環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.39


1997年4月23日

 

都と公団の調停拒否回答に委員が再検討を求める

 前号でお知らせしましたように,調停委員会の調停案が正式に示されました.裁判の取り下げが調停成立の条件となりますし,私たちの主張とはかなり隔たりがありますが,2月23日に開いた集会で慎重に検討した結果,全面的に受け入れることを決めて,委員会に通知しました.ところが相手方の東京都と首都高速道路公団はこの調停案の受け入れをほぼ全面的に拒絶してきました.公害審査会は公害紛争処理法に基づき東京都が設けた正式な機関で,調停委員は東京都に任命されています.その調停委員が提示した案を東京都がほぼ全面的に拒絶するというのは相当におかしな構図です.委員会が軽視されているとしか思えません.

 

調停受け入れの私たちの回答書(3月5日付)


 貴委員会に係属中の頭書事件につき,平成9年1月31日付けにて貴委員会より照会のありました事項について,申請人らは次のとおり回答いたします.

 申請人らは,本照会事項の受け入れにつき,基本的にこれに同意します.

 なお,本照会書添付の別記事項中の当事者の表示については,「被申請人東京都は」「被申請人首都高速道路公団は」,「申請人及び参加人らに対し」等と然るべき訂正あるものと了解いたします.

 また,同別記事項中,東京都関係の@項文中に「初期の予測」とあることに関して,環状6号線の拡幅事業については上記「初期の予測」に相当する環境影響評価は実施されておりません.したがって,上記「初期の予測」に相当する然るべき基準が他に明らかにされるものと了解します.

以上  


都や公団の回答は調停拒絶の理由とはならない

 東京都と首都高速道路公団の回答書が,3月10日に委員会より送られてきました.内容とその問題点は次の通りです.

東京都@「環境悪化が初期の予測を超えた際の,環六の車線構成の見直しも含めた検討」

 これについて東京都は,「初期の予測」とあるのをとらえて,これは実質的な環境影響評価の実施を求めるものだ,と反論しています.しかし,東京都の条例に基づく環境影響評価の実施が争いになっていたのはもう何年も前のことで,現在は私たちもそんな主張をしていません.確かに「初期の予測」とある点は私たちも上に掲げた回答書の中で指摘していますが,例えば「現状より大幅に悪化した場合」などと言葉を訂正すれば済む問題です.国道43号線訴訟の最高裁判決によれば,環境影響評価の実施の有無とは無関係に,事業による環境の変化を予測し,悪化を回避するのは事業者の義務ですから,この点からも当然受け入れるべき条項なのです.

 さらに,相変わらず車線構成は都市計画の根幹をなすもので変更は困難である,という根拠のない従来の主張を繰り返しています.しかし,現在の道路作りでは環境への配慮は当たり前の世の中になっていますから,将来の改善の可能性まで拒絶するのは,社会情勢の変化を認識しようとしない,あまりにも傲慢な態度といわざるを得ません.

A「モニタリングポストの設置」

 東京都では自動車排出ガス測定局を設置して大気汚染の監視をしているし,騒音,振動の状況把握に努めている,としています.モニタリングポストというのは,この道路の監視をするもので,一般的な環境状況の把握とは異なりますから,この回答も的外れなものです.事業による環境悪化を回避する義務を果たすためには,環境の変化を適切に把握しなければなりません.調停案受け入れを拒否する理由とはならないのです.

B「植樹帯の整備,車道・歩道の維持補修などの環境保全」

 これについてのみ,委員会案を受け入れるとしています.これらは当然のことですが,調停が成立すれば私たちに対して義務を負うことになりますから,いろいろな場面で注文をつける事ができるでしょう.

 

首都高速道路公団@「実用化段階に達したときに脱硝装置設置の検討」

 公団は,あいかわらず実用化の見通しを述べる段階ではないとして受け入れを拒否しています.しかし,委員会案は設置の決定を求めているのではなく,実用化段階に達したら,という条件をつけているのですから,拒否する理由にはなりません.現在の工事の進行状況と装置の開発動向とを見ると,その気にさえなれば,十分この道路に設置可能だと思われます.

A「脱硝装置を設置する場合の換気塔の規模の検討」

 公団は,仮定の話はできないとして拒否しています.しかし,脱硝装置設置の検討が拒否の理由にならない以上,このことも拒否の理由になりません.その上,換気搭の規模および景観を対象として十分に配慮した検討を行なっています,と居直りを見せています.確かに環境影響評価書にも景観の条項があります.しかし,圧迫感を受ける条件が書いてあってもそれが具体的にどの範囲かは示さず,そうした場所から描いた図がないなど,本気で検討したとは思えません.

B「沿道の関係住民に対する脱硝装置の開発状況等についての説明会の実施」

 これに対しては,沿道住民ということでは調停と関係ない申請人以外の住民も対象とすることになり調停になじまない,としています.たしかにこの点はおかしいので,私たちの側からも前述の回答書のように,しかるべき訂正があるべきと指摘しています.しかし,訂正すれば済む問題で拒否の理由にはなりません.

 

毅然たる態度を求めて,委員会に意見書を提出

 都と公団の調停拒否の回答を受けて,もはや調停という場には期待できないのではないか,不調に終わらせるべきではないかとの気運が広がってきました.しかし,東京都の公式の機関である調停委員会が東京都や首都高速道路公団に調停案を示した以上,委員会にもそれなりに成算があったはずです.私たちが受け入れを表明し,都や公団が拒絶するという局面になったのですから,これからは委員会が都や公団に対して調停案の受諾を求めて説得して行かなければなりません.そこで私たちは意見書(3月27日付)を提出し,回答書の中の都や公団の主張を批判すると同時に,委員会に対しても「貴委員会に対し,被申請人のかかる態度を戒め,毅然とした態度で,被申請人らに対して,調停案の受け入れを強く要請すべきことを心から望む次第である」との要請をし,今後のことをしばらく委員会に委ねることにしました.

 

前回の調停では委員が都と公団を説得

 3月28日に行なわれた調停では,まず委員長から,「7年間の間に流れが変わってきて,当初は申請人が歩み寄ろうとしなかったのが,こんどは都や公団が調停を拒否している.しかし,より良い道を造りたいというのは共通の意志であるから,何とか調停をまとめたい」との発言がありました.こうした大型の公共事業で行政庁と住民との間で調停が成立すれば,公害紛争処理法による公害審査会という制度が始まって以来の画期的な事ですから,委員会としても相当の意欲を持っている様子です.私たちは一旦退出を求められ,委員会と,都と公団のそれぞれとの話し合いが行なわれました.委員会は私たちの意見書を受けて,都や公団から何らかの譲歩を得ようと説得を試みたものと思われます.1時間以上に及ぶこの話し合いの後,再び入室しましたが「都と公団にもう一度検討してもらうことにしました」との報告があり,閉会しました.

 


今後の調停は都と公団の回答次第

 都と公団の回答は5月9日までに出されます.この回答の内容によっては調停打ち切りとなることも十分考えられます.次回第20回公害審査会は5月16日(金)午後1時30分(時刻がいつもと違います).会場は未定ですので,事前にお問い合わせ下さい.

 


私たちの活動と脱硝装置をMXテレビが紹介

 東京メトロポリタンテレビ(東京都などが出資しているUHF局)が,4月9日午後5時30分からの東京NEWSの中で「環六に巨大煙突問題」と題して環六高速道路の問題を特集しました.番組では,中央環状新宿線の巨大換気搭の問題点を指摘し,前回の公害審査会の様子(非公開ですから審議にはいる前の映像です),会代表のインタビューなどを通して私たちの活動を紹介しています.そして,大阪の土壌脱硝装置を取材し,環境対策の必要性を強調しています.調停の席でいつも反対側にならんでいる公団の入江環境技術課長が,あいかわらず「脱硝装置は実用段階に至っていない」とのいつもの発言を繰り返しているのに対し,早稲田大学理工学部機械工学科の永田教授(私たちはこの先生から土壌脱硝を教わりました)が「導入しようという意志さえあれば,十分可能な技術」と言い切っているのが印象的でした.

 ビデオがありますので,ご覧になりたい方はご連絡下さい.

 


恒例の春のバザーは5月11日(日)

 年中行事としてすっかり地域に根付いた恒例のバザーを,今春も5月11日(日)に行ないます(雨天の場合は18日).時間は午前11時から午後2時まで,場所はいつものオリンピックスーパーの並び,鰍rの空き地です.衣料品(冬物は除く,古着は洗濯済のもの),食器,家電製品,日用雑貨,玩具,文具,古本などご提供下さいますようお願いいたします.前日の値札つけ,当日の準備や販売へのご協力もよろしくお願いいたします.ご連絡をお待ちしております.

 

スケジュール

5月10日(土)9時〜5時  S宅でバザーの値札付け.都合のつく時間にどうぞ.

5月11日(日)11時〜14時 バザー.9時半からの準備,販売などご協力をお願いいたします

5月16日(金)13時30分  公害審査会の調停 都庁内,場所未定

 

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