環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.41


1997年12月10日

 

予想外の展開で調停は継続に

前号のニュースで、「次回9月30日は最後の調停」「何がなんでも調停は成立させないという相手のかたくなな態度からみて、次回(9月30日)の調停で調停打ち切りは避けられない状態です」とご紹介しました。しかし、この日の調停委員はこれまでの弱腰の姿勢と打って変わって、調停受諾勧告の検討もありうるとして被申請人の東京都と首都高速道路公団に対し調停案受諾に向けて譲歩するように強く要請したのです。そして再度次回までに回答するよう求めて終了しました。受諾勧告が出されると30日以内に拒絶の回答をしないと自動的に受諾したことになります。それだけ強制力があるのです。そして、拒否したときには制裁があります。制裁といっても公表するだけなのですが、都や公団が制裁を受ける事態に立ち至ったとするなら社会的には大きな意味を持ちます。

調停委員のこの姿勢の変化の背景には新宿区議会で排気ガス浄化装置の設置を求める請願が採択されたことがあるものと思われます。新宿区の落合地域の10町会のそれぞれから約4400名の署名と共に町会長名で請願が出され、各会派の推薦を受け、全会一致で採択されたのです。9月29日付けで新宿区から東京都と首都高速道路公団に対する意見書及び要望書が出されました。排気ガス浄化装置の設置の要求が、一部申請人のものではなく、地域住民の総意であることを示すものであることから、私たちはさっそくそれらの文書を調停委員会に提出しました。調停委員もそのことを認めて、今までより強い態度に出ることになったものと思われます。この請願はあくまで町会が自主的に行ったものですが、私たちが長年にわたって道路の問題点を指摘し、改善策を提言してきたことが地域に浸透してきた成果だと思います。

 

12月15日の調停にご参集を!

次回は12月15日(月)午前10時30分より調停が開かれます.場所は都庁第1本庁舎南塔33階会議室S1です。10時に1階ロビーに集まって簡単な打ち合わせをいたします。この調停で打ち切りということも大いにありえますが、受諾勧告に向けて動きだすのかどうか、大いに注目したいと思います。大勢に皆様の参加をお願いいたします。

 


道路公害を防ぐための運動はまだまだ継続します

裁判は判決待ちの状態です。調停が成立すれば取り下げとますが、しなければそのまま継続となり、私たちができることはありません.これから先、どのような運動が最も有効か、現在、具体的に検討していますが、会員の皆様もぜひご意見をお寄せください.

 


道路公害反対運動全国交流集会の報告 (Y.S.)

11月8,9の2日間、京都市の立命館大学を会場に、第23回道路公害反対運動全国交流集会が開かれ、会員の一人として参加しました。初日は11月3日に文化勲章を受けたばかりの経済学者宇沢弘文氏の「道路公害と自動車の社会的費用」と題する講演がありました。自動車がいかに社会に負担をかけているかを主に自動車事故や公害の視点から計算し、自動車優先社会を批判ました。また、この講演の中で同氏が紹介した住みよい都市づくりのためのジェイン・ジェイコブスの4大原則は大変興味深いものでした。@道路を狭く曲げ、街のブロックを小さくする、A古い建物を残す、Bゾーニング(まちを○○ゾーン、△△ゾーンなどに分ける考え方)をしない、C人口密度は高いほうが良い、という近代の都市づくりとは正反対のものです。自動車に邪魔されずゆったりと人間らしい生活ができるまち。私たちの求めるものと通じるものがあるように思います。宇沢氏は、受賞は発言力を強めることにつながることから受けることにしたそうです。大いに期待しましょう。なお、本講演の骨子は同氏の著書『自動車の社会的費用』(岩波新書、1974年)に沿ったものでした。本書は経済学の知識がない人でも楽に読める優れた本ですから、ぜひ一読されることをお勧めします。

2日目の分科会では、公害調停、裁判を利用した闘いのあり方、ということで各地の団体が集まり、こうした法的手段を有効活用するための方策を話し合いました。実際に被害の発生している43号線訴訟や川崎公害裁判などとは異なり、これから被害が発生する恐れのある道路を相手とする闘いはどこでも苦労しています。その中でも先頭を走っている私たちの責任の大きさを痛感しました。

 

スケジュール

12月15日(月)10時30分 公害審査会の調停.都庁第1本庁舎北塔 33階N6会議室.

10時に1階ロビー集合.

上告審はそのまま継続中で、裁判所からは何の連絡もありません.

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