路を作らせてはなりません。

 このように公共の利益がない道路のために地権者の財産を奪い,幸福追及権,人格権が侵害されるのは許されないことです。

 以上,これまでの私たちの主張をまとめた最終準備書面の内容を紹介しましたが,もっと詳しく知りたい方のためにダイジェスト版を用意いたしました。ダイジェスト版といってもかなりのボリュームがあり全員にお配りすることができませんので,お読みになりたい方はお申し出下さい。

 


被告は最後まで有効な主張は無しのまま

 被告は主張立証責任についての裁判長の指揮にお構いなく,私たちの主張の一部に対する反論を述べているだけで,まとまった主張はしていません。「大気汚染が増えようが減ろうが東京都公害防止計画に合致している」,「環六拡幅は昔から決まっていたから公害防止計画に合致する必要がない」,「環境影響評価書に不備があっても都市計画事業を認可するか否かとは無関係」。私たちの詳細な主張立証に対する有効な反論にはなっていません。

 


次回定例会は重要,2月19日に開きます

 定例会は原則として毎月第4土曜日に開かれていますが,2月,3月は都合により各19日(土)午後2時から,本会代表のS宅で開きます。

4月14日の判決にどのように対応したらよいでしょうか。勝った場合には,建設大臣,東京都,首都高速道路公団に対する建設中止の申し入れなどが考えられます。また,負けた場合には控訴を考えなければなりませんが,その時の印紙代は前回の400万円を大きく上回ってしまうことも考えられます。今後の運動のあり方を真剣に検討していかなければなりません。大勢の皆様のご参加をお願いします。

 

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