環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.27


1995年5月2日

 

控訴審が結審,判決は7月27日です

 4月13日に控訴審の第3回法廷が開かれ,結審となりました.この日までに控訴理由書の提出,被告の答弁書,そしてこの答弁書に対する反論書を提出し,互いの主張はほぼ出つくしました.私たちは,原告の鈴木譲氏を証人として申請していましたが,「必要としない」として退けられました.予定していた証言内容はすでに提出した鑑定書の補充で,新たな立証はあまりないことから,この決定はある程度予想はしていましたが,この証言で被告の主張の非科学性を明らかにすることができるものと期待していただけに残念な結果です.しかし,すでにニュースで紹介してきましたように,早期結審というのは予定通りのことです.判決は7月27日(木)午後1時に言い渡されます.

 

控訴審の争点

 控訴審での私たちの主張はニュース24号の「控訴理由書の内容」に示しました.特に注目されるのは周辺住民がそもそも裁判で争うことができるかどうかという原告適格の問題と,次の2点です.

 まず第1点は都市計画そのものの違法性を争うことができるか否かという点です.都市計画法13条には,「都市計画は地域公害防止計画に適合しなければならない」と定められています.環六拡幅が都市計画決定されたのは昭和25年のことで,その頃の法律にはそうした規定はありませんでしたが,都市の無秩序な発展による公害の多発に伴い,昭和43年に法律が全面改定されてこの規定が設けられたのです.東京でも大気汚染の状況が悪化していく中で,昭和47年に公害防止計画が策定され,環六拡幅計画はそれに適合しない違法なものになってきました.被告は,都市計画は決定時に適法であればよく,事業認可も適法である,と主張しています.しかし,私たちは都市計画を見直して公害防止対策を充分施して公害防止計画に適合した形に変更しない限り,その都市計画は違法なものであり,事業の認可は違法になると考えます.古い法律の時には適法だったものが,法律改正により違法になることは珍しくありません.

 もう1点は,都市計画は総体として公害防止の達成をめざしているのだから,個別の都市計画事業が公害防止計画の目的達成という都市計画法の目標に合っているかどうかは関係なく,環六拡幅,地下高速道路により環境悪化をもたらすか否かを判断する必要がない,という被告の主張です.都市計画全体で判断するためには,個々の事業が公害防止にどのような意味をもつのかを積み重ねていかなければなりません.そうでなければ都市計画は公害防止計画に適合しなければならない,という規定は空文化して,公害道路の歯止めとならなくなってしまいます.そもそも私たちは都市計画全体といった漠然としたものについて争うことは許されていないのです.

 

予想される判決は?

 この裁判は上に述べたように,計画行政の法的位置付け,という行政と法律との関係の根幹にかかわる重大な意味をもっています.一審の判決,被告の主張に明らかな法律解釈の誤りがあり,理屈の上では私たちの方が正しい,と自信をもっていえる内容です.しかし,裁判所が行政に厳しい判断を下すのは相当勇気のいることだと思います.一審と同様,理屈もなにもなく行政の判断に口を挟むことはできない,という判決が下される可能性も高いものと思わざるを得ません.証人申請をあっさり却下したのもその現れです.

 

負ければ上告して最後まで争います

 勝てば問題ありません.何とか勝ちたいと祈っています.しかし,都市計画法の根幹にかかわるこの裁判での争点は,これまで最高裁の判例のない分野ですから下級審ではまともな判断ができないだろうという見方もあります.その意味で期待がもてるのはむしろ最高裁といえるかもしれません.この裁判の法律的な争点に,最高裁がどのような判断を下すのか,法律学者も期待しているところです.そしてなによりも,本当の意味で地域の環境を保全するには,裁判で勝って事業を中止させるしかありません.高裁で負けて,上告する時にはまた印紙代がかかります.しかし,それでもなお上告して白黒はっきりせたいと思います.

 


調停の話し合い,都や公団は全面拒否

 3月22日,公害審査会が開かれました.今回の審査会は,委員の強い指導により私たちが提出した調停案(内容は前号および末尾の図をごらん下さい)に対して都や公団がどう対応するのか大いに注目していました.

 この審査会の席で,都と公団の代理人は,一方で裁判を続けている以上調停には応じられない,として全面的に話し合いを拒否してきました.これに対しては調停委員も裁判を続けながら和解の道を探るのはごく普通のことだからといって説得しましたが,結局物別れに終わりました.しかし,具体的な調停案を提出して,調停だけを行なっている中野区の住民団体に対しても,まともな対応は全くしていませんので,裁判を止めれば話し合いに応じてくるだろうというのは幻想です.私たちはあくまで裁判と調停とを平行して進める必要があると考えます.

 

  


青島幸男東京都知事に期待

 ご存知のように,東京都知事選挙の結果,無党派の青島幸男氏が当選しました.私たちは今回の統一地方選挙においても中立の立場をとってきましたので,主要な都知事候補者(および環六沿線を地盤とする新宿区議会議員候補者)に資料を送ることしかしませんでしたが,都民の声に浸漬に耳を傾けると約束している青島氏に変ったことは歓迎します.そもそも環六拡幅と地下高速道路は東京都の事業ですから,知事は最高責任者です.そして,争いの場の一つとなっている公害審査会も東京都の公的な機関で,知事はその責任者です.青島知事に変ったことで,住民側とは一切の話し合いに応じない,という態度を続けることはもちろんなくなるだろう,と期待しています.青島知事はまた,都市博の中止を打ち出しています.このことは,単にお祭を中止したということにとどまらず,臨海部開発に典型的に見られるようなバブル時代の開発優先の政治から,生活優先の政治への転換を意味します.その意味で,環六高速道路というもう一つの巨大開発の見直しも,ある程度期待をもてる状況になってきたと思います.

 知事が代わったとはいっても行政には継続性も必要ですから,だまっていては何も変りません.しかし,鈴木前知事の場合と違って可能性は充分あります.あらゆるルートを通じて,粘り強く,様々な働きかけをしていきたいと思います.皆様のアイデアをお寄せ下さい.

 


5月14日,恒例のバザーです

 恒例の春のバザーを5月14日(日)午前11時より2時まで,新宿区立やまて児童遊園で開きます.衣料品(冬物は除く,古着は洗濯済のもの),食器,家電製品,日用雑貨,玩具,文具,古本などを提供して下さいますようお願いいたします.前日の値札つけ,当日の準備や販売へのご協力もよろしくお願いいたします.ご連絡をお待ちしております.

 


5月24日,定例会です

最近また不定期になってしまいましたが,5月24日(火)午前9時30分より定例会を開きます.裁判,公害審査会への対応に,青島知事への働きかけという新しい運動も加えて,今後の活動方針を話し合います.奮ってご参加下さい.場所はいつものようにS宅です.

 

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