東京の鳥A ツツドリ


 

1969年の10月だからもう25年も昔のこと,シジュウカラの写真でも撮ろうと早朝カメラをもって目黒区駒場の東大教養学部構内にある湧水池にいった私は,思いがけずもホトトギスの仲間を見つけた.ツツドリだ.筒をたたいた時のようなポゥ,ポゥ,ポゥという声で鳴くのでこう名づけられたこの鳥は,本州中部の山地で他の鳥に託卵することにより繁殖する.この時は南への渡りの途中である.都内でこんな渡り鳥を見ることができるとは.鳥を見始めてまもない当時の私にとっては新鮮な驚きであった.東京の鳥,それも渡り鳥を意識するようになったのはその時からだ.

その後の数年間,文京区本郷の東大構内など都内各所で観察を続けた.春,秋の渡りの時期になると次々と鳥たちが通過して行く.輝くブルーのオオルリ,黄色と黒のコントラストが美しいキビタキ,30cmを越す長い尾のサンコウチョウ,白い眉が鮮やかなマミジロ,その他クロツグミ,ヤブサメ,コヨシキリ,メボソムシクイ,センダイムシクイ,クロジ,コサメビタキ,アオバヅクなどなど.日本の山で繁殖する渡り鳥のほとんどを都内で見ることができるのではないかとさえ思えるほどだ.

私にとって東京の鳥の原点ともいうべき駒場の湧水池は,いま消滅の危機にある.すぐ隣を首都高速道路中央環状新宿線の地下高速道路が通るのだ.地下水脈の上流側に直径13.5mのトンネルが上下に2本.これでは湧水が枯れてしまうのが目に見えている.このこと以外にも様々な問題を抱えているこの道路の取消しを求めて,行政訴訟を起こして争っているが,1審で完全敗訴,控訴審の見通しも明るくない.応援をお願いします!

 

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