環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.40


1997年9月22日

 

東京都や道路公団の拒否で調停は打ち切りへ

前々会の調停で委員会から新たに提案された調停案に対する東京都と首都高速道路公団の回答を受けて、5月16日に調停が開かれました.回答の中で東京都は植樹帯の整備や車道,歩道の維持補修は調停事項として受け入れを認めましたが、道路による大気汚染がひどくなった時の対策,道路建設後の大気汚染や騒音等の状況の把握は拒絶しました.首都高速道路公団は低濃度脱硝技術の実用化について見通しを述べる段階にいたっていないから脱硝装置に関しては一切調停に応じられないとしています.この調停案は都や公団に対して大幅に譲歩したものでしたが、これまで同様ほぼ全面的に調停を拒絶したのです.

その上とんでもないことに、両者とも4月9日のMXテレビの放送内容を取り上げ,調停案として検討している項目まで放映したのは「調停委員会の行なう調停の手続は公開しない」と定めた公害紛争処理法に違反したもので,調停において今後これ以上の対応はできないとしています.調停手続の非公開原則は,プライバシー問題などからの規定ですから,都や公団がこんな事をいうのは筋違いです.「隠し事のない都政」を訴えた青島知事の下でこんないやがらせに等しい行為が許されるでしょうか.さすがに調停の席では全く問題にされませんでした.

 今回都や公団が拒否した調停案は、後の資料でお分かりのように,前号でお知らせした委員会案を調停委員がさらに都や公団の主張に沿った形に改めたものです.例えば,大気汚染状況がひどくなったら車線構成見直しも含めて対策を講じるとあったのを、車線構成は都市計画の根幹に関わる事項だから変更できないとの主張に配慮してその部分を削除しています.ですから都や公団には受け入れ拒否の理由はないのです.私たちの和久田弁護士が鋭く指摘したことに応えて,審査会の岡本委員も理由を明確にするよう都に求めましたが、ついにまともな回答は得られませんでした.委員長も,前回の提案は都や公団が当然やっていることをあげたもので,なぜ受け入れられないのか,結局なにをいってもだめなのではないかと無念そうでした.

 何がなんでも調停は成立させないという相手のかたくなな態度からみて,次回の調停打ち切りは避けられない状態です.

 

次回9月30日は最後の調停!

次回は9月30日(火)午前10時30分より調停が開かれます.場所は都庁第1本庁舎北塔33階N6会議室です.これが最後の調停になると思いますのでぜひ大勢の参加をお願いいたします.当日は午前10時に都庁第1本庁舎1階ロビーに集合します.

東京都知事が任命した調停委員により提案された調停案を,明確な理由もないままに,住民との合意は一切できないとする理不尽な態度で拒絶した東京都や首都高速道路公団の非道なやり方は徹底的に糾弾されなければなりません.調停終了後午後1時から都庁記者クラブで記者会見を行ないますので、こちらも参加してください.

 

道路公害を防ぐための運動はまだまだ継続します

調停が成立しなければ裁判はそのまま継続します.こちらの方は判決待ちの状態で、今のところ私たちができることはありません.どのような運動が最も有効か、現在、具体的に検討していますが、会員の皆様もぜひご意見をお寄せください.

 


バザーは威勢よくやりましょう

10月26日(日)恒例の秋のバザーを開きます(雨の場合は11月2日).時間は午前11時から午後2時まで,場所はいつものオリンピックスーパーの並び,且O粧前の空き地です.衣料品(夏物は除く,古着は洗濯済のもの),食器,家電製品,日用雑貨,玩具,文具,古本などご提供下さいますようお願いいたします.前日の値札つけ,当日の準備や販売へのご協力もよろしくお願いいたします.ご連絡をお待ちしております.

 

スケジュール

9月30日(火)10時30分 公害審査会の調停.都庁第1本庁舎北塔33階N6会議室.10時に1階ロビー集合.1時から都庁記者クラブで記者会見.

10月25日(土)9時〜5時 S宅でバザー値札付け.都合のつく時間に.

10月26日(日)11時〜14時 バザー.準備は9時半から.

上告審はそのまま継続中で、裁判所からは何の連絡もありません.

ニュース No.39

ニュース No.41

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<資料>調停案に対する都や公団の姿勢の変遷

 

私たちの調停案提出

1995年3月、車線の見直し、脱硝装置設置などを柱にした私たちの調停案を提出

1996年8月、東京都と首都高速道路公団が、裁判を行っている状態で調停はありえないと拒絶

 

委員会からの調停案提示とその後の経過 (概要)

 

調停案A 1996年10月18日、委員会が都や公団に口頭で提示

見解A 調停案Aに対する都と公団の見解 (1997年1月20日に口頭で紹介)

調停案B 1997年1月31日付けの文書で双方に各3項目ずつの調停事項が提示された

申請人は受け入れ表明し、調停成立の際は裁判を取り下げることも表明

見解B 調停案Bに対し都と公団がほぼ全面拒否の見解(1997年3月7日付文書)

調停案C 1997年3月28日、都と公団のみに修正調停案を口頭で提示

見解C 調停案Cに対し都と公団がほぼ全面拒否の見解 (1997年5月16日)

 

委員会の調停案に対する都や公団の見解の変遷

東京都に対して

調停事項 @ 車線構成の見直しを含む交通量対策

調停案A 窒素酸化物や浮遊粒子状物質の濃度,及び騒音・振動等が所期の予想に反して悪化したときは速やかに是正対策を講ずるものとし,交通量対策の一環として車線構成の見直し(変更)を含めて検討する.

見解A 道路は個別の問題ではなく,さまざまな条件を考慮して広域的に計画されるものであり,その中で道路幅,車線数も決まっている.車線構成は都市計画の根幹をなすものであり,その変更は困難である.したがって,この条項は受け入れられない.

調停案B 東京都は,都道環状6号線の自動車交通により,窒素酸化物,浮遊粒子状物質等の濃度及び騒音,振動等が初期の予測に反して基準値を大幅に超えていることが明らかになったときは,すみやかに是正措置を講ずるものとし,この場合,必要に応じ交通量対策の一環として,車線構成の見直し(変更)を含めて検討を行なうものとする.

見解B 委員会案は,実質的に環状6号線拡幅事業における環境影響評価の実施を求めているものと考える.

環状6号線の環境影響評価については,東京都環境影響評価条例の施行時,既に都市計画決定がなされ,幅員22m,4車線の街路として事業着手し現在供用されているので,条例附則2項・3項の規定により条例の適用が除外されている.よって,環境影響評価を行わない.

また,道路計画に当たっては,交通条件,自然条件,社会条件などを考慮し,「道路構造令」などをもとに,交通量や道路区分による基本的な幅員構成などの幾何構造は,都市計画の決定内容である位置,延長,幅員,道路構造などを裏付けるものであり,表裏一体のものである.このため,環状6号線の車線数及び基本的な幅員構成などについては,都市計画の根幹をなすもので,その変更は困難である.

以上により,委員会案を受け入れることはできない.

調停案C 東京都は,都道環状6号線の自動車交通により,窒素酸化物,浮遊粒子状物質等の濃度及び騒音,振動等が初期の予測に反して基準値を大幅に超えていることが明らかになったときは,必要に応じ交通量対策を含めすみやかに是正措置を講ずるものとする.

見解C すでに回答しているように受け入れることはできない.

 

調停事項 A 大気汚染等監視のためのモニタリングポスト

調停案A 道路自動交通による大気汚染,騒音,振動の状況を調査するためモニタリングポストを設置する.設置場所については道路の全線供用開始以前に申請人代<?\と協議の上決定する.

見解A 大気の監視は環境行政の一環として行うもので,自動車排出ガス測定局を設置して大気汚染の監視体制の充実を図っている.これらは環境保全局の管轄であり,道路事業者である建設局が設置を決めることは困難であり,そうした条項を受け入れることはできない.協議については,申請人らが沿道の住民代表とは限らないから不適当であり受け入れられない

調停案B 東京都は,沿道における自動車交通による大気汚染,騒音,振動の状態を,モニタリングポストその他の方法で継続的に調査し,その結果について沿道住民に周知を図る.

見解B 東京都は,すでに,環境行政の一環として自動車排出ガス測定局を設置し,大気汚染の監視体制の充実を図っている.また,道路交通騒音,振動については,区市に測定を委任し,状況の把握に努めている.

したがって,拡幅後の環状6号線で,改めて調査を行う必要はないと考える.

以上により,委員会案を受け入れることはできない.

調停案C 東京都は,道路の自動車等による公害については,自動車排出ガス測定局により大気汚染を常時監視し,また,交通騒音,振動については,区市に測定を委任し,状況の把握に努め,測定結果を周知する.

見解C すでに回答しているように受け入れることはできない.

 

調停事項 B 沿道緑化等の環境保全策

調停案B 東京都は,環状6号線の拡幅工事にあたり,植樹帯の整備,車道及び歩道の維持補修,その他沿道周辺の環境保全に常に配慮した施策を実施するよう努める.

見解B 東京都は,環状6号線拡幅事業実施の中で,沿道の土地利用状況等を踏まえ,歩道や中央分離帯への積極的な植栽や車道の低騒音舗装など,環境に配慮した構造を検討し実現可能なものについては,極力実施していく.

したがって,委員会案を受け入れる.

 

その他の事項

見解C 東京都は,すでに回答している通り,B以外の委員会案については受け入れることはできない.なお,最高裁判所への上告の取り下げは,調停受諾の要因とはなり得ない.

本年3月及び4月に,2度にわたり民放テレビにて本件調停の模様の報道があり,その内容は,調停案として検討している項目まで含まれるものであった.この報道内容は「調停の手続き及び経過は公開しない」とする公害紛争処理法第37条の主旨に反するものと考えざるを得ない.

以上により,東京都は調停に応じることはできない.

 

首都高速道路公団に対して

調停事項 @ 脱硝装置の設置

調停案A 低濃度脱硝の技術が進み,脱硝装置が開発され実用段階に達したときは,それらのうち最も浄化能力の良いものを設置する方向で検討する.

見解A 脱硝装置を設置する場合,装置の安全性,耐久性,装置の小型化,省エネルギー,脱硝率の安定性などの課題を総合的に解決した上で設置するかどうか決めるのであって,浄化能力の良いものだけが基準になるものではないからこの条項は受け入れられない.

調停案B 公団は,排気ガス浄化のため,低濃度脱硝装置の技術が進み,本件地下トンネル内に設置可能な脱硝装置が開発され,実用段階に達したときは,それらのうち,安全性,耐久性,装置の小型化,省エネルギー化,安定した脱硝率等を総合的に勘案し,最も適したものを設置する方向で検討する.

見解B 首都高速道路公団は,建設省,日本道路公団及び阪神高速道路公団と共に,低濃度脱硝技術の具体化のため,装置を構成する全ユニットを組み合わせた実際の装置に近い規模での実験に着手し,安全性,耐久性,騒音・振動,維持管理,スペース,エネルギー,コスト等の課題の解決に取り組んでいますが,これらの

課題が未解決なため,現在実用化についての見通しを述べるに至っていません.

したがって,現段階では受け入れることはできません.

調停案C 公団は,排気ガス浄化のため,低濃度脱硝装置の技術が進み,本件地下トンネル内に設置可能な脱硝装置が開発され,実用段階に達したときは,それらのうち,安全性,耐久性,装置の小型化,省エネルギー化,安定した脱硝率等を総合的に勘案し,最も適したものを設置するかどうかを検討する.

見解C 首都高速道路公団は,建設省,日本道路公団及び阪神高速道路公団と共に,低濃度脱硝技術の具体化のため,装置を構成する全ユニットを組み合わせた実際の装置に近い規模での実験を行っておりますが,安全性,耐久性,騒音・振動,維持管理,スペース,エネルギー,コスト等の課題について解決の目途が立っておらず,現在実用化についての見通しを述べるに至っておりません.したがって,現段階では脱硝装置に係る内容は一切受け入れることはできません.

 

調停事項 A 換気塔の規模の検討

調停案A 脱硝装置を設置する場合には,換気塔の要否を含めてその規模について再検討する.

見解A 仮に脱硝装置が実用化されたとしても視認性を確保するため換気塔設置は必要になるので,この条項は受け入れられない.

調停案B 脱硝装置を設置する場合には,公団は,現在予定している換気塔について,規模並びに設置場所等につき再検討する.

見解B 脱硝装置の実用化についての見通しを述べるに至っていない現段階では,「脱硝装置を設置する場合」のように仮定に基づく内容については受け入れることはできません.

また,トンネル換気所の設置場所については環境影響評価及び都市計画において決定されており,脱硝装置の有無に関わらず現計画の位置は適切なものと考えています.

なお,公団は,規模及び景観を対象として十分に配慮した検討を行っています.

調停案C 公団は,現在予定している換気所について,換気所の規模並及び景観について十分に配慮し再検討を行う.

見解C 拒否理由の説明なし.

 

調停事項 B 住民との定期的な協議

調停案A 申請人代表と公団は毎年1回,脱硝技術の開発状況等について情報交換のための会合を開催して意見交換をする.

見解A 申請人らが沿道の住民代表とは限らないから,この条項は不適当であり受け入れられない.

調停案B 公団は,沿道の関係住民に対し,毎年1回以上,上記脱硝技術の開発状況等について,説明会を開催する.

見解B 調停は,申請人と被申請人との関係で行われているものであり,調停と関わりのない関係住民を対象とすることは,本件調停になじまないと考えます.

また,脱硝技術の開発・研究については,学識経験者からなる「低濃度脱硝技術評価委員会」においてパイロット実験の成果を踏まえて検討を行うこととしており,その状況については,適宜,記者発表等で公表することを予定しています.

これによって周知の目的は達することができると考えており,受け入れることはできません.

調停案C 公団は,低濃度脱硝技術評価委員会を通して脱硝技術の開発状況を適宜記者発表等で周知するものとする.

見解C 現段階では脱硝装置に係る内容は一切受け入れることはできません.

その他の事項

見解A 申請人らの一部は行政訴訟をいまだに係属しており,話し合いによる調停とは矛盾する.訴訟が続いている以上は調停による解決はありえない.

見解C なお,平成9年3月28日及び4月9日,東京メトロポリタンテレビによって本件調停にかかる報道が行われましたが,委員会から示された調停事項の内容が開示されており,当事者双方の互譲によって紛争を解決することを目的とし規定されている公害紛争処理法第37条「調停委員会の行う調停の手続きは公開しない」に明らかに違反しているものと考えざるを得ません.

以上により,被申請人は,本件調停において,今後これ以上の対応はできない旨申し上げます.

ニュース No.39

ニュース No.41

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