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綾波業務日誌

〜彼女がココロを持った理由(わけ)〜
byけんけんZ



四日目 月曜日



業務日誌 ○月×日


7時30分起床 体調は平常。体温他異常無し。

 朝食:おにぎり2ヶ お茶 (コンビニレシート添付)

8時30分平常通り登校。

 サードチルドレンが話し掛けてくる回数が多い気がする。
 これといって用件が無いことは昨日の電話と同じ。
 何故話し掛けてくるのかと問うと、不愉快なのかと心配そうにする。
 不愉快でないと答えたら、もっと話しがしたいと言った。
 必要なことは喋っている。それ以上に何を話せと言うのだろう?
 理解できない。

12時30分 昼食:コロッケパン、サラダサンド、牛乳 計380円

 終業後、図書館へ借りた本を返しに行く。
 本部での業務予定が無いので、また3冊借りる。
 サードチルドレンの不可解な行動を理解する為、男女の関係に焦点を当てたと見られる小説を中心に選ぶ。
 彼の一連の不可解な行動から、その原因が「恋愛感情」と呼ばれるものと理解する。
 用語は分かっても内実は理解不能。
「好き」と言う感情が理解出来ていないのかもしれない。

 喉が渇きを覚えた時の水分補給、疲れた時の睡眠、空腹時の食事。
 欲求が満たされた時に覚える満足感。
「快・不快」で言えば快適な状態の事を言うのだろう。
 サードチルドレンにとって私は快適なのだろうか?
 それが「好き」と言うことなのだろうか?と考えてみる。
 とすれば、彼は何かに渇いているのだろう。
 不幸な状態であると言える。同情する。

17時30分 帰宅

 また、彼の来訪を予期、または期待している自分に気が付く。
 私も彼の事を「快」と思っているのかもしれない。
 少なくとも不快ではない。

18時 夕食:幕の内弁当、お茶 (コンビニレシート添付)

 その後、読書。

22時 携帯電話にサードチルドレンより入電。

 本を読んでいて、鞄の中の携帯電話を気にする。
 何か予感するものがあったかもしれない。直後、サードチルドレンから入電。
「何してるかと思って」と問われて、初めて彼の感情に確信が持てた。
 やはり何かに渇いているのだろう。不幸な状態と言える。

 それが私との電話で癒されると言うなら、用件の無い電話がかかってくる意味が理解できる。
「迷惑だったか」と問われたのでそう思うなら電話をしなければ良いと返すと、なぜかしきりに謝る。別にしなければいけない事はないので、電話は迷惑ではない。
 本部から連絡が有る時は回線に割り込むだろうから心配する事はない、と告げるとまた電話して良いかと聞かれた。
「好きにすれば」と答えて、この場合の好きとはどういう意味になるのか考えてた。
 この場合の「好きにすれば」と言う慣用句は「自由意志にて行動せよ」と訳すべきか。
 何故「自分のしたいように行動する」と「誰かの事を思って渇く状態」とが同じ用語で説明されるのだろう?考え事をしているうちに電話は切れた。
 サードチルドレンなら知っていたかもしれない。

22時30分 就寝

以 上






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1999.03.01・初出
1999.03.06/Ver1.10

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