環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.26


1995年3月15日

道路公害を防ぐための改善案を提出します

 前回のニュースでお知らせしましたように,私たちは裁判を進める一方で「道路公害を防ぐためにあらゆる手をつくすべきだ」という考えから,道路建設を前提とした具体的な調停案を示して公害審査会での調停手続きを再開することにしました。調停案は2月26日の検討会で承認され,すでに審査会に提出しました。その内容は以下の通りです。

 

住民側の調停案(公害を防ぐための要望)

1.拡幅後の環六の車線構成

@車線構成・・・片側3車線の内,1車線は幅員1.5mの路側帯とする。

A中央分離帯・・幅3mとする。

B歩道・・・・・幅員10mとする。舗装材を周囲の景観と調和がとれたもので,歩行,車いすの走行にも適したものとするため,引続き地元と協議する。透水性についても充分な配慮をする。

C植樹・・・・・歩道には大気汚染を軽減する樹種を密植する。中央分離帯の排気口,吸気口の間のスペースにも植樹を施す。

D自転車道・・・歩道を植樹帯で2つに分け一方を自転車通行可とし,自転車通行に適した舗装材を考える。

E排気ガス処理・・全線にわたって中央分離帯の両側の道路表面から地下に吸気することにより,道路の排気ガスがそのまま外部に拡散することなく,地下に引き込まれるようにする。排気ガスは後述の様に処理された後,中央分離帯の中央に設けられた排気口から排出される。

 

2.地下高速道路の排気ガス処理

@排ガス浄化装置・・現在検討されている排ガス浄化装置の中でも最も浄化能力の良いものを導入する。排気中の二酸化窒素,浮遊粒子状物質濃度は環境基準を下回るようにする。排ガス処理装置1基あたりの担当距離を300m程度として一つ一つを小規模化し,30基ほど作る。

A換気口・・・・浄化装置の設置により排気が環境基準を下回ることを前提として,高さ3m,奥行1m,幅2m程度の排気口を2m程度の間隔で連続的に中央分離帯の中央部に設置するものとし,巨大な換気搭は作らない。吸気口は,同様に高さ50cm,幅2m程度のものを排気口と互い違いになるよう2m程度の間隔で道路面に設置する。

 

3.地盤沈下,陥没など

@水文環境・・・地下水脈の遮断は地盤の変形をまねき,地上の家屋への被害を生じさせることから,地下水脈を綿密に調査し,水脈を遮断することになる部分は迂回のための地下水路を構築する。なお,地下水脈調査の結果を公表するとともに,地元と協議し工事協定を結ぶこととする。

A家屋調査・・・地下工事による被害に対し適正な賠償が行なわれるよう,道路周辺の広い範囲にわたって家屋調査を行なう。その範囲は地元との工事協定の中で取り決める。各家の調査結果は副本を各戸別に配付し,行き違いのないようにする。

 

4.インターチェンジ

@構想段階に過ぎない高速10号線のインターチェンジはつくらない。(新宿区議会でも要望)

 

5.工事

@騒音,振動・・工事にともない騒音,振動などが予測されるが,事前に地元と工事協定を結び遵守する。その際,協定の内容が公害防止条令に適合したものであることはいうまでもないことである。

 

6.その他

@モニタリングポスト・・大気汚染,騒音,振動に関するモニタリングポスト(環境監視装置)を新たに作り,もし基準値を超えた場合にはすみやかな対応策を講ずること。設置場所については事前に充分協議する。

A一般街路・・・拡幅により環六への接続部が急坂になってしまう新宿区中井の一の坂のように,環六が拡幅されることで周辺街路がその構造を変更せざるを得なくなる場合が生ずるが,地元と充分協議を重ねて適切な処置をする。また,一般街路の交通流の変化が危惧されるが,交通制限を講じる等,周辺住宅地等の環境悪化を最小限に食い止めるよう協議する。

B公共的な施設・・拡幅により失われる公共的な施設等については,代替地を優先的に斡旋する。

C横断歩道・・・拡幅されることで,身体障害者やお年寄りの横断がこれまで以上に困難となるが,地元と充分協議してそうした問題を最小限に食い止めるようにする。

D無電柱化・・・共同溝を作り,電線はすべて地下埋設方式とする。

Eハンプ・・・・信号のない環六と一般道路との接続部分で歩道の両側に,一時停止を徹底させるための段差(ハンプ)を設ける。

 

 


注目の公害審査会は3月22日

 調停案提出後の注目の次回公害審査会は3月22日,午前10時から,都庁第1庁舎北棟33階特別会議室N6で開かれます。今回の審査会は極めて重要です。この席で私たちの調停案を説明し,被申請人(都と公団)が一方的に推進しようとしている現計画が公害防止,震災対策などの点でいかに不充分で危険なものであるか,それに対して私たちの調停案ではそうした問題に対する配慮が行き届いていて,しかも現在の技術で充分実現可能であることなどを調停委員に納得してもらわなければなりません。公害審査会は決して堅苦しいものではありません。当事者は誰でも発言できます。私たちの不安を訴えることだけでも大きな意味があります。相手とのやりとりも形式にとらわれない自由なもので,興味深く参加することができると思います。委員の方の一部交代が予想されていますが,後任の委員に充分な引き継ぎをしてもらわなければなりません。そのためにもこちらの意気込みを大いに示す必要があります。大勢の皆様の参加をよろしくお願いいたします。西武新宿線中井駅9時に集合しますが,直接会場に行かれても構いません。

 


第2回控訴審法廷が開かれました

 2月21日(火)午後3時から第2回の控訴審法廷が,東京高等裁判所824号法廷で開かれました。今回は相手側の答弁書が焦点でしたが,ようやくこの日に提出されてきました。内容的にはこれまでの繰り返しで,全く新鮮味のないものです。反論の必要もないようなものですが,念のためもう一度反論の機会をもつことにしました。

 道路建設を前提とした調停に臨むという事態を迎えていますが,裁判にはこれまで同様,真剣に取り組んでいきたいと考えています。

次回の法廷は4月13日11時から開かれます。傍聴をよろしくお願いいたします。

 


会費納入のお願い

本年分の会費の納入をお願いいたします。会費は1世帯(事業所)あたり2000円です。また,若干名の方は昨年分も未納の方がいらっしゃいますので合わせて納入願います。同封の振替用紙をご利用下さい。なお,振替用紙を同封していない場合は納入済です。会の運営は基本的には会費だけに頼っていますのでよろしくお願いいたします。

 

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