環六高速道路に反対する会ニュ−ス
No.28
1995年7月2日
控訴審判決を傍聴しましょう
控訴審は前回の法廷で審理が終了し,7月27日(木)午後1時に判決が言い渡されます.控訴審では,全力をあげて一審判決の不当性を追及してきました.論点は明確ですし,相手の反論もこれまでの主張を繰り返しただけのものですから,理屈の上では私たちの方が正しい,と自信をもっていえます.しかし,日本の裁判の現状は,行政追随といわざるを得ない状態ですので,一審と同様,理屈もなにもない判決が下される可能性も高いと言わざるを得ません.ただ,西淀川道路訴訟,国道43号訴訟での原告・住民側一部勝訴判決にみられるのように,道路裁判では少し流れが変ったかな,との期待もあります.法廷はいつもと同じ東京高等裁判所824号法廷です。西武新宿線中井駅11時40分に集まっていきますが,直接法廷に行かれてもかまいません(地下鉄丸の内線霞ケ関駅下車,徒歩2分)。大勢の傍聴をお願いいたします。
敗訴した場合に備えて,委任状を準備します
一審判決では,私たち地域住民はそもそも訴える資格がない,と門前払いにされてしまいました.しかしこれは広く原告適格を認めたもんじゅ訴訟や,道路被害に対する補償を認めた国道43号訴訟での最高裁の判決と明らかに対立するもので,憲法で保証された国民の裁判を受ける権利を侵害するものです.また私たちの主張の中心に,環六拡幅の都市計画決定は昭和25年当時は適法だったが,その後の法律の改正により都市計画そのものが違法になった,というものがあります.これに対し国は,都市計画決定が適法だから都市計画そのものが違法になることはない,と主張しています.これは行政計画の法律的な位置付けという都市計画法の根幹に関わる重要な問題です.もし国の主張を裁判所がそのまま認めてしまったら,一旦決まったことはどんなに世の中が変っても絶対に変えられないことになり,その影響は余りに大きなものとなってしまいます.いくら何でも最高裁判所がそのまま認めるはずはないと思いますので,敗訴の場合には上告して争います.控訴審は1年あまりで終結しましたが,上告審はさらに短期間で終結することも予想されます.できるだけ多くの方に原告として残っていただきたいと思っています.
上告は8月9日までにしなければなりません.学校が休みに入って,何かと慌ただしい時期ですので,今から上告のための準備だけはしておきたいと思います.原告の方には別に委任状などの書類をお届けしますので,ぜひご協力下さい.なお,この裁判は会全体で支えていくべきですが,財政に十分な余裕がありませんので,前回の定例会で話し合った結果,控訴の時と同様,原告1人あたり5000円(ただし未成年および1家族で3人目から原告の方は無料)のご負担をお願いすることにいたしました.なお,実際の印紙代は人数により変りますが1人あたり7000円程度となりますので,不足額は会で負担します.
クロロキン薬害裁判で国の責任を否定
クロロキンのことをおぼえていらっしゃいますか.私たちが訴訟に立ち上がった1991年に,300万円ものカンパを寄せて下さったのが,後藤弁護士を団長とするクロロキン薬害裁判の弁護団でした(ニュース6号,1991年7月12日).カンパは1982年に製薬会社から支払われた賠償金の中からいただいたものですが,製造の承認取消し権限をもつ国の責任を追及する裁判はその後も続けられました.そして,先月23日,最高裁判所の判決でも国の責任を認めない,という裁判の流れは変りませんでした.たいへん残念な結果です.
道路裁判では国の責任を認定
悪いことばかりは続きません.7月5日の大阪地裁における西淀川道路公害訴訟に続いて7月7日には最高裁で国道43号線訴訟で国の責任を認める判決が出されました.現に道路による被害を受けている人達に対してでさえこれまでなんらの補償がされてこなかったことと比べると大きな前進です.特に43号線訴訟は最高裁判決ですから,今後の道路裁判,道路行政に与える影響は大きいものと思われます.
私たちの会では朝日新聞の取材に応じてコメントを発表しています.判決を十分検討する前でしたので大気汚染の健康被害を認めなかった点についていい足りない部分がありましたが,この判決が私たちの運動を力づけるものであることは確かです.
原告団長横道さんは「道路公害の第1線で闘ってきて一定の責任を果たせたと思う.今後は全国の仲間に足りない部分を補ってほしい」と話しています.道路の取消しを求めて真っ向から行政と対決している私たちの責任は大きく,なんとかいい判決を得なければなりません.これからも頑張りましょう.
建設省の対応に注目
建設省の反応について,朝日新聞の記事を掲載しました.建設省は「道路には高い公共性があり,道路環境対策にも力を入れてきたのに」と戸惑いを隠せないようですが,警戒しなければならないのは,こうした判決が出ると「都心部の渋滞を解消し公害をなくすためには環状道路が必要」という議論が起こることです.いろいろ理屈を並べていますが,都心の渋滞解消のためという名目で中央環状新宿線のように都市部,それも住宅地域にバイパスを作っても,都市への流入車両が増大し,都心部の公害が拡大するだけでなんの解決にもなりません.バイパス効果があるとするなら,外郭環状道路の都市部を通っていない部分,圏央道くらいでしょう.もちろんそれぞれの道路が大きな環境問題を抱えていることはいうまでもありません.日本の高速道路網はすでにアメリカの水準を上回っています.もちろん国土の広いアメリカと車1台当りの道路延長で比較すれば大きく下回っていますが,面積当り,さらには人が住める面積当りで計算すれば大きく上回っており,道路を造る余地などもうないのです.
建設省の反応で評価すべき点があるとするならば,「これまで以上環境対策に力を入れていくしかない」という幹部の話でしょう.裁判だけでなく調停で公害のない道路を求めている私たちにとって,この言葉はしっかりと記憶していく必要があるでしょう.
青島知事への働きかけを強化しましょう
青島幸男知事の誕生以来,私たちは手紙やファックスなどで知事宛に道路問題を訴えてきました.東京都情報連絡室には「知事への提言」ファックスも新たに開設されて,受信内容は青島知事に報告され,関係部局に回されるとのことです.会員の皆様からもこの道路についての提言をしていただけたらと思います.ファックス番号は5388−1233で,24時間受付です.
周辺住民への働きかけもお願いします
沿道では買収による空き地が目立ち始め,地下鉄工事が始まって,騒々しくなっていますが,いまだに道路の実態を理解していない人が大勢います.私たちの調停案は誰にでも受け入れられるものですので,学校,町会などを通じて,あるいは個人的にも広めていって,地域の世論を盛り上げていくことが必要だと思います.同封のゴジラのチラシは,そのためにご活用下さい.他にもチラシ,ステッカーなどがありますので,必要な方は声をかけて下さい.
会費納入のお願い
本年分の会費の納入をお願いいたします。会費は1世帯(もしくは事業所)あたり2000円です。また,一部には昨年分も未納の方がいらっしゃいますので合わせて納入願います。同封の振替用紙をご利用下さい。なお,振替用紙を同封していない場合は納入済です。